北海道札幌市を本部におき、2002年に設立された株式会社日本商工振興会 守成クラブ。会員どうしの商売繁盛を目的に、月に一度、各会場でビジネスマッチングの会を開催しています。栃木県の宇都宮中央会場ではより迅速な報連相や円滑な商談を求めて、LINE WORKSを導入。トーク内での速やかなデータ共有により、印刷費・通信費の削減を実現。名刺にいれたQRコードで、商談相手とつながり、非接触型の営業ツールとしても活発に利用しています。
本事例のポイント
- 企業情報をLINE WORKS上で公開し、会社案内代わりに活用
- LINE WORKS IDのQRコードを活用し、非接触型の名刺交換を実施
- 事務の負担だけでなく、印刷費や通信費も約7割削減
団体の活動内容をご紹介ください。
鈴木さん :
当会は中小弱企業経営者によるビジネスマッチングを主とする団体です。不況が長期化する中で「自社の経営を維持していくにはどうしたらよいか」という創設者の考えのもと、会員どうしが力を合わせ、お互いのマーケットの拡大と商売繁盛を目指した商談交流の場として立ち上げられました。全国186会場、17,558社が参加し、各会場で開催される例会(ビジネスマッチングの会合)に行き来し、お互いの自社製品をどんどん売り込んでいくというビジネスマッチングに特化した団体です。
これまでどんな業務上の課題を抱えておられましたか。
鈴木さん :
これまでの宇都宮中央会場では各会員とLINEどうしでつながり、情報発信していました。しかしながらLINEはプライベートで利用している方が多いせいか、ニックネームで登録されている方も少なくありませんでした。せっかく例会で名刺をいただいても、LINEの中ではお顔と本名が一致せず、お互いがどのような事業を営んでいるかもわかりにくく、商談が進むイメージがなかなか持てませんでした。また、例会では多いときには30分の間に100名前後の経営者と名刺交換することがあります。お互いが経営者で時間が惜しいこともあり、情報整理が追い切れず、本来持続するはずの商談を後回しにしてしまうことも多々ありました。例会で得たたくさんの貴重な出会いを活かすために、情報整理を効率的に補助してくれるツールが必要だと感じていました。
寺島さん :
ビジネスを育んでいく関係において、プライベートのLINEを教えることには抵抗感がありました。事務局からの例会の事務連絡や自社イベントなどのPRを会員の皆さんへLINEで送信してもリアクションが薄く、興味をもっていただいている手ごたえがありませんでした。メールも使っていましたが、相手からのメールが迷惑メールに振り分けられ、気づくのが遅くなってしまったり、メールアドレスの打ち間違いが不安で慎重に入力しなければならなかったりと、手間がかかっていましたね。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選択した理由をお聞かせください。
鈴木さん :
オフィシャルな関係を前提にスタートできるLINE WORKSなら、プライベートで利用しているLINEとシステムが異なるので加入したメンバーが本名や自社情報を入力しやすいと思いました。LINE WORKSはセキュリティ面も担保されているので、企業どうしの商談を進める際の安心感もあります。また守成クラブの会員は全員が経営者であり、お互いに忙しい立場なので、新しいツールを導入する際に全員がすぐに使いこなせるかという不安がありました。LINE WORKSならLINEとほとんど同じ使用感なので導入に時間をかけずに済むだろうという期待感がありました。
宇都宮中央会場を運営している事務局でのLINE WORKSの活用シーンと導入効果をお聞かせください。
・【フォルダ】データが埋もれることがなくなり、探す手間がなくなった
・【ノート】議事録のテンプレートを活用し、リアルタイムで情報共有
・【トーク】データ共有により印刷費、通信費が約7割コストカット
・【アンケート】アンケートでスムーズな集計を実現
寺島さん :
事務局では例会の名簿や式の進行台本などの資料を、「世話人」と呼ばれる運営メンバーと共有しています。LINEやメールを利用しているときは過去のスレッドまで遡る手間もあり、「もう1回送って」と頼まれることがよくありました。
LINE WORKSのグループトークに付随するフォルダ機能を使えば、資料を管理する事務局としてはデータの再送信を避けられる、流れてしまったチャットを遡って資料を探すという無駄な時間や手間を省くことができる素晴らしい機能だと感動しました。ExcelなどのOfficeデータやIllustratorなどのAdobeデータなど、さまざまなファイル形式に対応している点も大きな魅力です。
寺島さん :
LINE WORKSは、いまや我々には欠かせないものですね。ノート機能に備わっているテンプレートに沿って入力するだけで簡単に議事録を作成できます。毎回、会議が終わったタイミングで議事録を送信しているので、リアルタイムで共有と振り返りができるようになりました。また、会議に参加できなかった運営メンバーにもグループ内で共有できるので、連絡漏れもなくなりました。
テンプレートを活用し、議事録を即時に共有
鈴木さん :
事務局からの会議資料や企画書のデータなどはトークで送信し、すぐに討論することができるので、印刷して運営メンバーに渡すということがなくなりました。承認までのペースも速くなり、電話やメールのやりとりは必然的になくなりましたね。ペーパーレスと時間短縮が実現し、印刷費や通話にかかっていた通信費は一人あたり6~7割ほど削減できました。
寺島さん :
他会場との交流会や会員拡大のために開催するイベントなどは、事務局が人数を把握し会場を手配しなければなりません。出欠や出展募集などは、LINE WORKSのアンケート機能を活用して集計しています。複雑な受付手続きはないので集計作業の負担が軽くなりました。
イベントの出欠状況をアンケートで確認
宇都宮中央会場の会員どうしのビジネスマッチング・商談の場を効率化するためにLINE WORKSはどのように活用されていますか。
・アカウント作成時の姓名欄に本名と企業名を入力し、お互いの所属を明確に
・【ホーム】企業プロフィールを投稿し、会社案内代わりに活用
鈴木さん :
宇都宮中央会場の会員がLINE WORKSへ加入する際には、管理者が新たに加入する会員のアカウントを先に作成し付与しています。その際に姓名欄にはその会員の本名と一緒に企業名を入力し、ユーザーアイコンに顔写真を設定しています。そうすれば、加入後はトークルームなどで常に表示されるので、誰がどの企業に所属しているのか一目瞭然です。アドレス帳の一覧でも確認することができるので、現在どんなメンバーがLINE WORKSに参加しているのかがわかりやすくなりました。
鈴木さん :
さらに、相手の企業名や役職、部署、事業内容などの詳細をお互いがいつでも確認できるように、「企業プロフィール」と題して、各々にLINE WORKSのホーム(掲示板)に投稿してもらっています。投稿者の氏名と顔写真も表示されるので、人と企業が一致しやすくなり、誰とどのような商談が生まれるかよりイメージしやすくなりました。
LINE WORKSが名刺や会社案内の代わりとなり、個々のメールの登録や、SNSのチャットのやりとりを振り返ることにかけていた時間がかなり短縮されました。商談開始までの工程が8割完了している状態からスタートできる感覚ですね。経営者が集まりお互いが忙しい立場である中、スピーディに商談をはじめることができる点にはとても感動しました。
外部の方とのビジネスマッチング・商談でもLINE WORKSを活用されているそうですね。
・QRコードを名刺とマスクに印刷し、非接触型の交流を実施
寺島さん :
ビジネスマッチングが開催される月に一度の例会では、会員どうしの大名刺交換会という時間を設けています。例会は全国の会場で日程を分けて開催されており、他会場で開催されている例会へも参加することができます。宇都宮中央会場の会員は自分のLINE WORKSのIDをQRコード化し、「名刺」と「マスク」に印刷しています。このQRコードを相手に読み込んでもらえば、相手のLINEやLINE WORKSにすぐに友だち登録してもらえます。他会場の会員とも簡単に友だち登録ができることはとても便利ですね。予めLINE WORKSで設定していた顔写真と本名・企業名が相手に表示されるので、会わなくても顔と名前と所属が一致したまま、すぐにやり取りが始められます。新型コロナウイルスの影響でなかなか対面営業できないこの時期において、一度つながってしまえば、予めLINE WORKSで設定していた顔写真と本名・企業名が相手に表示されるので、その後の交渉もスムーズに運べることは大変ありがたいことです。
この手法は非接触型営業ツールとして他会場から関心を集めています。当会場を発信源に、関東甲信越にある複数の会場にてLINE WORKSの導入が広がりはじめました。
鈴木さん :
私は代表としていろいろな会場に出向きますが、最近はお相手からQRコード入りの名刺やマスクが欲しいという相談を受けることが増えてきました。今はLINE WORKSのQRコード自体が相手と深くつながる足がかりに、そして商談の武器になっています。
LINE WORKSでつながることができれば、すぐにそこが商談の場となります。LINE WORKSはビジネスマッチングを主とする我々の会にとって、営業ツールとして最適でした。守成クラブは経営者のための経営者による組織なので、どのように皆で仕事を広げていくか、というツールとして大きな役割を果たしています。
新しいビジネスマッチングツールとして普及
ご自身の会社でもLINE WORKSの利用をはじめたそうですね。
寺島さん :
守成クラブの事務局での活用をきっかけに、私は自社にもLINE WORKSを導入し、従業員とも活用しはじめました。クライアント様から「こういう商品を製作してほしい」とご依頼をいただいたときは、私と従業員とクライアント様の3人のトークグループを作り、見積りやデザインなどの資料の確認をその中で進めています。各々の商談ごとにトークグループが生成できるので、迅速なコミュニケーションや、資料の管理がしやすくなりました。守成クラブ用、自社用と2つのLINE WORKSアカウントがありますが、いちいち片方のアカウントからログアウトせずにタップするだけで切り替えられるのは本当にありがたいです(マルチログイン*)。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
鈴木さん :
宇都宮中央会場で運用してみて、LINE WORKSはペーパーレス化と事業の効率化、迅速なお客様対応など、さまざまなことに大きな期待が持てることがわかりました。新型コロナウイルスが拡大するこの状況下で、直接に会えない中でお客様と近しい関係を保つということは非常に難しいことです。今後は自社にも導入し、メールやFAXでやりとりしているお客様たちを少しずつLINE WORKSに切り替えさせてもらい、より深く強固な信頼関係を構築していきたいと思います。やはりLINE WORKSの良いところは形式にとらわれず、トークでお互いの素直な言葉をやりとりできるところですから。
寺島さん :
私は「earth協同組合」という事業協同組合の理事も務めています。当組合は、組合員の自主的な経済活動の促進を目的としており、外国⼈技能実習⽣制度を利⽤して実習⽣と受⼊企業のサポートをしております。LINE WORKSには翻訳機能があるので、実習生との意思疎通や円滑なコミュニケーションにも役立てていきたいです。
【お話を伺った方】
守成クラブ 宇都宮中央会場 代表世話人
ヴェルセンス株式会社 取締役
鈴木秀明さん
守成クラブ宇都宮中央会場の代表世話人として、会員の意見のとりまとめや他会場との打ち合わせを担当。取締役を務めるヴェルセンス株式会社は建設業、小売業を経営。代理店販売・人材・商材探しなどの仲介ビジネスも運営している。
守成クラブ 宇都宮中央会場 事務局
株式会社JSSホールディングス 代表取締役
earth協同組合 理事
寺島立博さん
守成クラブ宇都宮中央会場の事務局担当。代表取締役を務める株式会社JSSホールディングスは、商品の企画、開発、輸出業を経営。衛生用品をメインに取り扱い、環境にやさしい除菌・洗浄水の製造販売を展開している。
*マルチログイン…モバイル版アプリでは、最大5つの異なるアカウントで同時にログインすることができ、ログアウトせずにアカウントを切り替えて利用できる
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年12月当時のものです。