西日本鉄道(西鉄)が運営する福岡市の複合商業施設ソラリアプラザは、運営室と約120の店舗のスムーズな連絡を図るため、全てのテナントの店長を対象にLINE WORKSを導入しました。これにより、電話やメール、対面での連絡がトークに置き換わり、迅速なコミュニケーションが可能になりました。従来は時間を費やしていた台風や大雪による営業時間の変更などの連絡が、瞬時に共有されるようになり、施設運営業務の効率化を実現しています。
本事例のポイント
- 複合商業施設内の連絡ツールとして出店している全テナントに導入
- 電話、メール、対面の連絡をトークに置き換え意思疎通の速度がアップ
- いつでも連絡がとれる環境はテナントで働くスタッフの安心感に直結
ソラリアプラザの概要をご紹介ください。
小林さん :
西鉄が運営するソラリアプラザは西鉄福岡(天神)駅に直結した複合商業施設で、ファッション、雑貨、レストラン、映画館、スポーツジムなど約120のテナントが入っています。西鉄福岡(天神)駅周辺の再開発事業「天神ソラリア計画」の一環として1989年に誕生し、2024年に開業35周年を迎えます。
向江さん :
2015年に「九州ナンバーワンのファッションビル」を目指して大規模な改装を行い、館内の回遊性を高めるとともに警固公園に面した南側の外壁をガラス張りにリニューアルしました。人気のファッションブランドが充実していることから、女性の来館者が多いのが特徴です。
小林さん :
周辺の商業施設のほとんどは、平日10時から20時半頃まで営業しています。ソラリアプラザも以前は同様でしたが、2021年度に平日の営業時間を11時から20時に短縮する試みを行ったところ、集客や売り上げにほとんど影響を与えないことが分かりました。営業時間が1時間短縮するだけで従業員は早番や遅番のシフトを組む必要がなく、働き方改革や人手不足への対応ができるようになるということで多くのテナントから支持された結果、2022年度から正式にこの営業時間を採用するようになりました。この取り組みはテナントのニーズを反映しているとして、一般社団法人日本ショッピングセンター協会から表彰されています。
以前はどのような業務課題がありましたか。
小林さん :
ソラリアプラザ運営室では、施設管理に関する情報をテナントに伝えるために、従来は紙文書の配付や電話、メールを使用していました。しかし、迅速な情報共有が難しく、テナントが質問や確認事項があっても、電話やメール、あるいは運営室まで来ていただいて対面でしかコミュニケーションを取ることができませんでした。
通常営業では問題ありませんが、近年は異常気象や感染症の流行など、当日の営業時間に影響するような情報をテナントに伝える必要が増えています。例えば、豪雨時に運営室が閉館時間を繰り上げたり休館したりする場合、各テナントに電話で伝えるには非常に時間がかかります。また、メールで一斉送信してもすべてのテナントに読まれたかどうかまでは分かりません。このような課題に対応するため、私どもの前任者がビジネスチャットの導入を検討することになりました。
課題解決の手段としてなぜLINE WORKSを選ばれたのですか。
小林さん :
いくつかのビジネスチャットツールを比較した結果、多くの人が日常的に使っているLINEと操作性が共通するLINE WORKSなら、どのテナントにもスムーズに導入してもらえ、私たち運営室側も使いやすいことが選定の決め手になりました。
向江さん :
運営室とテナントの連絡用として約120のテナントの店長にLINE WORKSのユーザーアカウントを配布しました。緊急時の営業時間変更などの連絡が確実に伝わるよう、基本的には店長のスマホにBYODでLINE WORKSアプリをインストールしていただいています。
LINE WORKSの活用シーンと導入成果をお聞かせください。
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●臨時休館の緊急連絡から定例会の通達まで運営室から全テナントに素早く確実に周知
●テナントから運営室への問い合わせが従来より簡便に
●テナントスタッフの不安も払拭でき、安心して働ける施設に
小林さん :
運営室では、ソラリアプラザの運営管理にあたる全13名のスタッフ全員がテナントとのやり取りを把握できるようにしています。必要に応じてテナントと個別に連絡を取り合うことはもちろんですが、運営室からの通達は全テナントが参加しているグループに一斉送信しています。店長どうしがミーティングを行う店長会もフロア単位で開催されることから、全テナントのグループのほかにフロアごとのグループも設けてコミュニケーションをとっています。
運営室から全体への情報発信は、消防署による消防点検などの日程や前日のリマインドなど施設設備に関することが主な内容です。これらの情報は従来どおり紙の文書でも配付されますが、LINE WORKSでも同じ通知を発信することで、情報共有がより徹底されます。
一方で、店長会の開催案内などの定期的なお知らせに関する紙文書は廃止され、LINE WORKSを使って発信するようになりました。このような通知は定型的なので、メッセージの作成から通知まで数分しかかかりません。以前は紙文書をプリントして全テナントに配付する必要があったので、LINE WORKSによる連絡業務の時間短縮効果は絶大です。
テナントからの問い合わせも、電話やメール、運営室への訪問からほとんどがトークに置き換わりました。例えば、店長が前日の売上状況を知りたい場合、休暇中にどこからでも手軽にLINE WORKSを使って問い合わせることができます。また、フロア全体における売上の前年比などもトークを通じて行われるため、誤報や電話での聞き間違いのリスクがなくなりました。
ユーザー名はテナント名にすることで確実なコミュニケーションができる。
テナントとの連絡の多くがLINE WORKSに置き換えられ、スピーディかつ緻密なやりとりが実現
緊急時の連絡もスムーズにできるようになりましたか。
向江さん :
台風などの緊急時に、運営室が臨時休館や営業時間短縮を決定する際、以前はその通知を店長の携帯メールに送っていました。運営室側の担当者は出社して会社のPCから送る必要があり、未返信のテナントがあると1件ずつ店長の携帯電話宛に確認していました。しかし今ではLINE WORKSを使うことで運営室側の担当者が自宅にいても、スマホから簡単に一斉送信できます。さらに、既読が分かるので、未読テナントの店長にだけ別途連絡でき、効率的な対応が可能です。
私は2022年に着任して以来、自然災害の影響で4回ほど臨時休館や営業時間短縮の連絡をLINE WORKSで行いました。天候が悪化した場合に緊急連絡が必要となることを事前に伝えるようになってから、ほとんどのテナントが送信後すぐにメッセージを読んでくれ、大切な情報を確実に伝える手段としてLINE WORKSの導入効果を実感しました。メールよりも早く情報が伝わるようになったことで、テナント側の安全確保にも寄与しています。
あるとき、運営室のスタッフが全員退勤したあとに、テナントから「売上金を銀行ATMに入れようとしたが、カードのエラーで入金ができない」とトークで報告がありました。私は既に帰宅していましたが、そのメッセージに気づき、翌日以降の対応で問題ないことを伝えました。LINE WORKSがなければ、このような状況に即応するのは難しく、テナント側に不安な思いをさせることになったはずです。運営室といつでもつながり安心して働ける施設として、LINE WORKSは大変役立っています。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させていきたいですか。
向江さん :
カレンダーに消防設備の点検日や店長会などの日程を登録して、全テナントと共有できるようにしたいと思っています。LINE WORKSのカレンダーには設備予約機能があるので、テナントが使える共有の会議室の予約管理に使うことも検討したいです。
小林さん :
館内の迷子情報の共有や、運営室が把握した防犯に関する情報周知に活用するなど、LINE WORKSを有効活用する余地はまだまだあると考えています。
【お話を伺った方】
小林 誠さん
ソラリアプラザの運用管理や集客に向けた販促イベントの企画などに携わる。
向江 亮祐さん
ソラリアプラザの設備管理や防災管理業務などを担当する。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年9月当時のものです。