昭和20年代から製麺を行っている島根県雲南市の株式会社出雲たかはし。自社工場で300種以上の麺を製造し、県内外に多数の得意先を持つ同社は、受注から出荷までの工程で頻繁に行われる営業・事務・製造の各部門のコミュニケーションを強化するため、LINE WORKSを導入しました。電話がトークに置き換わったことで重要な連絡が確実に伝達されるようになり、業務効率が大幅にアップ。マルチアカウントで専用のアカウントを作成し、得意先からの注文を受け付ける試みも始め、受注業務の効率化も図ろうとしています。
本事例のポイント
- 電話の「言った、言わない」を未然防止、業務の確実性とスピードがアップ
- 先の予定が見通せるようになり、納期を順守する体制が強化
- マルチログインを活用、受注受付専用アカウントを開設
御社の事業と、みなさんの主な業務内容をご紹介ください。
高橋さん :
当社は1949年創業の製麺会社です。長く島根の名産品である出雲そば、うどん、冷や麦を製造してきましたが、近年はラーメンやパスタなどさまざまな麺を自社開発しています。生麺、半生麺、乾麺、フリーズドライなど多様な製法を用い、300種以上の商品を販売しています。大手百貨店などの商品のOEM生産も行い、お取引先は県内外約200社に上ります。私は3代目の社長として、会社全体を管理しています。
上田さん :
私は営業社員や工場の製造担当者と連携を取りながら、出荷事務を行っています。
以前の課題と、その解決のためにLINE WORKSを導入された理由を教えてください。
高橋さん :
会社のメールアドレスは基本的に事務社員と営業社員しか持たないため、全社員への伝達は口頭で行うしかなく、例えば製造設備の変更といった重要な情報をスムーズに周知することができませんでした。また、以前は製造担当者の勤務表をホワイトボードに掲示しており、突発的に生じた欠勤などの情報をすぐに反映させることが困難でした。受注~出荷の工程では事務・営業・製造の各担当者が緊密にコミュニケーションを取る必要があることから、最近は多くの社員がプライベートで利用するLINEを業務連絡に使うようになりました。
上田さん :
出先にいる営業社員から注文を受けたり、受注した商品の在庫確認や配送指示をしたりと、事務作業では他の社員と頻繁に業務連絡をする必要があります。LINEを使うようになってから迅速な意思疎通ができるようになりましたが、グループトークには既読○人という表示しかされず、誰が未読で誰が既読かを把握できない点に不便さを感じていました。
高橋さん :
LINEを利用してない社員もいるので、社内全体への徹底した情報周知を行うには至らず、個人アカウントのLINEはビジネスとプライベートが切り分けられないこともあり、ビジネスチャットの導入を検討するようになりました。いくつかのツールを比較したところ、LINEと操作性が似たLINE WORKSは使い勝手がよく、年配の社員でも容易に使いこなせるようになると期待できたので、スマホを所有していない社員を除いて、ほぼ全社員への導入を決定しました。
運用ルールの整備も含め、導入に際してはどのような準備をされましたか。
高橋さん :
大半の社員がつながることになるので、利用上の基本的なマナーを喚起するとともに、グループトークにいちいち「了解です」の返事はしなくてもよいこと、緊急時以外は21時以降の利用を禁止するなどの規則を設け、その内容をホーム(掲示板)に掲載しました。
アプリインストール時は、社員をいくつかのグループに分けて私が基本的な操作法をレクチャーしました。業務現場で操作に迷う社員がいると、ほかの社員が自発的に使い方をアドバイスしてくれたので、導入はスムーズに進みました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
上田さん :
運用開始後は、お客様ごとに、その担当者をメンバーとするトークルームが作成され、業務連絡の大半がLINE WORKSで行われるようになりました。以前はお客様へのサンプル商品の手配依頼など、社外にいる営業社員からの電話が頻繁に事務所にかかっていましたが、そうした電話もトークに置き換わっています。既読者と未読者も一目瞭然なので、未読者には再度個別に連絡を取るなど、臨機応変な対応もできるようになりました。
翌日の商品の出荷可能数量を確認したり、数100ケース単位の大口予約が入ったことを知らせたりと、これまで電話や口頭で伝えていた製造担当者への連絡事項もトークに移行しています。情報を素早く伝達できるようになっただけではなく、トークのログは記録にもなるので、電話連絡のように「言った、言わない」などのトラブルを未然に防ぐのにも有効です。
高橋さん :
営業社員が商品展示会の様子を撮影した写真を関係する社員に送るなど、情報を画像で共有することが容易になりました。
上田さん :
展示会にいらしたお客様がサンプル品の入手を希望されると、現場にいる営業社員がその場で商品の写真を添えて事務社員に発送依頼をするようになりました。声だけの電話や文字だけのメールと違い、写真を確認すれば間違った商品を発送する心配がありません。また、お客様からFAXで届いた注文書を写真やPDFにして送信することで、営業社員が受注状況をリアルタイムに把握できるようになりました。注文書は製造担当者にも送っており、画像情報をトークで瞬時に共有できるようになったことは、全社の業務の確実性やスピードアップに役立っています。
ほかにLINE WORKSのどんな機能を活用されていますか。
高橋さん :
以前はその日の社員の正確な勤務状況はホワイトボードと工場長だけが把握していましたが、LINE WORKS導入後はカレンダーに各社員が欠勤・遅刻・早退などの予定を入力するようにし、誰もが全体の勤務状況を認識できるようになりました。先の予定まで見通せるようになったことは、納期を順守する製造体制の強化にもつながっています。当社の経理担当者は勤退管理もしており、カレンダーによって出退勤情報を把握することもできるようになりました。
上田さん :
営業社員がお客様から直接承った注文は、事務社員に仮注文として口頭で伝えられていましたが、その情報をカレンダーに入力しておけば、後日お客様から正式な発注書が送付された際に、うっかり製造部門に二重発注をしてしまうといったことも防げます。
高橋さん :
受注品の出荷予定日もカレンダーに登録されるようになりました。以前は出荷予定表がExcelで作成されていたため、お客様から配送日に関する問い合わせがあると確認するのに手間取っていましたが、カレンダーを見れば即応することが可能です。LINE WORKSは、社内のコミュニケーション環境を向上させるだけではなく、お客様への対応力を強化することにも貢献しています。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
高橋さん :
お客様からの注文の多くはFAXと電話でお受けしており、当社の業務時間外に届いた注文分は、午前中に手配して出荷担当者に出荷を指示しています。LINE WORKSがマルチアカウントになったことを受け、受注業務の効率化に向けて通常業務で使うアカウントとは別に、受注専用のアカウントを作成しました。お客様のLINEから受注専用のLINE WORKSに注文を受ける仕組みをつくり、あるラーメン店様と試験的に運用しています。そのお店からは、「電話で注文するより手軽で、手元に注文履歴が残るのも便利だ」と評価をいただいたので、今後はBotによる自動受注を拡大することを検討しています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年2月当時のものです。