群馬県前橋市で土木事業や建築事業、個人住宅事業やリフォーム事業などを幅広く展開する宮下工業株式会社は、対面、電話、紙をベースとしていた社内コミュニケーションを円滑にする目的でLINE WORKSを導入。アンケート、掲示板、カレンダー、Driveなどをグループウェアとして活用することで業務情報をスピーディに共有できる環境を整えた結果、社員間の連絡に要する時間が80~90%も短縮され、業務生産性が大きく向上しています。
本事例のポイント
-会社で管理できない個人LINEの業務利用が懸念に
-現場内では聞こえにくい・作業を中断させる電話連絡に替わるツールを模索
-伝達事項を確実かつ効率的に伝えられ、どこにいても業務データを確認できる環境を整備
-グループウェアとしてLINE WORKSをフル活用しさまざまな業務を省力化
御社の事業内容をご紹介ください。
栁井さん :
2022年に創業70周年を迎えた当社は、公共や民間の土木事業、建築事業、個人住宅事業やリフォーム事業を手掛け、地元密着型の総合建設会社として群馬県内のお客様の生活を支えています。採石事業からスタートし、自前の建設機械を揃えて公共土木事業を請け負うようになった歴史があり、現在もブルドーザー、バックホー、ダンプ、ローラーなどの重機車両を自社で保有していることから、国や群馬県、前橋市などと災害協定を結び、災害復旧工事や除雪作業なども携わっています。これまでの経験や技術をもとに、ICTを活用した生産性向上と働き方改革を進めながら、まちづくりを通じて地域貢献に努めています。
LINE WORKSの導入前はどのような課題に直面していましたか。
栁井さん :
業績アップにつながる業務のデジタル化を推進するために、総務部主導の「業績向上委員会」を設けることになりました。その中でまず取り組むべきテーマとして挙げられたのが、社内コミュニケーションの効率化です。土木・建築・住宅・リフォームの各部門とも営業や事務担当者以外はほぼ現場勤務になるため、社員どうしで顔を合わせる機会がありません。また社給PCはありますが、多くの社員が現場の作業中になるため、事務担当者が業務連絡をメールで送ってもなかなか読まれない状況でした。
オフィス内には用件を紙のメモで伝えたり、紙文書を回覧したりする文化が根強くあり、連絡、確認、承認に時間がかかることも大きな課題でしたし、部門間の情報連携も円滑に行われていない状況でした。
また、多数の営業社員がお客様とスピーディにやり取りするために個人のLINEを使っており、情報セキュリティの観点からも、社員の公私に区別をつけるためにも、会社として然るべきITツールを提供する必要があると思いました。
田村さん :
帳票類や各種マニュアルなどの業務データは、PCでの利用が前提のクラウドストレージサービスで共有していましたが、現場の作業中はPCを携行しないため、モバイル端末からスムーズにアクセスできるサービスに移行することも以前から検討していました。
各部門の業務現場は具体的にどのような課題がありましたか。
高橋さん :
重機部では、現場に出ている社員に連絡があるときは電話をしていましたが、建設機械の大きなエンジン音があるときはお互いの声がよく聞き取れません。なるべく定時の休憩時間にかけていましたが、急ぎの用件が伝えられませんし、現場スタッフの貴重な休憩時間を邪魔してしまう心苦しさを感じていました。
取引先から送付された請求書には複数の担当者に確認してもらう必要がありますが、現場に出ている担当者からはすぐに確認してもらえず、処理が停滞しがちでした。また、私は会社が所有する約90台の車両の車検管理や燃料管理もしていますが、車検日を調整したり、社員が社用車に給油した燃料代の領収書の提出を促したりする際に、担当者一人ひとりに対面や電話で連絡を取り、聞き間違いをしないように気を張るのも非常に負担でした。
足尾さん :
建築部でも現場作業を妨げないように、電話連絡の際には配慮していました。お客様や業者の方などから現場にいる社員宛てに送られてきたFAXはPDFにしてメールで送信していましたが、いつ確認してもらえるか分からないことが不安でした。
上原さん :
土木部も重機部や建築部と同様に、電話での会話は現場内の騒音に妨害されることや作業を中断させることへの配慮から「現場スタッフとの連絡を取りにくい」という悩みを抱えており、コミュニケーションをスムーズにするツールが導入されることに期待していました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由をお聞かせください。
栁井さん :
さまざまなツールを比較し「多くの社員が使い慣れたLINEと操作性が似ている」「現場作業を担当する社員が使いやすい」「音声やビデオ通話機能も備えている」「既存のクラウドストレージサービスに替わってDriveを業務データの保存先にできる」といったLINE WORKSの多くの機能や特性に注目しました。「業績向上委員会」で導入の検討を実施してLINE WORKSによる会社・各部門のメリットを文書にまとめて経営陣に稟議した結果、効果を支持する声が多かったことで導入が決定しました。
全社員にアカウントを付与し、モバイル端末での利用に関してはBYODで運用を開始。総務部で作成した組織図に沿ったトークグループに加えて任意のグループがつくられ、業務上の連絡や情報共有がスピーディに行われる環境が整いました。
田村さん :
総務部としては、営業社員がLINE WORKSの外部連携機能を使うようになり、個人のLINEでお客様とつながることがなくなったことで、公私の区別がつけられるようになったことに満足しています。実際にチェックしたことはありませんが、管理者機能で社員のログをいつでも監査できることも、何か問題が起きたときの備えとして安心感につながっています。また、トークや通話など機能別の利用状況を統計データとして確認でき、さらなる有効活用に向けた策を展開するためのヒントとなるのもありがたいです。
さまざまなLINE WORKSの機能を活用していますね。まずはトークについて、具体的な活用シーンと効果をお聞かせください。
・全社・部門・現場などの単位でグループを作り、業務情報を共有
・社外にいる担当者への連絡事項を迅速・確実に伝達
・社内書類などの写真を共有することで事務処理がスピードアップ
・部門の枠を超えた情報連携が図れる
上原さん :
以前のように連絡するタイミングを気にすることなく、いつでもトークで用件を送信できるようになりました。返信がなくても既読が付けば安心できますし、既読にならない場合にのみ電話をかければ済みます。メールを送ったときは、念のため「メールしました」とトークで伝え、すぐに確認してもらうようにしています。
高橋さん :
確認書類については、各担当者の帰社を待って確認してもらうのではなく、手元に届いた確認書類の写真をトークで送り、確認承認後に私がその担当者に代わって書類の処理をすることで、以前よりスピーディに処理できるようになりました。
社有車の車検日を各担当者と電話で調整していたときは日にち紙のメモで渡していましたが、今はトークで簡単に伝えることができています。
燃料の使用管理に際しては重機部、建築部、土木部、営業部など部門ごとの「燃料グループ」をつくり、給油時の領収書の提出期限を一斉に通知。現場から会社に戻れず提出に時間が掛かる場合は領収書の写真を送信してもらって処理する、といったこともできるようなりました。
足尾さん :
電話連絡がトークに置き換わったことで、現場担当者との意思疎通が本当にしやすくなりました。私は見積書の検算を依頼されるのですが、以前は担当者が現場での仕事を終えたあと、ブリントした見積書をわざわざ私に手渡しにきていました。今は、担当者は現場にいながら見積書のデータをトークで送るようになりました。
そのほかのLINE WORKSの機能はどのように活用されていますか。
栁井さん :
業務効率化のために、Drive、アドレス帳、無料通話、アンケート、掲示板といったLINE WORKSの機能を自然と活用するようになっています。
【Drive】社外から業務データにスムーズにアクセス
現在はクラウドストレージサービスに保存している業務データをLINE WORKSのDriveに移行している最中ですが、各部門の現場担当者や営業担当者から、「社外にいるときにスマホで業務データに素早くアクセスできるようになった」との良いコメントが多く上がっています。LINE WORKS導入の大きな狙いは、社内のコミュニケーション基盤と社外からアクセスしやすいクラウドストレージを整備することだったので、まずはそれらの目的が果たせてよかったと思っています。
【カレンダー・設備予約】会議室から備品まで、社内設備の予約を円滑化
カレンダー機能の利用状況は部門や個人によってばらつきがありますが、設備予約機能は全社でよく使われています。会議室、応接室、保養所(海の家)、社有車など、登録した社内設備の予約が簡単にできるようになりました。
【アドレス帳・無料音声通話】電話番号を知らない社員間も速やかに通話
携帯番号がわからない新入社員や他部門の社員でに連絡する必要が生じたときに、アドレス帳からかけられる音声通話が大変便利です。
【アンケート】社内の意見聴取や安否確認が容易に
紙で確認していた社内行事や会議などへの出欠確認に利用しており、「参加者側は回答が手早くできて、発信者側も簡単に内容が発信でき、最終の集計作業も楽」という声が寄せられています。
アンケート機能はBCP対策の安否確認にも用いるようになりました。これまで利用していたサービスは部門単位で安否確認メールを送信しなければならなかったのですが、LINE WORKSのアンケートは全社員に安否確認を一斉発信できて集計も容易です。LINE WORKSに安否確認の機能を集約できたので、運用面の効率改善につながっています。
【掲示板】会社からの重要な通達を速やかに周知
会社から全社員へのお知らせや連絡事項に活用しています。多くの部門が業務の通知をグループトークルームで行っていますが、検索機能や再通知機能などが便利な掲示板機能の活用も勧めるつもりです。
LINE WORKSの活用を通じて、どのような効果を感じていますか?
栁井さん :
このようにトークを基軸として社内のコミュニケーション基盤が整った結果、体感ベースでは社員間の連絡に要する時間が8~9割短縮され、業務生産性が大きく向上しました。業務データのやり取りが手軽にできるようになったことで、現場担当者と本社間の連絡環境も整いました。また、紙文書の回覧やメモのやり取りが大幅に減り、ペーパーレス化にも貢献してくれています。
田村さん :
営業社員からは、「会社宛にかかってきたお客様からの入電内容を、トークで速やかに伝えてもらえることでタイムリーに対応できる」、「Driveに保存された業務データにスマホで速やかにアクセスできる」、「イベントの告知などを他部門にすぐに発信できる」といった声が挙がっており、LINE WORKSは営業部門の業務効率化にも寄与しています。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
栁井さん :
社内で使用するシステムはできるだけ一本化したいので、いずれはメールもLINE WORKSに移行したいです。また、LINE WORKSのメニュー画面に外部システムやサービスのURLリンクを追加することで、多様なツールのプラットフォームにしていきたいです。
社内のペーパーレス化は進みましたが、現状ではFAXを使う協力会社も少なくないので、フリープランのLINE WORKSの導入を勧めて外部トーク連携でつながり、PDFで情報をやりとりするといったことも検討中です。
ほかにも、勤怠管理システムやワークフローシステムを導入して連携させることも構想しており、LINE WORKSによって当社の業務はまだまだ効率化する余地があるのではないかと考えています。
【お話を伺った方】
栁井 俊昭さん
次長として総務部の業務を管理するほか、社内ITインフラの整備も推進。
田村 祐己さん
総務部の副主任として経理、保険代理店、採用業務などを担当。
高橋 実千恵さん
重機部の書類管理や全社の社有車の管理などを行う。
足尾 夕紀さん
建築部の現場担当者への業務連絡や事務を担当。
上原 恵理さん
土木部の現場スタッフへの業務連絡や事務を担当。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年11月当時のものです。