病院のインカム選び方|PHS代替・電波の影響・ナースコール連携まで解説

病院のインカム選び方を解説します。電波と医療機器の影響、PHS廃止後の連絡手段4選、活用シーン、ナースコールとの連携、夜勤帯の課題、規模別の選び方、看護師の働き方改革との接点、補助金の活用まで整理します。

目次

    院内の連絡手段がいま見直されている理由

    見直しの主因は、PHSの段階的な縮小と、多職種連携・人手不足への対応という二つの圧力です。

    病院やクリニックでスタッフ同士の連絡手段を新しく考え直す動きが続いています。きっかけのひとつが、長く院内の連絡を支えてきたPHSの先細りです。

    個人で契約できる公衆PHSは2023年3月末に完全に終了しました。一方、病院が自前で構築する構内PHS(自営PHS)は、いまも使い続けることができます。ただし対応端末の製造や保守部品の供給は段階的に縮小していて、長い目で見れば別の手段への切り替えを考えておく必要がある、というのが現在地です。公衆PHSが終わったからといって院内PHSもすぐ使えなくなるわけではない点は、最初に押さえておきたいところです。

    もうひとつの背景が、多職種連携と人手不足です。看護師・医師・検査・受付・事務がリアルタイムでつながる必要がある一方、夜勤帯は少人数で広いフロアをカバーします。誰がどこにいるか分からない、電話の取り次ぎで手が止まる、口頭の伝言が抜ける。こうした連絡のつまずきを、機器の置き換えと同時に解消したいという需要が高まっています。

    院内でインカムや無線を使う前に確認したい電波のルール

    院内では機器単体の可否より先に、電波環境協議会の手引きに沿ったエリア別の運用ルール整備が出発点です。

    医療現場で無線通信機器を導入するとき、最初に避けて通れないのが電波と医療機器の関係です。使ってよいかどうかを機器単体で判断する前に、施設としての運用ルールを整える発想が必要になります。

    電波環境協議会の手引きが運用の出発点

    医療機関での電波利用には、総務省と厚生労働省が後押しする形で、電波環境協議会が「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改訂版)」を公開しています(2021年7月改訂)。この手引きは、携帯電話やWi-Fi、無線機器を院内のどのエリアでどう使うかを、施設ごとにルール化して運用することを基本に据えています。たとえば来訪者が立ち入れるエリアで携帯電話端末を使う場合、医用電気機器からおおむね1メートル程度を目安に離す、といった考え方が示されています(出典: 総務省「『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)』等の公表」)。

    つまり、インカムを選ぶ前に自院での電波の扱い方の方針があると、機器選定がぶれません。設備管理部門や医療機器の安全管理担当(医療機器安全管理責任者)と早めにすり合わせておくのが現実的です。

    通信方式によって電波の出力は大きく違う

    同じ無線でつながる機器でも、電波の出力は方式によって桁が変わります。代表的な3方式を出力の観点で整理すると次のようになります。

    通信方式 電波出力の目安 医療機器への配慮
    Bluetooth型 最大100mW程度と低い 低出力で、一般に干渉が起きにくいとされる
    Wi-Fi/モバイル通信型(IP無線・スマホアプリ) 通常使用環境では比較的低い 院内Wi-Fiやモバイル回線を利用。手引きに沿った離隔の考え方を適用
    UHF帯の業務用無線機 数W〜数十Wと高い 高出力のため精密機器の近くでの使用には特に注意

    あくまで一般的な傾向で、実際の影響は院内の医療機器の種類や設置状況によって変わります。特定の機種が安全かどうかは、医療機器メーカーと設備管理部門への確認が前提です。

    エリア別の運用ルールで分けて考える

    手引きの考え方を実務に落とすと、エリアごとにルールを設けるのが基本になります。ICU、手術室、MRI室、NICUのように高精度の機器が集中するエリアと、廊下・ナースステーション・受付エリアでは扱いを分けます。精密機器エリアに近い場所では使用を禁止または制限し、それ以外のエリアでのみ通話を許可する、といった線引きを設備管理部門と事前に取り決めておきます。図にすると、エリアの色分けと持ち込みルールの掲示が出発点になります。

    PHS後継として検討する院内連絡手段の選択肢

    主な後継候補はUHF無線・特定小電力・IP無線・スマホアプリ型・通常スマホの5種類です。

    院内PHSの先細りを見据えて検討される連絡手段は、大きく5つに整理できます。それぞれの特性を比べてから、自施設の条件に合うものを選ぶのが失敗しないコツです。

    比較項目 UHF業務用無線機 特定小電力トランシーバー IP無線(専用機) スマホアプリ型インカム スマホ(電話・チャット)
    初期コスト 中〜高(機器購入) 低(免許不要) 高(専用機+インフラ) 低(既存スマホ流用可) 低〜中
    通話範囲 電波が届く範囲 数十〜数百m程度と狭い モバイル回線・広域 回線が届けば広域 回線が届けば広域
    電波出力 数W〜数十Wと高い 10mW程度と低い 比較的低い 比較的低い 比較的低い
    グループ同時通話 ○(チャンネル制) ○(チャンネル制) ○(チャンネル切替) △(操作が煩雑)
    音声履歴の保存 × × 機種による ○(STTテキスト化も可) ×(通常は残らない)
    導入の手軽さ △(機器調達・設定) ○(買えばすぐ使える) △(専用機・設定) ○(アプリ導入のみ)
    端末の衛生管理 共用機が多く清拭必要 共用機が多く清拭必要 共用機が多く清拭必要 個人端末なら共用リスク低 個人端末なら共用リスク低

    スマホ配布済みならアプリ型が最短ルート

    スタッフ用スマホがすでにある施設なら、アプリを入れるだけで即日始められます。専用機器の購入が要らないため、初期コストと導入スピードの両面で有利です。複数の病棟・部門がある施設では、チャンネル(グループ)を分けて管理できる点も効きます。外来・病棟・検査室・事務にそれぞれ専用チャンネルを設けながら、必要な場面だけ横断的に連絡できます。音声をSTT(音声テキスト化)で記録に残せるサービスなら、言った・聞いていないのすれ違いも起きにくくなります。

    スマホ未配布ならIP無線が現実的

    スタッフ用スマホの配布が整っていない施設では、専用端末を使うIP無線が候補に入ります。モバイル回線を使うため、敷地が広い病院や複数棟にまたがる施設でも通話範囲の制約がありません。操作もボタン一つでシンプルです。ただし端末の購入費用とランニングコストはアプリ型より高くなります。将来スマホ配布を予定しているなら、先にスマホを整備してアプリ型に移行する方がトータルコストを抑えやすくなります。

    特定小電力トランシーバーは狭いエリア向き

    免許不要で使える特定小電力トランシーバーは、出力が10mW程度と低く、買えばすぐ使える手軽さがあります。フロアが限られたクリニックや、受付と処置室の間だけつなぎたいといった狭い範囲なら十分機能します。一方で通話範囲は数十〜数百メートル程度にとどまり、鉄筋やフロア間では届きにくくなります。複数棟・多階層の施設には向きません。

    UHF業務用無線機は医療現場では制約が多い

    UHF帯の業務用無線機はインターネット回線なしで使える手軽さがありますが、医療現場では注意点が多い選択肢です。数W〜数十Wの高出力で送信するため、精密医療機器の近くでの使用にはリスクが伴います。通話範囲も電波が直接届く範囲に限られ、複数棟にまたがる施設では死角が生じがちです。工場や倉庫のような遮蔽の少ない現場では定番ですが、電波管理が求められる医療施設では導入ハードルが高いのが実情です。

    連絡頻度が低いなら電話・チャットでも足りる

    連絡が1対1中心で頻度も少ない施設なら、通常のスマホ通話やチャットアプリで事足ります。常勤スタッフ数名の小規模クリニックで、院長と受付が1日数回やりとりする程度なら、インカムツールを入れるまでもないかもしれません。ただし、スタッフが増えてきた、フロア全体へ一斉に伝えたい場面が出てきた、という段階で電話の限界が見えてきます。そのタイミングが導入を検討する目安です。PHSからの移行を本格的に考える段階では、PHS終了後の代替手段と移行ガイドも判断材料になります。

    院内でのインカム活用シーンと記録の価値

    院内では一斉連絡・業務連絡・急変対応・申し送りの四場面で、音声の速さと記録性が効きます。

    医療機関でインカムがどんな場面で使えるか、代表的なシーンを整理します。共通して効いてくるのが、音声がその場で届く速さと、後から文字で追える記録の二つです。

    ナースステーション〜病棟フロア間の一斉連絡

    ナースコールは患者からスタッフへの個別呼び出しで、その後のスタッフ同士の横連絡まではカバーしていません。「○号室の患者さんが起き上がろうとしている、近くの人は対応を」といった状況をフロア全体へ瞬時に共有するのが、インカムが得意とするところです。グループ通話を使えば、ワンプッシュでフロア担当全員に音声が届きます。移動中のスタッフも同時に受け取れる速さは、電話の取り次ぎでは出せません。

    外来・受付・検査室間の業務連絡

    「採血の結果が出ました」「次の患者さんを検査室へ案内してください」。外来は短い連絡が頻繁に飛び交う場所です。毎回スマホのロック解除から始めていては、患者対応の手が止まります。PTT(押して話す)方式なら、ボタンを押すだけで即座に連絡できます。STTによる文字変換があれば、騒がしい環境で聞き取れなかった内容も後から文字で確認でき、伝言ミスのリスクが下がります。

    緊急時・急変対応の迅速共有

    急変が発生したとき、最初の数秒が結果を左右することがあります。一人ずつ電話をかけている時間はありません。グループ通話なら一声で全員に届き、TTS(テキスト読み上げ)を設定しておけば手が離せないスタッフにも音声で情報を伝えられます。状況報告と人員集約を同時に進められる点が、緊急対応で効いてきます。

    音声を記録に残すと申し送りが変わる

    病棟スタッフは音声で素早くやりとりしたい一方、事務・管理部門はテキストで記録を残したいという、情報形式のギャップが起きがちです。インカムツールの中には、音声をSTTでテキスト化してチャットに自動転送できるものがあります。現場は音声で話すだけ、事務側はテキストで受け取って都合のよいタイミングで確認する、という運用ができれば双方の負担が減ります。夜勤中の対応内容が文字で残れば、翌朝の申し送りの精度も上がります。多職種連携が求められる医療機関では、この音声とテキストの橋渡しが後々大きく効いてきます。

    こうしたアプリ型の選択肢のひとつが LINE WORKS ラジャー です。スマホをインカムのように使える音声ツールで、ボタンを押すと音声が届き、STTで自動的にテキスト化して記録に残せます。現場の音声をビジネスチャットの LINE WORKS に連携し、現場と事務をひとつのプラットフォーム上でつなげられる点が特徴です。

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    ナースコールとインカムの役割分担と連携

    ナースコールは患者からの呼び出し、インカムはスタッフ同士の横連絡を担う補完関係です。

    病院でインカムを検討するとき見落としがちなのが、既存のナースコールシステムとの関係です。ナースコールは患者からスタッフへの呼び出しを担い、インカムはその後のスタッフ同士の横連絡を受け持ちます。役割が違うため、置き換えではなく補完の関係として整理すると分かりやすくなります。

    ナースコール対応後の二次連絡を効率化する

    ナースコールを受けたスタッフが、対応のために別のスタッフや医師に連絡を取る場面はよくあります。従来は内線電話やPHSで1対1の連絡を順番にかけていましたが、インカムのグループ通話なら一声でフロア全体に状況を共有できます。対応できる人がすぐ動ける状態を作ることで、患者の待ち時間が短くなります。

    ナースコールシステムとの技術的な連携

    一部のナースコールシステムには、ナースコールの着信をスマートフォンに転送する機能があります。この場合、スマートフォン1台でナースコールの受信とインカム通話の両方を運用できる可能性があります。ただし連携の可否はナースコールメーカーとインカムアプリの仕様に依存するため、導入前にベンダーへの確認が必要です。仕組みや種類比較は ナースコールのスマホ連動の解説 でも整理しています。

    夜勤帯の連絡課題とインカムの役割

    少人数で広いフロアを守る夜勤帯こそ、ワンプッシュで応援を呼べる即時性が安全管理に効きます。

    夜勤帯は日勤に比べてスタッフ数が大きく減り、少人数で広いフロアをカバーしなければなりません。スタッフ同士の距離が離れやすく、急変や転倒などのインシデント対応では近くに誰もいない状況が起きやすくなります。インカムがあれば、離れた場所にいるスタッフにワンプッシュで声をかけられます。患者のそばを離れずに応援を呼べる点は、夜勤帯の安全管理にとって大きな意味があります。音声がテキストとして記録に残る仕組みがあれば、夜勤中の対応内容を翌朝の申し送りで正確に共有することにもつながります。

    病院・クリニック規模別の選び方

    小規模はスマホアプリ型、中小は複数部門管理、大規模はIT部門主導の選定が基本の目安です。

    施設規模 スタッフ数目安 重視ポイント 向いているタイプ
    クリニック・診療所 5〜15人 低コスト・即導入・簡単操作 スマホアプリ型(フリープランで試せる)または特定小電力トランシーバー
    中小病院 20〜100人 複数部門の管理・音声記録・既存インフラ活用 スマホアプリ型(有償プラン)または専用機との併用
    大規模病院 100人以上 セキュリティ・管理機能・システム連携 IT部門主導での選定・PoC実施が向く

    クリニック・診療所(5〜15人規模)

    院長、受付、看護師の3役割間で確実に連絡が取れれば十分、というケースが多い規模です。専用機を買う予算もスペースもない施設には、スマホアプリ型が最も手軽です。スタッフ用スマホがあれば、アプリを入れるだけで即日始められます。フロアが限られていて狭い範囲だけつなげば足りるなら、免許不要の特定小電力トランシーバーも選択肢になります。アプリ型のサービスにはフリープランを用意しているものもあり、費用をかけずに使い勝手を確認できます。まず少人数で試して、合わなければやめればいいという気軽さは、小規模施設にとって安心材料です。

    中小病院(20〜100人規模)

    病棟・外来・検査・事務といった複数部門があるこの規模では、部門ごとにチャンネルを分けて管理できる機能が効きます。「外来チャンネル」「3東病棟チャンネル」「管理部門チャンネル」と分けておけば、各部門の連絡が混線しません。既存のスタッフ用スマホを流用できる場合は、ハードウェアコストをゼロに近づけられます。スマホアプリ型のサービスにはフリープランを用意しているものがあり、まず一部門で試してから全院展開を判断する進め方がリスクを抑えやすくなります。

    大規模病院(100人以上)

    部門ごとの利用権限管理や、既存グループウェア・ナースコールシステムとの連携が求められることが多い規模です。管理者コンソールによるユーザー権限の一括管理、通話履歴の保存と監査対応、セキュリティポリシーとの整合性など、IT部門が主導して要件を整理してから選定する進め方が向きます。まず一部署で検証し、現場フィードバックを集めてから全院展開に移ると定着率が上がります。ベンダーへの問い合わせ時は、管理者コンソールの機能範囲、SSO対応の有無、API連携の可否をあらかじめ確認しておくと選定がスムーズです。

    導入後の運用で気をつけたい3つのポイント

    定着を左右するのは、端末の衛生管理・スタッフへの操作研修・電池の充電管理の三点です。

    機種選びだけでなく、導入後の運用面で押さえておきたいポイントが3つあります。

    感染対策・端末の衛生管理

    医療現場では端末の衛生管理が避けられない課題です。スタッフ個人のスマホを使う場合は共用リスクを低く抑えられますが、施設支給端末を複数人で回す運用をとる場合は、アルコール消毒に対応したケース・カバーの選定と、定期的な清拭ルールの整備が必要です。端末本体を選ぶ際は、防滴・防塵性能のある機種か、日常的なアルコール清拭に耐えられるかをメーカースペックで事前に確認しておきましょう。

    スタッフへの操作研修

    どれだけ優れたツールでも、使いこなせなければ意味がありません。年齢層の幅が広い職場では、スマホ操作に不慣れなスタッフがいる前提で進めると安全です。導入時に短時間の操作説明会を設ける、操作の流れを1枚にまとめたカードを端末近くに貼っておく、最初の1〜2週間は使い方に詳しいスタッフが近くでフォローする。これくらいの準備で、定着率は大きく変わります。

    電池・充電管理

    音声通信を頻繁に行うと、スマホのバッテリー消費は通常より早くなります。シフト中に電池が切れたという事態は業務に直結します。充電のタイミングと担当を明確にしたルール作り、共用端末へのモバイルバッテリー常備、スタッフが立ち寄りやすい場所への充電スポット設置が、安定運用の基本です。導入前に電池の持ち時間を実測しておくと安心です。

    看護師の働き方改革とインカムの接点

    連絡・確認の時間を削れば、その分を患者のベッドサイドに回せるのが働き方改革との接点です。

    厚生労働省が推進する医師の働き方改革に伴い、看護師へのタスクシフト・タスクシェアが進んでいます。業務の範囲が広がる中、連絡・確認に費やす時間をどう減らすかは、現場の負荷管理に直結するテーマです。インカムの導入で期待できるのは、スタッフを探して病棟内を歩き回る時間の削減、電話の取り次ぎ待ち時間の短縮、口頭伝言による伝達ミスの減少です。移動と待ちの時間が減れば、患者のベッドサイドで過ごせる時間が増え、看護の質に還元されます。音声がテキストとして記録に残る仕組みがあれば、申し送りの精度も上がり、確認のための二度手間が起きにくくなります。

    補助金・助成金の活用可能性

    医療ICT・DX投資には国や都道府県の補助制度があり得ますが、要件は制度ごと・年度ごとに異なります。

    医療機関のICT・DX投資については、国や都道府県レベルの補助制度が存在します。厚生労働省は医師の働き方改革の一環としてICT活用を後押ししており、タスクシフト・タスクシェアを進めるためのシステム導入が支援の対象になり得ます(参考: 厚生労働省「医師の働き方改革」)。また、ICTを活用した医療現場の業務改善は、医療DXの政策的な流れの中でも後押しされている状況です。

    ただし、補助金・助成金の対象要件や申請期間は制度ごとに異なり、年度によって変わる場合があります。最新の情報は所管省庁・都道府県の公式サイトでご確認ください。導入前に自施設が属する地域の医師会や医療関係団体に問い合わせると、活用できる制度を案内してもらえることがあります。

    よくある質問

    病院のインカムにはどんな種類がありますか?

    大きくはUHF帯の業務用無線機、特定小電力トランシーバー、IP無線(専用機)、スマートフォンにアプリを入れて使うスマホアプリ型、通常のスマホ通話・チャットに分かれます。スマホアプリ型は既存端末をそのまま活用でき、初期投資を抑えやすい点が特徴です。狭いエリアだけなら免許不要の特定小電力トランシーバーも選択肢になります。

    インカムは病院内で使っても医療機器に影響しませんか?

    通信方式によって電波の出力は大きく異なり、Bluetooth型は低出力で比較的使いやすい環境とされています。ただしICUや手術室など精密機器が集中するエリアでの使用可否は、施設の設備管理部門と医療機器メーカーへ事前に確認することが前提です。電波環境協議会の「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」を出発点に、エリア別の運用ルールを整えるのが基本です。

    院内のPHSはいつまで使えますか?

    個人で契約する公衆PHSは2023年3月末に完全終了しましたが、病院が自前で構築する構内PHS(自営PHS)はいまも利用できます。ただし対応端末の製造や保守部品の供給は段階的に縮小しているため、長期的には別の連絡手段への移行を見据えておくのが安全です。

    PHSの後継としてどの連絡手段を選べばいいですか?

    主な選択肢はUHF業務用無線機・特定小電力トランシーバー・IP無線(専用機)・スマホアプリ型・通常のスマホの5つです。スタッフへのスマホ配布状況、院内のWi-Fi環境、施設規模によって最適解が変わります。比較表を参考に、自施設の条件に合うタイプを絞り込んでください。

    スマホアプリ型のインカムはクリニックでも使えますか?

    使えます。スマホアプリ型はユーザー数に応じた料金体系が多く、少人数の施設でも導入しやすい設計です。スタッフ用スマホがあればアプリを入れるだけなので、機器購入なしで始められます。まず一部のスタッフで試してから全体に広げる進め方がリスクを抑えやすくなります。

    インカムの音声記録は院内の情報管理規程に合いますか?

    STTによる音声テキスト化や音声履歴の保存機能は、院内の情報セキュリティポリシーや個人情報管理規程との整合性を確認する必要があります。患者情報が含まれ得る会話をどう扱うか、データの保存場所とアクセス権限をどう設定するかを、IT管理担当者・事務長と事前にすり合わせることをおすすめします。

    ナースコールシステムとインカムアプリは併用できますか?

    併用できます。ナースコールは患者からの呼び出し、インカムはスタッフ同士の横連絡と役割が異なるため補完的に使えます。一部のナースコールシステムにはスマートフォンへの着信転送機能があり、1台の端末で両方に対応できる場合があります。連携の可否はメーカーへご確認ください。

    夜勤帯の少人数体制でもインカムは役立ちますか?

    夜勤帯こそ効果が大きい場面です。スタッフ数が少なく広いフロアをカバーする状況では、離れた場所にいるスタッフにワンプッシュで声をかけられる即時性が重要になります。急変時の応援要請や、患者のそばを離れずに状況を共有できる点が安全管理に役立ちます。

    まとめ:院内連絡手段の見直しで押さえるポイント

    院内連絡手段は、電波ルール・PHS動向・方式比較・ナースコール補完・運用設計をセットで考えるのが要点です。

    院内のインカム・連絡手段を選ぶうえで押さえておきたい論点は次のとおりです。

    • 電波・医療機器への影響は通信方式と使用エリアで変わる。電波環境協議会の手引きを出発点に、ICU等での可否は必ず設備管理部門に確認
    • 公衆PHSは終了済み、構内PHSは継続可だが端末・保守が先細り。長期的には後継手段への移行を見据える
    • 後継の選択肢はUHF無線・特定小電力・IP無線・スマホアプリ型・通常スマホの5種類。出力・通話範囲・グループ通話・音声記録で比較
    • ナースコールとインカムは補完関係。患者からの呼び出しと、スタッフ同士の横連絡で役割を分ける
    • 感染対策・操作研修・電池管理・夜勤帯の運用設計という運用面の準備が、導入後の定着を左右する

    インカムの選択は機能の良し悪しだけでなく、施設のインフラ・スタッフ構成・運用ルールとセットで考えることが大切です。他施設の成功事例がそのまま当てはまるとは限らず、院内の電波環境やスタッフの年齢層、既存インフラなど条件は施設ごとに違います。

    スマホアプリ型のインカムツールであれば、フリープランや無償トライアルを提供しているサービスが多く、コストをかけずに自施設との相性を確認できます。LINE WORKS ラジャーもフリープラン(0円、会話は40分で一度切断)と30日間の無償トライアルがあり、小規模な検証から始められます。

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