2019年11月に地上47階建ての渋谷スクランブルスクエアがオープンするのと同時に、渋谷に集う人どうしの領域横断的交流によって未来に向けた価値創造活動を促すSHIBUYA QWS(渋谷キューズ)の運営が開始されました。そのコミュニケーションツールとして導入されたLINE WORKSは、多様な考えを持つ会員様どうしのマッチングを行い、交流を促進するのに役立っています。その具体的な活用シーンと導入効果を、渋谷キューズの運営に携わる星川さん、小菅さん、杜多さん、また、渋谷キューズ会員の柿内さんにお話しいただきました。
本事例のポイント
- 会員組織の交流基盤をLINE WORKSで構築
- イベント開催や運営からのお知らせなど、情報発信ベースとして活用
- 話したくなったら即アクセス、肩書きや立場に捉われないフラットな交流を促進
渋谷キューズの特徴を教えて下さい。
星川さん :
渋谷キューズは、「渋谷から世界へ問いかける、可能性の交差点」をコンセプトに、多様な「問い」を持つ人々が交流して新たな社会価値を創出しようとする会員制組織で、「QWS」の名称は「Question with sensibility(問いの感性)」の頭文字を取っています。
現在、個人・法人を合わせ、多くの会員様がいらっしゃいます。多彩な会員どうしを交流・マッチングさせ、未知の価値を創出しようとするさまざまなプロジェクトを立ち上げています。
新しい社会的価値の創出を積極的に支援するため、施設内には交流をサポートするコミュニティマネージャーが常駐し、活動拠点となるプロジェクトスペースや対話・交流を行うサロンに加え、3Dプリンターなどを備えたFABルームも用意しています。
渋谷キューズがLINE WORKSの導入に至った経緯を教えてください。
星川さん :
QWSでは、会員どうしの交流を非常に大切にしています。「問い」を持った会員様どうしにスムーズな交流をしていただくには、そのためのコミュニケーションツールが必要です。多くの人が使い慣れているLINEも検討しましたが、運営側として、会員様をマッチングする都度、LINEアカウントをお相手に伝えてよいかどうかを確認しなければなりません。その業務負荷をなくしてスピーディなマッチングを行うこと、また、私ども運営事務局がトークのやり取りから会員様の考えや活動内容を詳しく把握することで、よりよいマッチングを行えるのではないかとの期待感から、LINE WORKSに注目しました。2019年11月の渋谷キューズのオープンと同時に導入し、入会されるすべての会員様にアカウントを配布しています。
運用に際しては独自のルールを定められていますか。
星川さん :
利用に関する制約は特に定めておらず、会員様のフルネームが記されたアドレス帳の閲覧も制限していません。会員様が別の会員様にアプローチしたり、トークルームをつくったりすることも自由ですが、個々の会員様の活動内容などを把握している運営サイドを介した方がスムーズなマッチングが行われるとの観点から、運営事務局を通じてリレーションを構築していただくことを推奨しています。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入成果をお聞かせください。
【API連携】ビーコンを活用して近くにいる会員情報を確認、トークを促しやすい環境を構築
【トーク】コロナ禍で対面交流ができなくなったQWS会員どうしの交流プラットフォーム
【ホーム】オンラインイベントや自己紹介などコンテンツ発信のベース
星川さん :
渋谷キューズではビーコンを使ったMyPlace for Coworking(以下、MyPlace)*を利用し、どの会員様が館内のどこにおられるかをほかの会員様が把握できるようにしています。さらにMyPlaceの上から、会員様のLINE WORKSのトーク画面に遷移するようMyPlaceとLINE WORKSをAPI連携でつなぎました。会員様どうしでも初対面の方に直接話しかけるのは心理的ハードルがあります。そのハードルを少しでも下げ、交流が発生しやすい環境を整えました。
LINE WORKSの運用が活性化したきっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう緊急事態宣言に伴い渋谷キューズが休館を余儀なくされたことです。リアルな場での交流が難しくなった会員様どうしのコミュニケーションツールとしてまさにLINE WORKSが有効だと考え、LINE WORKSがアクティブの状態になっていない会員様に再度招待メールをお送りするなどして利用を促進しました。
杜多さん :
渋谷キューズでは推進されているプロジェクトごとにトークルームを用意していますが、その進捗状況報告などが活発に行われるようになりました。プロジェクトに途中から参画される方は、トークルームの過去ログを閲覧することで、それまでの活動内容を把握することができます。LINE WORKSのアクティベート率が急速にアップした背景には、そうしたメリットを体感していただいたことがあると思います。
小菅さん :
休館になったのと時期を同じくして、ホーム(掲示板)のコンテンツを充実させました。LINE WORKSの操作マニュアルも盛り込んだ利用ガイドをアップしたほか、それまでホームページやフェイスブックで紹介していたイベント開催情報を掲載するスレッドも作成しています。また、会員様の自己紹介ページをつくったことも、利用活性化につながりました。
渋谷キューズや会員様、プロジェクトチームが主催する、ZOOMを利用したオンラインコミュニティイベントも頻繁に開催されるようになり、その告知もホームで行うようにしました。私ども運営事務局も積極的にイベントを閲覧して、そこから得た情報を会員様どうしのマッチングや、会員様とプロジェクトチームのマッチングに活用しています。LINE WORKSによる多様な交流が生まれており、オンライン空間でも人と人が有機的につながり合うことが可能なのだということを、改めて感じさせられました。
杜多さん :
LINE WORKSは、相手の肩書きなどとは関係なく、お互いフラットな立場で意思疎通できるのが魅力です。思いや気持ちを気軽に伝えられるスタンプが、コミュニケーションの敷居を低くしているということもあるようです。
QWS会員の立場として、LINE WORKSの活用はいかがですか。
・主催イベント後のコミュニケーションに活用
・交流したい人に即座にアクセスできるのがメリット
柿内さん :
LINE WORKSは渋谷キューズ全体のコミュニケーションポータルとして機能しています。私は主に、推進中のプロジェクトのPRや、自分が開催するオンラインイベントの告知をするためにホームを活用。直接面識がなくても多数の会員の方に閲覧いただけています。
イベント終了後に参加者や閲覧者の方とトークでやり取りすることもありますし、渋谷キューズで知り合った会員の方とコミュニケーションを取りたいときに、アドレス帳で検索して連絡することもあります。渋谷キューズには多種多彩な人がかかわっており、自分が交流したいと感じた人に即座にアクセスできるのがLINE WORKSのメリットです。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
星川さん :
イベントの日程をカレンダーとリンクさせて欲しいという声が会員様から寄せられているので、できるだけ早くそのニーズにお応えするつもりです。FABルームの設備の利用予約についても、カレンダーの共有設備予約機能で手軽にできるようにしたいです。
LINE WORKSで展開されるオンライン空間は、渋谷キューズにとって現実世界のミラーワールドとして機能しています。リアルなオフラインのコミュニティとオンラインコミュニティのいずれもが重要なコミュニケーションの場となっていますので、引き続きLINE WORKSの活用レベルを高めながら、会員様どうしの領域を横断した交流をしっかりサポートしていきたいと考えています。
お話を伺った方々
星川 和也さん
営業一部(渋谷キューズDiv.) チーフとして、渋谷スクランブルスクエアを共同開発したJR東日本から出向し、渋谷キューズの運営、コミュニティーマネジメントに従事。
小菅 奈穂子さん
渋谷キューズ コミュニティマネージャー。渋谷キューズの運営パートナーである株式会社ロフトワークに在籍し、コミュティマネージャーとして会員様のサポートやスタッフのマネジメントなどを担当。
杜多 美咲さん
渋谷キューズのコミュニティマネージャー。小菅さんと同じくロフトワークに在籍し、コミュニティマネージャーとして会員様のサポートや渋谷キューズが展開するプログラムの運営などを担当。
柿内 奈緒美さん
渋谷キューズ会員(KAMADO編集長)
現代アート、伝統文化の価値を次代へつなぐための、ウェブマガジンを基盤とするプラットフォームKAMADOを運営。渋谷キューズが主催する「未知の価値に挑戦するプロジェクト QWSチャレンジ」に採択され、2019年11月から活動している。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年6月当時のものです。
* MyPlace for Coworking …位置情報の取得を利用し、共有スペースに居るメンバーの位置や興味関心を共有することで、コミュニケーションの活性化や円滑化をサポートするサービス。
https://mycity.co.jp/