回転寿司店「くら寿司」を全国に展開しているくら寿司株式会社は、全519店舗の運営に携わるスタッフどうしのコミュニケーションを円滑にする目的でLINE WORKSを導入しました。電話やSMSで行っていた連絡がトークに置き換わり、重要な業務情報を迅速・確実に伝えられるようになったことで、店舗の設備やシステムに不具合が生じた際の本部によるサポートもスピードアップ。もたらされた業務時間の短縮は、働き方改革の推進にも寄与しています。
<本事例のポイント>
- 店の設備やシステムに起きたトラブルを本部に速やかに報告できる体制を構築
- 既存のグループウェアと使い分け、店舗運営のための情報共有に特化したツールとして活用
- コミュニケーションの証跡を残してガバナンスを強化
御社の事業内容をご紹介ください。
橋本さん :
当社は大阪府堺市に本社を置く回転寿司チェーンストアで、全国に519店舗の「くら寿司」を展開。訪日インバウンド向けのグローバル旗艦店も東京と大阪に出店しています。寿司をはじめとするすべての食材に化学調味料・合成着色料・人工甘味料・人工保存料を使用しておらず、コロナ禍となってからは、お客様にスマホで座席の予約と寿司のご注文をいただくことで店のスタッフと一切接触せずに済む環境も整備するなど、安心してご利用いただける店づくりに取り組んでいます。
以前はどのような課題を抱えておられましたか。
橋本さん :
LINE WORKSを導入する以前、スマホが支給されているのは経営幹部のみで、それ以外の社員にはガラケーが配付されていました。店舗のアルバイトスタッフに貸与することもあるガラケーは、メールを利用できない設定だったため、本部、各店舗の店長や責任者、地域内の数店舗を管理するスーパーバイザー、数名のスーパーバイザーを取りまとめるエリアマネージャーは、店舗に設置されているPCや電話、SMSによるやり取りしかできず、例えば店の設備に支障が生じた際などの状況報告が迅速にできないのが難点でした。
小坂さん :
私は2022年2月に広報部に異動するまで営業本部に所属し、ブロック長として九州全域の店舗を統括していました。日々、スーパーバイザーやエリアマネージャーと頻繁に連絡を取り合う必要がありましたが、電話は応答してもらえるとは限らず、SMSはテキストメッセージしか送れないことに負担を感じていました。
また、橋本が述べたように、店舗の設備にトラブルが起きると、本部に電話かSMSで状況を報告するのですが、言葉だけではうまく説明できないことがあります。そのような場合は不具合を示す写真をガラケーで撮ってSDカードに保存して、そのSDカードをPCに取り込んでからメールに添付して送信するという手間がかかっていました。
橋本さん :
多様な管理業務に追われている店長や責任者は、不具合の報告に貴重な時間を奪われたくありません。そのようなことから、画像の共有も含めて「もっと円滑にコミュニケーションを図れるツールが欲しい」という要望が多くの現場スタッフから出されていました。それを受けて、ガラケーの契約更新のタイミングでスマホに切り替えるとともに、ビジネスチャットツールを導入することを決めました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由と、運用までの経緯をお聞かせください。
橋本さん :
複数のツールを比較した結果、操作性がLINEと似たLINE WORKSなら導入教育を行うことなくすぐに定着することが期待されました。管理者がトークの内容をモニタリングすることでガバナンスを効かせられることも選定の決め手の1つとなり、各店舗の店長と責任者、各地域のスーパーバイザーとエリアマネージャー、店舗運営にかかわる本部の社員を対象に計1,500余りのアカウントを発行。
利用は業務時間内に限り、休日を取っているスタッフにはトークを送らないというルールも設けています。店舗の責任者は学生から年配者まで年齢層が幅広いにもかかわらず、期待したとおりに誰もがすぐに使いこなせるようになり、操作法に関する質問を受けたことは一度もありません。管理者にかかる負担が少ないことも、LINE WORKSならではのメリットだと思います。
LINE WORKSの具体的な活用シーンをお聞かせください。
【グループ】目的別のグループを整理して業務情報を瞬時に共有
【ビデオ通話】本部の担当者が店舗の設備やシステムの不具合を目で確認しながら的確に対応
【外部トーク連携】協力会社の担当者のLINEとつながりスムーズに情報をやり取り
橋本さん :
メール、スケジュール管理、アンケート機能などは以前から利用しているグループウェアが担っているので、LINE WORKSは「店舗運営に関するコミュニケーションを円滑にすることに特化したツール」と位置づけ、主にトークと無料音声・ビデオ通話で、双方向のタイムリーなやり取りをすることに活用しています。
営業部には、店舗の設備やシステムに不具合が発生した際の相談を受け付ける担当者がいます。LINE WORKS導入後は、店長や責任者からの報告がその担当者を介してテクノロジー開発部にトークで伝えられる仕組みを構築。「タッチパネル」「セルフレジ」など、設備別のグループを設けて、不具合情報がテクノロジー開発部内の各担当者に速やかに共有されるようにしています。システム障害によってお客様からの注文を受けられなくなるなど、店舗の営業に重大な支障を及ぼすトラブルについては、「緊急連絡」のグループが報告を受けて即応できる体制を整えました。
テクノロジー開発部では担当者ごとのグループをつくってタイムリーに情報を共有。
店舗の設備やシステムのトラブルなどにも迅速に対応できるようにしている
問題がより複雑な場合は、テクノロジー開発部の担当者がビデオ通話で不具合箇所を映してもらいながら確認することで、より迅速かつ的確に対応ができるようになっています。
メールと違って用件だけを簡潔に伝えられるので、トラブル対応だけではなく部門内の社員間のちょっとした確認などにもトークが多用されています。絵文字やスタンプを使うことでお互いに気持ちが和む効果もあるように思います。特定のトークを引用して返信できるリプライ機能も便利で、グループトークで複数の話題が同時展開されたようなときは特に重宝します。
ほかにLINE WORKSのどんな機能を活用されていますか。
橋本さん :
社外のLINE WORKSやLINEとつながれる外部トーク連携機能を使い、システム関連の協力会社の担当者のLINEとトークでやり取りしています。メールに比べ、お互いにレスポンスが格段に速くなりました。
LINE WORKSが業務にもたらした効果をお聞かせください。
橋本さん :
社員間の業務データの受け渡しがトークで手軽にできるようになりました。あくまでも体感ですが、メールを1通作成して送るには何分もかかりますが、トークの送信は数10秒で済みます。それを積み重ねると、ひと月に何時間もの間接業務が削減されていることになります。
小坂さん :
各店舗の店長や責任者は、設備などの不具合の状況を示す画像を本部にダイレクトに送れるようになったことで、報告業務の負担が軽減。店の管理業務に専念できるようになりました。
スーパーバイザー、エリアマネージャー、ブロック長どうしのやり取りも、電話とSMSからトークに置き換わりました。これまで店舗に急ぎの伝達事項があるときは、以前は店舗1軒ずつに電話をかけなければなりませんでしたが、LINE WORKS導入後は、エリア単位の店舗グループにトークを1回送るだけで伝達完了となります。また、電話ではどうしても用件以外のちょっとした会話もすることになりますが、それがトークに置き換わったことで、連絡に要する時間が大幅に短縮されました。
当社は働き方改革にも大きな力を入れており、LINE WORKSを導入したことはその推進にも確実に寄与してくれています。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
橋本さん :
今後はBotやAPI連携も活用し、作業完了の報告を自動通知させるといった使い方も模索したいと思っています。
【お話を伺った方】
橋本 大介さん
社内および店舗のITインフラを担うテクノロジー開発部を統括。LINE WORKSの運用管理にも携わる。
小坂 博之さん
九州全域の店舗を統括するブロック長を経て、2022年2月より広報部でマネージャーを務める。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年8月当時のものです。