全国の百貨店や駅ビルに惣菜店を出店する株式会社まつおかは、ほとんどの店舗がテナントであるため自前のネットワーク回線が引けず、また電話とFAX、メールといった複数の連絡手段はあるものの、本社と店舗間の円滑な連絡が難しいことが以前からの課題でした。店長に貸与している携帯電話をスマホに切り替えると同時にLINE WORKSを導入。本社からの連絡がスムーズになっただけではなく、参考にしたい他店舗の総菜の美しい盛り付けやPOPの効果的な掲示方法を、写真を通じて瞬時に全店長宛に共有するなど、多店舗における販売促進にも役立っています。
本事例のポイント
- 電話、FAX 、メールなど分散していた連絡手段をLINE WORKSに集約
- 情報共有基盤が整い、本社と全国の店舗の情報連携が強化
- メールのセキュリティ機能でウイルスへの感染リスクが低減
- 優れた売り場写真を他拠点にも共有、VMDの統一に活用
御社の事業内容をご紹介ください。
平田さん :
温かいお惣菜の提供によって「働くお母さんの代わりをしたい」という志で創業された当社は、1987年に名古屋三越栄店に「まつおか」1号店を出店しました。現在は「お惣菜のまつおか」、「天ぷら惣菜 てんとてん」、「M’s Kitchen by matsuoka」、「スパイス惣菜 take CURRY」の4ブランドを有し、全国各地の百貨店や駅ビルなどに63店舗を展開。店舗以外には「お惣菜のまつおか公式オンラインショップ」も運営しています。
LINE WORKSを導入するまで、どのような課題を抱えていましたか。
平田さん :
多くの店が百貨店や駅ビルにテナントとして入っている関係上、自前のネットワーク回線を構築できないという制約があり、従来は電話とFAXが本社と店舗間の主な連絡手段でした。メールやオンプレミス型のグループウェアも導入していましたが、防火壁に囲まれた百貨店の厨房施設では電波環境が悪く、連絡事項の確認のためには厨房の外に出てからPCを立ち上げる必要がありました。多忙な店舗運営を行っている店長たちはメッセージを頻繁にチェックすることは難しく、本社と店舗間のコミュニケーションがスムーズに行えないことが大きな課題でした。
加藤さん :
各店舗が本社に提出する日報や各種申請書類の処理については、まずFAXを送信してから原本を郵送するという習慣が定着していました。しかし、業務の効率化を追求する上で、これらの書類をデータ化し、瞬時に共有できる仕組みも必要だと考えていました。
鈴木さん :
販売促進部門では各店舗の店長と頻繁に連絡を取り合いますが、その手段として電話、FAX、メール、SMSといった複数の方法が存在しており、それぞれの状況に応じて使い分ける必要がありました。しかし、どの連絡手段を使うべきかを都度考えるのは手間がかかるだけではなく、情報も分散しやすい状況でした。こうした点もあり、一元化されたコミュニケーションツールの導入を強く望んでいました。
数あるツールの中から、なぜLINE WORKSを選定されたのですか。
平田さん :
店長に貸与していた携帯電話をスマホに交換することになり、そのタイミングで連絡ツールもより使いやすくすることを決めました。既存のグループウェアのクラウド版へのアップグレードや、別のグループウェアへのリプレース、ビジネスチャットツールの導入などを検討する過程で知ったのがLINE WORKSです。トークのほかにも情報共有をスムーズにするさまざまな機能が搭載されており、連絡手段を一元化するには最適だと感じました。店長の年齢層は幅広く、中にはITツールが苦手な人もいますが、UIがLINEと共通するLINE WORKSなら、すぐに使いこなせるようになることも期待されました。
さらに、LINE WORKSのメールには、なりすましなどを検知して警告してくれる機能があります。セキュリティを向上させられる点にも魅力を感じ、メールを利用できるアドバンストプランを選択しました。
運用開始までにどんな準備をされましたか。
平田さん :
LINE WORKSのアカウントは、業務でメールを使うパート社員を含め、本社勤務の社員とエリア長以上の管理者と各店舗を対象に付与しました。
加藤さん :
導入に際しては特別な勉強会は行わず、基本的な機能と操作手順を載せたマニュアルを掲示板にアップ。また、組織図に基づく基本的なグループは管理本部で事前に準備しました。
LINE WORKSを導入して、本社と店舗間における業務連絡にどんな変化がありましたか。
・忙しい店長も手元のスマホで隙間時間にメールをチェックすることが可能に
・充実したセキュリティ機能でウイルスへの感染リスクが低減
平田さん :
従来は多忙な店長がPCを開く時間を確保するのが難しく、メールを通じた情報伝達に時間がかかっていました。しかし、LINE WORKSなら、スマホでも見やすく、休憩時や隙間の時間に手元でさっとメールをチェックすることができます。結果として、本社とのコミュニケーションが確実にスピードアップしました。また、送ったメールは、送信者に既読/未読が分かるため、「しっかり見よう」という意識が働き、店長が以前よりも頻繁にメールを確認するようになりました。
また、なりすましメール警告機能や、添付画像やリンク情報が含まれるメールの開封時にそれらを直接表示しないよう制限する機能のおかげで、危険性のある添付ファイルの開封を防げた事例がいくつかあります。このようにメールのセキュリティリスクが減少したこの実績は、導入成果の一つとして大きく寄与しています。
鈴木さん :
メールとトークの使い分けに関して特別なルールがあるわけではありませんが、私は店長や社員に返信を必要としない連絡事項を伝える場合にメールを送信するようにしています。日常的に多くのメールを送受信していますが、店長によっては、販促部門へのちょっとした問い合わせをメールではなくトークで送ってくる場合もあります。店長は本社の社員と対面する機会がほとんどなく、「こんな些細なことを問い合わせてよいのだろうか」と思うケースも多いようですが、私どもとしてはどんなに小さなことでも連絡してもらうのは大歓迎なので、コミュニケーションが気軽に感じられるよう、スタンプも積極的に活用するようにしています。
電話、FAX、メール、SMSとバラバラだったコミュニケーション手段がLINE WORKSに集約され、スマホに連絡がプッシュ通知されるようになったことで、店長だけではなく本社の社員との間でも情報の伝達・共有が格段に速まりました。特に顕著なのはメールへの返信速度で、LINE WORKSメールに切り替えて以降、以前と比べて半日〜1日ほど早くレスポンスが得られるようになった気がします。
販売促進部門でのLINE WORKS活用シーンと導入効果を教えてください。
【Drive】店舗の優れた盛り付け事例などを全店長に写真で共有
【アンケート】新商品への反応などを各店舗からスピーディにヒアリング
鈴木さん :
地域の店舗群を統括するエリア長は、各店舗の総菜の盛り付け写真を撮り、定期的に開かれる戦略会や店長会の場で、他店舗が参考にできる盛り付け事例を公開しています。以前は、写真を撮影した後、会社のPCに一度アップロードしてからファイルサーバーに格納する手間があり、さらに格納場所が決まっていませんでした。LINE WORKS導入後はスマホで撮影した写真をそのままスマホからDriveに保存できるようになり、営業統括課長と販促部門のメンバーで共有が非常にスムーズになりました。
結果、その盛り付け例をメンバーは随時閲覧することができ、担当エリア以外の状況を知ることができるようになりました。催事の販促用POPが効果的に掲示された事例の写真についても、同様の方法で共有するようにしています。こうした取り組みは、より効果的なVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の発案や指導・実践に結びついています。
販促部門は他店舗にとって参考になりそうな事例をピックアップし、写真や保存先のフォルダをトークで共有している。
店舗との連携において、ほかにLINE WORKSのどんな機能を活用していますか。
鈴木さん :
当社は惣菜や弁当の新商品を毎シーズン10品ほどリリースしています。その商品の売れ行きやお客様の反応といった情報を店長から集めるのにアンケート機能を使用しています。LINE WORKSのアンケートは、スマホで簡単に回答できるので、Excelで作成した質問をメールに添付して送るよりも回答率が向上しました。手作業での集計作業も不要になり、自動作成されたグラフを報告会議などでそのまま使えるのは大変便利です。
質問の配付も回答の回収も、メールより格段にスピーディ。基本的に選択肢を選ぶだけでよいので答えやすく、以前に比べて回答率が高まった。得られた回答を集計する手間がかからないのも大きなメリット
人事労務や総務部門ではどのようにLINE WORKSを活用していますか。
【Drive】社内の共有書類を保存して管理
【外部トーク連携】採用内定者との連絡に活用
加藤さん :
総務部門では、社内共有書類の管理にDriveを活用しています。各ファイルに編集権限や閲覧権限を設定することが可能なので、書類を安全に管理することができます。
一方、人事部門では新卒の採用内定者専用のLINE WORKSアカウントを作成し、内定者のLINEと外部トーク連携でつながるようになりました。メールでのやりとりに比べ、内定者とのコミュニケーションがテンポよく行えるようになったことを実感しています。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させたいとお考えですか。
鈴木さん :
まだ活用できていない機能にタスクがあります。期限を入力すると自動的にカレンダーに連動して表示され、メンバーに依頼した作業のスケジュール管理がしやすくなりそうなので、ぜひ使ってみたいです。
平田さん :
直近で導入予定のワークフローや、発注システム、勤怠システムなどとも連携させる計画です。将来的にはLINE WORKSをSSO(シングルサインオン)で活用し、当社の業務プラットフォームとして機能させたいと考えています。これらはユーザビリティの向上だけではなく、セキュリティの強化にも寄与すると考えています。
【お話を伺った方】
平田 和睦さん
IT業界に従事した経験を活かし、社内システムの整備を推進している。
加藤 凌麻さん
人事・労務・総務関連の業務を担当。情報システム部の補佐も行う。
鈴木 牧子さん
惣菜・弁当類の新商品開発や、店舗の販売促進に関連する業務を担う。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年6月当時のものです。