完全個別指導塾を新潟県内に19教室展開する株式会社KATEKYO新潟は、生徒や保護者とのコミュニケーションを密にするため、LINEとセキュアに連携できるLINE WORKSを導入。連絡手段にトークを追加し、問い合わせや相談に迅速に対応できる体制を整えました。同時に教師と教室長の意思疎通を活性化し、生徒の状況をタイムリーに共有することで指導の質を向上。さらには広報物等をデジタル化しての郵送費削減、タスク機能による指導報告書作成の最適化など、多くの導入成果をあげています。
本事例のポイント
- 保護者のLINEと外部トーク連携機能で安全につながり緻密なコミュニケーションを実践
- 教師と教室長が個々の生徒の学習進度をタイムリーに共有
- 季節講習等のデジタル資料をトークで送信することで郵送費を削減
- 生徒のトークルームをスプレッドシートで管理することで、授業料の納付案内状況を可視化
KATEKYO新潟の事業概要をご紹介ください。
高野さん:
小・中・高校生を対象に受験指導や定期試験のフォローをするKATEKYO新潟は、新潟県内に19の教室を運営。プロの社会人教師が1対1の完全個別指導を行い、生徒の個性や学習進度、目標に合わせて質の高い丁寧なサポートをすることで、学習効果の最大化を図るのが特長です。もともと家庭教師の派遣からスタートし、今もその需要はありますが、現在は大部分の生徒が教室で学んでいます。教師数は全体で約190名。教室に通う生徒はピーク時(毎年12月)で約1,300名、家庭教師を利用する生徒はピーク時(毎年12月)で約200名です。
長津さん:
最近は地方と大都市圏の学力格差解消が課題となっているのに加え、少子化が進んだことで保護者が1人の子に割ける教育費が増えていることもあり、個人の学力や学習スタイルにマッチするマンツーマン形式のきめ細かい指導を求める傾向が強まっています。
LINE WORKSを導入する以前はどのような課題を抱えていましたか。
高野さん:
とある学習塾に関するアンケート調査では、保護者が抱く不満で最も多いのは「塾とのコミュニケーション不足」ということですが、当塾もまさにその課題を抱えていました。各教室の運営を管理する教室長は基本的に1名で2教室を担当していて、保護者から生徒に関する相談や問い合わせの電話があってもなかなか出られません。時間や日を改めてかけ直すことが多く、タイムリーな意思疎通をすることが困難でした。
また、社内ではGoogle Workspaceをグループウェアとして利用していますが、教室長が多数の教師と情報を迅速に共有することも容易ではなく、個々の生徒の様子を詳しく把握できる体制にありませんでした。そうしたディスコミュニケーションが生徒や保護者の不満を招く要因となり、退塾につながる潜在的なリスクになり得ることを感じていました。
長津さん:
教師や教室長は保護者とSMSや個人LINEで連絡を取るケースもありましたが、その内容は会社が把握できないので、関係者が安心して使えるオフィシャルなコミュニケーションツールを導入する必要があると考えていました。
課題解消に向けてLINE WORKSを選定された理由と、本格的な運用開始までの流れを教えてください。
高野さん:
LINEと似た操作性で導入時のハードルが低く、生徒や保護者が広く使っているLINEとセキュアに連携できることと、1対1だけではなく状況に応じてグループでのコミュニケーションも取れるのが魅力でした。またセキュリティ面や管理機能など、会社として安全性を担保できる点も評価しました。さらに、APIで外部サービスやツールと連携させることで、さまざまな業務の効率化に役立てられるのではないかとの期待もありました。
長津さん:
まずいくつかの教室で試用しコミュニケーション活性化に効果があることを確認してから、全19教室にフリープランを導入。生徒や保護者のLINEとは外部トーク連携機能でつながり、フリープランで連携できる数が上限に達した教室ではその制限がない有償プランに順次切り替えています。現在までに半数以上の10教室が有償プランに移行しました。
保護者や生徒のLINEとはどのようにしてつながっていますか。
高野さん:
各教室の面談スペースにQRコードを用意し、保護者と生徒に教室長との友だち登録をしてもらうようお願いしています。保護者がLINEを使っていないため生徒のLINEとのみ連携するケースはありますが、入塾時には基本的に快く登録をしていただいており、保護者の側もLINEで気軽にご連絡をいただいています。
長津さん:
当塾への資料請求をされた方に送付するパンフレットにもQRコードを載せるようにしたところ、友だち登録をしたうえでLINEから問い合わせをする保護者が非常に多く、資料請求者の入塾率も高まっていると捉えています。
LINE WORKSによって関係者間のコミュニケーションはどう改善されましたか。
・問い合わせや相談への対応が迅速になり生徒や保護者の満足度がアップ
・教師と教室長の生徒に関する情報共有が円滑になり指導の質が向上
・BCP対策の一環として緊急時の安否確認を素早く行える体制を構築
長津さん:
以前は教室長や教師が生徒や保護者などからの着信履歴を見てかけ直しても応答されないことが多く、お互いになかなか連絡がつかないという状況がありましたが、連絡手段がLINE WORKSに置き換わったことで、タイムラグの少ない意思疎通が可能になりました。教室長と教師が組むグループには、各家庭の意向に応じて生徒や両親が適宜参加。お互いに伝えたいことを迅速・確実に伝え合っています。
「体調を崩したので今日の指導は欠席させます」といった保護者からの事務的な連絡だけではなく、「子どもの学習意欲を高めさせるに親はどうすればいいか」といった相談や、学習内容に関する生徒からの質問にもしっかり応えられるようになったことで、当塾に対する満足度が以前と比べて確実に高まっています。
保護者からの相談に教室長が対応。双方が都合のよいタイミングでやり取りが可能
高野さん:
一部の教室長や教師が自発的に使っていたSMSや個人LINEと違い、LINE WORKS上のやり取りは会社が監査できるので、教室長や教師が安心して使えるようになったことも大きな導入成果の一つです。
保護者との間だけではなく、教室長と教師のコミュニケーションも密になり、教室長からの指示の伝達や、教師からの「報連相」も素早くできるようになりました。
教師と教室長がこまめに報告や相談を行い、指導の質向上に役立てている
また、能登半島地震が起きたのを機にBCP対策の強化に乗り出し、本部から教室長や教師に安否確認するためのグループをつくり、災害発生を想定した訓練も行っています。
LINE WORKSはペーパーレス化や業務効率化にも貢献しているそうですね。
長津さん:
夏期・冬期・春季講習の案内は教室で生徒に手渡していましたが、LINE WORKS導入後はPDFで保護者のLINEに送信し、Googleフォームに申込書を送ってもらうことでペーパーレス化を実現しました。既読がつくことで送付した案内を見てもらえたということが分かりますし、パンフレットを郵送していた頃と比べて申込率も高まっています。
生徒ごとの毎月の授業料はGoogleスプレッドシートで計算し、保護者宛てに請求する文面を自動作成していますが、以前はそれをプリントアウトして郵送していました。LINE WORKS導入後はその内容を保護者のLINEに送信するようになりましたが、いちいちアドレス帳から宛先を検索するのが煩雑だったため、スプレッドシート上に貼り付けたURLをクリックすればトークの送信画面が立ち上がり、メッセージをスムーズに送れる仕組みを構築。これによって請求業務が大幅に効率化しています。
以前は郵送していた季節講習の申込受付票や授業料納付の案内をLINE WORKSで送信するようになったことで、私の担当する教室では年間の郵送料が98%も削減されました。2024年10月1日に定形郵便封書の料金が値上げになったことを考慮すると、コストカットの効果は絶大です。
トーク以外にどんな機能を活用されていますか。
【掲示板】教師への重要な連絡事項を速やかに周知
【カレンダー】各教員の指導スケジュールを教室単位で共有
【タスク】生徒の月次指導報告書の作成を効率化
高野さん:
教室長から各教室の教師への通知・通達は、月1回の対面ミーティングのときに紙の文書で伝えていましたが、今は教室ごとの掲示板を設けて随時投稿。会議の議事録や研修資料などもアップし、重要な情報をタイムリーに周知するようにしています。
各教師の指導予定や教室のイベント、休校日などはカレンダーに登録してスケジュールを共有しています。これまでは教室に用意した紙に記入していましたが、LINE WORKSに反映させれば突発的な予定変更もリアルタイムに把握することができます。
長津さん:
教師は個々の生徒の月次の指導報告書を作成しています。以前は紙の報告書を保護者に渡して内容を確認してもらってから教室長に提出しており、回収に手間取ることが少なくありませんでした。今はLINE WORKSのテンプレート機能を使って報告書を作成し、教室長が内容を確認してから保護者に転送するという流れに変えました。報告書を教師に戻す必要がないので保護者は都合のよいときにじっくり読むことができ、気づいたことがあればLINEで即座に教室長にコメントを送信できます。テンプレートは、教師によってバラつきのあった報告内容を統一することにも役立っています。
改めてLINE WORKSの導入効果をどう実感されていますか。
高野さん:
保護者や教師とトークでやり取りするようになったことで、教室長が電話連絡に要していた時間が、週あたり1~2時間削減されました。以前は保護者から「何時以降に電話をください」と留守番電話で伝えられると、その時間まで教室にいなければならないことがありましたが、今はそうしたことはまずありません。生徒や保護者からの電話から解放されたことで同様に教師の勤務時間も短縮しており、従業員満足度も高まっているはずです。
長津さん:
肌感覚ではありますが、LINE WORKSで保護者のLINEとつながり、以前より丁寧に相談に対応できるようなったことで、退塾者が減っています。生徒を通わせている保護者が、別の保護者に当塾のLINE WORKSアカウントを紹介してくださることも多く、塾長と保護者がつながることで信頼関係が生まれ、その結果として入塾する生徒も増えています。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させたいとお考えですか。
高野さん:
生徒の入退室管理システムとLINE WORKSを連携させて出欠管理を自動化し、保護者への報告を迅速にする仕組みを構築しましたが、今後は成績管理システムとLINE WORKSも連携させ、教師や教室長が生徒の成績データをタイムリーに把握できる環境も整えることを計画しています。そのことを通じてよりよい指導を実現し、当塾の特長である個別対応をさらに強化するつもりです。
長津さん:
新規の生徒を迎える際は、まず教室長が本人や保護者との面談から学習状況を確認して担当教師に引き継ぎ、入塾後は教室長が教師から月次の指導報告書を受け取って学習の進み具合を共有することになります。しかし生徒数が多いため、教室長は個々の生徒に関する情報を一連の流れとして把握することが難しいのが実情です。そこでタスク機能をうまく活用し、入塾者の受け入れから指導終了までのプロセスをタスク化して管理することで、より万全なサポートをできるようにしたいと考えています。
【お話を伺った方】
新潟駅前校/イオン新潟東校 教室長
高野 正輝さん
新潟駅前校およびイオン新潟東校の教室長として生徒・保護者への対応と教師の管理にあたる。
長津 利幸さん
十日町駅前校および六日町駅前校の教室長。英語と数学をメインに中学生への学習指導も行う。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2024年10月当時のものです。