中部電力グループの総合設備企業として、多様な設備工事を手掛ける株式会社トーエネック。屋内の電気設備工事を担う内線部門と空調衛生設備工事を担う空調管部門では、施工現場に出て管理業務にあたる社員どうしや内勤者との意思疎通を速やかにする目的からLINE WORKSを導入しました。従来の電話やメールがトークに置き換わったことでコミュニケーション速度が飛躍的にアップ。連絡業務の効率化は時間のゆとりを生み、働き方改革の推進にも寄与しているといいます。
本事例のポイント
- 設計・工事に関する変更点や周知事項など連絡に関わる時間を大きく削減
- 顧客や現場管理者からの問い合わせに即時に回答できる
- 現場で働く若手社員の教育や社内システムのQA対応、ミニテストなどさまざまな業務に活用
御社の事業内容をご紹介ください。
西田さん :
当社は中部電力グループの総合設備企業として、電力供給設備工事、電気設備工事、空調衛生設備工事、情報通信設備工事などの企画・設計積算・施工管理・保守・リニューアルや技術開発、提案営業、エネルギー事業などを手掛けています。
三宅さん :
私どもの所属する内線部門では、工場・オフィスビル・文化施設・病院・学校・商業施設など幅広い建築物の電気設備工事を行っており、設備の提案から設計・施工・保守・省エネルギーまでワンストップで対応。お客様にとって最適な設備をご提供しています。
ここ数年、働き方改革推進のための業務効率化に力を注がれているそうですね。
西田さん :
働き方改革関連法の施行に向けた政府の動きが本格化した2017年より、現場の業務負担を軽減するためのIT活用を積極的に行うようになりました。最初は社員にiPadを支給して、建築図面・現場管理アプリを導入するところから始めました。膨大な数の図面や写真をクラウドサーバーに保存してiPadで管理・共有できるようにしました。
三宅さん :
その次に取り組んだのが、1,000人を超す社員がいる内線部門のコミュニケーションを円滑にすることでした。それまでの主な連絡手段は電話とメールだったため、現場にいる社員と内勤者がこれまで以上にスムーズな意思疎通をすることができないか検討しました。また、同じ現場で作業をする社員間でのやり取りをよりスムーズにするとともに、現場の業務効率化を進めることができると考えました。そこで会社が貸与しているガラケーをiPhoneに変更すると同時に、LINE WORKSを導入し、緻密にコミュニケーションが図れる環境を整備しました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由と、運用までの経緯を教えてください。
西田さん :
いくつかのツールを検討した結果、操作がLINEと似ているため、なじみが良く特別な導入教育を必要としないことや、運用コストが比較的手頃であることからLINE WORKSを選定しました。やり取りしたトークログやファイルを保管できるアーカイブオプションがあるなど、保全性に優れている点も魅力でした。2020年3月に初めて導入しましたが、管理部門が操作方法を詳細に説明するまでもなく、多くの社員が自発的にトークを使って業務連絡をするようになりました。
三宅さん :
業務効率の向上に向けて活発に利用してもらうため、運用に際しては細かな規則を定めたりせず、グループの作成なども自由に認めています。
電気設備工事の現場におけるLINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
・設計図面の変更点等を関係者全員に一斉伝達ができ、現場管理がスムーズに
・社内確認の時間が短縮され、顧客や取引先からの問い合わせに即対応できるように
・ウェアラブル端末と併せて若手社員の教育に活用
・社内システムの問い合わせ対応が効率化
野口さん :
施工現場の設計図面には、さまざまな事情や都合によって変更が生じることがよくあります。その場合、以前は各現場の担当者1人ひとりにどこがどう変更されたかを電話または対面で説明しなければなりませんでした。複数の現場を管理する立場にとってそのことは大きな業務負担でしたが、今はトークで変更内容を説明し、新しい図面の写真やPDFを添付すれば済むようになりました。「1対1」でも「1対多」でも簡単に情報を共有できるLINE WORKSは、複数のメンバーがかかわる現場の仕事をスムーズにするために不可欠なツールとなっています。
施工現場がオフィスビルなどの場合は、基本的に各階に同じ仕様の電気設備を敷設することになります。LINE WORKS導入後は施工済のフロアの写真を未施工のフロアを担当するグループが共有することで、各階の工事品質をスピーディに同じ水準に合わせることも容易になりました。
大石さん :
同じ施工現場にいる別の社員に急いで用件を伝えたい場合、電話をかけても着信に気づかないことが多いですし、メールはいつ読んでもらえるかわかりません。そのため、工事内容に関して管理者から急な指示が出された場合は、その内容を伝えるためにわざわざ担当者がいる場所へ出向かなければならないことが多くありました。しかし、LINE WORKSのトークを活用するようになってからはその必要がなくなり、スピーディかつ確実に用件を伝えられるようになりました。現場で作業をする社員どうしが、それぞれの持ち場の進捗状況を伝え合ったりする手段も電話やメールからトークに置き換わり、業務連絡に要する時間が大幅に短縮。部門全体としての時間節約効果は、非常に大きなものだと思います。
クライアントや現場管理者との打ち合わせの場で、例えば「今からコンセントの位置を変更することは可能か」といった問い合わせを受けることがあります。以前は現場の担当者に変更が可能かどうかを確認するのにかなりの時間を要していましたが、今は現場の進捗状況を示す写真を直ちに送ってもらい、それを示しながら対応可能か否かといったクライアントへの回答が即座にできるようになりました。こういった時間節約の効果はお客様への対応にも寄与していると思います。
西田さん :
私は主にアプリ版をPCで利用しており、内線部門の事務担当者との連絡をメールと合わせてトークも実施するようになりました。グループに送信した場合、未読の人だけに別途連絡を取れるのは本当に便利です。スタンプを使うことで雰囲気が和むのも、メールにはないメリットだと思います。
野口さん :
最近は、現場経験の少ない若手社員にウェアラブルカメラを装着してもらい、作業開始前のKY(危険予知)活動や工法の安全性を管理者が遠隔でチェックするようになりました。その際に管理者が気づいた注意点を速やかに若手社員に伝えるのにもトークを使っています。
三宅さん :
私は社内システムに関する問い合わせ対応をしていますが、その連絡の多くが電話からトークに置き換わっています。トークなら私がいつどこにいてもすぐに対応できますし、スクリーンショットなどを添付してもらうことで不具合の状況も把握しやすくなり問題解決までの時間が短縮されました。
トーク以外にどんな機能を活用されていますか。
大石さん :
資材の搬入予定時刻とそのドライバーの連絡先など、現場のメンバーが共有しておくべき情報をノートに保存しています。また、メンバーへ会議参加の可否の確認や業務に必要な情報共有などにアンケート機能も活用しています。
三宅さん :
また、空調管部門ではアンケートを利用したテストを実施しています。
三宅さん :
当社には全社員向けの掲示板ツールがありますが、内線部門の社員だけに発信する情報はLINEWORKSのホーム(掲示板)にアップするようになりました。また、業務に関連する資料を共有するためにフォルダを使っているチームもあります。そうした活用は、今後多くのチームに拡大するだろうと思われます。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
西田さん :
これまではトークの利用が中心でしたが、より多様な機能を使いこなすことで、業務効率のさらなる向上を図りたいと思っています。また、協力会社との連絡をしやすくすることも視野に入れています。
三宅さん :
当社はこの数年の間にさまざまなITツールを導入してきました。今後は社員の使い勝手を高めるために機能を集約させたり、LINE WORKSとのAPI連携によってより便利な機能性を付与することで、さらなる生産性向上につなげたいです。
【お話を伺った方】
西田 剛さん
総括・業務グループ副課長として部門内の業務全般を多角的にサポート。
三宅 寿治さん
技術グループ副課長として部門内のシステムやIT機器などの運用管理に携わる。
野口 大さん
工事課長として複数の現場を管理する。
大石 英統さん
副長として施工現場のリーダーを務める。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年4月当時のものです。