ニューマチックケーソン工法などの特殊技術に強みを持ち、国内外で多くの土木・建築プロジェクトを手掛ける大豊建設株式会社。建設業界全体が直面する労働力不足や高齢化、そして「2024年問題」による長時間労働の是正といった課題に対し、同社はDXによる生産性向上に注力しています。その一環として、多くの現場職員を悩ませてきた「議事録作成業務」の効率化を目指し、「LINE WORKS AiNote」を導入しました。導入の経緯や、実際の現場でどのような変化が生まれたのか、情報システム部の落藤さんと、実際に現場で活用されている杉本さんにお話を伺いました。
本事例のポイント
- 会議の録音から文字起こしにかかる時間を劇的に短縮し業務効率化を実現
- 高精度な話者分離と専門用語の認識により議事録の修正工数を削減
- LINE WORKSと同じID・パスワードでログインでき導入ハードルを低減
御社の事業概要をご紹介ください。
杉本さん:
大豊建設は、土木と建築を両輪とする総合建設会社です。特に「ニューマチックケーソン工法」という、橋梁の基礎や地下構造物を構築する特殊技術に関しては、業界でもトップクラスの実績を持っています。現在、私が所属しているのは、静岡県島田市にある大井川取水工作業所です。
ここでは、老朽化が進んだ予備取水工設備の更新工事を行っています。当該取水工は1級河川大井川流域に位置し、島田市・焼津市・掛川市・藤枝市・御前崎市・菊川市・牧之原市の7都市へ水道用水を供給する水を取水している重要な施設です。地域の生活基盤である水源を一手に担っていることから、常に高い緊張感を持って施工にあたっています。

建設業界ではDXへの取り組みが急務とされていますが、具体的にどのような課題をお持ちだったのでしょうか。
杉本さん:
建設現場における最大の課題の一つは、やはり「時間のなさ」です。日中は現場の施工管理や安全管理に追われ、書類作成などの事務作業はどうしても夕方以降、事務所に戻ってから行うことになります。その中でも特に負担が大きかったのが、会議の議事録作成でした。私が以前いた現場では、全体会議や部署ごとの打ち合わせが月に何回も行われ、1回あたり2時間程度かかることもよくありました。これまではICレコーダーで録音した音声を聞き直し、停止しては巻き戻し、また再生するという、いわゆる「テープ起こし」を行っていました。そのため、2時間の会議の議事録を作るのに、半日近く時間を費やすことも珍しくありませんでした。

落藤さん:
本社側の視点としても、現場の長時間労働の是正は喫緊の課題です。加えて、建設業界ではベテラン社員から若手社員への技術継承が不可欠である一方、現場には20代から60代までの幅広い年齢層が混在しており、経験年数に起因する知識や判断力の差が大きいのが実情です。こうした状況下で経験年数による知識の差を埋め、いかに効率よく正確な情報を共有できるかという点でも、アナログな手法からの脱却が必要だと感じていました。

従来のICレコーダーを使った議事録作成では、具体的にどのような点がボトルネックになっていたのでしょうか。
杉本さん:
最大のストレスは、作成した議事録に対する上司からの「修正」の多さでした。時間をかけて必死に文字起こしをしてまとめて提出しても、「この発言のニュアンスはこうじゃない」「こんな話はしていない」といった指摘を受けることが頻繁にありました。会議での発言の受け取り方は人それぞれ異なるため、私の主観でまとめた内容と、上司が意図していた内容にズレが生じてしまうのです。その結果、修正しては再提出し、また指摘を受けて修正するというやりとりが3回も4回も続くことがありました。こうなると、議事録を完成させるためだけにさらに数時間を要し、本来やるべき施工計画の検討などのコア業務に手が回らなくなってしまいます。まさに「議事録を作るために仕事をしている」ような状態で、精神的な負担も非常に大きいものでした。
そうした課題を解決するために、「LINE WORKS AiNote」を選定された決め手は何だったのでしょうか。
落藤さん:
一番の決め手は、すでに全社で導入していた「LINE WORKS」との親和性です。「LINE WORKS AiNote」なら、普段使っているLINE WORKSのアカウントでそのままログインして利用できます。新しいツールを導入する際、新しいIDとパスワードを管理するというのは意外と大きなハードルになります。その点、LINE WORKS AiNoteならシームレスに利用開始できるため、導入の障壁が非常に低いと考えました。また、コストパフォーマンスの面でも他社製品と比較して優位性がありました。会社として正式に、かつセキュアな環境で提供できるツールを探していたタイミングでLINE WORKS AiNoteの存在を知り、トライアル導入を決めました。
導入にあたって、社内への展開はどのように進められましたか。
落藤さん:
まずはLINE WORKSの掲示板機能を使い、全社員に向けてトライアル利用を案内しました。操作マニュアルも添付しましたが、スマホにアプリをインストールしてログインするだけという手軽さもあってか、予想以上にスムーズに受け入れられた印象です。最初は始めやすいチームプランでスモールスタートしましたが、すぐにチームプランの月額利用枠6,000分(100時間)を使い切ってしまうほどで、現場の潜在的なニーズの高さを実感しました。そのため現在は、より多く利用できるビジネスプラン(18,000分/300時間)にアップデートして運用しています。導入後に「使い方がわからない」といった問い合わせもほとんどなく、直感的に操作できるUIであることも普及の助けになったと思います。管理画面で利用統計を見ると、全体で100箇所近くが利用し、うち現場利用は35現場で使われている状況です。

具体的な活用シーンと効果について教えてください。
・議事録作成時間が10分の1に短縮。本来注力すべき施工計画業務へ時間をシフト
・「言った言わない」の水掛け論や、上司からの修正指示が激減し「手戻りゼロ」を実現
・専門用語や話者分離の高精度な認識により、協力会社との情報共有が円滑化
杉本さん:
導入効果は劇的でした。これまでは半日かかっていた議事録作成作業が、極端な例では10分の1程度の時間で完了するようになりました。会議中にスマホでLINE WORKS AiNoteを起動して録音しておくだけで、会議終了時には高精度な文字起こしテキストが自動で生成されます。その内容をPCブラウザ上で確認し、自社の生成AIを活用して議事録のフォーマットに整えるだけで作業は完了します。以前のように音声を一から聞き直す作業がなくなったことで、創出された時間を次の工事の施工計画や現場巡回などの「現場でしかできない仕事」に充てられるようになりました。これは生産性向上の観点から見ても非常に大きな成果だと感じています。

課題として挙げられていた、上司からの修正や手戻りについては改善されましたか。
杉本さん:
そこが最も驚いた点です。LINE WORKS AiNoteで作成されたテキストをベースに議事録を作成し、所長に提出したところ、「早いね!これで承認回しておいて」と、なんと一発でOKが出たのです。これまでは何度も赤ペンで修正されていたことを思うと嘘のようでした。AIが会議内容を客観的に文字起こしすることで、作成者の主観が入り込む余地が少なくなり、事実に基づいた正確な記録を残すことができます。その結果、「ニュアンスが違う」といった指摘が激減しました。また、多くの関係者が参加する会議では「言った言わない」といった認識の違いが大きなトラブルにつながりかねません。AIによる正確な記録があることで、こうしたリスクを未然に防げている点も大きな効果だと感じています。
建設現場特有の専門用語や、複数人が話す環境での認識精度についてはいかがでしょうか。
杉本さん:
認識精度については非常に高いと感じています。現場の会議では機械設備の名称や専門的な工法など、業界特有の用語が頻繁に登場しますが、LINE WORKS AiNoteはそれらをかなり正確に文字起こししてくれます。以前は協力会社の専門的な話が聞き取れず、その部分の議事録だけ協力会社の方にお願いすることもありましたが、今はその必要もなくなりました。また、話者分離機能も優秀で、誰が発言したかが明確に分かるため、大人数が参加する会議でも内容を正確に整理できます。事前に「あの機械の名称はきちんと変換されるだろうか」と心配していたような単語も、文脈から判断して正しく漢字変換されており、技術の進歩に感心しました。

スマホアプリでの利用という点について、現場での使い勝手はいかがですか。
杉本さん:
ICレコーダーを使っていた頃は、会議のたびに「だれが議事録を作成するか」という心理的なハードルや、機器を準備する手間や煩わしさがありました。しかし、LINE WORKS AiNoteなら手持ちのスマホでアプリを立ち上げるだけなので、非常にスマートです。今では会議の際に「ではAiNote入れておきますね」と自然にスタートできるようになりました。録音データがすぐにクラウドにアップロードされ、PCブラウザからも即座に確認・編集が可能です。この連携の良さにより、議事録作成の作業効率が格段に向上し、今では自分から率先して議事録を作成するようになりました。
今後のLINE WORKS AiNoteの活用について、どのような展望をお持ちですか。
落藤さん:
現在は議事録作成の補助ツールとしての活用がメインですが、今後は蓄積されたテキストデータをさらに有効活用していきたいと考えています。例えば、API連携などを通じて、文字起こしされたデータを社内の他のシステムや自社独自の生成AIとシームレスに連携させ、指定のフォーマットへの自動出力までを一気通貫で行えるようにするなど、さらなる自動化・省力化を目指したいですね。また、弊社では海外拠点の駐在員からもLINE WORKS AiNoteの利用要望が来ており、現地での翻訳機能を活用した多言語コミュニケーションの円滑化にも期待しています。
杉本さん:
現場の視点では、このツールを若手社員にも積極的に使ってもらいたいと思っています。経験の浅い若手にとって、会議の内容を正確に理解し記録することは難しい業務の一つですが、AIの力を借りることでそのハンデを埋めることができます。また、ベテラン社員が持つ暗黙知やノウハウを形式知として残していく上でも、会話をテキストデータ化しておくことは非常に有効です。組織全体として「楽をして成果を出す」ことは決して悪いことではなく、テクノロジーを使って賢く働くことがこれからの建設業に求められる姿だと考えています。その第一歩としてLINE WORKS AiNoteを通じた新しい働き方を現場にしっかりと定着させていきたいです。

【お話を伺った方々】
落藤 千輝さん
企画本部 情報システム部 DX企画課。全社のITツール導入やシステム刷新などのDX推進を牽引。
杉本 浩平さん
名古屋支店 大井川取水工作業所。本社CIM推進課での経験を活かし、現場でのデジタル活用を実践。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2025年12月当時のものです。





