次世代通信の整備やICTの活用など、Society5.0実現に向けた取り組みを推進している長崎県庁 企画部 デジタル戦略課では、外部関係者とのセキュアなコミュニケーションを目的としてLINE WORKSを導入。管理者機能の活用やルールの設定をしてセキュリティ面に配慮し、イベント当日のさまざまなやりとりを関係者全員で情報共有できるグループトークで行いイベント運営を無事に成功させました。導入ハードルの低さから、長崎県内全体のDX推進のきっかけとしての役割も期待されています。
本事例のポイント
- イベント当日の運営に関係する外部のメンバー全員との連絡手段に活用
- プロジェクトごとに適切な管理設定を行い、安全に情報共有
- 県庁内に限らず県全体の事業者のDX推進を後押しするツールとしての役割に期待
長崎県におけるデジタル化・DXの主な取り組みをご紹介ください。
井手さん:
長崎県 企画部 デジタル戦略課は、長崎県全体のデジタル化やDX推進を目的として2022年度に編成された組織です。官民問わず県庁内外の多様なデータを連携させることのできる『データ連携基盤』の構築や、ドローンをはじめとする次世代モビリティの社会実装などを目指してさまざまな取り組みを進めています。
また、総務部においては、長崎県全体にDXを浸透させるためにも庁内でのデジタル人材育成に力を入れています。Eラーニングなどを活用しながら、全庁でのDX推進の先頭に立てるような職員の育成を目指して人材育成方針を策定しました。
中尾さん:
長崎県では2021年度から2025年度まで「ながさきSociety5.0推進プラン」を実行しており、デジタル戦略課が担当組織としてSociety5.0の実現によって県民の生活を豊かで質の高いものにすることを目的に産業振興や地域活性化を目指しています。
現在、連携協定を締結してLINE WORKSを利用されていますが、御庁で導入を検討することになった背景を教えてください。
井手さん:
昨今、ほかの自治体同様に長崎県庁でも外部関係者と連携してプロジェクトやイベントを推進する機会が多くなりました。外部関係者との連絡手段は電話やメールが主でしたが、電話はお互いに行き違いが発生するなど折り返しが頻繁になり、タイムロスが生じることが少なくありませんでした。メールは「お世話になっております」「引き続きよろしくお願いいたします」などといった定型文が必要といった、お作法に縛られるなど文面作成に手間や時間がかかっていました。
庁内でのやりとりには既に他のビジネスチャットツールを利用していましたが、庁内に閉じたネットワークで使用するものであるため、外部関係者とよりスムーズにコミュニケーションを取るためのツールが別に必要だと考えていました。
中尾さん:
このような状況が続いていたころ、他課の職員からLINE WORKSについての情報提供がありました。LINE WORKSを利用すればチャット機能で庁外の関係者ともスピード感を持ってやりとりできることが分かり、さらにメンバー・組織の一括管理や利用履歴の確認といった管理・監視機能も備えていて安全に利用できると判断できたため、2022年5月、LINE WORKS社とデジタル戦略課が属する長崎県企画部とで連携協定を締結し、導入を決定しました。
LINE WORKS導入にあたり管理やルール設定はどのようにされていますか。
中尾さん:
職員はLINE WORKSをBYODで利用しているため、セキュリティ面には特に気を付けています。管理者機能やルールは、やりとりする情報の重要度やセキュリティレベルに応じてプロジェクトごとに設定しているのですが、例えば、外部のLINEユーザーとつながる場合は管理者の許可を得なければならないようにしています。こうすることで、プロジェクトに関係のないメンバーがLINE WORKSでのやりとりを目にするリスクを軽減できていると考えています。
イベント運営時のLINE WORKSの具体的な活用方法をお聞かせください。
井手さん:
2023年9月に開催された産業展示会「ながさきデジタルDEJI-MA産業メッセ2023」の運営にあたり、外部のイベント運営関係者との当日の連絡手段としてLINE WORKSを活用しました。
イベント当日は、職員を含む関係者全員が会場での来客者対応や設営、スタッフへの指示出しなどその場に応じた迅速な判断や対応が求められます。そのような状況では電話で頻繁に連絡を取り合うことは難しく、そのうえ電話だと1対1でしかやりとりができず情報共有に時間がかかってしまいます。さらに当日配布されるインカムの台数にも限りがあったため、関係者全員で迅速に情報連携することは困難だと考えました。
そこで電話やインカムの問題を解決するツールとして選んだ連絡手段が、LINE WORKSでした。
中尾さん:
イベント開催に向けてイベント運営会社のLINEとつながり、職員も含めた関係者だけのトークグループを作成しました。外部の方にイベントのためだけに新しくツールをインストールしていただく必要がなかったため、とてもスムーズにやりとりを開始できました。グループトークでは主に当日のイベント準備・運営に関するやりとりをしていたのですが、例えば準備中は「受付設営が完了しました」などといった準備の進捗や確認事項を多く連絡していました。
イベントが開催されてからは「お茶が足りないため至急用意をお願いします!」「ポスターは増刷した方が良いですか?」「ここに忘れ物がありました」といった、突発的に発生する確認事項などをグループで共有していました。
その場で撮影した写真をすぐに送信できるため、「今どこにいますか?」「パスはどこで回収しますか?」という質問に対してテキストと一緒に周囲の様子の写真を撮影して送信することで、スムーズかつ分かりやすくイベント運営を行うことができました。
井手さん:
LINE WORKSの活用により、イベント当日は関係者とスピーディで確実な情報共有ができました。例えば、忘れ物の持ち主を確認する作業1つとっても、LINE WORKSであれば一人ひとりに聞いて回らずとも、グループに忘れ物の写真を送信すれば即座に問題が解決します。
当初の予想通り、さまざまな持ち場にいる関係者全員が即座に情報を確認できる環境を整えられ、スムーズなイベント運営を実現できたと感じています。また、LINE WORKSは監視機能によってトークの内容をモニタリングできるため、県庁としても安心して利用できます。
イベント運営以外にも、県公式のコミュニティのプラットフォームや議会議員への連絡手段としてLINE WORKSを活用されているそうですね。
中尾さん:
長崎県公式の官民参加型のオンラインコミュニティ「長崎友輪家(ながさきゆーりんちー)」は、長崎県内外の関係人口の創出のための取り組みとして、長崎についての情報交換や交流会やイベントを通して長崎県の魅力を共有し合っています。LINE WORKSもコミュニケーションプラットフォームの一つとして活用しておりコミュニティを管理しながらセキュアに運営できています。
井手さん:
県議会議員と議会事務局職員との連絡手段としてLINE WORKSを活用しています。
LINE WORKS導入以前は職員が電話、メール、FAXにより議員に連絡をしていましたが、現在は議員全員と事務局を含めたグループトークを作成し、各種連絡や議会日程を共有するなど円滑な情報共有、迅速な情報伝達に努めています。
今後LINE WORKSの活用をどのように展開していきたいとお考えですか。
井手さん:
デジタル戦略課の役割の一つに県庁内外のDX推進がありますが、県内の事業者からは「DXに取り組みたいが、何から手を付けるべきか分からない」という声をよく耳にします。そのような事業者へ情報共有のスピード化もDXの一つであることを伝え、DXに取り組むきっかけ作りをしたいです。使いやすさと導入ハードルの低さが魅力のLINE WORKS であれば、DXへの取り組みの第一歩として事業者も導入に踏み出しやすいでしょう。
中尾さん:
長崎県ではDXイベントを過去2回開催しました。県民の皆さんからは「DXを考えるきっかけになった」という声をいただくなど大変好評だったので、引き続き、長崎県全体でのDX実現に向けて意識啓発にも努めたいと考えています。
【お話を伺った方】
企画部 デジタル戦略課
課長 井手 潤也さん
産官学連携で長崎県のDXを推進する役割を持つ企画部 デジタル戦略課を管理する。
企画部 デジタル戦略課
主任主事 中尾 ひかるさん
デジタル戦略課内の予算調整業務やLINE WORKSの管理・問い合わせ対応を担当する。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2024年1月当時のものです。