大阪、東京、広島にオフィスを構える特許業務法人前田特許事務所は、情報セキュリティポリシー策定にあたり、既存のメッセンジャーソフトに替わるチャットツールとしてLINE WORKSを導入。ログ監査ができるセキュアな環境で通信ができるようにするとともに、所員同士がスムーズにコミュニケーションを図れる体制を構築。弁理士とその業務をサポートする事務担当者間の意思疎通を以前より密にすることで、業務生産性の向上を実現しました。
– 本事例のポイント –
- シンプルで使いやすい、管理負担が少ない、サーバーが国内に置かれている、が選定ポイント
- 相手がオフラインでもチャットを送っておくことで、伝えられない不便さを解消
- 目的に応じてトークルームを作ってチャットができるため、情報共有がスムーズに
- 所外にいる弁理士からの依頼事項に所員から即答が可能になり、業務がスピードアップ
御社の概要と皆さんの主な業務内容をご紹介ください。
前田さん :
弊所は1977年に設立された特許事務所で、大阪、東京、広島にオフィスを開設しています。約80名の所員が、国内外における特許・実用新案・意匠・商標の出願、訴訟、調査など、知的財産権に関する幅広い業務をカバー。企業に赴いての知財セミナーや、パートタイムで企業に駐在する低コスト型知財支援サービスなども提供しています。私は副所長として、業務全般を管理しています。
石黒さん :
システム管理チームに所属する私は、情報システム設計から所員が日々使うPCのサポートまで、事務所全体のITの運用管理を行っています。最近はRPAを導入するなどして、業務の自動化、効率向上にも力を入れています。
吉野さん :
私は知財支援室でお客様からのさまざまなお問い合わせに対応するほか、弊所主催の知財セミナーの企画・運営管理なども担当。システム管理チームにも所属し、所内のシステムの運用管理にも携わっています。
武中さん :
弁理士である私は、知財に関する相談業務や、特許の出願代行業務などを行っています。
小野田さん :
私は弁理士の業務をアシストしながら、特許出願や権利維持に付随する事務手続きを担当しています。
LINE WORKS導入以前はどんな課題に直面していましたか。
前田さん :
所員同士の業務連絡をスムーズにするため、以前からLAN内の端末でやり取りできるメッセンジャーソフトを利用していましたが、情報セキュリティポリシーの策定に際し、通信ログ全般の保存や監査が行える環境を構築する必要に迫られました。既存ソフトのメッセージログは端末にしか残らないため、セキュリティを担保できないことが課題となっていました。
武中さん :
利用していたメッセンジャーソフトは、みんなとのすべてのやり取りが一つのチャット画面内に時系列で表示されていくので、しばらく前に送信したメッセージにリプライがあっても、どのメッセージに対する返信であるかが瞬時にはわかりませんでした。結局、一部のメンバーと特定の連絡を取り合いたい場合は、メールを使わざるを得ないという状況もありました。
小野田さん :
送信したい相手がPCを起動しているときしかメッセージが届かないのも不便に感じていました。
吉野さん :
情報セキュリティポリシーを満たすとともに、こうした所員の不満を解消して連絡業務を効率化するため、ビジネスチャットの導入を検討するようになりました。
LINE WORKSを選定された理由と、導入までの流れを教えてください。
石黒さん :
秘匿すべき情報を多く扱う弊所では、原則として所内のPC同士でしかやり取りを行いません。いくつかのツールをリサーチしたところ、多くの機能が詰め込まれすぎて操作が複雑なものばかりでした。そこで注目したのがLINE WORKSです。シンプルにチャット機能を使いたいという弊所のニーズに合致し、大半の所員が個人で利用しているLINEのような感覚で容易に使えそうだと思いました。オンプレミスではないため管理負担も少なく、サーバーが国内に置かれているのも評価したポイントです。
まずは数名の事務担当者で無料トライアルを行い、最終的にほぼ全所員で試用し、弊所の課題解決に役立つと判断しました。PCのOSをWindows 10にアップデートしたタイミングで旧メッセンジャーソフトから完全移行し、現在約80のIDを発行しています。
吉野さん :
PCで使っていた以前のツールとの連続性を考慮して、また、ITスキルの高くない所員が操作に戸惑うことを避けるため、ブラウザ版ではなくPCアプリ版を全ユーザーのPCにインストールして利用する形態をとりました。
石黒さん :
特許事務所としてセキュリティを保つため、モバイル版アプリの利用や、外部のLINE WORKSやLINEと連携してやり取りをする外部トーク連携機能は制限しました。それ以外の運用ルールについては、旧メッセンジャーソフトを使っていたときに定めた規則に準拠して運用を開始しました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
武中さん :
特許出願手続きなどの過程では、弁理士が事務担当者にサポートしてもらうための業務指示を頻繁に出します。もともとメッセンジャーソフトを利用するようになったのは、両者が同じオフィス内の離れた場所にいるからですが、LINE WORKSのトークを利用するようになってからは、「1対1」、「1対多」ともスムーズに情報共有をできるようになり、以前のように「これはいつ送ったどのメッセージへのリプライなのか?」と迷うこともなくなりました。1対1のトークやグループトークなど、目的別に作成したトークルームでスピーディにコミュニケーションが図れるようになったことは、業務効率化にもつながっていると思います。
吉野さん :
送信したい相手のPCがオフのときでもメッセージを送っておくことができるようになり、伝え忘れがなくなりました。複数の所員に一斉にメッセージを送れますし、未読の所員には個別に連絡できるようになったのも便利です。
小野田さん :
出先の弁理士も、持ち出し用PCから所内PCに接続すれば、LINE WORKSを利用できるようになりました。その結果、出張などで所外にいる弁理士に依頼された確認事項に所員が即答できるようになるなど、業務のスピードアップに役立っています。また、スタンプを活用することで、無機質になりがちな業務連絡に和やかな雰囲気が生まれるようになっています。
石黒さん :
システム管理チームとしては、PCにトラブルが生じた際、その画面キャプチャをトークに添付して送信してもらうことで、すばやく対応できるようになりました。ログインの監査画面やトークの統計画面で利用状況を随時確認できるのも、運用管理者にとっては便利です。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させていくお考えですか。
吉野さん :
現状ではトークの利用が中心ですが、今後はホームを全社向けのポータルとして活用するなどして、所内の情報周知に役立てたいと思っています。
石黒さん :
所員のスケジュール管理は以前から利用しているグループウェアで行っていますが、将来的にはLINE WORKSのカレンダーに移行して、チームメンバーの予定調整や会議室などの施設予約などに活用できればと考えています。また、お客様とのテレビ会議にもLINE WORKSのビデオ通話機能を使うことも検討しています。
前田さん :
弊所でも働き方改革の一環として、在宅勤務をはじめとするフレキシブルな勤務形態を導入したいと考えています。情報セキュリュティの担保に配慮しながら、今後は在宅勤務者や所外に出た弁理士とオフィスを結ぶコミュニケーション手段として、LINE WORKSをモバイルで活用することも視野に入れています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2019年11月当時のものです。