学習塾、通信制高校、社会人教育などさまざまな教育事業を手がける株式会社ウィザスは、グループ会社全体のコミュニケーションプラットフォームにLINE WORKSを選定。全社での運用に先立ち、本社機構で利用をスタートさせました。従来は電話やメールで行われていた連絡がトークに置き換わりタイムリーな意思疎通が可能になるとともに、フォルダやDrive、掲示板などの活用で情報を素早く共有できる環境を構築。得られた成果を水平展開することで、グループ全体のDXを推進しはじめています。
本事例のポイント
- 社内連絡をメールからトークに置き換えて拠点間の連携がスムーズに
- Driveで業務データの管理・共有を簡便に
- カレンダーの活用でホワイトボードによるスケジュール管理から脱却
御社の事業概要をご紹介ください。
長谷川さん :
当社グループは、コーポレートビジョン「社会で活躍できる人づくりを実現できる最高の教育機関をめざす」のもと、学習塾、通信制高校、社会人教育、外国人向け教育など、幅広い教育サービスを提供しています。教育全体を軸とした事業のさらなる発展を目指し、2023年度からはカンパニー制を導入しました。「学習塾事業」、「高校・大学事業」、「グローバル事業」、「能力開発・キャリア支援事業」の4カンパニー体制を採用しています。
同時に、コーポレート部門も再編し、グループガバナンス、コンプライアンス、総務、人事、経営管理を司る統括支援本部を設立しました。また、グループ経営戦略、DX戦略、IT戦略の立案と推進を行う経営戦略本部を設け、グループ全体のガバナンス強化と実効力ある戦略の策定・遂行を図っています。
これまでどのような業務課題を抱えていましたか。
長谷川さん :
高校・大学事業において、通信制高校の運営を北海道から九州まで全国展開しており、事業の拡大にともない拠点が増加し、組織内での意思の統一が難しくなってきていました。
黒羽さん :
遠隔地にいる社員どうしがプロジェクトを進める機会が増えて、主な連絡手段が電話とメールだったため、情報の伝達と共有に多大な手間と時間がかかっていました。
平野さん :
メールのやりとりには、デスクに戻ってPCを開かなければならず、迅速なコミュニケーションが難しいと感じていました。
佐藤さん :
社員のスケジュール管理は基本的にホワイトボードで行っていましたが、各事業部やグループ会社で異なるツールを使用しており、業務の標準化ができていませんでした。さまざまなツールの使用は、全体的なガバナンスの確保を難しくしていました。
江阪さん :
会議の開催やメンバーの都合確認に関する非効率的な業務環境を改善する必要があり、全体で共通のコミュニケーションツールを導入し、連絡や情報共有の手段を統一する必要性を感じていました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれたのはなぜですか。
長谷川さん :
当社の社員は全体的にITリテラシーが高くないため、操作が複雑なツールを導入しても定着しない可能性がありました。そこで注目したのが、UIがLINEに近いLINE WORKSでした。ビジネスチャットでコミュニケーションを効率化できるだけではなく、各事業部で運用されていたファイルサーバーをLINE WORKSのDrive(クラウドストレージ)に統合できるという点にも注目し、1つのツールで全社の情報連携を実現できるグループウェアとして活用できることが期待されました。そして、他社のサービスと比較した結果、導入コストやランニングコストが最もリーズナブルだったことが選定の決め手でした。
佐藤さん :
Driveとともにメール機能も備えているアドバンストプランに魅力を感じました。当社では社内用と社外用のメールアドレスを社員に割り当てており、使い分けが非常に煩雑でした。この問題を解決するため、LINE WORKSのメールを社外との連絡に使用し、社内用のメールアドレスは廃止して、社員間の連絡をトークに移行させる計画を立てました。
長谷川さん :
将来的にはLINE WORKSをグループ全体の全社員で運用することを前提に、まず第1フェーズとして大阪本社と東京本部のコーポレート部門を中心に、本社機構で運用を開始しました。
独自の運用ルールなどは整備されましたか。
長谷川さん :
IT戦略部が策定したガイドラインに基づいて、LINE WORKSの利用に際してルールを明確にしました。ただし、自由な活用を推奨する観点から、細かな制約はあえて設けていません。利用端末はシャドーITの抑止と労務面への配慮から、会社が支給したデバイスでのみで利用することとしています。
LINE WORKSの活用シーンと導入成果をお聞かせください。
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●メールと比べ社員間のコミュニケーションが活発に
●フォルダやDriveの活用で業務データにスムーズにアクセス
●会社からの通達などを掲示板で素早く周知
江阪さん :
リアルタイムにやりとりができるトークは、メールより手早くレスポンスを返せるようになり、連絡が一方通行に終わらず複数人で迅速な対話をラリーするようになりました。このことで、社内のコミュニケーションが活発になったと感じます。
黒羽さん :
組織図に基づいたトークグループが用意されたほか、プロジェクトごとにさまざまなトークグループを運用できるため、離れた拠点の社員との連絡が格段に取りやすくなりました。電話やいつ見てもらえるか分からないメールとは異なり、必要な情報を気軽に伝えることができ、ちょっとした確認や意見の収集なども容易に行えます。
電話やメールでは困難だったタイムリーなやりとりを実現した
また、グループのフォルダやDriveを活用することで、各自での必要な業務データへのアクセスと社員どうしの共有がスムーズになりました。
トークやグループ以外にどんな機能を活用されていますか。
黒羽さん :
第一フェーズの社員はLINE WORKSのカレンダーを活用しています。自分だけでなく同部署や予定の把握が必要な社員の予定が可視化されるだけではなく、設備予約機能で会議室などの予約管理ができるのも便利です。
江阪さん :
会議室の使用状況などはホワイトボードで共有していましたが、今後カレンダーの利用が広まることで、社員のスケジュールも設備の予約もLINE WORKS上で可視化され、より効率的に管理できるようになるでしょう。
平野さん :
人事部門からの通達など、組織全体への情報周知には掲示板が活用されています。紙で伝える文化はまだ残っていますが、段階的に掲示板への移行を進め、ペーパーレス化させることを期待しています。
佐藤さん :
IT戦略部やDX戦略部のように、システム開発ベンダーや協力会社とのコミュニケーションが頻繁な部門では、当社のLINE WORKSのアカウントを提供して外部パートナーとトークやフォルダで連絡や情報共有を行っています。
部門によっては、外部トーク連携機能で協力会社のLINE WORKSやLINEとつながり、メールで行っていたやりとりをグループトークに置き換えて連絡業務を効率化しています。組織内にとどまらず、組織外の関係者とも緻密なコミュニケーションをはかれるようになったことも成果の1つです。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させていきたいですか。
佐藤さん :
社員がLINE WORKSの活用によって業務がデジタル化されることを実感し、自ら新しい活用方法を生み出す段階にまで至れば、当社のビジョンである「社会で活躍できる人づくりを実現できる最高の教育機関をめざす」への実現にも近づくと考えています。
黒羽さん :
LINE WORKSが全社展開された際には、NASやオンプレミスのファイルサーバーに保存されているデータをDriveに集約し、全社員が業務データに簡単にアクセスできる環境を築くことを期待しています。また、社内の問い合わせ対応を省力化するため、よくある問い合わせに対して自動回答するFAQ Botの構築も検討していきたいです。
長谷川さん :
第1フェーズの本社機構での導入は、期待したとおりスムーズに進展しています。第2フェーズでは、グループ全体にLINE WORKSを展開していく予定です。第2フェーズで目指すのは、全社員が出社した際にLINE WORKSにログインすることが当たり前になる状態です。毎日、自分や他の社員のスケジュールを確認したり、プロジェクトのメンバーがアップロードした業務資料のフォルダを開いたりする。そして、離れた拠点の社員との打ち合わせや会議を行う際には、Web会議の手配や会議室の予約などの手間をかけず、ビデオ通話を活用する。このような活用が当たり前になるよう、IT・DX関連部門はLINE WORKSの普及と活用レベルの向上に尽力していきます。
【お話を伺った方】
長谷川 博之さん
経営戦略本部の副本部長とDX戦略の責任者を兼務。
佐藤 仁一さん
IT戦略部を部長として統括する。
黒羽 資典さん
高校大学事業本部でDXの推進を担う。
江阪 治也さん
経営戦略本部のDX戦略部で主事を務める。
平野 秀和さん
課長としてIT戦略チームを取りまとめる。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年10月当時のものです。