「四川飯店」をはじめとする複数の中国料理店を国内外に展開する民権企業株式会社は、全社員にLINE WORKSのアカウントを発行することで、社内のコミュニケーション基盤を強化。社員どうしの関係が密になって職場の雰囲気も向上しました。新型コロナウイルスによる営業自粛期間中も本部から的確な情報発信が行われ、社員の不安の軽減を図りました。代表取締役社長の陳さんと、マーケティング部副部長の小谷さんにお話しいただきました。
本事例のポイント
- 本部からの連絡や通達が全国の全社員へ瞬時に届く環境を整備
- 新型コロナウイルスによる営業自粛期間中の社員の不安を緩和
- 会えない状況下でも各店舗スタッフの結束が強化
LINE WORKS以前はどのような課題を抱えておられましたか。
陳さん:
これまで本部と各店舗間の連絡は電話を主体に行われており、各店舗の毎日の売上データも本部にFAXで送信されていました。本部が発信する情報は責任者を通じて各店舗の社員に伝えられますが、近年は世代間のコミュニケーションギャップが生じ、上司と部下、先輩と後輩の意思疎通があまりスムーズではなかったように感じられました。重要な情報の未伝達はお客様へのサービスの質の低下を招く恐れがありますし、社内のコミュニケーション不足は離職者が増加する遠因ともなりかねません。業務連絡をスムーズにし、社内のコミュニケーション環境改善の必要性を切実に感じるようになりました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選択した理由をお聞かせください。
陳さん:
自発的にLINEグループをつくってコミュニケーションを取る社員や店舗もありましたが、一部の人は利用していなかったり、個人LINEによるやり取りは会社が関与することができません。2016年、LINEに操作性が似たLINE WORKSの存在を知り、まずは管理職約50名での運用を開始。経営上の情報や、各店舗の売上データを流通・管理していましたが、最近になって、重要な情報が迅速に現場の社員にも伝わるようにしなければ意味がないと思うようになりました。そこで2019年末に全社員にアカウントを付与し、全社での本格的な運用を開始しました。
LINE WORKSの活用促進に向け、どのような取り組みをされましたか。
陳さん:
全社で効果的にLINE WORKSを活用するため、小谷が運用を担当しました。まずは各店舗のグループ、支配人や料理長のグループというように、社員が状況に応じて連絡や情報共有をしやすいよう、組織構成と照らしてトークグループをつくりました。その結果、本部と店舗、店舗内、店舗間の情報伝達とレスポンスが飛躍的に速まり、社内のコミュニケーション基盤を固めることができました。
LINE WORKSの導入成果をお聞かせください。
・一方通行の電話・FAXと比べて飛躍的に伝達と拡散スピードが早くなった
・顔を合わせなくてもワンチームという親近感を醸成された
陳さん:
店舗や部門、職制以外、各種プロジェクトチームなど、現在20以上のトークグループがつくられて日々の業務連絡や担当者どうしの意思疎通が行われています。テキストを打って送信ボタンを押すだけでみんなに伝わるトークが、一方通行の電話やFAXと比べていかに業務効率を高めてくれるかを大半の社員が実感しています。
小谷さん:
本部から全社員向けの情報を発信すると即座に多数の既読がつき、伝達事項がしっかり届いていることを目で確認することができます。電話やメールよりも迅速かつ確実に情報を伝えられ、なおかつ発信した情報はログとして残るので、「言った、言わない」といったトラブルの発生も未然に防げるようになりました。
また、ある店舗がトークグループに独自のアイコンをつけたところ、別の店舗もアイコンをつけるようになりました。アイコンをつけるといったお互いのアクションが見えることが会話を生み、LINE WORKSの積極的な活用を刺激し、各店舗のチームワーク醸成に役立ちました。その後、全社員に自分の顔写真をアイコンにしてもらいました。顔の吹きだしにメッセージが表示されるので、実際には顔を合わせたことのない社員どうしにも親近感が生まれ、会社全体がワンチームという雰囲気が高まりました。
上下関係が厳しいといわれる飲食業界ですが、社員どうしでの活用状況はいかがでしょうか。
・上下関係なく意見を伝え合える環境ができた
陳さん:
業務連絡が迅速化した以上に、組織にとって大きな成果と感じるのは、社員が自ら積極的にコミュニケーションを取り合うようになったことです。同じ料理長でも、年配の人もいれば比較的若い人もいます。これまでは年齢の離れた料理長どうしに交流があまりないケースもありましたが、料理長のトークグループに私が何か発言すると、それを巡って全国の料理長たちの間で活発な意見が交換されています。
小谷さん:
普段であれば、上司や先輩に面と向かって自分の考えを述べることを躊躇する若手社員もいますが、トークならそうした抵抗感を覚えることなく発言できるようです。年齢や立場の違いを気にせずに伝えたいことを伝えられるのは、カジュアルな雰囲気を持ちながらもオフィシャルなツールとして使えるLINE WORKSだからということもあると思います。
社員が自発的なコミュニケーションを取るようになったことが最大の成果
トーク以外に利用されている機能はありますか。
【ホーム】社内新聞の掲示で社員どうしのコミュニケーションが発生
小谷さん:
会社が発信する重要な情報はホーム(掲示板)にアップして全社員に周知するようにしています。情報の重要度や見やすさに配慮して、スレッドは頻繁に更新したりつくり変えたりしています。多くの社員の関心事である「新型コロナ関連」のスレッドも立てました。
陳さん:
営業自粛をきっかけに、各店舗に掲出していた月刊の社内新聞をホームにPDFで掲載することにしました。その月に誕生日を迎える社員を新聞で紹介してみると、多くの社員がLINE WORKSのアドレス帳から誕生月の社員を検索して「おめでとう」のトークを送るようになりました。そのことが とても嬉しかったという声が私の耳に届くほどです。今後もこうしたコミュニケーションが、自然に起きることが当たり前になることを願って、私も誕生月の全社員に祝福トークを送っています。
新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう店舗の営業自粛期間中に、LINE WORKSをどのように活用されましたか。
【ホーム】会社からの迅速な通達が安心感を付与
陳さん:
都道府県をまたいでの移動が困難になってからは、地方の店舗の社員との会議や打ち合わせをビデオ通話で行うようになりました。画面越しの会話に何ら不自由なところはなく、これこそが“コロナ以後”の新しいコミュニケーションのあり方だと感じました。
国による緊急事態宣言が出されている間は本部に数名の役員が出社するだけで、他の社員は在宅ワークや待機をしていました。その期間中、本部が講じるコロナ対策の内容などはトークで各社員に伝えられたので、非常事態下でも会社とつながっているという安心感を与えることができたと思います。
小谷さん:
コロナの影響で、2020年度の新入社員17名の入社が5月半ばまで延期されました。入社前の自宅待機中は、本部の担当者が定期的に一人ひとりに電話をかけてフォローするとともに、新入社員どうしがコミュニケーションを図るためのトークグループも用意しました。新入社員の不安をやわらげるのに効果的だったと思います。
LINE WORKSは、飲食業界においても非常に活用範囲が広いようですね。
陳さん:
特に多店舗展開をしている飲食店にとっては、離れた場所にいる社員どうしを結びつけるために有用なツールだと思います。この業界で何よりも大切なのはお客様に満足していただくことですが、それを実現するのは個々の社員のモチベーションです。直接顔を合わせなくても、トークやビデオ通話によって心を通い合わせられる環境が整えば、社員の働く環境は心地よいものとなり、おのずとモチベーションも高まるでしょう。コロナ問題の発生以後はソーシャル・ディスタンシングを保つ必要に迫られていますが、LINE WORKSを使えば、そうした状況下でも社員間の心理的な距離を縮めることが可能です。
小谷さん:
これまでデジタルツールとあまり縁のなかった調理担当者も、LINE WORKSを使ってその便利さを体感しました。LINEのUIを踏襲した誰にでも使いやすいLINE WORKSは、ITがあまり得意ではない人が多い飲食業界におけるコミュニケーション手段としても最適だと思います。
お話を伺った方々
陳 建太郎さん
1958年に「四川飯店」を創業された陳建民の孫であり、三代目の経営者。
現在は、国内で四川料理専門の「四川飯店」6店舗、洋食スタイルを採り入れた中国料理の「スーツァンレストラン陳」3店舗、当社の看板料理である麻婆豆腐の専門店で、父で現・会長の陳建一がつくった「陳建一の麻婆豆腐店」4店舗の計13店舗を展開。2014年にはフランチャイズの姉妹店として、シンガポールに「四川飯店 by CHEN KENTARO」も出店している。
小谷 彩水さん
マーケティング部副部長として2020年3月に入社。
本部業務改革に向けた各種プロジェクトに携わり、LINE WORKSの運用・管理を担当。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年6月当時のものです。