自動車部品を生産する株式会社ニイテック。広島県内に本社と複数の生産拠点を持つ同社は、部門ごとにバラバラに利用していたコミュニケーションツールを一本化し、組織全体の情報連携を図る目的でLINE WORKSを導入しました。素早い意思疎通ができるようになった結果、生産設備の不具合に関する報告や改善提案活動などが活性化。業務に対する社員のモチベーションが高まるとともに、以前からの課題だったガバナンスの強化も実現しています。
本事例のポイント
-離れた製造拠点で働く社員どうしを結ぶ情報基盤を確立
-設備の不具合を共有し、他の社員の知見を広げ保全意識も向上
-改善提案などをしやすい環境整備で社員のモチベーションがアップ
御社の事業内容をご紹介ください。
松原さん :
1937年に創業の当社は自動車部品メーカーで、主力製品はヒンジシステム(蝶番)です。車体とドアをつなぐドアヒンジは国内で生産されるすべてのマツダ車に採用されています。一般プレス加工部品をはじめ、EV向けの電池パックブラケットや、窓の周囲の装飾部品であるウインドウトリム(サスモール)、アルミニウム材などの非鉄金属の加工を手掛け、近年では射出成形による樹脂部品を生産するなど事業拡大を続けています。
LINE WORKSを導入する以前はどんな課題がありましたか。
松原さん :
以前は広島県内に2カ所ある工場を、社長が頻繁に巡回していました。コロナ禍となってからは、製造状況を自身の目で確かめ、トップの意思を現場の社員に直接口頭で伝えることが難しくなりました。日報メールで現場の日々の様子は共有されていましたが、社長には経営者としてリアルタイムに現場の状況を把握したいという強い思いがありました。
また、社員間の主な連絡手段は電話とPCメールでしたが、製造現場では電話がなっても気づきにくく、工場には基本的にPCを携行しないのでメールもすぐに読むことができません。グループウェアやメッセンジャーアプリは部署ごとに異なるツールを導入していたため、組織横断的には機能しておらず、情報ガバナンスを効かせられていないことも大きな課題でした。
山﨑さん :
全社員に共通のコミュニケーションツールがないため、ちょっとした連絡にも電話をかけたりメールを送ったりしていました。直接連絡がつきにくい製造現場の担当者とは、上長を介してやり取りしなければならないことも不便でした。
製造現場ではコミュニケーションに関してどのような不都合を感じていましたか。
池田さん :
製造部には100名以上の社員がいますが、全体への連絡事項は各課の課長を通じて口頭での伝達や、社員食堂の貼り紙で告知していたため、スピーディに周知させられないうえに誰に情報が伝わったかも把握できませんでした。
工場の設備などに不具合が発生したときは本社に報告しますが、電話による口頭での説明では状況が伝わりにくく、メールはいつ読んでもらえるか分かりません。本社に素早く対応してもらうためにも、情報を迅速・確実に伝えられる手段が欲しいと思っていました。
若床さん :
私の所属するプレス課ではグループウェアのメール機能を使っていましたが、事務所にあるPCでしか使用できないのでタイムリーなコミュニケーションは図れません。そこで、プレス課の業務を管理する担当者どうしが個人LINEのグループをつくってやり取りしていたのですが、誰が既読になったか分からないなど、不便さは残ったままでした。
課題の解決に向けてLINE WORKSを選定した理由をお聞かせください。
松原さん :
社内には、多くの社員が使い慣れているLINEを業務に利用してはどうかという声もありましたが、会社は「集団」ではなく法人として存在する「組織」です。個人向けのツールではなく、組織向けに設計され、組織で管理ができるビジネスチャットを使うべきだと考えました。
山﨑さん :
そうした観点からツールをリサーチし、注目したのがLINE WORKSです。操作性がLINEに似て使いやすく、すぐに全社に定着することを期待できました。導入をほぼ決めたうえでトライアル*を行い、アカウントの発行や組織図に沿ったグループ作成などの準備を済ませ、正式導入とともに本格的な運用を始めることができました。
会社独自の運用ルールなどを設けていますか。
松原さん :
部署ごとでバラバラだったコミュニケーションツールの多くは利用を停止して、業務上の連絡は、原則としてLINE WORKSか電話で行ってもらうことにしました。LINE WORKSのグループは、ガバナンスを徹底させるために会社が用意した部署や役職単位の基本グループ以外の、プロジェクト単位などのグループ作成については社長の承認を必要とする申請制にしています。現在は外部のLINE WORKSやLINEと連携できる外部トーク連携は制限しており、社員のITリテラシーが向上したら段階的に解除していく方針です。
製造現場の社員には私有スマホによるBYODで利用してもらっていることから、毎月数千円のデータ通信料を支給。また、利用時間については就業規則に沿うようルールを定めました。
LINE WORKSの活用によって、製造現場の業務はどう改善されましたか。
・複数の関係者に一斉発信が可能になり連絡業務が省力化
・設備の不具合報告を全員で共有することで設備保全の意識が高まり発生減少に寄与
・SNSで投稿する素材が他部門から集まり運用の活性化に
池田さん :
伝達事項を製造部の全社員に一斉発信できるようになったおかげで、連絡業務が大幅に省力化しました。誰が既読になったかも分かり、未読のメンバーのみにリマインドできるので周知の徹底も図れるようになりました。
社員間の意思疎通も活発になり、最近は残業や休日出勤をした社員が、作業が終了したことを全体グループに報告する習慣が定着。写真を添付すれば製造部の全社員が進捗状況を共有できますし、上司が「お疲れさま」と労いのトークを送ることで社員のモチベーションが高まり、職場の雰囲気もよくなっています。
製造設備の不具合に関する情報も、電話やメールに替わってグループトークルームで共有されるようになりました。不具合発生時に現場から直ちにその内容を報告できるよう、テンプレート機能で「故障及び修理報告」を作成。不具合の状況を示す写真を添付して「生産見える化」「品質見える化」などの各グループに投稿することで、工場と本社の関係するメンバー全員や社長が問題を速やかに正確に把握することができます。不具合の原因が明確な場合は、担当者による対応が以前よりずっと早くなりました。
テンプレート機能で予め項目を作成しておくことで、設備に不具合が発生した際も直ちに必要な情報を入力し、グループトークルームに投稿できるように
松原さん :
製造業にとって、発生した不具合の内容を全社で共有することは非常に重要ですが、自分の責任と重く受け止める現場担当者が報告に抵抗を感じることもあります。そこで、不具合を報告した件数に応じて報奨金を支給する制度を設けたところ、小さな不具合もトークで共有されるようになりました。そうした取り組みが設備保全の意識強化につながったのか、しばらくすると不具合や故障の発生自体が激減しました。間接的にではありますが、これもLINE WORKSを導入した成果だと思っています。
若床さん :
テンプレート機能を使った「故障及び修理報告」によって、自分が関わっていない不具合についても把握できるようになりました。このことは、製造に携わる社員としての知見を広げるうえで役立っています。
山﨑さん :
上長を介さずに製造部門の社員とトークで直接やり取りできるようになり、私の連絡業務も以前のような手間がかからなくなりました。また、トークはメールと違ってフランクにやり取りできる雰囲気もあり、上長や異なる部門の社員とのコミュニケーションがしやすくなったことも感じます。
製造業には3Kのイメージがありますが、それを払拭するとともに、快適な環境を実現している当社の働きやすさを発信するため、私はインスタグラムを使った情報発信も担当しています。LINE WORKS導入後は製造部門の社員がインスタ向けの写真や動画をトークで送ってくれるようになり、他部門の協力が増えて広報活動の活性化にもつながっています。
社内の提案活動を活性化させるための手段としても、トークルームを有効に活用されているそうですね。
松原さん :
当社は業務効率化や品質向上などのためのアイデアを募るため、優れた提案をした社員に総額1千万円の報奨金を支給する「イノベーションキャンペーン」を実施しています。以前は実際に社内に設置した応募用の箱に提案書を投函してもらっていたのですが、LINE WORKS導入後はトークで「提案箱」という専用アカウントに送信してもらうことにしました。応募をしやすくなったことで、以前にも増して多くの提案が寄せられています。
掲示板やアンケートはどのように活用されていますか。
松原さん :
社長が発信する会社の方針や、会社から全社員に向けた通達・通知は各部門の上長を通じて口頭で伝えられることが多かったのですが、今は掲示板に掲載して周知の徹底を図っています。
山﨑さん :
社員からの意見収集は紙のアンケート用紙を社員食堂に置いて記入してもらっていましたが、LINE WORKSのアンケート機能を使うことで配付と回収に時間がかからなくなりました。回答率が高くなり、結果も自動集計されるので助かっています。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
山﨑さん:
製造設備の不具合といった緊急事態が発生した際は、センサーで検知し、Botで担当者に自動通知される仕組みが構築できれば、万一の際の対応がより万全になるのではないかと思います。
松原さん:
LINE WORKSの導入からまだ日が浅いので、社員のITリテラシーやセキュリティ意識を十分に底上げするよう努めたいです。
【お話を伺った方】
松原 裕一さん
銀行員を経て株式会社ニイテックの専務執行役員に就任。経営企画本部を管理する他、ガバナンスやコンプライアンス強化も担当。
山﨑 桃さん
総務経理部 総務課で主に採用と広報を担当。LINE WORKSの運用管理にも携わる。
池田 浩史さん
製造部 部長として、総勢100名以上の製造部門全体を統括する。
製造部 プレス課
若床 一哉さん
スタンピングプレス成形を行う部署で職長補佐を担当。
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※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年11月当時のものです。