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飲食店の人手不足の現状|不足感・求人倍率・倒産件数
飲食店は非正社員の不足感が業種別で最も高く、調理・接客の求人倍率は全職業の約2倍、倒産件数も過去最多の水準です。
| 指標 | 最新の数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 非正社員が不足している企業の割合 | 飲食店57.7%(業種別で最も高い)/2026年7月 | 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」 |
| 有効求人倍率(常用・パートを含む) | 飲食物調理従事者2.18倍、接客・給仕職業従事者2.30倍(職業計1.05倍)/2026年7月 | 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」 |
| 飲食店の倒産件数 | 473件(上半期として過去最多)/2026年上半期 | 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2026年上半期)」 |
| 飲食業の倒産件数 | 509件(うち人手不足関連36件)/2026年上半期 | 東京商工リサーチ「2026年上半期『飲食業』倒産動向」 |
非正社員の不足感は改善しつつも最も高い
帝国データバンクの2026年7月の調査では、非正社員が不足していると答えた飲食店は57.7%で、業種別で最も高くなりました。前年同月からは4.1ポイント下がり、4月以降は4か月続けて6割を下回るなど、改善の傾向も見られます。それでも、全業種の非正社員の不足割合(28.8%)の約2倍です(出典: 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」)。
ホール・キッチン・洗い場の多くをパート・アルバイトで担う店では、非正社員が1人欠けるだけでシフトが組みにくくなります。
調理・接客の求人倍率は全職業の約2倍
有効求人倍率は、ハローワークで仕事を探している人1人に対して、求人が何件あるかを示す指標です。2026年7月の職業別の数値(常用・パートタイムを含む)では、飲食物調理従事者が2.18倍、接客・給仕職業従事者が2.30倍で、職業計の1.05倍の約2倍でした(出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」)。仕事を探す1人を2件以上の求人が取り合う計算で、募集をかけても応募が集まりにくい状態が続いています。
倒産件数と、人手不足が続くと起きること
2026年上半期の飲食店の倒産は473件で、上半期として過去最多を更新し、4年続けて増えました。78.0%は負債5,000万円未満の小規模な倒産です(出典: 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2026年上半期)」)。東京商工リサーチの集計でも、飲食業の倒産は509件と上半期で初めて500件を超え、人手不足関連の倒産は36件と前年同期の2.2倍に増えています(出典: 東京商工リサーチ「2026年上半期『飲食業』倒産動向」)。
人が足りない状態が続くと、営業時間の短縮や席数の制限で売上が減ります。料理の提供が遅れてお客様の満足度が下がり、残ったスタッフに負担が集まって次の退職につながる、という流れも起きやすくなります。
飲食店で人手不足が起きる原因
原因は、働き手の減少という外部の要因と、営業時間・教え方・評価・コストといった店の働き方の要因が重なっています。
働き手の減少と、ほかの業種との取り合い
中小企業庁の2026年版中小企業白書は、15〜64歳の人口は今後も減る見込みで、人手不足はさらに深刻になると推測しています。中小企業の雇用者数は、中位推計で2040年に2018年比で約8%減る可能性があります(出典: 中小企業庁「2026年版 中小企業白書 第1部第1章第3節」)。
短い時間で働きたい学生や主婦層は、小売・物流・介護など、ほかの業種の店や職場も探しています。スマートフォンで1日単位の仕事を探せるスポットワークのように、働き方の選択肢も広がりました。条件や働きやすさが伝わらない求人は、ほかの仕事と比べられた時点で選ばれにくくなります。
営業時間の長さと、ピーク・アイドルの差
飲食店は営業時間が長く、夜や土日祝日の勤務も多い業態です。開店前の仕込みや閉店後の片付けまで含めると、1日の拘束時間は長くなります。
忙しさの波も大きく、ランチとディナーのピークには人手が一気に必要になり、その間のアイドルタイムは手が空きます。ピークに合わせて人を置くと空き時間の人件費が重くなり、空き時間に合わせるとピークの提供が回らなくなります。ピークの2〜3時間だけ入れる人は探しにくく、シフトの穴が埋まりにくい構造です。
教える余裕がなく、仕事を覚える前に辞めてしまう
人が足りない店ほど、新しく入った人に教える時間を取れません。手順書がなく、教え方が先輩ごとに違うと、新人は何を覚えればよいか分からないまま独り立ちを求められます。相談できる相手がいない不安から、仕事を覚える前に辞めてしまうこともあります。
店長や料理長など、現場をまとめる立場の人も不足しています。店長が欠員の穴埋めでホールやキッチンに立ち続けると、採用や教育に使える時間がさらに減っていきます。
評価や昇給の見通しを持ちにくい
何ができるようになれば時給が上がるのか、その基準が見えないと、働く側は先の見通しを持てません。長く働いても役割や待遇が変わらないと感じると、同じ時間を使うならほかの仕事を、と考える人も出てきます。店長や料理長へ進む道筋が見えにくいことは、正社員が定着しにくい理由にもなります。
コストの上昇で、人件費に回せるお金が限られる
帝国データバンクは、食材・光熱費の高騰や賃上げで飲食店の利益が圧迫されており、中小規模の店では原材料価格や人件費の上昇分を思うように価格に転嫁できていないと分析しています(出典: 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2026年上半期)」)。お客様が減ることを心配して値上げに踏み切れないと、時給を上げて採用で競いたくても、その原資が残りません。
特定技能「外食業」の新規受け入れが止まっている
外国人材の採用にも制約が出ています。特定技能「外食業分野」は受入れ見込数(上限)が令和10年度末までで5万人とされ、2026年2月末の在留者数は約4.6万人(速報値)に達しました。このため出入国在留管理庁は、2026年4月13日から同分野の在留資格認定証明書の交付を一時停止しています。受け入れ再開の時期は未定です(出典: 出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」)。
停止日以降は、海外から新たに呼び寄せるための申請は交付されず、他の在留資格からの変更も原則として許可されません。すでに外食業分野で働いている人の在留期間の更新は、これまでどおり許可されます。
飲食店の人手不足を解消する対策|採用・定着・業務の見直し
対策は、人を採る、長く働いてもらう、少ない人数でも回る業務にする、の3方向で考えると選びやすくなります。
1〜2は人を採るための対策、3〜4は長く働いてもらうための対策、5〜7は少ない人数でも店が回るようにする対策です。
1. 採用チャネルを広げ、働ける時間の幅を用意する
求人サイトを1つに絞っていると、届く層が限られます。地域の求人媒体や店内・SNSでの告知、スタッフからの紹介(リファラル採用)、スポットワークのサービスを組み合わせると、これまで届かなかった人にも求人が届くようになります。どの経路から来た人がどれくらい続いているかを数か月単位で確かめ、続いている経路に予算を寄せていきます。
働ける時間の幅を広げることも効果があります。ランチの2〜3時間だけ、子どもの登校中だけ、週末の午前だけといった短い枠を用意すると、シニア層や子育て中の人も応募しやすくなります。
2. 外国人スタッフは在留資格の条件を確かめて受け入れる
外国人を雇うときは、まず在留カード表面の「就労制限の有無」欄を確かめます。「就労不可」と書かれている場合でも、裏面の「資格外活動許可欄」に許可があれば、その範囲で働けます(出典: 出入国在留管理庁「『在留カード』はどういうカード?」)。
前の章で触れたとおり、特定技能「外食業」は新規の受け入れが止まっています。海外からの採用を前提にした人員計画は、再開時期が未定であることを踏まえて見直しておくと安心です。受け入れる場合は、メニュー名や手順を写真付きで示す、困ったときに聞ける担当を決めるといった準備が定着につながります。
3. 最初の1か月の教え方を決める
定着の対策で最初に取り組みたいのは、新人が独り立ちするまでの期間を短くすることです。接客・調理・洗い場の手順を写真付きでまとめ、最初の3日・1週間・1か月でできるようになることを決めておきます。教える担当を1人決めておくと、教え方の違いで新人が迷うことも減ります。
忙しい店ほど教える時間は取りにくいものです。手順書を一度作っておけば、次に入る人の教育にもそのまま使えます。
4. シフトと評価のルールを見える形にする
希望シフトを出す締め切り、シフトを確定する時期、連続勤務の上限をルールにしておくと、スタッフが生活の予定を立てやすくなります。休みが取りやすい店であることは、求人でも伝わる強みです。
時給が上がる条件も、できる仕事と結びつけて示します。たとえば、レジ締めができるようになったら、調理補助を任せられるようになったら、といった段階を決め、面談で伝えます。働きぶりが評価に反映されると分かると、続ける理由が生まれます。離職率の計算方法や、定着の取り組みの考え方は離職率の解説で紹介しています。
5. メニューと仕込みを見直す
注文の少ない料理を整理すると、仕込みの時間、食材のロス、オーダーの取り違えが減り、ピークの提供が安定します。減らす前にメニューごとの注文数と粗利を1〜2か月ほど記録し、残す料理を数字で選ぶと、看板メニューを守りながら絞り込めます。メニューの多さそのものが店の魅力になっている業態では、無理に減らさない判断もあります。
仕込みに時間を取られている店では、カット野菜や下処理済みの食材を仕入れる方法があります。複数店舗なら、セントラルキッチンで仕込みをまとめると店内の作業を減らせます。
6. 注文・会計・シフト管理をデジタル化する
お客様のスマートフォンからQRコードで注文してもらうモバイルオーダーや、卓上タブレットでの注文を取り入れると、ホールの注文取りが減ります。オーダーの聞き間違いが減り、多言語で注文を受けられる点も利点です。
紙のシフト表や電話での欠員調整を続けている店では、シフト・勤怠管理のシステムに切り替えると、店長の調整の手間が減ります。スタッフがスマートフォンから希望シフトを出せる仕組みや、欠員が出たときに代わりに入れる人へまとめて連絡できる機能があると便利です。店舗の業務全体の見直し方は、飲食店のオペレーション改善の解説にまとめています。
7. ホールとキッチンの連絡を速くする
ピークの店内では、テーブルの状況、料理の上がり、品切れ、レジの応援といった声かけが何度も行き交います。相手を探しに行く、大きな声で呼ぶ、戻ってくるのを待つ、という動きが重なると、同じ人数でも店は忙しく感じられます。連絡の手間が減れば、その分をお客様の対応や料理の提供に回せます。
店内の連絡手段には、ヘッドセットで話すインカムのほか、スマートフォンをトランシーバーのように使えるアプリがあります。種類ごとの違いは、飲食店のインカムの選び方で比較しています。アプリには、LINE WORKS ラジャーのようなサービスもあります。ボタンを押して話すと音声がグループに届いて履歴に残り、アドバンストプランでは発話を自動でテキストに変換できます。
対策の優先順位|小さな店は費用のかからない施策から
小さな店は費用のかからない施策から始め、投資が必要な施策は効果を確かめてから広げると進めやすくなります。
| 段階 | 主な施策 | 目安 |
|---|---|---|
| すぐ始める | 募集チャネルの見直し、シフト提出のルールづくり、新人向け手順書、ホールとキッチンの連絡手段の見直し | 設備投資はほとんど不要。1〜3か月ほどで変化を確かめる |
| 数か月かけて仕組みにする | シフト・勤怠管理システム、モバイルオーダーの試験導入、評価と昇給の基準づくり、シニアや外国人スタッフの受け入れ準備 | 3〜12か月ほど。補助金を使える場合がある |
| 1年単位で取り組む | メニュー構成の見直し、仕込みの外部化、店長候補の育成、業態や店舗レイアウトの見直し | 1年以上 |
効果は金額よりも、時間で測ると現場で共有しやすくなります。新人が一人でホールに立てるまでの日数、ピーク時の料理の提供時間、店長がシフト調整に使う時間などを、始める前と比べてみてください。うまくいった施策から次の段階へ進むと、限られた人手でも無理なく続けられます。
飲食店の人手不足対策に使える補助金・助成金
設備の導入や教育訓練、賃上げにかかる費用は、国の補助金・助成金で一部を補える場合があります。
| 制度 | 所管 | 支援の対象 | 公式情報 |
|---|---|---|---|
| 業務改善助成金 | 厚生労働省 | 事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上に役立つ設備投資などをあわせて行う場合 | 厚生労働省「業務改善助成金」 |
| 中小企業省力化投資補助金 | 中小企業庁・中小企業基盤整備機構 | カタログから汎用製品を選ぶカタログ注文型と、現場に合わせた設備導入などを支援する一般型 | 中小企業省力化投資補助金 公式サイト |
| 人材開発支援助成金 | 厚生労働省 | 従業員への計画的な職業訓練などの訓練経費や、訓練期間中の賃金の一部 | 厚生労働省「人材開発支援助成金」 |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 中小企業庁・中小企業基盤整備機構 | 業務の効率化に役立つITツールの導入 | 中小機構「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のご案内」 |
業務改善助成金は、これから行う賃金の引上げと設備投資が対象で、従業員がいない場合は対象になりません。補助上限額や公募の時期は年度や公募回ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。デジタル化・AI導入補助金の対象や申請の流れは、デジタル化・AI導入補助金の解説で紹介しています。
よくある質問
飲食店の人手不足は今後も続きますか?
続くと考えて備えておくと安心です。2026年版中小企業白書は、15〜64歳の人口が今後も減り、人手不足はさらに深刻になると推測しています。一方で、飲食店の非正社員の不足感は前年より下がっており、改善の動きもあります。採用だけに頼らず、定着と業務の見直しを並行して進めておくと、状況が変わっても店を回しやすくなります。
スポットワーク(スキマバイト)は人手不足対策になりますか?
特定の時間帯の不足を補う手段になります。2026年版中小企業白書によると、スポットワーク人材を現在活用している事業者は全体では1割未満ですが、宿泊業・飲食サービス業では半数近くにのぼります(出典: 中小企業庁「2026年版 中小企業白書 第2部第3章第2節」)。初めての人でも担える作業を切り出し、短い手順書を用意しておくと、受け入れる側の負担を抑えられます。長く働くスタッフの育成とあわせて使うのがおすすめです。
留学生のアルバイトは週何時間まで働けますか?
資格外活動の包括許可を受けた留学生は、1週について28時間以内まで働けます。学校の長期休業期間は、1日について8時間以内です(出典: 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」)。シフトを組む前に、在留カード裏面の資格外活動許可欄で許可の有無を確かめておきましょう。
まとめ
飲食店の人手不足は、働き手の減少という変えにくい要因と、営業時間・教え方・評価・コストという店の働き方の要因が重なって起きています。対策を選ぶときに押さえておきたい点は次のとおりです。
- 非正社員の不足感は業種別で最も高く、調理・接客の求人倍率は全職業の約2倍
- 特定技能「外食業」の新規受け入れは停止中で、再開時期は未定
- 採用・定着・業務の見直しを組み合わせ、費用のかからない施策から始める
- 効果は新人の独り立ちまでの日数や提供時間など、時間で確かめる
何から始めるか迷ったときは、ここ1〜2か月に辞めた人の理由と、ピークの時間帯に何に手間を取られているかを書き出してみてください。店にとって効きそうな対策が見えてきます。
ホールとキッチンの連絡の手間を減らしたい場合は、スマートフォンをトランシーバーのように使えるアプリも選択肢になります。LINE WORKS ラジャーも、その一つです。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。