従来の紙の管理台帳を廃止しLINE WORKSに置き換え、会頭、役員、全職員のスケジュール管理、外部への会議室の貸出予約の効率化を図り、貸会議室への問い合わせに職員の誰でも柔軟に対応できるような仕組みを構築しました。手書きでの書き損じミスや台帳を回覧する手間が削減され、口頭や紙で行っていた事務所内の情報共有がLINE WORKSへと次々に移行しています。
本事例のポイント
- 行事の日程調整や会議の出欠など、職員のスケジュールを一元管理
- 外部に貸し出す会議室や公用車予約をLINE WORKSで予約管理
日々取り組まれている業務とLINE WORKS導入経緯を教えて下さい。
万代さん :
私は、総務課に所属しており、商工会議所内の情報管理をはじめ、パソコンなどの事務機器の管理、保険制度の販売、ビル全体の管理、給与関係などを幅広く担当しています。LINE WORKSを導入する以前は、職員間の情報共有が口頭または紙ベースで行われておりました。そのことにジレンマは感じてはおりましたが、職員の習慣を変えるというハードルの高さから、アナログなやり方から抜け出せないままでいました。
吉廣さん :
私は、産業振興課に所属し、補助金や資金繰り、決算、業務効率化といった会員事業者からの相談に対応しているほか、松江市のスタートアップ事業にも携わっており、新規事業の創出や支援なども行っています。自身の職務立場からしても、商工会議所内部の非効率さに課題を感じており、できるところからデジタルに置き換え、効率化を図っていく必要があると感じていました。
万代さん :
ペーパーレス化を目的に職員へタブレットが導入されたことに伴い、業務の効率化・スリム化を目的とした情報システムの導入が検討されました。そこで商工会議所向けに開発されたシステムを試験的に導入してみたのですが、松江商工会議所の規模にマッチせず、結局導入は見送られました。その後、地元のベンダーさんから勧められたのがLINE WORKSでした。一定の試用期間が過ぎると有料プランに移行するシステムが多い中、LINE WORKSには100名までずっと無料で使えるフリープランがあり、コスト面でも非常に魅力的でした。
ものは試しで2020年6月に導入したところ、非常に使い勝手が良く、現在は正職員・非常勤職員を合わせた35人弱の全職員のほか、会頭や副会頭、内部団体に対してもアカウントを作成し、全部で50のアカウントが使われています。
導入において職員への指導や情報管理のルールについて教えてください。
万代さん :
機密情報や個人情報の取り扱いについては徹底指導しており、LINE WORKSの導入に際してマニュアルを作成しました。使用方法や注意事項は都度見直し、随時マニュアルを更新しています。LINE WORKSの使用時間は、緊急時を除いて就業時間内に行うようにして、業務に区切りをつけるよう規則を設けています。また、容量を使いすぎないようデータファイルの送信は禁止してオンプレミスのファイルサーバを利用させることを徹底し、管理者として週に2回ほど全体のデータ使用量をチェックしています。
商工会議所として工夫を凝らしてLINE WORKSの活用をされているようですね。
万代さん :
主に職員のスケジュール管理と会議室の予約管理にLINE WORKSのカレンダー機能を活用しています。私たちの業務において特に共有が必要なのは、商工会議所の行事と4つの会議室の利用内容と空き状況です。そのため、「行事予定表」と「会議室名」でLINE WORKSのアカウントを付与しています。
行事を登録するときには、「行事予定」のアカウントから予定を登録するとともに、出席する職員も参加者に加えて登録します。そうすることで参加する各職員のカレンダーにも予定が自動で登録されるので、日程調整や出欠確認に用いることができます。
会議室のアカウントは、タブレットにて使用し、マルチログインできるようにしています。商工会議所は外部に会議室を貸出することが多く、予約を受け付ける職員が誰であってもタブレットを見れば空き状況の確認と貸出予約ができます。同様に、確定申告の相談ブースにもアカウントを作成して予約などを管理しています。
施設や事業に対して、アカウントを作成して管理している理由を教えてください。
万代さん :
LINE WORKS導入当初は会議室を共有設備に登録して試したのですが、外部から受け付ける会議室の予約は、あとから変更・キャンセルになる場合も少なからずあり、予約した職員とは別の職員がその対応することがあります。職員のアカウントで予定を登録すると、他の職員が修正することができず、結果的に非効率になります。
そのため、会議室は専用のLINE WORKSアカウントで運用し、複数の職員で使える仕組みを構築しました。また、こうすることで、職員個人のカレンダーが本人の予定に関係ない会議室の予定で埋まることもありません。
内部団体でもLINE WORKSのアカウントを作成しています。公用車やETCなどの予約を管理するのに便利なためです。
導入後の変化や手応えについて教えてください。
吉廣さん :
以前は日程調整をするにしても、一人ひとりに声をかけて回る必要がありましたが、今はLINE WORKSのカレンダーで参加者として登録するだけで、相手のスケジュールに通知されるので効率化を実感しています。会議室の予約では、これまではすべての会議室の予約を一冊の帳簿で管理していたために、誰が帳簿を持っているのか探すことから始まり、手書きによる可読性の低さや、仮予約の取り消し忘れなどの問題もありました。LINE WORKSで一元管理することでこれらの問題がすべて解消され、以前のアナログな方法には戻れないと感じています。
万代さん :
これまで会頭や副会頭のスケジュールは、職員が書き込む専用の手帳に書き込んでいたのですが、「〇〇時〜」という書き込みは何時に終わるのかわからず、あとの予定が入れられないこともありました。LINE WORKSを使うことで予定が何時から何時までかわかるようになり、管理がしやすくなりました。
他に、LINE WORKSの活用している機能があれば教えてください。
吉廣さん :
職員とのやり取りでは、個別にメンバーを組む必要がある時はトーク、それぞれの課に対する連絡は課単位の掲示板、という風にトークと掲示板を使い分けて情報を共有しています。
また、私はLINE WORKSを導入している事業者さんとの外部連携でトークを活用しています。内容は日常的な相談事や補助金から、「地元の経済紙に載っていましたね」といったちょっとした会話など、これまでは電話でやり取りしていたことがトークで気軽にできるようになりました。
今後どのようにLINE WORKSを活用していきたいですか?
万代さん :
ワークフローをLINE WORKSで行えたらと考えています。出張などで責任者が事務所に不在でも決裁を進められるよう、電子決裁なども用いて効率的に仕事を進めていきたいです。
吉廣さん :
会議の議事録やイベントの事業報告までLINE WORKSに集約できれば、より便利になるだろうと思います。ITツールを活用した効率化について、これからも探っていきたいと思います。
【お話を伺った方】
万代 繁優さん
情報管理や設備の管理、給与管理などに携わり、LINE WORKSの運用やマニュアルの作成なども担当する。
吉廣 之晴さん
産業振興課所属。事業者の相談業務、新規事業の創出・支援などに携わり、ITリテラシーやツールの勉強会なども企画・開催している。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年2月当時のものです。