連携ツール:安否確認 for LINE WORKS
東海地方を拠点に中心に土木・建築・不動産業を展開する中村建設株式会社は、従業員が建設現場などの出先にいても速やかに情報を共有できるよう、LINE WORKSを導入。従来のグループウェア、電話、メールがトークに置き換わったことで社内のコミュニケーションがスピードアップし、協力会社との連絡も密になりました。また、LINE WORKSとAPI連携した安否確認ツールも導入し、災害発生時に従業員へ安否確認通知を発生地域別に自動送信する体制も確立。同社の皆さんに、LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお話しいただきました。
本事例のポイント
- グループウェア、電話、メールをトークに置き換え業務連絡をスピードアップ
- 外部トーク連携で協力会社ともスムーズに情報共有
- Botを活用した安否確認体制を構築
御社の事業内容をご紹介ください。
大場さん:
当社は東海地方を中心に・土木・建築・不動産業を展開し、公共施設、工業・商業施設、集合住宅、戸建て住宅、道路、下水道施設など幅広い建造物を手がけています。東京・名古屋・中遠支店、東北・静岡・磐田・新城・豊田に営業所があり、全国の公共災害復旧工事にも携わることから、多くの社員を全国に派遣しています。
これまでどんな業務上の課題を抱えておられましたか。
大場さん :
全社で情報共有をするためにオンプレミスのグループウェアを使っていましたが、社外にいる社員はVPN接続してからでないと見ることができなかったため、迅速な情報共有ができない状況でした。また、会社からの連絡事項をメールで送っても、現場に出ている社員は帰社するまで閲覧できず、個人の携帯宛に業務情報を送信するのは情報セキュリティ上の問題がありました。こうした課題を解決し、社員間の情報伝達をスムーズにすることが急務となっていたのです。
宮本さん :
それに加えて、有事の際の安否確認体制を強化したいという思いもありました。社員への安否確認通知については個人携帯宛に送っていましたが、機種変更等でメールアドレスが変わってもその情報が会社に伝えられず、一部の社員に安否確認通知が届かないという問題がありました。そこで、全社員にスマートフォンを支給し、新たなコミュニケーションツールを導入するとともに、プッシュ通知型で迅速・確実に安否確認ができる仕組みを構築することを検討するようになりました。
齋藤さん :
建設現場を監督する立場として、各協力会社のリーダーを取りまとめるためにも、スピーディに情報共有をできるツールの導入が望まれました。スケジュールや段取りを調整する際、複数の協力会社のリーダーに電話をするのは大変な手間ですし、現場ではメールをすぐに確認することができません。そのため個人LINEが使われるケースが多く、シャドーITの問題も懸念されていました。
課題解決のためにLINE WORKSに注目された理由と、導入の経緯を教えてください。
大場さん :
日常的で使い慣れているLINEと操作性の似たLINE WORKSなら容易に定着させられると考えて導入を決めました。LINE WORKSアプリをインストールしたスマホを嘱託社員やパートタイマーも含む全従業員に支給したのは2020年3月。ちょうど新型コロナの影響が拡大した時期だったので説明会は実施できず、支給時に紙ベースの簡単なマニュアルを配布し、LINE WORKSのホームに基本的な操作法を説明する画像をアップして閲覧してもらいました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
【トーク】説明の補助として現場の写真をその場で送れる
【トーク】協力会社のスタッフのLINEとつながりスピーディな打合せが可能
【トーク】口頭では遠慮がちだった先輩への質問が気軽に投げれる
齋藤さん :
以前と比較して伝えたいことを相手にすぐに伝えられ、レスポンスも即座に得られるようになりました。言葉だけでは説明が難しい現場の細かな様子を写真で伝えられるようになったのも大きなメリットです。また、事務部門からの重要な連絡事項やリマインドがスマホで確認できるようになったことで、会社に出す書類の遅れや提出漏れも少なくなりました。取引先への営業活動も行うなかで、以前は同行する上司や役員と日程を調整するのに一人ひとり対面で都合を聞いて回っていましたが、LINE WORKS導入後はその調整もトークで簡単にできるようになりました。
また、LINEと直接チャットができる外部トーク連携により、会社公式のLINEとして協力会社のスタッフのLINEとスムーズに連絡を取り合えるようになったことで、打ち合わせや確認がスピーディにできるようになりました。
宮本さん :
外部トーク連携については、社内報を制作する担当者も外部の制作会社との間で活用し、原稿や画像をやり取りするようになりました。
岡山さん :
私は入社2年目で、建設現場で監督を行っています。担当する現場に直行・直帰することが多いため、これまではなかなかほかの社員のお顔を覚える機会がなかったのですが、LINE WORKSのユーザーアイコンに登録された顔写真を見ることで、名前と顔が一致するようになりました。
まだ新人である私は先輩に確認すべき事柄が多いのですが、作業中の先輩の手を止めさせてしまうことに躊躇して質問できないケースがあります。そのため、つい後回しにして確かめることを忘れてしまうことがありました。トークなら手の空いたときに見てもらえるので、思い立ったときに質問を投げかけておくことができるようになりました。
私のような若い世代はパソコンやメールを使い慣れていないので、業務に関するやり取りがLINE感覚でできることを快適に感じます。
ほかにLINE WORKSのどんな機能を活用されていますか。
【ホーム】対面で実施困難なIT機器の設定方法や、定期開催のセミナー動画を投稿
【カレンダー】紙のスケジュール管理をやめ、全社の予定を登録
【通話】朝礼・夕礼や会議を実施
大場さん :
これまで全社向けの通達はグループウェアの掲示板にアップしていましたが、従業員がいつどこにいても閲覧できるようにするため、LINE WORKSのホームに完全移行しました。IT機器の支給や設定をするときは、総務部の担当者が出向いて設定や説明をしていましたが、コロナ禍で対面による説明が困難になったため、画面キャプチャに説明を書き込んでホームにアップするようになりました。また、定期的に開催しているセミナーも、同じ理由からセミナー動画をホームにアップして閲覧してもらっています。
齋藤さん :
以前は会社全体や部署ごとの年間行事を記した紙のスケジュール表が配布されていましたが、それに替わってカレンダーが使われるようになりました。スマホで見られ、しかも全社のスケジュールを俯瞰できるのはとても便利です。
宮本さん :
人事部が採用活動に使うため、社員が感じている当社の特長や就活学生へのアドバイスなどをアンケートでヒアリングしました。紙のアンケートを配布して回収するより手間がかからずに回答が得られたので、今後もさまざまなシーンで積極的に活用するつもりです。
リモートワークの実施で社員同士が対面する機会が減った時期には、これまで社内で行っていた朝礼・夕礼をLINE WORKSの無料通話で行う部署がありました。また、営業部門には、ビデオ通話機能で会議を行うグループも見られ、コロナ禍での業務遂行にも役立ちました。私たちのような建設業でも、情報共有のかたちが変わればテレワークを進められたり、出社しないといけない領域を減らせたりすることができるという点に気づかされました。
ジェネストリーム社の安否確認Botの運用も開始されたそうですね。
・気象庁の災害データをタイムリーに取得し、災害エリアにいる社員に自動で安否確認
・安否に関するコストが大きく削減したうえに、回答率も向上
大場さん :
課題のひとつであった安否確認については、LINE WORKS上で安否確認が手軽にできる、ジェネストリームの「安否確認Bot for LINE WORKS」を導入しました。このツールを使うと、安否確認 botがリアルタイムに地震や大雨などに関する気象庁発令の災害データを取得し、対象エリアにいる従業員に自動で安否確認の設問をLINE WORKSのトークで送信してくれます。管理者は、例えば震度いくつ以上の地震発生時に実行するかといった設定をするだけでよく、安否確認に要する手間と時間が大きく軽減されました。防災の日には272名の従業員に安否確認訓練を実施し、84%の回答を得ることができました。
岡山さん :
PCメールで送られた安否確認の通知は建設現場では閲覧できませんが、訓練ではスマホにトークで通知されたので即答することができました。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
大場さん :
LINE WORKSを情報の入口と出口にして各種システムとのAPI連携を進めていきたいと思っています。現在は、案件受注や検査依頼などの重要な業務情報を基幹システムから社員のメール宛に自動通知するようにしていますが、その内容を閲覧するにはPCから基幹システムにログインしなければなりません。外出先からアクセスするにはVPNに接続しなければならず、重要な情報が速やかに伝達されないため、それよりもスマホで基幹システムからのさまざまな通知をLINE WORKSで確認できるようになれば、より業務効率が改善されると確信しています。
お話を伺った方
大場 栄二さん
総務部 情報グループ長
宮本 隆さん
総務部 情報・品質環境グループ長
齋藤 元誉さん
建設現場の監督と営業を担当
岡山 夢月さん
監督として建設現場を管理
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年9月当時のものです。