島根・鳥取両県を放送エリアとしている民放テレビ局、TSKさんいん中央テレビ。情報伝達の漏れを防ぎ、効率よくコミュニケーションできる安全性の高いツールを求める中で、LINE WORKSを選択しました。各部署で活用され、報道部では事件や事故の情報共有、取材、記者の連携など、ニュースの制作に役立てているそうです。導入をリードされた総務部の板垣さん、報道部の岡本さんと福村さんにお話を伺いました。
本事例のポイント
- 情報・写真・動画を現場とデスクで共有し取材を効率化
- 前日の視聴率を全スタッフで把握し翌日の制作へ反映
- 社員間のコミュニケーションを円滑に雰囲気の良い組織づくり
御社の事業内容をご紹介ください。
板垣さん:
TSKさんいん中央テレビは1970年開局地上波の民放テレビ局です。本社は島根県松江市で、放送エリアは島根・鳥取の二県。現在(2022年1月)の従業員は116名です。テレビ局ではありますが、既存の枠にとらわれずに挑戦している会社だと思っています。代表的な例ですと、観光振興に本格的に参入するため、2021年に出雲大社近くのホテルを購入しました。社長のリーダーシップでどんどん新しいことをやっていく流れがあり、それが社員にも浸透しているようです。
LINE WORKSを導入された経緯について教えてください。
板垣さん:
これまで、社内の連絡や情報共有にはメールを利用していました。しかし、通常のメールシステムだと、大量に届くメールの中に必要な情報が埋もれてしまい、確実に伝わったかわからないのが悩みでした。社内で簡単に情報共有できるツールを探していたときに知ったのがLINE WORKSでした。LINEを使って連絡を取りあっていた社員もいましたが、セキュリティ面で不安がありました。一方、LINE WORKSは、会社で使用するメンバーや、やり取りまで管理できるビジネスに特化したコミュニケーションツールだったため、導入を決めました。
テスト的に、まずは経営層、部長以上で導入し、始めてすぐに便利さを実感しました。例えば、社長や経営層に何らかの承認を申請する際、以前はアポイントを取って直接会って相談していました。今ではLINE WORKSで承認してほしい内容を書類などと一緒にトークで共有し、返答をもらうまでがスムーズになりました。非常にスピーディなやり取りができるとわかったため、全社員で利用する方針になりました。
活用を促すために各部署に指導などはされましたか?
板垣さん:
現場に対して使い方の指導は行っていないのですが、自然発生的に社員が活用を広げています。若手社員は、社長や上司を相手にカジュアルなコミュニケーションをしにくいものですが、LINE WORKS上ではフラットに対話ができますし、素直な気持ちを表現しやすいようです。当社は社長をはじめ経営層が気軽なコミュニケーションを大切にしていて、それが全社員にも伝わったことで、やり取りが活発になりました。
各部署で導入されているとのことですが、報道部での活用シーンと手応えを教えてください。
福村さん:
報道部では、取材で現場を回っている社員が多くいます。それぞれの予定を全員で把握したり、現場で起きていることを迅速に伝えるなどの情報共有に活用しています。事件や事故などの第一報は本社に入り、そこからLINE WORKS で関係者全員に共有されます。ニュースで取り上げるべきか、重要性はどの程度か、リアルタイムに共有・判断しています。実際に、私が社外で一つの取材を終えた時に火災の情報が送られてきたことがありました。すぐに火災現場に向かって写真を撮影し、「もうこういう状態で鎮火しています」「そこまでのニュース性はなさそうです」と社内のデスクとやり取りをしたこともあります。他の記者の状況・予定も把握できるので、報道部全体で取材活動に取り組めるようになったと思います。
岡本さん:
災害報道の場合は、現場に入った取材班とデスク周りにいる社内のスタッフとの間に温度差があります。LINE WORKSはそれを素早く埋めるのに有効なツール。現場から“今”の状況を文字や写真で送ってもらえば、状況を双方で把握できます。短い動画クリップも送れますし、場合によってはそのまま動画を番組で使うことも可能です。今まで電話や無線に頼りきりだった情報伝達が、オンラインで即時に且つシンプルにできる。この点で非常に利便性が高いと感じています。
写真や動画も交えて災害現場の状況をリアルタイムで共有し、ニュースとして伝える情報を精査
取材のスピード感に変化はありましたか?
岡本さん:
先日殺人事件があったとき、場所以外の情報を持ち合わせていない状態で現場に駆けつけることになりました。すぐに取材班を向かわせ、同時進行で社内デスクが電話で取材。詳細な現場の情報、容疑者の情報、被害者の情報などをまとめてLINE WORKSで共有したことで、現場到着と同時にスムーズな取材ができました。今まで一人で行っていた仕事がLINE WORKSによって分業でき、取材のスピードアップにつながっています。
選挙報道でもLINE WORKSが役立っています。今までは複数ある開票所の開票状況を電話やFAXを使って共有し、速報に反映していましたが、先日の選挙では、開票状況を写真で撮ってLINE WORKSで共有する方法に切り替えたことで、開票速報がスピーディになりました。これまで入力も含めてひとつの開票所で10分かかっていた処理作業が、LINE WORKSで3分程度にまで短縮。集計作業全体で見ると数十分単位の違いがあります。当確(当選確実)の一報を8時に打つか、それとも8時5分なのか、そんなわずかな違いですら視聴率に影響が出ますので、非常に効果があったと考えています。
スピードアップで報道のクオリティは変わりましたか?
福村さん:
何か起こったとき、第一報をキャッチして即座に動ける体制が整っていることは、ニュース報道の質が上がるだけでなく、自然と扱える量も増えていきます。私が報道部に来た時は、既に LINE WORKS が導入されていました。当たり前の様に使っているので、以前はどうやって情報を共有していたのか、もう想像できないですね。
岡本さん:
LINE WORKS は1日に何十件とやり取りが入ってくるので、当初は、捌いていけるのか、逆に非効率にならないかと少し懐疑的でした。しかし、実際に使ってみると、今まで電話で1対1で行ってきた情報共有が、LINE WORKSなら複数のスタッフで複数の案件を同時進行できると分かりました。そうすると必然的に扱える案件数も増えるんですね。例えば、取材すべき出来事が同時多発的に発生した場合、現場に向かうスタッフにはとにかく映像だけ撮ってきてもらい、他のスタッフで取材や調査、制作などを進めることもできる。取材や制作の同時進行によって、視聴者に提供できる情報量が増えますし、本数自体も増えると感じます。
報道において、我々が大事にしなければいけないのは「みんなで同じ方向」を向いて、成果を分かち合うこと。視聴者に喜んでもらうために、ますます報道部をブラッシュアップして気持ちを高めていきたいと考えています。顔を合わせる対面のコミュニケーションは絶対に忘れてはいけないものですが、そればかりに依存せず、スピード感のある行動をとるためにLINE WORKSを活用し、血の通ったニュースを作っていきたいと思います。
取材以外での活用方法があれば教えてください。
岡本さん:
LINE WORKSは、視聴率の共有にも使っています。前日の視聴率の推移がグラフ化されたデータが、各現場での取材が始まる放送翌日の午前10時に発表されます。これまでは、全スタッフに前日の結果を伝えることは難しかったですが、LINE WORKSによって番組情報を書き加えて再スキャンしたデータをトークで送信すれば、誰もがどこにいても速やかにチェックできるようになりました。担当番組の振り返りやその日の取材の方向性の参考にすることができます。何と言っても結果が良かった時は「今日もやってやるぞ」と気持ちが一つになるので、モチベーションへの効果も大きいですね。
社を挙げてLINE WORKSで「さんくすポスト(愛称:さん♡ぽす)」という取り組みをされているそうですね。
板垣さん:
感謝の気持ちは、日頃思っていてもなかなか言えないものです。一斉に情報共有ができるLINE WORKSの特徴を活かし、感謝の気持ちを全社に伝える仕組みを作ってはどうか、というところから始まりました。全員参加のグループを作り、「これをしてくれてありがとう」「こういったことをしてくれて助かりました」と投稿することで感謝の気持ちを全社に共有できるという仕組みになっています。
今後どのようにLINE WORKSを活用する予定ですか?
板垣さん:
今後も社員で自発的にコミュニケーションが活発になる環境を維持していきたいと思っています。またTSKさんいん中央テレビを中心として、映像制作、IT系、広告代理店、不動産など多彩な事業を展開する関連会社8社で「TSKグループ」を作っています。グループで連携し、地域貢献などに取り組んでいます。今後はグループ8社でも導入し情報共有化・連携を強化したいと考えています。
【お話を伺った方】
総務局 総務部長
板垣 智久さん
給与や勤怠管理など、人事・労務関係の業務に携わる。
ニュース制作局 報道部長
岡本 敦さん
編集長としてニュース番組の統括を行っている。
ニュース制作局 報道部
福村 翔平さん
記者としてニュース制作に関わっている。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年11月当時のものです。