導入前の課題
- 重要情報は経営トップに伝わるまでにタイムラグや抜け漏れが発生
- 主な連絡手段は電話、作業中断や聞き間違いが度々発生
- よりリアルタイム性があり、かつ抜け漏れなく情報を共有できる手段が必要
導入後の効果
- 管理職と経営層から社長まで、重要な報告が漏れなくリアルタイムに伝達
- 作業員と職員との情報共有のスピードも飛躍的に向上
- 内定者どうしの絆を深めることにも効果を発揮
1969年に創立され、お台場、芝浦、横浜などでパルプ、紙製品、食品、非鉄金属、プラント、機械やコンテナなど、幅広い品目の船卸しから入庫、通関、保管・加工、出庫までを担っている東京国際埠頭株式会社。社会インフラとして重要な役割を担う同社において、重要情報の迅速な全体周知は欠かせません。スピーディな重要情報の通達と、社員間のコミュニケーションツールに『LINE WORKS』を導入し、生産性向上を実現しました。
具体的な実現方法を、同社 経営企画部 情報システム課 課長 宍戸氏・総務部 総務課 課長 大平氏に伺いました。
経営層の「聞いていない!」と、作業員・職員間のやり取りの手間を解消したい…
港湾運送事業や通関業、船舶代理店業といった事業を行っている東京国際埠頭。港湾運送事業は船と陸を繋ぐ結節点であり、社会インフラとしての公益的な役割が強い事業会社です。
「当社の業務は、税関や港湾局をはじめ、様々な官公庁と連携しながら行っています。そのため、常に迅速で正確な状況把握と情報共有を心がけています」(宍戸氏)
そんな同社では、かつて事故や作業中の不具合といったトラブルを含む重要事項は、まず担当者がグループウェア上で上長に報告。そして、特に重要なものに関しては書面で上長から経営層に報告していました。しかし、経営層に情報が伝わるまでに時間を要してしまったり、抜け漏れが発生したりしていたそうです。
「うまく重要な情報が伝達されておらず、社長を含む経営層から「俺は聞いていない!」と言われてしまうこともありまして…。よりリアルタイム性があり、かつ抜け漏れなく情報を共有できるコミュニケーション手段が必要だと感じていました」(大平氏)
加えて、岸壁などの現場で作業する作業員と、事務所で作業する職員との間での情報共有にも課題がありました。
「万が一、荷の損傷などのトラブルが発生した際には、作業員が事務所に電話し、職員が事務所から現場まで駆けつけて状況を確認していました。ただ、職員がすぐに電話に出られないこともありましたし、口頭では聞き間違いが起きることもあります。また、事務所から現場までは、急いでも10分ほどかかってしまう距離です。その間、作業員は作業を中断しなくてはならない場合もあるので、時間との勝負である現場業務での大きな課題になっていました」(宍戸氏)
多くの社員が日常利用しているLINEと同じように利用できることが導入の決め手
課題の解決策として、同社ではLINE WORKSの導入を検討。コミュニケーションツールとして圧倒的なシェアを誇るLINEのビジネス版であるLINE WORKSなら、社員にとっても心理的ハードルが低く、積極的に利用してもらえると期待して導入しました。
「以前から、携帯電話やスマートフォンなどの業務利用でお世話になっていたコネクシオがLINE WORKSの代理店をしていることを知り、さっそく担当の方に提案をお願いしました。期待通り、情報共有に関する課題を解決できると感じたので、すぐに本格的な社内検討をはじめて、導入を決めました」(宍戸氏)
そして、同社では2018年8月からLINE WORKSのトライアルを開始し、同年9月中旬に導入した。すでに、多くの社員がLINEを利用していたため、導入後に、操作方法や運用に関する質問や問い合わせはほとんど発生しなかったそうです。
「『LINEとはいえ、ビジネス版だと操作方法が違うのでは?』『機能が多いので、使いこなせないかもしれない』といった形で不安を感じていた社員も、実際に使ってみるなかで、LINEと操作方法やUIがほとんど変わらないとわかり、日常業務で積極的に活用してくれています」(宍戸氏)
現場から経営トップまで、スピーディかつ抜け漏れなく情報共有できる仕組みを実現
同社では、LINE WORKS上に管理職と経営層を含むグループを作成し、重要な報告が社長まで漏れなくリアルタイムに伝わるようにしました。
「LINE WORKSの導入後は、トラブルを含む重要な報告を、社長を含むすべての経営層が同時に、しかもリアルタイムに確認できるようになりました」(宍戸氏)
また、作業員と職員との情報共有のスピードも飛躍的に向上しました。LINE WORKSの導入によって、万が一、荷に何らかのトラブルが生じた時には、LINE WORKSから作業員がテキストメッセージと写真で職員に報告をしています。
たとえば、荷に損傷が確認された場合には、スマートフォンのカメラ機能で当該箇所を撮影して職員に送信している。そして、職員は送られてきた写真を確認して対応を判断し、事務所から作業員に対して必要な指示ができるようになりました。
「画像なら荷の状態が一目瞭然です。しかも、LINE WORKSなら、チャット画面で写真をすぐに確認できるので、メールのようにダウンロードしたり、ファイルを開いたりといった手間がかかりません。LINE WORKSを導入したことで、作業員と職員の情報共有のスピードが格段に速くなりました」(宍戸氏)
さらに、岸壁作業員に対する作業手配書も、LINE WORKS上で共有。
「これまで、作業員は、毎日、作業手配書を事務所や詰所の掲示板まで見に行かなければなりませんでした。それを、LINE WORKSで一斉配信することにし、スマートフォン上で確認できるようにしました。その結果、掲示板まで確認に行く必要がなくなったので、みんな喜んでいます」(大平氏)
内定者にもアカウントを発行。あらゆるシーンのコミュニケーションでLINE WORKSが欠かせない存在に
そのほか、列車遅延などによる出社遅れや直行直帰などの勤怠報告、電話メモの伝達、設備利用状況の確認など、非常に幅広い用途でLINE WORKSを活用しているといいます。
「業務に直接かかわらないことも含めて、スタンプも使いながらLINE WORKSを使っています。口頭では言いづらいことや、ちょっとした相談や報告など、いつでも気軽にやり取りできるようになったので、本当に社内のコミュニケーションが活性化しました」(大平氏)
さらに、翌年度に入社する内定者にもLINE WORKSのアカウントを発行。内定者のほか、大平氏らも加わったグループを作成し、内定者との連絡に使用しています。
「以前、その時の内定者から『メールや電話だと、ちょっとしたことを聞きづらい』との声をもらいました。そのため、もっと気軽に内定者とコミュニケーションを図る手段としてLINE WORKSを使うことにしました。その結果、『来社時の服装はどうするか?』といった些細なことも気軽に聞いてもらえるようになりました。また、こちらもかしこまらずに返答できるので、コミュニケーションがスムーズになりました。また、LINE WORKSは既読通知があるので、各内定者がメッセージを確認しているのかを把握できるので安心感があります」(大平氏)
さらに内定者だけのグループをつくり、内定者どうしで自由にやり取りしてもらっています。
「内定者が我々と打ち解け、内定者同士の絆を深めるうえで非常に効果があります。入社後、そのままスムーズにLINE WORKSを使えるのもメリットです」(大平氏)
同社では内定者に限らず、LINE WORKSの利用にはできる限り制限を設けないようにしています。
「当初、ルールを設けることも考えましたが、販売代理店の担当者から、『あまりルールを厳格に決めると、社員が使わなくなる』とアドバイスいただき、自由に使ってもらうことにしました。」(宍戸氏)
最後に、宍戸氏は今後の展望としてBCP対策でのLINE WORKS活用を挙げています。
「社内コミュニケーションで欠かせない存在となったLINE WORKSを、BCP対策でも活用しようと考えています。具体的には、災害発生時に安否確認をワンタッチで一斉送信するシステムを開発中で、2019年早々にはテスト運用を始める予定です。BCP対策以外にも、もっと幅広い用途でLINE WORKSを活用していきたいと思っています」 (宍戸氏)
※ 掲載している内容、所属やお役職は取材当時のものです。