講演会・学会などのライブ配信や人工知能(AI)を活用したサービスをはじめ、多様なITソリューションを提供する木村情報技術株式会社。業容拡大による全国各地の拠点や社員の増加に伴い、社内コミュニケーションを円滑化することが課題となっていた同社では、既存のグループウェアを補完するかたちでLINE WORKSを導入しました。全社員がリアルタイムに情報を共有できる環境を整備するとともに、顧客向けのAIソリューションをLINE WORKSと連携させたサービスの提供を通して自社商材の価値を高めることにも活用しています。
本事例のポイント
- 多拠点に分散する社員どうしのコミュニケーション基盤として活用
- コールセンターとライブ配信の現場スタッフをつなぎ、配信当日の問い合わせ対応を迅速化
- 自社で開発したAIチャットBotと連携させた新たなサービスを創出
御社の事業内容をご紹介ください。
白濱さん :
当社は2005年の設立以来、”always new idea.”をコンセプトにさまざまなITサービスを展開してきました。ライブ配信事業のパイオニア的存在でもある当社が特に得意とする領域の一つが、講演会や学会などのイベント運営とそのライブ配信事業です。事前準備から本番終了後のレポート提出までワンストップでサポートし、ライブ配信にも収録動画のオンデマンド配信にも対応。代表取締役の木村 隆夫は製薬会社に勤務した経験を持つことから、医療業界向けの配信サービスでトップクラスのシェアを誇ります。また、最近はメタバース事業も手掛け、オリジナルのプラットフォーム「KIMULAND」を構築して、各種イベントやビジネス活用などを通じた実証実験を行っています。
雪竹さん :
事業のもう一つの大きな軸が人工知能(AI)を活用したサービスで、自然言語処理に長けたIBM Watsonのエンジンを用いて自社開発したAIチャットボット「AI-Q(アイキュー)」によるソリューションを提供しています。高精度のAIチャットボットが、コールセンターやコーポレート部門における対応業務や、営業、フィールドセールス、製造現場などでのナレッジ検索を効率化するのに貢献しています。
LINE WORKSを導入する以前はどのような課題を抱えていましたか。
白濱さん :
社員のコミュニケーションを大切にする当社は、「直接会話を大前提とし、報告・連絡・相談を徹底する」という行動規範を掲げていますが、事業の伸長にともなって拠点や社員数が増えてきました。電話やメールによる即時コミュニケーションは難しく、そのため、通話やチャットができる無償のコミュニケーションツールを全社で利用するようになったのですが、入退社時のアカウント管理や、トラブルが起きた際の迅速なログ追跡ができないなど、管理統制面に不安がありました。
また、ライブ配信サービスにおいては、現場のオペレーター、配信サーバーの監視員、お客さまサポートをするコールセンターの三者が密接に連携する必要があります。無償のコミュニケーションツールでは頻繁にサービス障害が発生しており、障害が発生した場合、障害状況が公開されていない状況下で、迅速な復旧対応を求められます。そうした課題を解決する新たなコミュニケーションツールの導入を考えるようになりました。
数あるツールの中から、なぜLINE WORKSを選定されたのですか。
白濱さん :
既存ツールの有償版や上位プランなどを含めていくつかのサービスを比較し、PCでもスマホでも操作性に優れることと、どのメンバーが読んだかまで分かる既読機能があることを評価してLINE WORKSを選定。ライブ配信事業に関係するスタッフも含め、全社員での利用を開始しました。
LINE WORKSの具体的な利用シーンと導入成果をお聞かせください。
・ライブ配信時のトラブル対応速度がアップ
・協力会社のLINE WORKSやLINEとも連携
白濱さん :
従来のグループウェアは継続して文書管理やワークフローなどに活用し、社員間の日常的な業務連絡はLINE WORKSで行うという使い分けをしています。トークやグループトークによって誰もが瞬時に情報を伝え合えるようになるとともに、情報システム部がアカウント管理やログ監査をしっかりできるようになったことで、ガバナンスの強化も実現。業務データはファイルサーバーのパス情報をトークに貼りつけるようにするなど、安全性を確保しながらスムーズにやりとりできる環境が整いました。
雪竹さん :
カスタマーサービス部では、営業やシステム開発の担当者など、他部門の関係する社員も交えた案件ごとのグループを作成して進捗状況などを共有しています。チャットツールの利点は何といってもやりとりが文字で残ることで、あとからその案件の流れを振り返ったりするのにも便利です。
白濱さん :
ライブ配信に携わるスタッフ間の連絡にもLINE WORKSが用いられるようになり、リアルタイムに連絡し合えるようになりました。その結果、配信トラブル発生等の連絡をお客さまから受けたときのコールセンターによる対応もスピードアップ。トラブルへの対処に要する時間は、LINE WORKS導入前と比べて20%ほど短縮しているように感じます。
コールセンターのスタッフは同時に行われることもある複数のライブ配信イベントのお客さま対応をすることがあり、その場合は各配信の担当スタッフを結ぶトークルームの画面をモニターに常時並べて表示。そのことによっても迅速な対応をすることが可能になっています。
外部トーク連携機能によって、システム開発などをサポートしてくれる委託会社のLINE WORKSやLINEとも、スピーディに情報を共有できるようになりました。外部トーク連携の利用については、必要とする社員からの申請で許可するようにしています。
自社ソリューション「AI-Q」をLINE WORKSと連携させた新サービスの提供も開始されたそうですね。
雪竹さん :
当社の主力商材であり、自社内でも活用しているAIチャットBotのAI-Qを、社員がより手軽に使えるようLINE WORKSと連携させました。人事総務経理系の問い合わせ対応などを自動化しているほか、社内の連絡先をスムーズに検索するための機能を開発して追加。社員の苗字をLINE WORKSのトーク画面に入力するだけでその人の部署名や電話番号などが表示され、例えば山田という苗字の社員が複数いる場合は、「どの山田さんですか?」と問いかけてくれ、複数の選択肢から選べるようにしています。
白濱さん :
連絡先はグループウェアで共有しているスケジュールとも結びつき、検索した社員のステータスを知ることができます。例えばお客さまからの電話を取り次ぐ場合に、トークにその社員の名前を入力すれば『今はミーティング中なので電話に出られそうにない』といったことが瞬時に分かります。以前はお客さまに「あいにく会議中なのでのちほど折り返させます」といった返事をするまでに1〜2分かかっていましたが、この機能を開発してからはほんの数秒で対応できるようになりました。
雪竹さん :
このようにLINE WORKSと連携した機能が社内で大変好評であることから、私どもがお客さまにご提供するAI-Qのサービスにも、オプションとしてLINE WORKSとの連携機能を追加することになりました。
白濱さん :
AI-Qは社内ヘルプデスクの問い合わせ対応のほとんどにご利用いただけます。このオプションサービスをご利用いただくことで、電話やメールによる問い合わせの多くがLINE WORKSで行われるようになり、対応業務が大きく省力化することが期待されます。
ほかにLINE WORKSのどのような機能をよく活用していますか。
【掲示板】技術系のコミュニティができ、所属に関係なくナレッジを共有
【アンケート】社内ヒアリングの集計業務を省力化
【Bot】システムなどの障害発生メールをLINE WORKSから通知
白濱さん :
会社からの通達などは以前からグループウェアの掲示板で周知しており、LINE WORKSの掲示板は主にエンジニアが技術的な話題を投稿する場になっています。技術系の疑問やトラブルに直面した社員がその内容を投稿すると、部門や役職とは無関係に解決策を知っている社員がアドバイスを書き込むといった使い方がされ、社内のナレッジ共有が促進されています。
社員へのヒアリングなどにはアンケートも利用されています。例えば、職場環境改善チームが各拠点における職場環境の課題を拾い上げたり、技術的な仕様変更に際して全社のエンジニアから意見を聴取したりといった使い方をしています。以前はExcelを使って手作業で行っていた集計が自動化したことで、担当者の業務負荷が軽減しました。
社内で使っているさまざまなシステムやサービスに障害が発生したときの通知メールは、LINE WORKSのBotと連携させて担当者のトークに通知させるようにしました。障害発生を直ちに確認でき、早期の対応が可能になったことも導入成果です。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させたいとお考えですか。
白濱さん :
今後もLINE WORKSの活用レベルを高めて社内のコミュニケーションをいっそう活性化するとともに、当社が提供するAI関連サービスとLINE WORKSの強力な連携をはかることで、お客さまに喜んでいただけるような新たなサービスの創出に力を入れていくつもりです。
【お話を伺った方】
白濱 直敬さん
情報システム部とSRE部を兼務し、社内および顧客向けITインフラの設計・運用・保守を管理する。
雪竹 香甫さん
AI-Qに学習させるデータ作成などの業務に携わる。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年7月当時のものです。