建設現場では、工事に携わる関係者が定期的に集まり、進捗状況の共有や重要な意思決定が行われます。しかし、頻繁に開催されるこれらの会議の内容を議事録にまとめる作業は、日々の現場管理で多忙を極める責任者にとって、長年の大きな負担でした。総合建設会社である飛島建設は、この課題を解決するため、AI議事録自動作成ツールLINE WORKS AiNoteを導入。高精度な音声認識により話者ごとの発言が正確にテキスト変換され、さらに会議内容が自動的に要約されることで、議事録作成が従来の2〜3時間からわずか30分へ。現場責任者の負担を減らし、生産性向上に大きく貢献しています。
本事例のポイント
- スマホ1台で録音から文字起こしまで完結
- LINE WORKSのIDで利用でき、現場の浸透もスムーズ
- AIが話者を自動分離して文字起こしを行い、重要な発言内容の要約も自動で生成
- 1時間程度の会議の議事録作成が、従来の2~3時間からわずか30分ほどに短縮
建設現場にとって極めて重要な会議の議事録。手間と時間がかかるその作成を効率化したい
御社の事業概要をご紹介ください。
科部さん:
2024年10月に発足した飛島ホールディングスの中核企業である飛島建設は、1883年創業の総合建設会社です。特にトンネルやダムなどの大型土木分野で多くの施工実績を誇ります。近年は建設事業に加え、防災・減災、環境といった新領域の技術開発にも注力しており、飛島グループ全体としては、DXサポートシステムの提供を通じて建設業界の効率化を支援するイノベーション事業にも力を入れています。
LINE WORKS AiNoteの導入前は、どのような課題を抱えていましたか。
科部さん:
建設現場では、工事の進捗状況や課題を共有するため、関係者との会議が定期的に開催されます。工事に関わる重要な意思決定も行われるため、プロジェクトの責任者である作業所長が重要な発言を確実に記録しておく必要があります。しかし、現場管理だけでも多忙を極めるなか、会議で話し合われた内容を正確に議事録にまとめることは、所長にとって大きな負担となっていました。
近藤さん:
現場では、施主や設計者が出席する月1回の総合定例会議や、設計担当者との週1回の設計会議に加え、協力会社との段取りなどに関する細かい打ち合わせも頻繁に行われます。これらの場で話し合われた重要事項を漏れなく記録しておかなければ、「言った言わない」といったトラブルが発生し、作業の手戻りにつながりかねません。議事録はこうしたトラブルを防ぐ上で極めて重要な役割を果たします。
しかし、1時間程度の会議の録音を聴き直し、文字に起こし、そこから要点を抜き出してまとめるには、実に2〜3時間もの時間を要していました。そのため、私は後から文字起こしをする手間を省くべく、会議中の発言をしっかり書き留めるようにしていましたが、これはこれで大変な作業であり、話を聴くことに集中するとついメモをする手が止まってしまうこともありました。
科部さん:
こうした課題を解消するため、過去にはいくつかの議事録作成ツールを試してきましたが、どれも使い勝手や文字起こしの精度において満足できるものではなく、より良いソリューションの開発を待ち望んでいました。
多くの議事録作成ツールがある中、LINE WORKS AiNoteに注目された理由をお聞かせください。
科部さん:
当社では数年前から、現場の関係者間の円滑な連絡のためにLINE WORKSを導入しています。外部トーク連携機能によって協力会社の職人のLINEともつながり、図面修正の情報などもタイムリーに周知できるようになり、以前とは比較にならないほどスムーズなコミュニケーションが実現しました。
そのLINE WORKSからAIを活用した議事録作成ツールがリリースされ、しかも全社員に発行済みのLINE WORKSのIDとパスワードでそのまま利用できると知り、ぜひ試してみたいと思いました。アカウント数に応じた課金ではなく利用する文字起こし時間数に応じたプランを選ぶので、最低限のプランで始められる安心感があったため、まずは一部の現場に試験導入しました。その結果、議事録作成が飛躍的に省力化されることを実感したため、本格的な運用を開始し、現在では約100箇所ある現場のうち、数十箇所の現場で利用が広がっています。誰にとっても操作が簡単なLINE WORKSと同様に、LINE WORKS AiNoteも事前の導入教育や説明会を開くことなく、スムーズに現場に浸透していきました。
AI要約で会議の重要トピックを瞬時に把握。議事録作成は2〜3時間から30分へ激減
LINE WORKS AiNoteによって議事録作成がどう効率化したかお聞かせください。
近藤さん:
LINE WORKS AiNoteを使ってまず感じたのは、ICレコーダーを用意する必要がなく、スマホ1台で録音から文字起こしまで完結するその手軽さです。会議中に走り書きするメモでは、後から判別できない部分があって困ることがありましたが、LINE WORKS AiNoteなら会話内容が忠実にテキストになるので、そのような心配は不要です。音声認識の変換精度も非常に高く、人が話すときによく発する「えー」や「あー」といった不要な音(フィラー)も自動的にカットされるので読みやすいです。
会議によっては参加者が10名程度の大人数になることもあります。手書きのメモでは発言者の名前まで記す余裕がなく、誰が話したことなのか分からなくなることがよくありましたが、LINE WORKS AiNoteにはAIが声の波長を分析して話者を分離する機能が搭載されており、複数の話し手を「参加者1」「参加者2」といった形で区別して文字起こししてくれます。

何よりもありがたいのは、AI要約機能が会議の重要なポイントを自動でピックアップしてくれる点です。これにより、後から会議内容の要点のみを効率的に振り返ることができます。これらの機能のおかげで、1時間程度の会議後に2〜3時間かかっていた議事録の作成が、わずか30分ほどで完了するようになりました。

科部さん:
現場での会議は基本的に対面で行われますが、本社ではオンライン会議も頻繁に開催されます。LINE WORKS AiNoteはZoomやMicrosoft Teamsをはじめとする主要なWeb会議ツールと連携可能で、会議のURLを設定するだけで、開始と同時に録音が自動的に始まるのも非常に便利です。操作画面はスマホでもPCでもシンプルで分かりやすく、文字起こしされた内容はWordやテキストデータなどでダウンロードできるので、関係者と共有するのも簡単に行えます。

発言内容を余さず記録することで、大きな損害につながりかねない「言った、言わない」のトラブルも防止
LINE WORKS AiNoteの導入成果をどう評価されますか。
近藤さん:
AIが「全体の要約」「主要トピックの抽出」「区間ごとの要約」と、さまざまなパターンの要約を的確に生成してくれるため、決定事項や次に取るべきアクションが明確になり、関係者間での共通認識を持ちやすくなりました。以前のように会議中に忠実にメモを取る必要がなくなり、議事録作成に要する時間が短縮されたのはもちろん、肝心な会議そのものにより集中して臨めるようになったのも、私にとって大きな成果です。
科部さん:
議事録に重要項目の記載漏れや記入ミスがあると、施工後に施主や設計者などから「会議ではこう指示したはずなのに」と指摘され、工事をやり直すことになり莫大な損害が発生する可能性があります。しかし、LINE WORKS AiNoteで会議の音声データが保存されていれば、文字起こしされたテキストから直ちに該当するシーンを探し出し、発言内容を正確に確認することができます。LINE WORKS AiNoteは、関係者間のトラブルを未然に防止し、経営リスクを低減するためにも極めて有効なツールだと評価しています。
さらなる業務効率化に向けてどのような展望をお持ちでしょうか。
近藤さん:
これまでは総合定例会議や設計会議など、比較的規模の大きな会議でのみLINE WORKS AiNoteを活用してきましたが、今後は協力会社の職人との打ち合わせや、毎日の朝礼・終礼なども記録し、欠席したメンバーへの共有事項の伝達に役立てたいと考えています。
科部さん:
今後は建設業界をはじめとする各業界の専門用語も登録され、正しく文字変換されるようになると聞いており、そうなれば使い勝手がいっそう向上するはずです。
近年、多数の議事録作成アプリが開発されていますが、さまざまなツールを試してきた私から見て、LINE WORKS AiNoteがもっとも使いやすいと感じています。データの互換性や長期的な保存性が向上し、より利便性が高まるためにも、LINE WORKS AiNoteが業界標準となってくれることを期待しています。
【お話を伺った方】
科部 元浩さん
建築本部で建築FSC 施工グループに所属する。
近藤 一海さん
入社以来建築現場の管理に携わり、現在は所長として初の案件となるマンション建築プロジェクトを管理する。
※掲載している内容(製品名含む)、所属やお役職は取材を実施した2025年9月当時のものです。