LINE WORKS AiCallの活用でインフォメーションセンターの運用が効率化。オペレーターの対応件数を30%削減し、IVRの多重階層化も解消!

セゾンカードを発行する株式会社クレディセゾンのインフォメーションセンターには、毎月20万件以上、年末などの繁忙期にはさらに多くの問い合わせがあります。以前よりIVR(自動音声応答システム)を運用していますが、自動応答の途中で顧客が電話を切る離脱率が高く、自動応答で完了できる用件も限られていたことから、課題解消に向けてLINE WORKS AiCallを採用。AIが用件を的確なチャネルに素早く振り分けることで離脱率が低減し、オペレーターによる対応件数も減少するなど、業務効率を大きく向上させることに成功しています。

 

本事例のポイント
  • 顧客とAIの対話で用件を35種類に分類し、適切な後続処理につなぐ仕組みを構築
  • オペレーター着信件数を30%削減
  • IVRの多重階層化を解消
  • オペレーターにつながるまでの待ち時間短縮でCSが向上

インフォメーションセンターへの顧客満足度を高め、オペレーターの業務負荷も軽減するためAIの活用を検討

LINE WORKS AiCallを導入する以前は、インフォメーションセンターの運用にどんな課題がありましたか。

池田さん:

お客さまからのお問い合わせにはIVRが自動回答しますが、以前はそのシナリオが6階層もあったため、回答にたどり着くまでに時間を要していました。そのため、お客さまが途中で電話を切られる「離脱」が頻繁に発生していました。

 

 

高橋さん:

IVRはすべてのお問い合わせに答えられるわけではありません。お客さまからの電話は月に約20万件に上り、うち半数の10万件ほどは音声メッセージでは対応し切れずオペレーターにつながります。東京と大阪にあるインフォメーションセンターには、総勢約450名のオペレーターがいます。しかし、常に全員が通話をしている状態で、電話がつながるまでの待ち時間がときには20分ほどに及ぶこともあり、CSを損ねる大きな要因となっていました。

 

 

小山さん:

お問い合わせの内容は多岐にわたるため、オペレーターには広範な知識やスキルが求められます。どんな用件にも対応できるようになるために一度に多くの業務知識の習得が求められ、新人オペレーターにはそれが負担となっていました。また、以前は用件が「諸変更」と「それ以外」の2つにしか分けられておらず、「それ以外」の受電を開始すると、お問い合わせ内容が多岐にわたり、座学研修で学んだ知識だけでは答えられない質問をされることも多く、そうした心理的負担から新人の離職率が高まる要因となり、採用・教育コストがかかってしまうのも課題でした。

 

 

池田さん:

お問い合わせの内容に応じた振り分けをAIに任せ、ダイレクトに希望のメニューに接続いただくことで、お客さまの待ち時間を短縮し、オペレーターの負担も軽減できると考え、インフォメーションセンターの機能にAIの活用を検討するようになりました。

LINE WORKS AiCallを選ばれたのはなぜですか。

池田さん:

LINE WORKS AiCallのAIによる応答は滑らかで、人と話しているような自然なやり取りができます。音声の品質も高く、お客さまが違和感を覚えずに対話できるだろうと感じました。対応をよりスムーズにするには、お問い合わせの内容を従来よりも細分化する必要がありましたが、LINE WORKS AiCallならその振り分けも的確に行われることが期待できました。また、他社サービスは従量課金制であることが多く高額になりがちでした。その点、LINE WORKS AiCallは定額制のため、イニシャルコストとランニングコストが他社のサービスの3分の2ほどと、コストを抑えられる点も魅力的でした。

AIが用件を35の項目に分類、オペレーターやIVRによる後続処理がスムーズに

LINE WORKS AiCallを活用した顧客対応の仕組みをどのように構築されましたか。

池田さん:

「AIナビ」と名づけたこのシステムでは、LINE WORKS AiCallが聴取したお客さまのお問い合わせ内容を35項目にカテゴライズするために事前学習したモデルでユーザー発話を分類します。私どもは以前からホームページ上でAIチャットボットによる自動応答サービスをご提供しており、そこで蓄積されたデータを「教師データ」として各項目に当てはめました。

 

そのプロセスでは、専属の担当者を配置して細かな分析をするとともに、NLUモデルだけではなく音声認識モデルのチューニングもしっかり行うことで、高い振り分け精度を実現しました。また、PBX、IVR、端末、ネットワークなど多岐にわたるシステムとの連携においては、各担当部門と緻密な調整をすることでUI/UXの統一を図りました。

 

LINE WORKS AiCallが用件を振り分けてからの後続処理は、「Webによる手続きの仕方をご案内するSMS送信」、「IVRによるご案内」、「オペレーターにつないでの対応」に大別されます。通話がオペレーターに転送された場合は、お客さまがLINE WORKS AiCallとの対話で話された内容を分かりやすくテキストで示すダッシュボードも開発して連携させました。

 

LINE WORKS AiCallが顧客との対話から問い合わせ内容を判定してカテゴライズ。用件に応じて的確な対応がなされるフローを構築

 

小山さん:

ダッシュボードに表示された内容によって、お客さまへの対応がよりスムーズになり、通話時間も短縮できます。運用に際しては、AIナビがオペレーターの業務負荷軽減とCSの改善に役立つことを、研修や説明会の場を設けて周知しました。

 

高橋さん:

ダッシュボードには、各オペレーターがAIナビによる振り分けが正しかったかどうかをフィードバックする機能も設けています。振り分け項目の正誤登録という新たな作業が加わることになりますが、AIナビの精度を高めて業務を効率化するのに不可欠だということも十分に理解してもらえるように努めました。

 

LINE WORKS AiCallが聞き取った用件をテキスト化してダッシュボードに表示。オペレーターが電話に応答する前に用件の概要を把握できることで対応が円滑になる

オペレーター対応件数を30%も削減。無人対応率も高まり業務生産性が飛躍的に向上!

AIナビの運用による定量的な成果について、教えてください。

高橋さん:

まずはオペレーター20人程度のデスクでスモールスタートし、段階的にAIナビで対応するデスクや拠点を拡大していきました。その結果、月に10万件あったオペレーターへの着信件数を3万件も削減することができています。例年、繁忙期の12月は着信数が30万件ほどに急増しますが、2024年の12月はオペレーター着信件数が前年比約30%減少しました。また、IVRによる対応の途中でお客さまが電話を切られる離脱率が減少し、自動音声応答システムだけで対応するIVR完了率については40%も増加しています。

 

池田さん:

以前のIVRは、冒頭のアナウンスに続いてお客さま認証のためカード番号を入力してもらっていました。そこで離脱が発生することが多かったのですが、AIナビでは最初にお問い合わせ内容をお聞きしてから認証手続に移るようにしています。お客さまにしてみれば用件を伝えた以上は回答を受け取りたいという心理が働き、それが離脱を防ぐ要因となったのではないかと推測されます。また、LINE WORKS AiCallのAIに顧客への対応を任せるのではなく、素早く最適なチャネルに振り分けることに集中させたことも功を奏したのではないかと思います。

 

高橋さん:

昨年にご利用明細書の発行手数料を変更した際、想定されるお問い合わせ件数の急増に対応するため、LINE WORKS社に依頼し、オペレーターを経由せずSMSで案内を送信するシナリオを用意していただきました。おかげで、急な要望にも関わらず、柔軟かつ迅速な対応により、オペレーターの負荷増加を防ぐことができました。

数値では測れない定性効果はどのようなものでしたか。

高橋さん:

IVRやSMS、オペレーターへ繋がるまでの長いアナウンスやボタン操作といった煩わしさが軽減され、顧客満足度向上に確実に貢献してくれていると思います。AIがお問い合わせ内容を聴取することへのクレームも少なく、多くのお客さまに受け入れられているように感じます。

 

小山さん:

オペレーターにとっては、ダッシュボードで事前に用件の概要を把握できるようになってから、通話に対応する心理的負担がかなり和らいでいると思います。また、お問い合わせ内容が細かく分類されたことで、新人オペレーターが自分に対応できる用件だけを受けられるようになりました。

LINE WORKS AiCallのさらなる活用に向けてどんな展望を抱かれていますか。

池田さん:

SMS完了率とIVR転送率の向上を目指し、2024年11月にSMS送付を増やすシナリオ改修を行いました。今後その成果が現れて無人対応が増加し、オペレーターの負荷がさらに低減することを見込んでいます。

 

現在はAIナビを問い合わせ内容の振り分けに用いていますが、将来的にはLINE WORKS AiCallの機能をさらに有効活用して、カードの利用状況確認やポイント交換、住所変更など、多くの手続きをAIナビ内で完結できるようにしたいと考えています。

 

小山さん:

他のデジタルチャネルともシームレスに連携させ、例えばWebサイトで確認した内容についてAIナビに質問したり、アプリからAIナビにアクセスして手続きを行ったりと、お客さまが自由にチャネルを選択できるようになることでUXも向上させたいですね。

 

高橋さん:

対応した内容をAIに学習させてより精度の高い自動応答を可能にすれば、オペレーターの負担がさらに軽減できると考えています。将来的には、過去の問い合わせ履歴やお客さまの属性情報などを活用し、より高度な応答やパーソナライズされたサービス提供につなげたいです。

 

【お話を伺った方】

池田 勇介さん

PBX、IVR、通話録音装置などの運用・保守に携わる。AIナビ導入にあたってはプロジェクトを統括した。

 

高橋 ももこさん

カスタマーサービスのDX推進担当として、顧客接点のデジタル化に携わる。

 

小山 美裕さん

オペレーター時代の経験を活かし、運用現場におけるAIナビの活用推進を担当。

 

※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2025年1月当時のものです。

受注業務の省力化にLINE WORKS OCRを活用。クラウドFAXで受信する伝票処理の効率が80%アップし、データを基幹システムに手入力する負担が大幅に軽減

  1. 鹿児島県鹿児島市に本社を置く株式会社フレッシュ青果は、ホテル、飲食店、病院、学校などへ業務用青果を仲卸する企業です。九州から関東までの20営業所で、仕入れた新鮮な青果を迅速に流通させ、顧客へ供給しています。同社は、日々大量に受信するクラウドFAXの注文書をLINE WORKS OCRで読み取り、データを販売管理システムへ自動入力する仕組みを構築しました。このことで、受注業務のスピードアップと営業社員の残業時間の削減に成功しました。

 

本事例のポイント
  • クラウドFAXが受信する注文書からフォーマット化されたファイルのみを選別してLINE WORKS OCRに読み取らせる仕組みを構築
  • 約4万件/月の半数強の注文書の内容をLINE WORKS OCRがデータ化して販売管理システムに自動登録
  • 営業社員が受注データを手入力する作業が軽減して残業時間も縮減

注文データの入力業務を省力化するためLINE WORKS OCRを導入。「使いやすさ」「読み取り精度の高さ」「ランニングコストの低さ」が選定の決め手に

御社の事業の特長を教えてください。

澄川さん:

当社は、鹿児島県鹿児島市に本社を置き、西日本から関東まで広範囲にわたって営業拠点を展開しています。広域の仕入先と契約することで、他に類を見ないほど多種多彩な商品を流通させています。野菜や果物類の鮮度を保つため各営業所に大型の冷蔵庫を完備し、仕分け作業などはその庫内で行い、自社の営業社員が商品1個から冷蔵車で迅速に配送することをモットーとしています。

 

青果卸業界はデジタル化が遅れているイメージがありますが、御社は積極的にICTを活用されていますね。

澄川さん:

年間約2,000種の旬の青果をおよそ3万社のお客さまにお届けしている当社は、サプライチェーンの効率化を目指し、10数年前からICT化を推進してきました。例えば、いつでもどこでもスマホアプリやPCからアクセスして手軽に発注いただける「FOLOS」というシステムを開発し、受注データの自動入力を実現しています。また、2024年度にはCEO直轄のDX推進室を設置し、各部門から選抜された担当者が連携しながら全社横断でDXを推進する体制を整えています。

 

村山さん:

ITベンダーである当社は、販売管理システムをはじめとする基幹システムやFOLOSの構築などを通じてフレッシュ青果さまの業務効率化をご支援しています。FOLOSは受注業務の省力化に貢献していますが、依然として多くのお客さまがFAXで注文書を送信されることから、クラウドFAXの導入もサポートさせていただきました。

 

AI-OCR導入の背景と、LINE WORKS OCRを選定された理由を教えてください。

澄川さん:

クラウドFAXの導入によって受注がペーパーレス化し、個々のお客さまを担当する営業社員への注文書も自動的に振り分けられるようになりましたが、販売管理システムへの入力作業は営業社員が手作業で行っていました。営業社員は商品のピッキングから配送も担っており、受注データの入力に手間取ったり誤入力が発生したりすると、納品が遅れる要因となってしまいます。それを防ぐには、受注データの入力作業を省力化する必要があると考え、ITブレイドさんにご相談しました。

 

 

村山さん:

フレッシュ青果さまの課題を解決するには、クラウドFAXが受けた注文書の内容をAI-OCRに読み取らせ、そのデータを自動的に販売管理システムに入力させるようにするのが最良の方法だと考えました。いくつかのツールを比較検討した結果、読み取り精度が高く、操作性も優れいているLINE WORKS OCRを選定しました。

 

澄川さん:

他社のAI-OCRサービスは、読み取る項目ごとに料金が発生する従量課金制が多い中、LINE WORKS OCRは1帳票あたり50項目まで同一料金です。青果の注文書は読み取り項目数が多いので、ランニングコストを抑えられる料金体系であることも選定の決め手となりました。

約4万件/月の注文書の半数強をフォーマット化して、商品コードや注文数をLINE WORKS AI-OCRに読み取らせる仕組みを構築

LINE WORKS OCR導入にあたって、事前にされた準備はありますか。

村山さん:

それまでお客さまが送信される注文書には特定の様式がなく、例えば「キャベツ×2」などと書かれたメモが送られてくる場合もありましたが、OCRで読み取らせるにはフォーマットが必要です。できるだけ多くのお客さまの注文形態に対応できるよう4種類のフォーマットを用意し、必要な商品の数量と納品希望日を記入してもらうようにしました。お客さまのFAX機は家庭用から高性能複合機までさまざまなので、何度もテストをしてLINE WORKS OCRが読み取りやすい解像度やフォーマットの枠のサイズなどを決めていきました。

 

澄川さん:

フォーマット作成と、クラウドFAXや基幹システムとの連携を進めるのと平行して、今後はFAXによる注文書をフォーマット化することをお客さまに説明し、AI-OCRにスムーズに読み取らせるために数字を枠内に丁寧に記入していただけるよう呼びかけました。

 

ただし、曜日ごとに必要な商品を1週間分まとめて発注したいというお客さまや、フォーマットに収まり切れないほど多品目の商品を発注されるお客さまなどもおられます。そうしたお客さまには従来どおり、自由形式の注文書を送信していただくこととしました。本店と全営業所を合わせて毎月4万件ほどの注文をクラウドFAXで受けていますが、そのうち約半数にあたる2万件強の注文書がフォーマット化されました。

フォーマット化された注文書FAXだけをLINE WORKS OCRにAPI連携させる工夫もされたそうですね。

村山さん:

読み取りが困難な定型外の発注書までLINE WORKS OCRに流したのでは、無駄なコストがかかってしまいます。それを避けるためにGoogleのOCR API機能と連携させ、フォーマットのヘッダに記載した「AINETFAX」という文字がない注文書はLINE WORKS OCRによる読み取り対象外とする仕組みをつくりました。LINE WORKS OCRに渡された注文書は、4種類のフォーマットごとに定義した座標を当て込んで文字を読み取らせるようにしています。

4種類のフォーマットのいずれかに該当する注文書が自動的に選別されてLINE WORKS OCRで読み取られる

注文書の処理に費やす時間がほぼ半減し、営業社員の残業を削減

LINE WORKS OCRの導入が決まったときの社内の反応はいかがでしたか。

澄川さん:

導入前は「お客さまが記入した手書きの文字をちゃんと読み取れるのか?」、「コストに見合ったリターンが見込めるのか?」などと疑問視する声もありましたが、実際に運用を始めると、毎月2万件強もの注文書が自動的に処理されるようになり、LINE WORKS OCRの性能の高さに社員一同驚きました。

 

注文書の内容をLINE WORKS OCRがデータ化して販売管理システムに登録するようになったことで、受注業務の生産性が大きく向上した

クラウドFAXによる受注業務はどのように効率化しましたか。

澄川さん:

フォーマットに則った注文書でも記入された数字が罫線と重なったりしているとAI-OCRがうまく判別できないことがあり、その場合は目視で確認してデータを手入力しなければなりません。そのため、月2万件強の注文書のすべてが自動的に販売管理システムに取り込まれるようになったわけではありませんが、以前は1時間あたり平均約20伝票だった処理数が36伝票となり、およそ80%も作業効率がアップしています。1伝票あたり3分かかっていた処理速度は1.33分に短縮され、作業時間としては約56%も削減されたことになります。

 

働き方改革にも注力している当社は、2023年4月より営業時間外の留守番電話での受注を廃止するとともに、FOLOSによる注文は当日の午前2時、FAXによる注文は前日の20時と受注の締め時間を設けました。その結果、当日の早朝に注文書を送ってこられるお客さまに対応するために営業社員が朝早くに出勤するといったことがなくなりました。そうした対策による効果とLINE WORKS OCRの導入効果があいまって、営業社員の残業時間は確実に削減されています。

 

当社には営業社員が約500名おり、毎日1人1時間の残業をするだけでもトータルで500時間になるので、残業にかかるコストとLINE WORKS OCRの導入コストを単純に比較しただけでも、十分な投資効果が得られていると感じています。

 

村山さん:

青果卸業界も他の業界と同様、深刻な人手不足に悩まれています。デジタル化の推進によって長時間労働を抑制し、働きやすい環境を実現していることは、求人活動における訴求ポイントにもなるはずです。業務生産性の向上に加え、LINE WORKS OCRを導入したことによるそうした副次的効果もけっして小さなものではないと思います。

さらなる業務のデジタル化に向けてどんな展望を抱かれていますか。

澄川さん:

現状でも十分な導入成果が得られていますが、理想は注文書データの販売管理システムへの手入力をゼロにすることです。その究極の目標に向けてLINE WORKS OCRの読み取り精度がいっそう向上することに期待しています。

 

現時点では受注処理にのみ活用していますが、例えば仕入伝票や納品書などはすべて一定のフォーマットで作成されるので、AI-OCRで読み取りやすいはずです。LINE WORKS OCRで効率化する業務の範囲を広げることで、さらなる生産性アップを図っていきたいです。

 

 

【お話を伺った方】
澄川 和治さん

情報システム部で社内システムの運用を管理。2024年度に発足したDX推進室の室長を兼務する。

 

村山 亙さん

株式会社ITブレイドの取締役 ICT事業部長 兼 営業部長として顧客企業のIT化を支援する。

 

※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2024年7月当時のものです。

業務用厨房器具の総合商社がFAXによる発注書をAI-OCRに読み取らせ、販売管理システムへのデータ入力を自動化。この取り組みに成功したのを土台として、さらなるDXに弾みをつける

業務用厨房器具と食器の卸売り、企画・開発、コンサルティングを行う新潟県燕市の江部松商事株式会社は、全国約4,000の販売店を通じて、食にかかわる人たちが必要とする道具を提供しています。このほどその受注業務を省力化するため、販売管理システムの受注入力プログラムにAI-OCR のLINE WORKS OCRを採用し、CTI(Computer Telephony Integration)でイメージ化した FAXの発注内容を自動的に読み取りデータ化する仕組みを構築。人の手による受注データの入力作業を減らすとともに、ペーパーレス化や残業時間の短縮など多くの成果をあげています。

 

本事例のポイント
  • 手頃なコストで高精度なAI-OCRを導入し販売管理システムと連携
  • FAXで受信した発注書の内容が自動的に読み取られ、人手によるデータ入力作業が軽減
  • 入力データの正誤チェックのための出力枚数が減り印刷コストと紙資源を節約
  • 業務効率化にともない残業時間を縮減

 

1,500/日の発注書をFAXで受信。人の手で行っていた受注データの販売管理システムへの登録と、入力したデータの正誤チェックにかかる業務負担を減らしたい

御社は業務用調理用品の総合商社として豊富な品揃えを誇り、卸売りにとどまらずオリジナルブランドの開発からコンサルティングまで幅広い事業を展開されているそうですね。

松井さん :

当社は約8万5,000SKUのアイテムを取り扱っており、東京ドームに匹敵する広さの自社倉庫に約5万SKUの商材を常備して、全国の販売店様からの発注に即応しています。「こんな商品がほしい」「こんな商品があったらいいのに」という声をもとにオリジナルブランドも開発し、洋食器や金属加工品の産地として世界的に知られる燕三条地域のメーカーと連携してお客さまの細かなニーズに対応しています。

 

また、レストランや居酒屋など店の種類ごとに必要な備品リストを用意しており、新規開店・開業を目指す飲食店にベストなアイテムをご提案するといったコンサルティング業務にも力を入れています。様々なかたちで調理に関わる人たちに「便利」を提供することで、食事をされるお客さまに「幸せな時間」をお届けするのが私たちのミッションです。

 

AI-OCRを導入する以前は、どんな業務課題を抱えていましたか。

松井さん :

当社は1日平均2,000件以上の注文を受けていますが、卸売業界は全体的にデジタル化が遅れており、約6割にあたる1,200件ほどの発注書がFAXで寄せられます。受信したFAXはCTI(Computer Telephony Integration)で画像データに変換してモニターに表示し、社内で受注入力担当者が、もう1台のモニターを見ながら受注内容を販売管理システムに入力していました。

 

 

12名の受注入力担当者が受注データを入力するのにおよそ5時間かかるうえ、人手ではどうしても誤入力が発生してしまいます。FAX画像と照らしての正誤チェックは画面上でもできますが、多数の受注品を速やかに発送するには急いで確認する必要があるので、システムに入力されたデータを受注伝票として出力し、10名の担当者が約3時間かけてFAXの元データと照合していました。データの入力と確認に費やす1日の労力は合計90人時に上り、受注件数が増える休日明けや年度末には、さらに多くの人員と時間を割かなければなりません。

 

この業務負担を軽減させることに加えて、受注伝票の印刷に大量に使う紙資源を節約することも、以前からの大きな課題となっていました。

課題解消に向けてLINE WORKS OCRの運用に至った経緯を教えてください。

松井さん :

当社が30年ほど前から利用している販売管理システムを開発し運用をサポートしていただいているソフトウェア開発会社の奏風システムズさんから、FAXに記載された発注内容を自動的に読み取ってデータ化するAI-OCRの活用を勧められて興味を持ちました。

 

 

奏風システムズ 赤塚さん :

私どもは、マジックソフトウェア・ジャパン株式会社が提供するローコード開発ツール「Magic xpa」 を用いたビジネスアプリケーションの開発を中心に行っており、江部松商事様の販売管理システムも同ツールで構築しました。その販売元であるマジック・ソフトウェアに関わりのあるAIコンソーシアムに参加した際に、LINE WORKS OCRが画像を認識するデモを見て、書いた本人でなければ分からないような手書き文字まで読み取る識字能力の高さに驚かされました。

 

聞くところによると、LINE WORKS OCRは認識精度を高めるためのAIの研究開発に大きな力を入れ、学習に基づいたアップデートが頻繁に行われているということです。OCR の精度を競う世界的コンペティションでめざましい実績もあげており、多様な現場業務で役立つに違いないと確信しました。

 

認識率の高いAI-OCRは他にもありますが、その多くはランニングコストが高く、おいそれと企業さまにお勧めすることはできません。その点、LINE WORKS OCRは高精度でありながら他社のものと比較してリーズナブルな料金体系です。江部松商事様がデータ入力とチェックに苦労されていることは私どもも知っていたので、ぜひこれを活用して業務を効率化していただきたいと思いました。また、使いながら修正と改良を加えていくことができるMagic xpaとの組み合わせは、導入に向けて非常に有効だとも考えました。

 

 

松井さん :

実際にFAXによる注文書のCTI画像をLINE WORKS OCRで読み取らせるテストを実施したところ、識字速度は申し分なく、また識字精度もかなり高いことを実感しました。ただし、さすがに識字率100%とはいかないため、OCRが読み取ったデータを人が元データと突合して確認する作業まで省略することはできません。

 

しかし、「100点を求めたのでは前に進めない。生産性向上に寄与するのは間違いないのだからやってみよう」と当社の社長が決断したことで、AI-OCRを導入するプロジェクトがスタートしました。

 

OCRベースの受注エントリーを開発して販売管理システムと連携させ、現場担当者の意見を反映した操作しやすいUIを設計

AI-OCR導入プロジェクトの流れと、取り組みにあたってどんな工夫をされたかをお聞かせください。

松井さん :

受注処理をできるだけ効率化するため、注文書をAI-OCRで単純にデータ化するのではなく、販売管理システムの受注入力プログラムに組み込むことで、 人にかかる負担がより少ない仕組みをつくることを目指しました。

 

奏風システムズ 赤塚さん :

そのためにAI-OCRベースの新しい受注エントリーを当社がMagic xpaで開発し、読み取った受注データを担当者の方がモニターで確認してから販売管理システムに登録するフローを整えました。

 

松井さん :

プロジェクトを進めるにあたって我々システム部が特に配慮したのは、受注データを処理する現場の担当者に、このツールを活用することのメリットをしっかり理解してもらうことでした。AI-OCRを稼働させれば人の手によるデータ入力量が減るので、一部の受注入力担当者にはそれまでとは異なる業務に回ってもらうことになります。そのことを「IT化によって仕事を奪われる」と捉えるのではなく、「別の意義ある業務に就く」と感じてもらえるように説明を尽くしたつもりです。

 

プログラムの開発段階では、LINE WORKS OCRで読み取ったデータとFAXの元データをどう並べたら照合や修正をしやすいかについて担当者に意見を出してもらいながら、使いやすいUIを追求しました。

FAXによる受注(右)からLINE WORKS OCRが文字を認識し、受注システム(左)に自動登録される

 

手書き文字が含まれていても指定した項目別にLINE WORKS OCRが自動識別し、テキスト化できる

 

奏風システムズ 赤塚さん :

LINE WORKS OCRを活用したシステムの基盤を構築するのに約3カ月、それからさらに約3カ月かけて、現場のご担当者に実際の受注業務を想定した作業をしてもらうことで抽出した課題を修正。合計6カ月ほどの開発期間を経て、本格的な運用にこぎつけました。

 

ご満足いただける開発ができたと自負していますが、その背景には江部松商事様のシステム部、現場担当者様、当社のスタッフが一体となって意見を出し合いながら取り組めたことがあります。

 

FAXによる受注データ処理に要する労力がほぼ半減し、残業時間を短縮。確認のための受注伝票の印刷コストも減り、高い費用対効果を実感!

LINE WORKS OCRを活用することで受注業務はどう変化しましたか。

松井さん :

注文書のフォーマットはお客さまごとに異なるので、まずは発注数の多いお客さまのフォーマットからテンプレートを作成してスモールスタート。徐々にテンプレートを追加してLINE WORKS OCRで読み取れるお客さまを増やしていきました。

サンプル画像をベースにできるのでテンプレートの作成はとても簡単で、マウスで範囲指定して場所を選ぶだけでフィールドが作成でき、フィールドのコピー機能があるのも便利でした。

 

現在は、FAXで送付される発注書の5割近くが自動的に読み取られています。受注入力担当者が入力するデータと紙に出力して確認するデータの量がほぼ半減したことで、受注処理に要する作業時間もほぼ半減しました。

そのことで残業時間を縮減することができましたし、普段より量が増える休日明けの受注処理にも、以前よりゆとりを持って対応できるようになっています。

費用対効果についてはどう感じていらっしゃいますか。

松井さん :

AI-OCR サービスは読み取る項目数に応じた課金がなされるのが一般的だと聞きますが、LINE WORKS OCR は各発注書の情報量を問わないシート単位での課金であることを考えると、ローコストで十分な効果が得られたと満足しています。

 

FAXによる発注書を1日1,200枚受信すると、営業日が20日あるとして1カ月で2万4千枚に上ります。以前は販売管理システムに入力したデータに誤りがないかをチェックするためにそのすべてを受注伝票として出力していましたが、LINE WORKS OCRで読み取った発注書に関してはモニター上で元データと照合できるようにしたので印刷する手間とコストを省くことができ、さらに大幅な紙資源の節約となったことは、当社が掲げるSDGs活動にもつながりました。

 

最新技術を導入したのが刺激となって社員の改善意欲が向上。LINE WORKS OCRの活用範囲を広げつつ、より多くの業務効率化を図りたい

業務のこうしたデジタル化に対する社員の皆さんの反応はいかがですか。

松井さん :

システム部が主導してIT化を進めると、現場から「操作の仕方がよく分からない」「使いづらい」といった疑問や不満の声が上がりがちですが、AI-OCRの導入については開発段階から現場担当者に参画してもらったこともあり、そうした不満は皆無でした。

 

これまで人の手に頼ってきた受注データの入力を、AI-OCRのような最新技術で自動化できることを目の当たりにしたことで社員が刺激を受け、ITに対する関心と業務改善意欲を高めるきっかけとなったことも大きな成果です。

 

奏風システムズ 赤塚さん :

システム面で業務をサポートする私どもの立場としても、AI-OCRの導入に際して「どうすればより操作しやすいシステムになるか」を現場でよく話し合い、自分たちのアイデアをかたちにされたことは、本当に有意義な経験となったのではないかと思っています。

LINE WORKS OCRの活用やさらなる業務のデジタル化に対してどんな展望を抱かれていますか。

松井さん :

今はFAXによる発注書のデータ化だけに活用していますが、今後はその利用範囲を、人手に頼っている別の業務にも広げていきたいと考えています。膨大な量の商品を保管している倉庫のITインフラ整備を進めているので、在庫管理などにもAI-OCRを活用できる余地はあるはずです。

そうした取り組みを通じて目の前にある課題を1つずつクリアしながら社員のデジタル化やAI活用に対する抵抗感をなくし、DXを着実に推進しくつもりです。

 

 

奏風システムズ 赤塚さん :

自社がどれだけデジタル化を進めても、取引先が送付してくるFAXの発注書をなくすことはできません。その受注処理をLINE WORKS OCRで飛躍的に効率化されたことをご紹介すると、強い興味を示される企業さまが少なくありません。

 

また、「100点ではなくても追求する価値があるのならやってみよう」と取り組みを進めた江部松商事様の決断に共感される経営者の方もたくさんいらっしゃいます。この事例をより多くの企業さまにお伝えすることで、新潟県の企業の業務効率化や活性化に役立てればと思っています。

 

 

※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2024年5月当時のものです。

 

帳票データの入力時間を6分の1に削減!LINE WORKS OCR×RPAを組み合わせ、手書き情報のデータベース化し、経理業務のブラックボックスを可視化

株式会社シマコーポレーションとは?

近畿エリアに11の店舗を構える金物・工具の小売専門店。スローガンである「私たちは職人さんの強力サポーターです」の言葉通り、建設現場のニーズに沿った商品の開発・販売を通じて職人を支えている。2014年よりEC部門がスタート。日本全国へ良質な金物・工具を提供し、職人のサポートを通じた社会貢献を目指している。

 

本事例のポイント

・導入以前の課題
– 業務拡大にともなう人的リソース不足を解消したい
– 紙の帳票データを管理ツールに手入力する作業を削減したい

  • ブラックボックス化した経理業務を見える化したい

・導入後の成果

  • 紙の帳票データの読み取り・入力を自動化し、作業時間を6分の1に削減
  • ビッグデータを扱う部署と連携を強化し、販売計画の改善に期待
  • DX事例の創出により、社内の業務効率化の意欲が高まる

EC部門の誕生により高まるDXの機運。RPA×OCRによる業務効率化を検討

御社の業務内容と、お二人の業務について教えてください。

高原さん

弊社は建築職人向けの金物や工具、作業着等の小売り販売を行う会社で、近畿エリアである京都・大阪・兵庫へ11の実店舗を展開しています。金物・工具の卸売りである株式会社島袋が本社であり、1995年にBtoCの小売り販売へと進出しました。

筒井さん

高原と私が所属するEC課は、2014年に設立されたネット販売を専門とする部門です。現在は楽天、Amazon、Yahoo!、auのショッピングモールに出店し、実店舗で扱っている商品を全国に向けて販売しています。

お二人が所属するEC課はどのような経緯で生まれた部署なのでしょうか。

 

高原さん

社長から「ネット販売を始めたい」という希望があり、当時実店舗で働いていた私に声がかかりました。特に実店舗の売り上げが不調だったというわけではなく、プラスアルファで何か新しいことを始めようという趣旨での立ち上げでした。当時大手の同業他社がネット販売に進出を始めており、順調に売り上げを伸ばしている会社もありましたので、弊社もその波に乗り遅れないようにということでスタートしました。

 

筒井さん

はじめは高原と常務の川満の二人でスタートし、1年半後に私が加入しました。高原と私は共にPCの知識に乏しく、勉強しながら少しずつ事業を拡大していきましたね。この業界はPCを活用した事業展開に積極的ではない企業が多いので、業界内では早く取り組み始めた方だと思います。その後もゆっくりと出店するモールを増やしながら部署が大きくなり、現在は社員9名、パート3名の全12名が所属する部署となっています。

OCRを導入しようと思われたきっかけを教えてください。

高原さん
OCRを検討する前に、実は元々私がRPAを使って業務の効率アップを試していました。ECサイトが好調で、出品アイテム数や出店モールが増えるにつれて、人的リソースが不足するようになってしまったんですね。しかしスタッフは簡単には増やせませんので、まずは日頃PCで作業していることを自動化し、他の作業に充てられる時間を増やそうと考えました。受注管理システムの操作やEXCELファイルへの入力作業など、日々のルーチン業務はRPAでかなり効率化できています。

この取り組みが社長の耳に入り、さらなる効率化に興味を持たれました。ちょうど社長と私が一緒に参加したセミナーで、他社の社長から「RPAとOCRを組み合わせるといい」という話を聞いたばかりでしたので、運用に成功しているRPAとOCRの組み合わせを具体的に検討してみようという運びになりました。

 

紙帳票の手入力作業が人的コストを圧迫。OCRで業務自動化による省コストに期待

当時の御社では、OCRを使ってどのような問題を解決したいと考えていたのでしょうか。

高原さん

我々の業界では、大手も含めて納品書や領収書は紙で発行するのが通例ですので、いただいた納品書の情報を自社の在庫管理システムに手入力するという業務が発生します。また、一時期メーカーさんの手違いで納品書に誤った単価が記載されることが続いていましたので、私が毎日チェックするという業務も発生していました。この2つの業務は納品書の枚数に比例して業務量が増えますので、時には他の業務のための時間を圧迫することもあり、できればOCRを使ってチェック作業を自動化・簡略化したいと考えていました。

 

<読み取っている書類例:納品伝票、出荷案内書>

 

筒井さん

もうひとつ、社長が考えていた課題として「経理部門のブラックボックス化」がありました。業務のデジタル化ができていなかったこともあり、経理の業務内容が外からは何も見えないという状態になっていました。社長はこの状態を優先的に解消したいと考えていたようで、RPAとOCRを組み合わせて経理を効率化させたという東京の会社を訪問したこともありました。

OCRの導入はスムーズに進んだのでしょうか。何か障害はありましたか?

 

筒井さん

最初に「そもそもOCRは実用に耐えうるのか」という問題が浮かび上がりました。納品書の数字を、サイトで検索したAIでない無料版のOCRで読み込んだところ、ほとんど文字化けのような出力しか得られなかったんです。では識字率の高いAI-OCRはどうかというとやはり高額で、課題解決へのコストが高すぎるという点に大きな課題が残りました。

 

圧倒的なローコストと識字率の高さが決め手。わずかな導入コストで紙帳票のデータ化を検証し、データ入力の自動化を実現!

そうした課題を踏まえ、LINE WORKS OCRを導入した決め手は何だったのでしょうか。

筒井さん

やはりコストパフォーマンスが決め手でした。単価間違いが続いたので伝票を全チェックせざるを得ないですが、手作業で確認するにはそれなりのリソースが必要となります。社長も経理の課題解決を含めてOCRの導入には意欲的だったのですが、他社さんを見学させていただいた際にも「AI-OCRは高い」という話を改めて聞いたので、できるだけコストを安く抑えられるAI-OCRを探していました。

 

そんなときに見つかったのがLINE WORKS OCRです。注目したのは、なんといってもコストの安さです。他社では1枚の書類の中にある項目ごとに料金が発生する従量課金制が多かったのですが、LINE WORKS OCRでは50項目までは1枚として計算する料金設定です。読み取ってほしい帳票の項目数が40項目前後と多いこともあり、1枚あたりの料金差は歴然でした。おそらくは2倍程度の差はついていたと思います。

最大の課題とされていた料金面がクリアできたんですね。その後は契約までスムーズに進まれたのでしょうか。

筒井さん

正直なところ、出力されるcsvやtxtの形を見るまでは不安でした。一度契約すれば最低1年間は使い続けなければなりませんので、可能な限り疑問や不安を払拭し、納得した形で契約したいと考えていました。

 

幸いLINE WORKS OCRはセミナーを頻繁に開催されており、実際の帳票を読ませて出力を見せてもらう機会がありました。出力したデータをEXCELのPowerQueryで整形すれば、十分扱いやすい形になるイメージもできました。残るは識字率の問題でしたが、出力されたテキストはほぼ100%正確と想定以上。料金面でも全く問題がありませんでしたので、LINE WORKS OCRの導入を決定しました。サポート面が手厚いのも安心できましたね。当初は初期導入がサポート対象と伺っていましたが、契約中もサポートを続けていただけるということでしたので、何かあっても「なんとかなるかな」と思えたのは大きかったと思います。

LINE WORKS OCRを導入されて以降、どのように活用されていますか?

筒井さん

主に出荷案内書と納品書の2つの帳票をデータ化しています。メーカーからいただいた出荷案内書に記載された品目・数量を確認し、問題がなければ在庫管理ソフトへ入力しています。これまで手入力していた作業が、PowerQueryで自動整形したデータを流し込むだけで済むようになりましたので、大幅な時間短縮になりました。具体的には、出荷案内書が5枚あると30分以上の時間がかかっていたのですが、今はOCRとPowerQueryを使って5分程度まで短縮できています。

<実際に利用しているPowerQuery>

 

納品書の単価チェックもほぼ全て自動化できており、手作業で行っていた従来の作業は全てLINE WORKS OCRとPowerQueryに任せています。また納品書の情報をデータベースに集約し、入荷数や出荷数、時期の分析による需要の把握ができる道筋が見えてきています。

 

実店舗に広がる業務効率化の可能性。LINE WORKS OCRでDX改革を促進する

LINE WORKS OCRを導入した結果、想定していなかった成果がでたというような事例はありますでしょうか?

 

筒井さん

現時点の成果は想定の範囲内ですが、OCRを通してPowerQueryで整形できるという成功事例ができたのは大きいと思います。また、これまでアナログな帳票にしかなかった数字や情報をデジタルデータ化できるようになりました。弊社にはビッグデータの扱いに長けた部署がありますので、将来的に有効活用してもらえることを期待しています。

 

高原さん

新しいツールがひとつ増えたことで「試しにこれをやってみよう」と行動を起こしやすくなったのは成果と言えるかと思います。実店舗で使えるポイントカードのお客様情報をOCRでデータ化できないかという話があり、実際に試してみたことがあります。結果として実店舗でお客様に情報を書いてもらうフローの改善が必要という結論になったのですが、そうした新しい発想と改善に繋がるきっかけが生まれやすくなったと感じます。

LINE WORKS OCRのさらなる活用に向けた今後の展望を教えてください。

高原さん

現時点においては、LINE WORKS OCRを活用しているのはEC課のみです。我々が実感しているLINE WORKS OCRによる業務効率化の波を、弊社の売り上げの大半を占める実店舗の業務効率アップに繋げていきたいですね。心配なのはコスト面ですが、複数店舗合同での導入なら実現性が高いと考えています。

 

筒井さん

私達だけでもこれだけの改善ができました。また紙ベースの情報をデータ化する事で、今まで社内で眠っていた貴重な情報を創出できると考えています。もしLINE WORKS OCRの活用が実店舗部門にも広がれば、業務改善に留まらず顧客属性増加や販売計画などへの活用など、可能性は計り知れないと思います。とはいえ、現場の諸業務にOCRを活用するというのもなかなかピンと来ないと思いますので、他部署を連携しつつ業務効率化の成功例を積み重ね、やがては全社規模のDXに繋げられるように現場改善への理解を深めていきたいと考えています。

 

高原さん

実店舗では今もあらゆるデータの手入力に多くの工数を割いています。また、現時点では社長がOCRに求めた経理の改善も果たせていません。私と筒井が体感したOCR×RPAの恩恵は、社内のあらゆる課題を解決する力を持っています。今私たちにできるのは、LINE WORKS OCRの有用性を証明し続けることです。これからも関係部署との連携を強めながらLINE WORKS OCRの実績を積み重ね、社内のDX改革の促進に力を注ぎたいと考えています。

 

【お話を伺った方】
高原 景太郎さん

ネット販売を専門とするEC部門の責任者

筒井 悠さん
EC課にて、2015年よりEC部門の拡大に携わる

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年5月当時のものです。
※文中の第三者の商品またはサービスの名称等は、各社の商標または登録商標です。

 

アナログ文書オンライン検索システム構築にLINE WORKS OCRを採用。製品カタログの検索性が向上し検索時間が1/20に短縮。営業員が外出先でも即座に回答・提案が可能に

2010年9月創業。事業コンセプトは「新しい出会いを生み出す」。誰かと誰かの出会いの架け橋となるべく、人と人をつなぐ「婚活サービス事業」、企業と企業をつなぐ「レンタルオフィス事業」、人と企業をつなぐ「IT・Web関連事業」および「広告物制作事業」を展開している。

 

本事例のポイント
  • 紙の製品カタログをLINE WORKS OCRでデータ化し、スマホでも手軽に商品検索が可能なシステムを構築
  • 製品カタログの商品検索時間が従来の20分の1に短縮
  • 紙カタログを調べるために2時間かけて事務所へ戻ることがなくなり、1日あたりの営業件数が増加

 

「紙の製品カタログから商品を探し出すのが大変」という相談がきっかけで、LINE WORKS OCRに着目。決め手は読み取り精度の高さ

株式会社トアイリンクスについて教えてください。

井田さん:

当社は主に婚活サービス事業、レンタルオフィス事業、IT・Web関連事業、広告物制作事業の4事業を展開しています。当社の事業に共通しているのが、「人や企業とのつながりを作って、新しい出会いを生み出す」というコンセプトです。4つの主要事業を持ちながらも、例えば喫茶店の空間デザインを担当するなど、事業コンセプトに即した幅広いサービスを提供しています。

 

LINE WORKS OCR導入に至る経緯を教えてください。

井田さん:

当社のIT・Web関連事業では、お客さまのホームページ制作やシステム開発、社内インフラ整備、サーバー移転などのサービスを提供しています。今回、LINE WORKS OCRを活用しているのは、食品容器や衛生製品などの卸売業を営んでいる当社のお客さまになります。

 

経緯としては、お客さまとの商談時に、「メーカーから定期的に製品カタログやFAXが届き、それらを随時、紙の原本のままファイリングして管理しているが、ファイリングの作業自体に手間がかかり、また該当の商品情報を探すのにもかなり時間がかかっている」というご相談をいただいたのが、OCR(Optical Character Recognition)検討の始まりでした。

 

その話を受けて、紙の製品カタログの情報をテキスト化できれば課題が解決できると着想。後日、OCRを用いて製品カタログをデータ化し、Web上でテキスト検索できるシステムを提案したのです。お客さまから提案に快諾いただけたので、同システムの核となるOCRサービスをさまざまな角度から検討することにしました。

複数のOCRサービスを比較検討されましたが、LINE WORKS OCRを選んだ理由は何でしょうか。

井田さん:

今回構築したシステムは商品検索が目的ですから、紙の製品カタログのテキストを正確にデータ化する必要があります。近年AI技術が著しく進歩していることを踏まえ、100%に近い読み取り精度を持つ OCRがないだろうかとさまざまなOCRアプリやOCR APIを検討し、実際にいくつかのサービスを試用してみました。その中でもLINE WORKS OCRのAIによる読み取り精度は、ほかのOCRと比較しても極めて優れていることが確認できたため、同OCR APIを採用しました。

LINE WORKS OCRのコスト面はいかがですか。

井田さん:

コストパフォーマンスが優れていると感じました。加えて、買い取り型ではなく月額料金制であるため、初期費用を抑えられたのも良かったです。

 

今回契約したのは、読み取り枚数上限10万枚の「非定型(General)」プランです。お客さまからは、10万枚も読み取る必要はなさそうだから、もう少しコストを抑えられないかと言われましたが、実際に何枚読み取ることになるかは分かりません。そこで、LINE WORKS社との契約をお客さまではなく当社にして、今後OCRを組み込んだシステムを導入するクライアントを増やすことで、お客さまの費用負担を抑えられる仕組みを整えました。

 

製品カタログ情報を調べるために最長2時間移動していたが、現在の移動時間はほぼゼロ。問い合わせの即時回答も実現。

具体的にLINE WORKS OCRを活用してどのようなシステムを構築したのでしょうか。

井田さん:

一言でいうと、紙の製品カタログを電子化してスマホからでも商品を検索できるシステムです。具体的には、まず紙の製品カタログをコピー機でスキャンすると、JPEGデータとしてサーバーへ転送されます。その後、JPEGデータ内の文字がLINE WORKS OCRによりデータ化され、さらにデータベースに自動登録されます。これにより、お客さまの社内ポータル上から手軽に検索できる仕組みです。なおOCRとは別に、写真などは画面から手作業で登録することも可能です。

株式会社トアイリンクスが構築したアナログ文書オンライン検索システム。
コピー機からサーバーへの転送、LINE WORKS OCRによるテキスト化、データベース登録まで、すべて自動で行われる

社内ポータル上の検索表示画面には、実際にスキャンした製品カタログの画像も表示されます。製品カタログを読み込みOCRでテキストをデータ化するだけでも情報検索が可能にはなります。しかし、それでは利便性が高くありません。例え外出先でも営業員が手軽に検索できるように、UI/UXにこだわった上で、社内ポータルとしてシステムを構築しました。

お客さまからは、どのような導入効果があったと聞いていますか。

井田さん:

LINE WORKS OCR導入前と比べ、カタログ情報を検索する時間が20分の1程度に短縮されたと聞いています。今回のお客さまの営業範囲は新潟県全域です。新潟県は南北の海岸線で300km以上もあるとても広い県なので、場合によっては、営業員が出先より最長2時間かけて事務所に戻り、紙のカタログを調べることもあり、営業員の時間や体力、精神的な負担が非常に大きかったようです。

しかし、現在はスマホで社内ポータルにアクセスしてキーワードを入力さえすれば、外出先でも即座に製品カタログの該当画像が表示されます。その結果、営業員が商品を調べに事務所へ戻るといった移動時間はほぼゼロとなり、1日あたりの営業件数が増加したようです。加えて、商品問い合わせに対しても即時回答が可能で、その場で新たな提案もできるようになり、営業先との関係がより良好になったそうです。

 

今回構築したシステムをベースに個別サービスを開発し、紙の情報管理を行うお客さまの力になりたい

今回のお客さまとは、どのように運用する予定でしょうか。

井田さん:

今回のお客さまとは、過去5年分のカタログ情報を保存しておくというお話をしています。過去の情報を残しておくことで、廃盤品の検索も可能なので代替となり得る現在販売中の商品の提案にも活かせるのではないかと考えています。例えば、「前回頼んだアレ、またお願いできる?」というご相談に対して、パソコン画面を見せながら、「既に廃盤品なのですが、こちらが代わりの新商品です」というレスポンスがその場でできることを想定しています。

LINE WORKS OCR活用の今後の展望を教えてください。

井田さん:

今回は1社に向けてシステム開発を行いましたが、紙の情報を紙のまま管理している事業者は依然として多いはずです。今回のLINE WORKS OCRを用いたシステムをベースに個別サービス化を実現し、ほかのお客さまにも広くご活用いただける仕組みを整えたいと考えています。

最後に、OCR活用を検討している事業者へメッセージをお願いします。

井田さん:

OCRは紙書類のテキストをデータ化し、業務効率を向上させる素晴らしいシステムです。一方で、まずは紙書類をコピー機でスキャンしたり、カメラで撮影したりと、テキスト化にあたっては必ず人の作業が介在します。つまり、そこには人件費が発生します。そのため、OCRを活用する際には、OCR利用にかかる人件費や作業負担なども考慮しながら、最適な業務プロセス設計によるシステム構築を行うことが大切だと考えています。

 

【お話を伺った方】
井田 昭一さん

ディレクターとして、Web関連の業務に従事している。

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2024年3月当時のものです。

 

電話によるお問い合わせをAIで自動化 繋がらないを解消し、顧客満足度向上へ

数千万人の携帯電話契約者を抱えるソフトバンク株式会社の電話総合案内窓口である「ソフトバンク カスタマーサポート」。
問い合わせ内容は、スマートフォン本体の使い方、修理、契約内容、キャンペーンや特典内容など多岐にわたっており、コールリーズンは100を超えており、電話だけでなくWebサイト、専用アプリ、チャットなど様々な問い合わせ方法を提供しています。

2022年8月、同社では顧客からの問い合わせに対応するためにLINEが提供する電話対応AIサービス「LINE WORKS AiCall」を導入し、
AIオペレータが有人オペレータに代わって一部お問い合わせ対応を開始しました。導入に至った経緯、導入時の苦労、今後の展望についてお伺いしました。

本事例のポイント

-100以上のコールリーズンが存在する、「ソフトバンク カスタマーサポート」へ、LINE WORKS AiCallの導入
-LINE WORKS AiCallのもつ、なめらかな音声合成と高い音声認識精度 / 導入に向けてのフォローアップ体制が決め手
-有人オペレータとAIオペレータのハイブリッド運営で、顧客満足度向上と、業務効率を実現

 

電話によるサポートの方が適していることもある

Z世代を中心にデジタルネイティブな世代では、アプリやチャットを使ってセルフサービスで必要な情報を得ることが多いと思いますが、電話でのお問い合わせというのも、多くあるのでしょうか。

土屋さん :

はい。若年層に比べて高年齢層の電話による問い合わせニーズが高い傾向はありますが、必ずしも年齢だけではありません。
単に情報を得るのではなく、相談したいというケースが存在しているからと、我々は考えています。電話によるお問い合わせで多いのは、請求金額、支払い状況、料金プランなどの確認を起点として、最適な料金プランや支払い方法をご相談されるケースです。
さらに、新しい料金プランや解約のご相談など、お客様にきちんとご説明が必要なケースでは、電話によるご相談を推奨しているケースもあります。

顧客満足度の向上と効率化を実現するためにAI導入

ソフトバンク様は2022年8月よりLINE WORKS AiCallをご導入いただいています。LINE WORKS AiCallを導入するきっかけになった、当時の課題について教えてください

土屋さん :

電話による問い合わせで最も困るのは、なかなか繋がらないことだと、皆様ご経験あると思います。待ち時間を減らすためには、オペレータを増やせばよいというのも、1つの解決方法だと思いますが、簡単にオペレータを増やせないのがコールセンター共通の課題なのです。

簡単にオペレータを増やせない要因は、主に何があるのでしょうか。

土屋さん :

まず1つ目に、弊社だけでなく、コールセンター共通の課題だと思いますが、問い合わせ数は繁忙期と閑散期があり、ひと月のなかでも変動します。しかし、オペレータ数を需要に合わせてきめ細かく調整することは難しく、それ以上に人材確保が十分にできない状況なのです。
そして2つ目に、オペレータの育成期間という観点があります。オペレータの育成には数か月を要します。
つながるコールセンターを実現し、そのうえでお客様のニーズにきめ細かく対応する。つまり顧客満足度の向上とオペレータの効率化、この相反する課題を解決するためにはこれまでの方法では解決できません。弊社ではこの課題を解決するためにLINE WORKS AiCallの導入を決めました。

LINE WORKS AiCallのもつ、なめらかな音声合成と高い音声認識精度 / 導入に向けてのフォローアップ体制が決め手

どれくらい前から、LINE WORKS AiCallの導入を検討し始めたのでしょうか。

土屋さん :

2021年の夏くらいから検討を始めました。ボイスボットを導入している事例は多くなく、最初は発展途上のテクノロジーなのでどこまでできるのかを確かめることから始めました。さらにコールセンターは様々なシステムが連携して運営されています。ボイスボットも当然単独ではなく、他のシステムとの連携が必要となります。システム間の連携の検証も必要でした。結果として半年ぐらいかけて、複数社のサービスを検討し、LINE WORKS AiCallの導入を決めました。

複数社検討されたとのことでしたが、その中でLINE WORKS AiCallを選んだ、決め手はどの様なものだったのでしょうか。

土屋さん :

選定時にLINE WORKS AiCallのデモを見たときに、思っていた以上に音声認識は正確で発話も自然だったので、これなら行けるということになりました。選定にあたって、音声認識や合成音声の性能を重視することは、言うまでもありません。それがこちらの求める基準に到達していなければ、他の機能がいくら優れていても選ぶことはできません。そこの基準を満たした上で、LINE WORKS AiCallを選択した理由には、電気通信事業者である弊社の非常に高いセキュリティー基準も満たしていたこと、あとは音声認識の向上やシナリオ設計などを行うための体制作りにご協力いただいた点がLINE WORKS AiCallを選んだ理由として挙げられます。

LINE WORKS AiCallの担当チームとは、どの様なやり取りをしていたのでしょうか。

土屋さん :

毎週お打ち合わせを行い、お客様が聞きやすいアナウンスにするためにはどうしたらよいか、迷わないようなシナリオにするためにどう設計したらいいかなどを、両社で議論しながら進められたのは、非常に助かりました。

有人オペレータとAIオペレータのハイブリッド型を目指す

今回のLINE WORKS AiCallの導入は、どの様な場面で活用をスタートしたのでしょうか。

土屋さん :

電話での問い合わせでは、「問い合わせ内容の確認」「本人確認」「内容に応じたオペレータへの振り分け」プロセスが基本となりますが、その中でも最初の導入は「本人確認」に決めて、スタートしました。

すべて、LINE WORKS AiCallのみで対応完結するのでしょうか。

土屋さん :

いえ、一気にAIに任せるのではなく、段階的に導入することで、有人オペレータとAIオペレータとのコンビネーションの最適化を図ることを念頭に、設計しています。まずは「本人確認」業務で導入し、次にお客様の問い合わせをLINE WORKS AiCallの音声で聞き取る「問い合わせの確認」を行い、最終的にIVRの長い音声ガイダンスを聞くことなく、お客様が適切なオペレータへつながる「内容に応じたオペレータへの振り分け」を行う予定です。

有人オペレータとAIオペレータのハイブリッド型を目指されているのですね。

土屋さん :

そうですね。最終的には、定型・簡素な応対業務についてはLINE WORKS AiCallでの手続きの自動解決により、AIオペレータの自動化を進めていき、複雑な問い合わせ・ご相談については、LINE WORKS AiCallで重要なヒアリング事項の聞き取りにより、オペレータで応対しつつ、LINE WORKS AiCallによる業務効率化を図っていきたいと思っています。

今後の展望

今後についてですが、3年後、5年後のコールセンターはどの様にあると、お考えでしょうか。

土屋さん :

3年後、5年後のコールセンターであっても、”速やかに解決できること”という本質は変わらないと思います。定型化された内容は、ボイスボットで対応し、オペレータが対応すべき複雑な相談事項や、オペレータの提案が必要なお問い合わせは、オペレータが行うことで、カスタマーの満足度を向上できるカスタマーコンシェルジュ的な立ち位置という役割で、コールセンターがアップデートされていくのではないかと思います。

同じグループ会社であるということも踏まえ、今後も様々な連携を強化できたら嬉しいですね。

土屋さん :

はい、同じグループ企業であるという強みも活かしつつ、LINEが持つ画像認識技術や自然言語処理などの最先端のAI技術を活用し、積極的にキャッチアップできるストラテジックパートナーでもありたいと思います。よりよいお客様サポートの実現を目指して、今後もパートナーとして協力していければと思います。

LINE WORKS AiCallの3つの導入理由

-季節繁忙時の際の負荷、応対内容の有人オペレータの負担軽減
-なめらかな音声で、自然な応答を実現
-導入に向けてのフォローアップ体制、密な情報連携を実施

製品に関する詳細はこちら →

※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2022年11月当時のものです。

1日7,000枚を超える手書きメモのペーパーレス化と リピーター9割以上の顧客満足度を両立する 自社コールセンター。そのノウハウが詰まったサービスを 同じ課題を持つ企業へ届けたい

 

再春館製薬所のシステム会社として1985年に設立。ドモホルンリンクル事業の成長の中で培った「リテンションマーケティング」は、一人一人のお客様の満足を追求するコミュニケーションノウハウとして、独自の価値を生み出している。高いリピート率を実現するノウハウ・フレームワーク・システムソリューションを最大限活用したビジネスソリューションとしてサービス化し、ビジネス課題を持つすべての企業へと展開している。

 

本事例のポイント

-これまでのオペレーションを変えずにペーパーレスできるサービスとしてリリース
-書き手によって癖の異なる手書き文字、名前、長文の読み取り精度が向上
-様々な種類の書類に対応し、手書き文字をリアルタイムにデータ化

 

 

9割以上の顧客満足度を支えるオペレーターがメモする手書き文字。1日7,000枚以上の手書きメモをペーパーレス化した仕組みを外部へ提供し、同じ課題を持つ企業の支援をしたい

今回、LINE WORKS OCRを導入していただいた「タブレットお客様カルテSHIORI」について教えてください

 

荒川さん :

「タブレットお客様カルテSHIORI」は、タブレット端末を活用したDX推進やペーパーレスを支援するサービスです。
元々、再春館製薬所のコールセンターで稼働しているシステムを活用しており、オペレーターがお客様の会話情報を、紙にメモしPCへ手入力するという作業をせずに、業務のデジタル化・ペーパーレス化を推進することができます。

弊社と同じように、コールセンターや店舗での接客、現場の業務などで、手書きしたものをPCへ入力したり、スキャンするという運用が残っている企業で、紙書類のデータ化や情報の再利用(データ活用)に課題を持っている方の課題解決方法として、提供しています。

 

「タブレットお客様カルテ SHIORI」の全体フロー

 

佐藤さん :

そもそも、我々がSHIORIを開発した経緯として、グループ会社である再春館製薬所の「手書きの文化」についてご紹介させてください。

再春館製薬所のドモホルンリンクル事業は、売り上げの9割以上がリピートのお客様という高い顧客満足度を誇っています。これを支えているのがコールセンターです。

電話を受けるスタッフ「プリーザー」たちのきめ細やかな電話対応が、顧客化やリピート率に大きく関わっています。

 

日に7,000件を超えることもあるコールセンターの業務において、活用されていたのが手書きの帳票です。

一般的なコールセンターでは、数多くのお電話を効率的に対応するため、お客様情報をPCに入力して残す方式がとられていますが、我々はキーボードの使用を極力控えています。

なぜなら、タイピングの慣れ不慣れによって、お客様とのお話し以外に意識がいくのを防ぐためです。

我々が目指すのは、一人ひとりのお客様にパーソナライズされた対応。お客様との会話に集中するために、誰もが躊躇なくメモを取れる手書きにこだわってきました。

 

一方で、ペーパーレス化はかねてよりの至上命題でした。

お客様のご要望によって異なるフォーマットの紙帳票を使いわけるため、プリーザーの机には何十種類もの紙帳票が常にストックされ、お客様対応をするたびに、メモが書かれた紙が増え続けます。

日に7,000件の問い合わせがあるということは7,000枚の紙を使用することですから、紙に書いてある情報のデジタル化と資源の問題に、かねてより向き合わざるをえませんでした。

 

荒川さん :

SHIORIであれば、プリーザーが1台のタブレット内で、問い合わせ内容に合わせた帳票をワンタッチで選び、直感的に手書きでタブレット上に書き込んでいくことができます。

そこにAI-OCRの機能を追加することで、手書きで書いた情報をボタンひとつでデータ化することができるようになりました。

 

ペーパーレスによって紙の保管問題を解決し、資源も大切にできる。

さらにデジタル化した情報をデータ活用へと繋げることでビジネスをより活性化し、お客様にとって価値のある対応を可能にし、それに集中することができるようになります。

手書きにこだわり、誰もが簡単にできるペーパーレス化を実現することで、企業・実際に使うスタッフの方々・お客様すべてにとって優しい作業の効率化、DX推進につながる仕組みを作りました。

 

 

あれだけ読めなかった手書きで書いた名前がこんなに読める!レスポンスの速さと座標情報も開発担当には有り難かった

LINE WORKS OCR導入に至るまでの経緯を教えていただけますか?

荒川さん :

実は、SHIORIの立ち上げ時には他社のAI-OCRを導入していたのですが、その読み取り精度に満足がいかず、今回LINE WORKS OCRに乗り換えを行いました。

 

というのも、認識精度に関して大きく3つの課題があり、「手書きであること」「お客様の名前の読み取り」「長文の読み取り」の難しさが挙げられます。

1つ目の手書きであることは、書き手によって文字の形が異なること、さらには電話対応をしながらの記入のため、時には走り書きのような癖の強い手書き文字もきちんと読み取ってもらわねば意味がありません。

 

また、2つ目の名前についてが一番の課題で、他社のAI-OCRでは韓国語など別の言語で変換されてしまうことが多々ありました。

 

3つ目の長文に関しても、文章が長ければ長いほど読み取り精度がガクッと下がってしまう…。

このままではサービス化は難しいと考えていました。

 

阿川さん :

そのようなタイミングでLINE WORKS OCRの認識精度が高いと知り、調査をはじめました。

同時に比較したAI-OCRは15製品。その中から選定するために、まず3つのポイントを挙げました。

 

1つ目が認識精度。2つ目は、気軽にトライアルができるかどうか。そして3つ目はAPIで提供されており、手書き文字の認識処理の送受信がスムーズであることでした。

他社製品の中には、「夜中にまとめてデータ解析をしてまとめてデータを返す」というバッチ処理のような製品もありましたが、我々が求めていたのは、お客様対応中に手書きでメモをして、完了後にボタンを押せばリアルタイムでデータ化が完了するものでした。

これら3つを満たすものとして、残ったのは4社。

その中からLINE WORKS OCRに決めた理由は、読み取り精度の高さと価格です。

 

荒川さん :

LINE WORKS OCRは本当に価格が安くて。

他社とは桁が違ったので、「この読み取り精度でこの価格で本当にいいのか?!」と逆に心配したくらいです(笑)。

 

鈴木さん :

そして、一番の課題であった名前の読み取りも、圧倒的に精度が高かったですね。

 

阿川さん :

最終的には、旧エンジンとLINE WORKS OCRの2択となり、検証を行いました。

その際は、当システムにプロトタイプとしてOCRを組み込んだのち、人名・数値・電話番号・文章など900項目(10,000文字)以上の手書きデータを作成。

それを旧エンジンとLINE WORKS OCRで読み取り、認識結果の一致率を算出しました。

結果、LINE WORKS OCRの精度がとても高かったので、決め手となりました。

 

荒川さん :

あれだけ誤認識されていた名前が、LINE WORKS OCRでは次々と正しく認識されていく様子にとても感動し、ワクワクしたことを覚えています。

 

名前は、お客様を認識する最初の入り口です。

そこが間違っていたら失礼極まりないですし、その後の信頼も育めません。

そういった意味で、一番重要視していた名前の読み取り精度が高かったLINE WORKS OCRの導入を決めました。

開発についてはいかがでしたか?

阿川さん :

LINE WORKS OCRの開発のためのサービスサイトがあるのですが、API仕様が丁寧に説明されているので、実際に試して結果を確認するまで全くといっていいほど時間がかかりませんでした。

 

開発目線で言うと、API連携自体はどこの製品も大きな差はないと思うのですが、LINE WORKS OCRの場合はリファレンスが充実していることにアドバンテージがあるなと感じています。

 

また、読み取りの処理時間が短いのも嬉しいポイントでしたし、非定型の帳票を扱うため、レスポンスに座標情報が含まれているかどうかも大切なポイントでした。

 

帳票を読み込んだときに、読み取りたい情報が1箇所であれば座標情報は必要ないのですが、2箇所以上ある場合には読み取ったデータがどの項目かがわからなくなってしまうので、データの付け合わせが困難になります。

そうすると、1枚の帳票に対して部分ごとに分けてリクエストを投げなければならない。もし1枚から4箇所読み取りたいと思ったら、4回リクエストを投げなくてはならなくなり、それが7,000枚となると…という話ですよね。

 

LINE WORKS OCRであれば1回リクエストを投げるだけで、座標によって情報を分類・整理してデータ化してくれるので、その後のデータ活用もスムーズに行えます。本当に使いやすいです。

 

 

あれだけ読めなかった手書きで書いた名前がこんなに読める!レスポンスの速さと座標情報も開発担当には有り難かった

営業の観点から、AI-OCRを変更したことでお客様からの反応はありましたか?

鈴木さん :

そうですね。

実は、SHIORIをトライアル中の1社が使用中にAI-OCRを切り替えたのですが、途端に「きちんと読み取れるようになった」と連絡をいただきました。潰れやすい太いペンでの手書き文字や癖のある字でもLINE WORKS OCRはバッチリ読み取ってくれたので、お客様も気に入ってくださって。

 

今は手書き文字を容易にデータ化できたことに満足いただけていますが、今後はデータ化した後の情報を、お客様へのサービス向上やマーケティングに有効活用いただけたら嬉しいです。

これまで担当者の頭の中や紙の帳票にしかなかった情報を検索することや、メンバー間で共有することができるようになったので、それがうまく使えるといいですよね。

 

荒川さん :

例えば、受付表を使っていたある企業では、その帳票をSHIORIに代替することで、タブレット上で手書きした文字をデータ化し、CSV出力することができるようになります。

現場では変わらず手書きで受付ができるためオペレーションを大きく変えるなどの負担が少ないですし、本部では受付で得た情報をデータ化してCSV出力し、情報を活用することもできます。

我々はただ作業を効率化したいのではなく、あくまでお客様ファーストなので、お客様対応の品質向上と作業効率化を両立したいと思っているんです。

SHIORIに関わるすべての方が、ストレスなく、いつものオペレーションをしながらデータ化できる仕組みなのですね。

荒川さん :

はい。SHIORIでは他にも取り込んだ帳票上に新たなフィールドやチェックボックスを加えるなど、アレンジもできます。

手書きで書くことは変わらないけれど、付加価値をプラスし、より良いサービスを目指しているからです。

データ化した後の活用についても、弊社には顧客満足度を向上するナレッジがありますので、今後はSHIORI導入後のサポートまで併せて行っていけたらと思っています。

 

 

再春館システムが目指す「幅広い年齢層のお客様でも満足度の高いDX」

今後の展望を教えてください

鈴木さん :

再春館製薬所が大切に育んできた「手書きの文化」。

それは、幅広い年齢層のお客様と向き合い続けているからこその、変わらない文化です。

それを守りながら、お客様の満足度を落とさずに、ペーパーレスを実現する。そのために生まれたのがSHIORIです。

 

世間ではDXや作業効率化が進み、例えば手書きが煩わしいと感じやすい住民票の申込書などが、オンライン申請に切り替わりましたよね。

慣れている人にとってはスマホ上で簡単にできるようになりましたが、それを使えない人たちもたくさんいます。

 

荒川さん :

使えない人を取り残していくDXが進んでいく中でも、SHIORIはおそらくどのような年代の方でも分け隔てなく使っていただけるインターフェイスだと考えています。

DXや業務効率化が届きにくい部分にこそ、広げていきたいと思います。

 

 

製品に関する詳細はこちら →

※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2023年6月当時のものです。

会計事務所における領収書・レシートの仕訳入力・ 証憑のデジタル保管を一挙に自動化!会計業務ならではの 「オフィスに縛られる働き方」のデジタル化に挑む

 

ビジネスエンジニアリング株式会社は、プラント建設の東洋エンジニアリング株式会社からIT部門が独立し、1999年に東洋ビジネスエンジニアリング株式会社として開業。

2019年、現社名に変更。製造業を中心とした企業に向けて、基幹業務システム構築やデジタル化の支援をおこなっている。自社開発した「mcframe」は、日本のものづくりのノウハウを組み込んだSCM(生産・原価管理)パッケージ。

 

本事例のポイント

-領収書やレシート画像から必要な情報を高精度で読み取り入力作業が効率化
-自社サービスの提供価値が向上し、ユーザー(主に会計事務所)の要望に応えるサービスを提供

GLASIAOUSとの連携により

-領収書・レシートの内容(発行日、金額、取引先等)を自動仕訳
-経費精算の申請作業を大幅に軽減

 

GLASIAOUSとは?

海外進出企業のための次世代会計基盤システム「mcframe GA」を基盤とする「GLASIAOUS(グラシアス)」は、mcframe GAと合わせて31の国と地域で1,200社超の実績をもつクラウド型国際会計&ERPサービス。

多言語・多通貨・多基準に対応し、記帳代行からグループ経営管理まで幅広く活用でき、世界各地の会計事務所とIT企業が一体となった「GLASIAOUSコンソーシアム」を結成し、システムだけでは解決できない現地課題の支援を行っている。

 

 

「手で入力した方が速い」「根強く残る紙・押印文化」デジタル化が制限されている会計業務…オフィスに縛られずに自動化を増やす今の時代にあった課題解決方法に出した答え

GLASIAOUSについて教えてください

須藤さん :

「GLASIAOUS」(グラシアス)は、クラウド型国際会計&ERPサービスです。

弊社が開発した会計/ERPクラウドシステム「mcframe GA」を基盤としています。

 

ユーザーには会計事務所様が多く、海外拠点をお持ちの顧問先企業の記帳代行の際にご利用いただくことが多いです。最近はエンドユーザーである企業様に直接ご提供する機会も増え、mcframe GAと合わせて世界31の国と地域1200社以上の企業様にご利用いただいています。

 

堀さん:

会計に関するサービスはたくさんありますが、GLASIAOUSには4つの強みがあります。
多言語・多通貨に対応していること、Microsoft Azureのセキュアなクラウドを基盤とし、世界中どこからでもアクセスできること、会計領域のみならず受発注までをカバーしたERPパッケージであること。

 

また、世界各地の会計事務所とIT企業が一体となった「GLASIAOUSコンソーシアム」(事務局:ビジネスエンジニアリング)を結成し、システムだけでは解決できない、国際会計のプロフェッショナルによるサービス・サポートも受けられます。

今回AI-OCRを導入いただくに至った課題を教えてください。

須藤さん :

まず、会計業務全体で「デジタル化が制限されている」という課題から、お話しさせてください。
そもそも多くの会計業務はある程度ルール化・規格化されているので、デジタル化・オートメーション化は比較的しやすいと考えられています。

それにもかかわらずデジタル化が遅れている理由として、紙文化や押印文化が根強く残っていること、社内に設置したデバイスでしか作業出来ずテレワークしにくい業務である、などが挙げられます。

 

紙文化であることについては、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認める電子帳簿保存法(以下:電帳法)開始に伴って少しずつ風向きは変わっているものの、紙の存在は0にはなりません。
会計事務所を例にとると、顧問先から大量のレシートを受け取り、それを手入力で打ち込んで仕訳に記帳する作業など、作業ボリュームはかなり大きいです。

また、そもそも自社内のみでしか運用できないオンプレミス型の会計システムを使っている会計事務所は、会社以外での作業ができず、出社せざるを得ない状況です。こういった理由からデジタル化が遅れているといえます。

どうすれば、会計業界のデジタル化を進められるのでしょうか?

須藤さん :

業務のうち、「作業」をできるだけデジタル化・オートメーション化することだと考えます。

それによって空いた時間を使って、「レビュー」や「会計データの活用」を業務の中心とすることが理想ですね。

今回、GLASIAOUSがLINE WORKS OCRを採用した理由がまさに、この理想に近づくためなのです。

 

電帳法に伴い紙書類をスキャンし電子ファイルにするなら、その電子ファイルをAI-OCRで読み取り、自動で入力・仕訳作業までしてくれれば、作業時間を大幅に削減できます。

 

また、GLASIAOUSはクラウド型の会計サービスですので、出社する・しないも選べるようになりますよね。

「手で入力した方が速い」という意見もありましたが、ユーザーからの要望も高く、さらにこの数年で劇的にAI-OCRの性能面、および価格面で向上もしてきていたこともあり、本格的にGLASIAOUSへの採用検討を始めました。

 

 

実に4年越しでようやく見つけた!読み取り精度・性能・価格ともに納得できるAI-OCRにやっと出会えた

LINE WORKS OCRを導入するまでの流れを教えてください。

堀さん :

実は、AI-OCRの導入検討は今回が初めてではないんです。

最初は2018年頃、海外向けのサービスを展開していることもあり注視している中で、海外のアプリケーションがAI-OCRとの連携を始めたことを知りました。

 

この流れはきっと日本にも来ると考え、手入力を自動化できる術がないか探し始めました。

展示会等でOCRエンジンとして活用できそうな製品を探していたものの、当時はフォーマットを規定しないとまともに読み取れない製品が多く、多種多様な証憑を読むエンジンとしては不適なものばかり。

 

その結果、当時試したのは、「書類を読み取ると提携先のベトナムのオフィスにデータが連携され、現地スタッフが手入力してくれる」というサービスです。

人による作業のため精度はものすごく高いのですが金額が高く、「これなら自分達で打った方がいい」とあまり需要がありませんでした。

 

2019年にはフォーマット規定無しで読めるエンジンが複数出てきたので、いくつかの会社とコンタクトを取って話を進めました。

しかし、読み取り精度が満足いかない、精度が高くても価格面で全く折り合いがつかないもの、決め手に欠けるものばかり。これで心が折れてしまいまして(笑)

しばらく検討は中断し他の重要案件へ注力するようになりました。

そのような中で、なぜもう一度探そうと思えたのですか?

堀さん :

2021年4月頃、社内の人間から「AI-OCRを探しているなら、LINE CLOVA(当時)のサービスを見てみたら?」と紹介されました。ちょうど優先度の高い重要案件も落ち着いたタイミングだったので、話を聞いてみようと思いました。

 

須藤さん :

この頃には、会計事務所から「他の会計システムではAI-OCRを搭載しているみたいだけど、GLASIAOUSはどうなの?」とお話いただくことが増えました。

 

堀さん :

電帳法により紙書類を電子ファイルにまでするのなら、それを見て手入力するのではなく、自動で読みとりたいというニーズが底上げされているのだと思いました。

そこから、どのように比較・検証されたのですか?

堀さん :

10社以上と商談し、mcframe GAとAPI連携できるサービスを前提として、実際に性能を確かめたのは3社。弊社の経理部に協力してもらい、実際に社内で流通していた証憑を100枚程度読み取り、性能を評価しました。読み取り精度で残ったのがLINE WORKS OCRともう1社、最後の決め手は価格ですね。

 

山下さん :

その低価格にはびっくりしました。

読み取り項目ごとの換算ではなく枚数単位というところで、ランニングコストの算出もしやすく本当にありがたかったです。

 

堀さん :

我々のようなサービスベンダーからすると、AI-OCRの価格が高いとユーザーへの提供金額も高くなってしまうので、重要なのです。

他社サービスではレシート1枚100円という金額もザラにありましたから。とはいえ、安くても読み取り精度が悪かったらそれはそれで論外ですよね。

この精度とこの価格で提供しているというのは、賞賛に値することだと思います。

開発視点からの、選定ポイントはありましたか?

山下さん :

開発のしやすさ、ドキュメントのわかりやすさ、顧客毎の情報のセキュリティを担保できるか、などのポイントに特に注目しました。これらを判断するためにも、トライアルに充分な期間、検証環境を利用できたこともよかったですし、総合的にLINE WORKS OCRが一番適しているとの判断に辿り着きました。

 

 

開発者には本当にありがたい!これまでのどのAPIよりも連携が簡単で、セキュリティ面を担保する開発工数も大幅に削減

今回の導入に関して、開発の視点からお役に立てたポイントはありますか?

山下さん :

LINE WORKS OCRを導入してよかった点として大きく2つあるのですが、

まず1つ目は、提供されているAPIが非常にシンプルで使いやすいものだったことです。

 

堀さん :

mcframe GAには色々なサービスのAPI連携を積んでおり、私自身も様々なAPIを触ってきましたが、その中でもトップクラスで使いやすかったです。

 

山下さん :

他のAPIの場合、精度を検証するためのサンプルデータを出すまでにもいろいろな手順があり1週間くらい掛かるんですが、LINE WORKS OCRは1日で出来ました。

検証開始から1週間ぐらいで大方のサンプルプログラムを全て作り上げ、検証結果を出せていたと思うので、かなりのスピード感です。

これが実現した理由は、ドキュメントがシンプルで見やすく、かつ必要最低限の情報が整理されていたおかげだと思います。

 

堀さん :

あとは、開発環境と検証環境ですかね。他社さんは1週間程度が多い中、3ヶ月という長い期間をいただけたおかげで、いろいろなパターンを試しての検証ができ、導入後と齟齬のない検証ができたことも、ありがたかったです。

 

山下さん :

2つ目、これが僕の中では大きく、決定打となったのですが、利用者毎のURL管理や利用制限をLINE WORKS OCRの管理サイト上で簡単に設定できたことです。一般的なAPIであれば、弊社側でユーザーごとのプログラムを組まなければならないので、開発工数がかなり抑えられました。

なぜこの機能が必要かと言うと、GLASIAOUS はクラウドサービスなので、複数の顧客が同一のサーバー環境にアクセスすることがあります。

その時に他の顧問先に情報を見られる心配がないように、顧問先単位でAPIのURLを発行し、セキュリティを担保しているのです。このAPIのURLやAPIのKEY情報の管理サイトも非常に扱いやすく、また発行したURLごとに発行枚数の管理もできたので、これはかなり助かりました。

 

堀さん :

これだけの機能を無料で、しかもシンプルなインターフェースで提供してくれるのがすごいです。他社ではオプション機能として、追加でお金がかかるような機能ですから。

 

山下さん :

API連携して、弊社側でユーザーごとの管理機能を設定せずに済んだことは初めてではないでしょうか。本当に楽だったので、弊社も見習わなくちゃいけないなと思いました(笑)。

 

 

仕訳入力、記帳作業、立替経費精算申請まで簡単に行えるサービスが完成。さらにAIを活用した機能追加を拡大していきたい

GLASIAOUSの中で、LINE WORKS OCRはどのように活用されているんですか?

 

堀さん :

領収書やレシートをファイル共有機能からGLASIAOUSにアップロードし、領収書・レシートの内容(発行日、金額、取引先等)をAI-OCR機能で読み込むと、読み込んだ情報を元に自動で仕訳を作成してくれるようになります。

更に証憑の画像データはアップロードする過程で仕訳毎に自動で添付されるので、別途の作業は必要ありません。

 

LINE WORKS OCRとの連携以前は領収書・レシートの内容入力も、証憑のデータを仕訳ごとにアップロードして添付する作業も手作業だったため、記帳業務においては大幅な効率化が実現すると考えています。

 

須藤さん :

さらにGLASIAOUSにはモバイルアプリがありますので、携帯やスマホで撮ったレシートや領収書を読み込むだけで、仕訳のデータとして反映でき、立替経費精算申請までを簡単に行えるようになります。

これによりパソコンにアップロードして行う手間が省けるので、立替経費精算が多い企業様にもおすすめです。

 

堀さん :

立替経費精算に関して言うと、毎月処理するレシートの枚数がかなり多い企業さんは、現場の方にスマホや携帯から作業していただくことで、すぐに会計事務所側で承認をして、支払いフローや債務のフローに流すことができます。

 

山下さん :

開発でこだわった点をお話しすると、過去に読み取ったことのある証憑については取引先や科目情報等を記憶し、次回からは自動提案するという形を取っています。こ

れらをGLASIAOUSを通じて一貫して行えることに対して、会計事務所様の期待値も高まっています。

今後、期待される活用方法を教えてください。

須藤さん :

今回GLASIAOUSとLINE WORKS OCRを連携したサービスを、何社かの会計事務所様に先行してご利用いただいたのですが、「金額や日付などの読み取りも問題なく行えた」「クレジットカードの明細や逆さまの領収書なども読み込めている」などの感想をいただいています。

 

堀さん :

国際会計のソフトとして、今後は日本の領収書・レシート以外の学習データを増やしていくことが理想です。

今回のLINE WORKS OCRとの取り組みに関しても、海外拠点の方々にお披露目した時に、「うちの国では使えるの?」といった質問が多く、確実にニーズはあるのだなと感じています。

また、今後は同じくニーズの高い請求書の読み取りの自動化も検討中です。

GLASIAOUSとしての、今後の展望を教えてください。

堀さん :

さらに使い勝手の良いサービスを目指し、今後は3つのバージョンアップを検討中です。

1つは、チャットボットを活用した問い合わせ機能の追加、2つ目は音声認識によるシステム操作の実現、

そして、任意のPDFファイル(例えば英語の仕様書等)を日本語に翻訳する機能です。

 

世の中が大きく変革する時代においては、お客様のニーズも常にアップデートされていきます。

我々が先端技術の評価・導入を通してサービス内容の向上に努めることで、お客様のビジネス革新を支援し続けてまいります。

 

AIをうまく活用しつつ、高齢の方にもスムーズにお使いいただけるようなAI応対を企業として進めていきたいと考えています。

その中で、直接お電話でお話されたいお客様のニーズもきちんと満たしながら、最適なコミュニケーションツールを今後も検討していきます。

 

 

LINE WORKS OCRの5つの導入利点

-レシート、領収書の自動データ化により、記帳業務を大幅に効率化
-高精度の自動認識機能により、金額や名称等の入力ミスを防止
-領収書やレシートの画像から「取引先」「金額」「日付」「宛名」「但し書き」等の明細情報も高精度に読み取り
-簡単でシンプルなAPIにより開発工数の大幅短縮
-利用者毎のURL管理や利用制限を簡単に設定でき、一定のセキュリティ担保が可能

 

 

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※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2022年10月当時のものです。

あらゆる人に寄り添うコールセンターをAI×人で実現

ヤマトグループは2019年に創業100年目を迎え、2021年4月からこれまで機能ごとに展開していた事業会社をヤマト運輸に統合。
新しいヤマト運輸として再出発し、常に進化を遂げています。

同社では、お客様ニーズの多様化による「物流」に求められる重要性と柔軟性を実現するために、顧客接点の改革に取り組んでいます。コールセンターを顧客からの声を社内へフィードバックする第二の顧客接点の場として重要視しており、具体的には(①集荷 ②再配達 ③その他)3つのお問い合わせ種別に対応しています。

この3つのお問い合わせ種別の内、以下のようにAiCallを導入することで、お客様のマイナス体験を減らし、結果として満足度向上に つなげています。

① 集荷:2020年11月に法人顧客の集荷依頼でLINE WORKS AiCallの導入を行い、2021年4月には個人でも対応を開始
③ その他:2022年11月から「その他」のお問い合わせの一部でも導入を開始

本事例のポイント

-2020年11月に法人のお客様からの集荷依頼でLINE WORKS AiCallを導入、その後、個人のお客様へ

対応を拡大
-2022年11月からは「その他」のお問い合わせの一部でも導入を開始
-集荷依頼の約8割をLINE WORKS AiCallで対応
-お問い合わせ内容データの自動蓄積によりファクトデータ分析が可能となり、お客様ニーズを把握した

効果的・効率的な打ち手を検討し実現が可能に

 

「お客様の声の代弁者」になる部門だからこそ、お客様が利用しやすい環境を整えることが大切

ヤマト運輸様が考える全体のCXの思想を教えてください。

田口さん :

皆さんが日頃接するセールスドライバーがお客様との接点の多くを占めますが、サービス利用においてのお困りごとに多く触れるのはコールセンターで、そのお客様の声を社内へ伝える「代弁者」という役割を担っています。
そのため、第二の顧客接点の場として重要視しています。

我々のコールセンターは全国からの電話を受け付けているため、地域・年齢に関係なく様々な方への対応ができるようチャネルの多様化を図ってきました。しかし、その一方で、運用がやや複雑になってきたという課題を抱えています。
今後はそれらをより磨いていくフェーズだと思っています。

更なる磨きをされていく中で、AIやデジタルへ期待していることや向き合い方について、お考えを教えてください。

田口さん :

まず、デジタルに関しては、今までFAQやチャットボットなどでよくあるお問い合わせに対応してきました。今は少し複雑なお問い合わせ内容でもAIを活用し、人が補助をすることで、より充実したサービスの提供を行うようにしています。

具体的に言うと、FAQやチャットボットなどでお問い合わせ対応を完結させることがゴールではなく、AIがお問い合わせ内容を事前に整理することで、お客様をオペレータにスムーズにつなげ、少しでも待ち時間を短くすることが大切だと考えています。
最短でお困りごとが解決できることで、お客様のマイナス体験を減らし、結果として満足度向上に繋がるのではないかと思っています。

AI活用によって、EX(従業員満足度)への貢献と、データによる次の打ち手をクリアにする

「CX」という言葉がキーワードになりつつも、コールセンターで働かれている方々にもスムーズなオペレーションを手助けしてくれるAIという存在は、きちんと貢献できているのでしょうか。

田口さん :

今までは、あらゆるお問い合わせをお電話でいただいていたため、回答の難易度に差がありました。
そのため、お問い合わせ内容によっては回答までにお時間をいただいてしまい、すぐに対応できないことがコールセンターで働く社員にも負担となっていました。
そうした課題に対し、AIの助けを借りながら、社員の働き方を含めて再設計することで、お客様にとっては満足度向上、社員にとっては働きやすい環境を実現していると思っています。

AI活用で、思わぬ副産物もあった、とお聞きしました。そのあたりもぜひ教えてください。

伊東さん :

AIを導入したことで、お問い合わせの履歴をデータとして蓄積することができます。これまでは、具体的なニーズを人の手だけでは整理しきれていなかった部分がありましたが、AIは自動的にデータを蓄積してくれるため、お客様のニーズを「ファクトデータ」として体系的に社内で把握することができるようになりました。
そのデータを分析し、どのようなニーズから対応すればお客様にとってより良い体験に繋がるのかを軸に、解決策を決められるため、非常に効果的・効率的にPDCAを回せられています。

 

 

集荷依頼の約8割をLINE WORKS AiCallで対応

2020年11月に法人のお客様からの集荷依頼にLINE WORKS AiCallの導入を行っていただきましたが、その時の背景などを改めて教えてください。

伊東さん :

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、ECの利用が増加した影響で、これまで以上にお問い合わせを多くいただくようになったため、本格的に導入の検討を開始しました。
特に最初に導入した法人のお客様からの集荷依頼に関しては、これまで有人のコールセンターに電話1つで集荷依頼が出来ていたというユーザー体験を崩さず、いかにスムーズにAIへ移行・活用していくか、という点を重視して取り組みました。

集荷依頼にAIを導入してから約2年経過しました。導入後の経過と成果はいかがでしょうか。

伊東さん :

現在ではコールセンターにいただくお問い合わせの約8割がLINE WORKS AiCallを経由してAIで対応しています。
また、ご希望のお客様にはAIが受付した内容をLINEメッセージで送信しており、テキストでも内容を確認することができるため、「便利!」という嬉しいお声もいただいています。

 

そうしたお声をいただけるのは、我々としても非常に嬉しいです。
続いて2022年11月に「その他」のお問い合わせの一部もLINE WORKS AiCallを導入いただきました。
そちらの導入背景なども教えてください。

伊東さん :

先ほどの『AIは自動的にお問い合わせ内容を蓄積するため、お客様のニーズを「ファクトデータ」として体系的に社内で把握することができた』という話と繋がっていきます。
蓄積したデータを見てみると、お客様からのお問い合わせ内容についても分類分けして把握できるようになりました。
特に「その他」のお問い合わせは、受電の際に確認する内容も多く、有人オペレータで対応すると対応品質にばらつきが出てしまうこともありました。
そこで、ある程度対応方法が決まっているお問い合わせであれば、LINE WORKS AiCallは相性がいいのではないかと思い、導入の検討を開始しました。

まさに、「データがファクトとなり、次の打ち手を効果的・効率的に行える事例」ですね。この導入を進める際のエピソードや効果などはいかがでしょうか。

伊東さん :

このシナリオを設計する際にかなり苦戦しましたが、LINE WORKS側からユーザー視点の助言を多くいただけたのは、大変ありがたかったです。
細かな言い回しや分かりにくいと感じる部分も丁寧にアドバイスいただきました。
そうしたシナリオ設計の甲斐もあり、順調に稼働しております。

「次の運び方をつくる」社会的インフラ企業だからこそ、あらゆる人に寄り添うコールセンターを

LINE WORKS AiCallの導入やデータ活用を効果的・効率的に進めていただいているヤマト運輸様ですが、今後取り組んでみたいことや今見えている解決したい課題などありますでしょうか。

田口さん :

昨今、お客様ニーズの多様化に合わせて、輸送サービスの種類も多様化しています。
今後は、お客様に提供しているサービスを整理・細分化し、できるだけシンプルな対応を心掛け、そのために精緻な設計を行っていくことが必要と考えています。
また、配送状況は地域の天候に大きく左右されるため、そうしたイレギュラー時に「配送エリア×天候」のようなイメージで、天候による交通状況などの情報を迅速に反映し、よりリアルで柔軟な対応ができるようになるとよいなと思います。

今回、インタビューをしていて強く感じたヤマト運輸様の「顧客視点」。
お客様とのコミュニケーションの将来・未来像に関しての展望を教えてください。

田口さん :

新型コロナウイルス感染症の影響や国際情勢の変化などにより、全産業のEC化が急速に進み、ライフスタイルやビジネスの環境が大きく変化しています。
そのため、コールセンターはよりお客様視点で充実したサポートを効果的・効率的に行う必要があると考えています。
また、高齢化がさらに進む日本においては、高齢の方への配慮も必要です。
デジタルやAIをうまく活用しつつ、高齢の方にもスムーズにお使いいただけるようなAI応対を企業として進めていきたいと考えています。その中で、直接お電話でお話されたいお客様のニーズもきちんと満たしながら、最適なコミュニケーションツールを今後も検討していきます。

 

LINE WORKS AiCallの4つの導入理由

-顧客満足度と社員の労働環境の向上を同時実現が可能
-2022年11月からは「その他」のお問い合わせの一部でも導入を開始
-顧客ニーズをデータ化することで、課題解決の効率的なPDCAが実現
-複雑なシナリオ設計を含め、手厚い導入サポート

 

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※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2023年5月当時のものです。