千葉県の流山市立小山小学校PTAは組織内の連絡をスムーズにする目的から、1,000名まで無料で利用できる期間限定のLINE WORKS「非営利団体向け特別プラン」を導入。PTA活動に関する情報共有が円滑になり、学校とのコミュニケーションも活性化されました。義務感にとらわれることなく、主体的に関わる保護者が増えました。
本事例のポイント
- 対面が難しいコロナ禍でのPTA本部・保護者のコミュニケーション基盤を整備
- 総会議案への回答/委任状などを電子化してスムーズにやり取り
- 情報共有が促進されたことでPTA活動への参加機会が増え組織全体が活性化
皆さんの活動内容をご紹介ください。
峰松さん :
私たちは千葉県流山市の流山市立小山小学校に通う児童約1,700名の保護者によって構成されるPTA活動を行っています。
流山市の教育の特色を教えてください。
松山さん :
流山市では「流山市GIGAスクール構想」を策定し、産官学が連携した「先進的統合型プログラミング教育」を小中学校で実施したり、児童の日々の心の状態を登録するアプリによって精神面のケアに役立てたりするなど、教育現場でのICT活用に力を注いでいます。
PTAではこれまでどんな課題を抱えていましたか。
峰松さん :
以前は保護者に活動予定などを伝達するのに、学校のメール配信システムを利用していました。しかしメールではリアルタイムに連絡を取り合えませんし、ただでさえ多忙な先生方に送受信をお願いすることを心苦しく思っていました。
また、PTAの各委員会は隔月で運営委員会を開いていましたが、会議の場で地区毎に異なる見守り活動について詳細の確認を行うことは難しく、PTA本部は地区委員の活動内容を逐一把握できていませんでした。
コロナ禍となって以降は多くの委員会活動が停止を余儀なくされ、対面でのミーティングもほとんどできなくなりました。そうした状況下で委員や保護者どうしがスムーズに連絡を取れるようにするため、また、隔月のミーティングでは確認することが難しい、活動の詳細を把握するために、PTA本部役員・委員を繋ぐチャットツールの導入を検討するようになりました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由と、運用開始までの経緯をお聞かせください。
峰松さん :
ITスキルにばらつきがある多くの保護者が参加するPTAで使うツールの絶対条件は「使いやすさ」です。そこで注目したのが、操作性がLINEと似ているLINE WORKSでした。まず本部役員と委員で使用感を確かめました。使い勝手の良さから本部役員と委員だけではなく、全校児童の保護者も使えるように、1,000名まで無料で利用できる期間限定の「非営利団体向け特別プラン」を導入しました。
保護者へは、LINE WORKSの利用に関するお知らせと登録方法のマニュアルを配布しています。全保護者がアカウントの配付対象ですが、登録はあくまでも任意としています。利用はPTA活動に限り、管理者がログを監視できることでセキュリティ性が担保されることの周知と、「総会に関する連絡や各地区の旗当番の調整などがスムーズになるのでぜひ登録してください」と何で利用するのかを一緒に登録の案内をしたところ、運用を本格的に開始してから数か月でユーザー数が1,000名近くになりました。予想を上回る反響に驚きましたが、このことはLINE感覚の手軽なコミュニケーションを図りたいと考える保護者がいかに多いかをよく示しています。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
【アンケート】保護者からの意見や回答を手間なくスピーディに収集
【グループ】委員会や地区等の組織単位で活動予定などを共有
【掲示板】保護者への通達・通知を一斉周知
【タスク】広報ブログの制作スケジュールなどを管理
峰松さん :
LINE WORKSを導入する直前にPTA活動に関する意識調査を行ったところ、250名以上もの方が今後PTAとして行った方が良い活動について具体的に回答してくれ、PTA活動について前向きにとらえている保護者が多くいることがわかりました。
これまでは、こういった保護者の意見収集は紙ベースで行っていましたが、LINE WORKS導入後は、アンケート機能を活用しています。LINE WORKSに登録した保護者に総会議案の回答と委任状をLINE WORKSのアンケート機能で送付してみたところ、議決に必要な定足数を上回る返信をスピーディに得ることができました。紙ベースでの運用に比べて遥かに効率的なうえ、多くの方がPTAに対する貴重な意見を書き込んでくださいました。「お忙しい中ありがとうございます」といった労いの言葉をいただけたことも、総会を主催する役員たちにとって励みとなりました。
全体に周知したい事項を、学校のメール配信システムを使うことなく速やかに伝達できるようになったことに加え、本部からの連絡がアンケートなどの形で直接発信されるようになったことで、保護者にPTA組織の敷居を低く感じさせる効果もあったと思います。
また、各委員会、学年、地区などのグループによって、委員や保護者どうしの連絡も以前と比べて遥かに活発になっています。
地区委員を通じて集めていた通学路上の危険箇所に関する情報についても、アンケートでPTA本部に直接報告してもらうようにしました。寄せられた20カ所近くの危険箇所を落とし込んだ通学路マップを掲示板にアップして注意を喚起しています。
このように、トークだけではなくアンケートや掲示板なども活用することで、以前は難しかった多数の保護者からの意見の吸い上げと、全体への周知を簡単にできるようになったことが、LINE WORKSを導入したことによる最大の成果だと思います。
松山さん :
PTAの役割の中には、持ち回りの形で分担しなければならないものもありましたが、そのような活動のあり方に疑問を抱く峰松会長は、以前から保護者がもっと自主的にかかわれるPTAに改革したいと考えておられましたが、LINE WORKSはまさにそれを実現する手段となっているようです。
例えば学校が支援ボランティアを募集するとき、以前は先生方の要望をヒアリングした上で、保護者に募集用紙を配布して、回答を回収して集計する等、多くの手間が発生していました。今年度からは、先生方からの要望は、Google フォームを通してPTA側に共有し、その要望をPTA会長からLINE WORKSの掲示板で保護者に通知させてもらうことで、より多くの保護者に迅速に訴求することができます。例年、新入生に配付するタブレット端末の初期設定は担任が行うのですが、負担が大きいと支援者を募ったところ、約30名もの保護者が手伝ってくださいました。教職員から保護者の方に助けて欲しいニーズが多くある中、LINE WORKSのようなツールをPTA活動に活用してくれることは学校としても非常にありがたいと感じています。
峰松さん :
学校は保護者の支援を必要としており、保護者にはさまざまなスキルを持った方がいらっしゃいます。これまではそのマッチングがうまくできなかったため、半ば強引に役割が割り振られる側面がありましたが、LINE WORKSは学校のニーズと保護者のスキルや意欲を結びつける役割を果たしてくれます。その結果、多くの保護者がPTA活動に主体性をもって取り組むようになったことを感じています。
LINE WORKSはPTAの広報活動でも有効に活用されているそうですね。
岡村さん :
広報委員会はこれまで紙の広報誌を発行していましたが、制作や配付に手間がかかるため、2022年度よりブログで情報を発信するようになりました。関係者間での取材日程の調整や記事の校正などはトークでやり取りし、ブログにアップされるまでのスケジュールは担当者全員がタスク機能で共有しながら管理しています。記事作成、写真撮影、Webサイトへのアップといった役割は分担しており、写真が好きな私は撮影担当というように、どの保護者もそれぞれの得意分野を活かして主体的に活動しています。いちいち集まらなくても作業を効率的にすすめることができています。
LINE WORKSはPTA活動のあり方に大きな変化をもたらしたようですね。
峰松さん :
PTAの本部内や保護者と、リアルタイムに双方向のコミュニケーションを図れるようになったことで、以前より柔軟に活動できるようになりました。多くの保護者から「PTA活動を身近に感じる」「活動に参加しやすくなった」といった声が上がっていることを、本当にうれしく感じます。
岡村さん :
今の保護者はLINEを当たり前のように活用している世代なので、PTAでもチャットツールが用いられるのは自然の流れだと思います。情報がスムーズに共有され、個々の保護者が自分の意志で「したい活動」や「得意な活動」に参加するPTAになることは、結果として子どもたちのためにもなるはずです。
松山さん :
働き方や生活スタイルの変化により、かつてのように保護者が学校に集まって何かをすることは難しくなっています。そうである以上はPTAの活動スタイルを今の時流に合うものにする必要があり、今後の学校と保護者との協力関係の構築にLINE WORKSのような最先端のICTツールはそのための有効な手段だと思います。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
峰松さん :
保護者を結ぶコミュニケーション基盤は確立できたので、引き続き活用レベルを高めていき、よりよいPTA活動を実現するとともに、先生方の業務負荷軽減にも貢献できればと考えています。
【お話を伺った方】
峰松 拓毅さん
2020年度より流山市立小山小学校PTA会長。保護者が意欲的に参加できるPTAづくりを推進している。
岡村 瞳さん
流山市立小山小学校PTAで広報ボランティアを務め、ブログ制作などに携わる。
松山 秀行さん
流山市教育委員会 指導課 課長を経て、2022年4月、校長として流山市立小山小学校に着任。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年8月当時のものです。
【関連情報】
・【LINE WORKS 非営利団体向け特別プラン】
通常フリープラン(容量5GB・使用最大人数100名)から拡張した、非営利団体向け 特別プラン(容量50GB・使用最大人数1000名)をご用意しました。