株式会社フレッシュ青果
製品・サービス
LINE WORKS OCR
お話を伺った方
株式会社フレッシュ青果 情報システム部 係長 兼 DX推進室 室長 澄川 和治さん(右)
株式会社ITブレイド 取締役 ICT事業部長 ITコーディネータ 村山 亙(わたる)さん(左)
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受注業務の省力化にLINE WORKS OCRを活用。クラウドFAXで受信する伝票処理の効率が80%アップし、データを基幹システムに手入力する負担が大幅に軽減

  1. 鹿児島県鹿児島市に本社を置く株式会社フレッシュ青果は、ホテル、飲食店、病院、学校などへ業務用青果を仲卸する企業です。九州から関東までの20営業所で、仕入れた新鮮な青果を迅速に流通させ、顧客へ供給しています。同社は、日々大量に受信するクラウドFAXの注文書をLINE WORKS OCRで読み取り、データを販売管理システムへ自動入力する仕組みを構築しました。このことで、受注業務のスピードアップと営業社員の残業時間の削減に成功しました。

 

本事例のポイント
  • クラウドFAXが受信する注文書からフォーマット化されたファイルのみを選別してLINE WORKS OCRに読み取らせる仕組みを構築
  • 約4万件/月の半数強の注文書の内容をLINE WORKS OCRがデータ化して販売管理システムに自動登録
  • 営業社員が受注データを手入力する作業が軽減して残業時間も縮減

注文データの入力業務を省力化するためLINE WORKS OCRを導入。「使いやすさ」「読み取り精度の高さ」「ランニングコストの低さ」が選定の決め手に

御社の事業の特長を教えてください。

澄川さん:

当社は、鹿児島県鹿児島市に本社を置き、西日本から関東まで広範囲にわたって営業拠点を展開しています。広域の仕入先と契約することで、他に類を見ないほど多種多彩な商品を流通させています。野菜や果物類の鮮度を保つため各営業所に大型の冷蔵庫を完備し、仕分け作業などはその庫内で行い、自社の営業社員が商品1個から冷蔵車で迅速に配送することをモットーとしています。

 

青果卸業界はデジタル化が遅れているイメージがありますが、御社は積極的にICTを活用されていますね。

澄川さん:

年間約2,000種の旬の青果をおよそ3万社のお客さまにお届けしている当社は、サプライチェーンの効率化を目指し、10数年前からICT化を推進してきました。例えば、いつでもどこでもスマホアプリやPCからアクセスして手軽に発注いただける「FOLOS」というシステムを開発し、受注データの自動入力を実現しています。また、2024年度にはCEO直轄のDX推進室を設置し、各部門から選抜された担当者が連携しながら全社横断でDXを推進する体制を整えています。

 

村山さん:

ITベンダーである当社は、販売管理システムをはじめとする基幹システムやFOLOSの構築などを通じてフレッシュ青果さまの業務効率化をご支援しています。FOLOSは受注業務の省力化に貢献していますが、依然として多くのお客さまがFAXで注文書を送信されることから、クラウドFAXの導入もサポートさせていただきました。

 

AI-OCR導入の背景と、LINE WORKS OCRを選定された理由を教えてください。

澄川さん:

クラウドFAXの導入によって受注がペーパーレス化し、個々のお客さまを担当する営業社員への注文書も自動的に振り分けられるようになりましたが、販売管理システムへの入力作業は営業社員が手作業で行っていました。営業社員は商品のピッキングから配送も担っており、受注データの入力に手間取ったり誤入力が発生したりすると、納品が遅れる要因となってしまいます。それを防ぐには、受注データの入力作業を省力化する必要があると考え、ITブレイドさんにご相談しました。

 

 

村山さん:

フレッシュ青果さまの課題を解決するには、クラウドFAXが受けた注文書の内容をAI-OCRに読み取らせ、そのデータを自動的に販売管理システムに入力させるようにするのが最良の方法だと考えました。いくつかのツールを比較検討した結果、読み取り精度が高く、操作性も優れいているLINE WORKS OCRを選定しました。

 

澄川さん:

他社のAI-OCRサービスは、読み取る項目ごとに料金が発生する従量課金制が多い中、LINE WORKS OCRは1帳票あたり50項目まで同一料金です。青果の注文書は読み取り項目数が多いので、ランニングコストを抑えられる料金体系であることも選定の決め手となりました。

約4万件/月の注文書の半数強をフォーマット化して、商品コードや注文数をLINE WORKS AI-OCRに読み取らせる仕組みを構築

LINE WORKS OCR導入にあたって、事前にされた準備はありますか。

村山さん:

それまでお客さまが送信される注文書には特定の様式がなく、例えば「キャベツ×2」などと書かれたメモが送られてくる場合もありましたが、OCRで読み取らせるにはフォーマットが必要です。できるだけ多くのお客さまの注文形態に対応できるよう4種類のフォーマットを用意し、必要な商品の数量と納品希望日を記入してもらうようにしました。お客さまのFAX機は家庭用から高性能複合機までさまざまなので、何度もテストをしてLINE WORKS OCRが読み取りやすい解像度やフォーマットの枠のサイズなどを決めていきました。

 

澄川さん:

フォーマット作成と、クラウドFAXや基幹システムとの連携を進めるのと平行して、今後はFAXによる注文書をフォーマット化することをお客さまに説明し、AI-OCRにスムーズに読み取らせるために数字を枠内に丁寧に記入していただけるよう呼びかけました。

 

ただし、曜日ごとに必要な商品を1週間分まとめて発注したいというお客さまや、フォーマットに収まり切れないほど多品目の商品を発注されるお客さまなどもおられます。そうしたお客さまには従来どおり、自由形式の注文書を送信していただくこととしました。本店と全営業所を合わせて毎月4万件ほどの注文をクラウドFAXで受けていますが、そのうち約半数にあたる2万件強の注文書がフォーマット化されました。

フォーマット化された注文書FAXだけをLINE WORKS OCRにAPI連携させる工夫もされたそうですね。

村山さん:

読み取りが困難な定型外の発注書までLINE WORKS OCRに流したのでは、無駄なコストがかかってしまいます。それを避けるためにGoogleのOCR API機能と連携させ、フォーマットのヘッダに記載した「AINETFAX」という文字がない注文書はLINE WORKS OCRによる読み取り対象外とする仕組みをつくりました。LINE WORKS OCRに渡された注文書は、4種類のフォーマットごとに定義した座標を当て込んで文字を読み取らせるようにしています。

4種類のフォーマットのいずれかに該当する注文書が自動的に選別されてLINE WORKS OCRで読み取られる

注文書の処理に費やす時間がほぼ半減し、営業社員の残業を削減

LINE WORKS OCRの導入が決まったときの社内の反応はいかがでしたか。

澄川さん:

導入前は「お客さまが記入した手書きの文字をちゃんと読み取れるのか?」、「コストに見合ったリターンが見込めるのか?」などと疑問視する声もありましたが、実際に運用を始めると、毎月2万件強もの注文書が自動的に処理されるようになり、LINE WORKS OCRの性能の高さに社員一同驚きました。

 

注文書の内容をLINE WORKS OCRがデータ化して販売管理システムに登録するようになったことで、受注業務の生産性が大きく向上した

クラウドFAXによる受注業務はどのように効率化しましたか。

澄川さん:

フォーマットに則った注文書でも記入された数字が罫線と重なったりしているとAI-OCRがうまく判別できないことがあり、その場合は目視で確認してデータを手入力しなければなりません。そのため、月2万件強の注文書のすべてが自動的に販売管理システムに取り込まれるようになったわけではありませんが、以前は1時間あたり平均約20伝票だった処理数が36伝票となり、およそ80%も作業効率がアップしています。1伝票あたり3分かかっていた処理速度は1.33分に短縮され、作業時間としては約56%も削減されたことになります。

 

働き方改革にも注力している当社は、2023年4月より営業時間外の留守番電話での受注を廃止するとともに、FOLOSによる注文は当日の午前2時、FAXによる注文は前日の20時と受注の締め時間を設けました。その結果、当日の早朝に注文書を送ってこられるお客さまに対応するために営業社員が朝早くに出勤するといったことがなくなりました。そうした対策による効果とLINE WORKS OCRの導入効果があいまって、営業社員の残業時間は確実に削減されています。

 

当社には営業社員が約500名おり、毎日1人1時間の残業をするだけでもトータルで500時間になるので、残業にかかるコストとLINE WORKS OCRの導入コストを単純に比較しただけでも、十分な投資効果が得られていると感じています。

 

村山さん:

青果卸業界も他の業界と同様、深刻な人手不足に悩まれています。デジタル化の推進によって長時間労働を抑制し、働きやすい環境を実現していることは、求人活動における訴求ポイントにもなるはずです。業務生産性の向上に加え、LINE WORKS OCRを導入したことによるそうした副次的効果もけっして小さなものではないと思います。

さらなる業務のデジタル化に向けてどんな展望を抱かれていますか。

澄川さん:

現状でも十分な導入成果が得られていますが、理想は注文書データの販売管理システムへの手入力をゼロにすることです。その究極の目標に向けてLINE WORKS OCRの読み取り精度がいっそう向上することに期待しています。

 

現時点では受注処理にのみ活用していますが、例えば仕入伝票や納品書などはすべて一定のフォーマットで作成されるので、AI-OCRで読み取りやすいはずです。LINE WORKS OCRで効率化する業務の範囲を広げることで、さらなる生産性アップを図っていきたいです。

 

 

【お話を伺った方】
澄川 和治さん

情報システム部で社内システムの運用を管理。2024年度に発足したDX推進室の室長を兼務する。

 

村山 亙さん

株式会社ITブレイドの取締役 ICT事業部長 兼 営業部長として顧客企業のIT化を支援する。

 

※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2024年7月当時のものです。