【連携ツール】
不動産ネットワーク「センチュリー21」の加盟店・ハウスウェル株式会社は、お客様のLINEと安全につながるため、外部トーク連携機能を持つLINE WORKSを導入。お客様とのコミュニケーションや、社員どうしがタイムリーに情報共有できる環境を整えました。いち早くお客様にアプローチするため、不動産ポータルサイトからの反響メールを瞬時にトークに転送する仕組み「Mail2Link」も開発するなど、業務のDX化に注力し、約1,000ある加盟店のうち、2019~2020年に2年連続で店舗別売上1位を実現しました。
本事例のポイント
- お客様のLINEとセキュアな環境でスピーディにコンタクト
- ファイルストレージ、全社通達、意見収集など社内の連絡、共有のベースに
- 不動産ポータルサイトからの反響メールに即応できる仕組みをBotで構築
御社の事業内容をご紹介ください。
中澤さん:
当社は不動産ネットワーク「センチュリー21」の加盟店で、埼玉県さいたま市で不動産仲介・売買、賃貸仲介・賃貸管理、投資、建築、リフォーム、保険代理業などを展開。全国に約1,000ある加盟店中、2019~2020年に2年連続で売上1位、2015~2020年に6年連続で中古物件取引件数1位となった実績を誇ります。
不動産業界は概してITリテラシーが高くないため、業務管理はいまだに紙ベースが多くマーケティングはベテラン社員の勘頼りという会社が少なくありません。当社も以前はアナログ体質だったのですが、顧客管理から広告運用までさまざまな業務をデジタル化することで業績を拡大しました。私どもが培った業務管理や集客ノウハウなどを、ほかの会社でも活用してもらいたいとの思いから「nanairo+(ナナイロプラス)事業部」を立ち上げ、不動産に限らず多様な事業会社様に向けたコンサルティングを行い、営業プロセスのDX化をご支援しています。
以前はどのような課題に直面していましたか。
中澤さん:
不動産の売買や賃貸仲介を行う営業社員は、会社が支給した携帯電話でLINEアカウントを作り、お客様のLINEとつながっていました。そのためお客様との連絡はスムーズでしたが、個々の営業社員とお客様のやり取りの内容を会社が把握するのは容易ではなく、改善すべき課題となっていました。
また、社員間の業務連絡もLINEでなされていたため、秘匿すべき情報を誤送信してしまう可能性があり、セキュリティ面のリスクや共有した写真等のファイルが一定期間すぎると見られなくなってしまうという事を懸念していました。そこで法人向けのチャットツールを導入したのですが思うように定着せず、多くの社員が依然としてLINEを使う状況が続いたことから、再び別のツールをリサーチすることになりました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由と、運用開始までの経緯を教えてください。
中澤さん:
当社にとって何よりも重要なのは、お客様とのコミュニケーションを安全かつ円滑に行うことです。LINEとセキュアにつながる外部トーク連携機能があるLINE WORKSの存在を知り、これこそ最適のツールだと思いました。LINEに操作性が似ていてスムーズに移行ができそうなところや、チャット以外に掲示板やアンケートなど豊富な機能を備えていることにも魅力を感じて導入を決めました。
運用に先立って会社の組織図に基づくグループのほか、役職者のグループや、さまざまな部門の社員で構成される各種委員会のグループなどを作成し、利用マニュアルも整備。80名あまりの全社員にアカウントを配付し、全社研修を実施して利用を開始しました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
【外部トーク連携】社内の複数の担当者がお客様とつながってタイムリーに情報を共有
【Drive】共有フォルダに不動産物件の写真や図面を保存し、関係者間でいつでも閲覧可能に
【掲示板・アンケート】各種申請方法の案内や意見調査などがデジタル化。紙の配布が廃止に
檜山さん:
不動産の売買や賃貸を仲介する営業社員は、名刺にLINE WORKSアカウントのQRコードを入れ、お客様のLINEで読み込んでいただき、外部トーク連携でつながるようになりました。LINEは誰もが使っている使い慣れたツールなので、お客様と対面でお会いした際は、基本的にお客様のLINEとつながるようにしています。こちらがLINE WORKSだということをお客様が特別に意識されることはなく、LINEどうしでつながっていたときと変わらず、フランクな雰囲気でやり取りすることができ、かつスピーディな顧客対応を実現しています。
以前は営業社員とお客様が1対1でやり取りをしていましたが、LINE WORKS導入後は案件別のグループをつくり、上席もメンバーとなってやり取りの内容を把握。進捗状況をチェックし、必要に応じて部下に指示を出せるようになりました。
案件が進捗すると、住宅ローンやリフォームなど、他部門の担当者がグループに加わることもあります。メンバーを臨機応変に追加しながら、タイムリーに連絡をし合ったり情報を共有したりすることで、営業活動が効率化したことを感じています。
担当者とお客様のやり取り全体を、会社としてしっかり管理することで、セキュリティリスクへの備えができました。各種委員会など多様なグループがつくられたことで部門間の連携がしやすくなり、社内どうしの意思疎通も以前より活発になっています。
お客様とだけではなく、社員間のコミュニケーションも促進。
よく活用するグループは「ピン留め」し、常に画面上部に表示されるように設定している
大量のデータファイルを管理するのに便利なDrive機能では、「チーム/グループ」別の共有フォルダ機能を活用して、組織や部門ごとに作成した共有フォルダに物件の写真や図面などの保存し社員間でデータを共有しています。ほかにも業務に使うさまざまなツールやソリューションのマニュアルなどもDriveにアップして、全社員がどこにいても閲覧できるようになりました。
ほかにLINE WORKSのどんな機能を活用されていますか。
檜山さん:
会社からの通達やお知らせの周知には掲示板を利用しています。当社は経営方針や企業理念、各種手続きの方法などを記載した社員手帳を発行しており、改訂するたびに再印刷していましたが、掲示板にPDFを掲載するようになりました。100ページ以上ある冊子を印刷する手間とコストがなくなり、省資源にもつながっています。
社員からの意見の徴集やイベント等への参加確認にはアンケートを活用。紙文書の回覧よりずっと手軽に回答を得ることができます。
新たに導入した社内システムに関する研修などは、ビデオ通話で行うこともあります。同じ場所に集まらなくても参加できますし、通話中に画面共有ができるのも便利です。
不動産売買ポータルサイトからの反響をLINE WORKSに自動転送する連携ソリューションも自社開発されたそうですね。
檜山さん:
当社のお客様の7割ほどは、不動産ポータルサイトから紹介された方です。お客様が売却一括査定などをお申し込みになると、その情報が反響メールとして5~6社の不動産会社に一斉送信されます。受注や契約に結び付けるにはお客様にスピーディにアプローチしなければなりませんが、営業担当者は常にメールチェックをしているわけにはいかないので、他社に先を越されてしまうことも少なくありませんでした。
中澤さん:
そこで私どもは、受信した反響メールを直ちにLINE WORKSに自動転送する仕組みを開発しました。LINE WORKS以外のメッセンジャーへの転送も可能なこの仕組みは多様な業界・業種で活用できることから、「Mail2Link」というサービス名で他社様にもご提供しています。
檜山さん:
反響メールが営業担当者のグループに転送されると、誰が対応したかがほかのメンバーにわかるようにするため、対応可能な者が「対応します」のボタンをタップし、お客様に電話をかけます。メールが転送されてからお客様に連絡するまでの所要時間は、わずか30秒から1分ほどです。多くのお客様が非常に早い対応に驚かれますが、そのことで当社が強く印象づけられ、結果として業績の向上につながっています。
不動産ポータルサイトからの反響メールを即座にLINE WORKSに転送。
お客様へのよりスピーディなアプローチが可能になった
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
中澤さん:
日々の営業活動は顧客管理ツールで管理していますが、LINE WORKSとAPI連携させることで、営業担当者とお客様のトークの内容を営業日報のような形で自動的に取り込めるようにすることを検討しています。
また、お客様や社員からのよくある問い合わせに自動回答するチャットボットの活用も視野に入れており、LINE WORKSを活用することでDXをさらに深化させたいと思っています。
【お話を伺った方】
中澤 優さん
売買営業やマネジメントを経験した後、社内のDXを推進。自ら立ち上げたマーケティング事業部とnanairo+事業部の運営を行っている。
檜山 慎平さん
不動産コンサルティング事業部 5課に所属。売買営業を行いながら主任として部下の指導にもあたる。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年10月当時のものです。