目次
IVR(自動音声応答)とは?
IVRは「Interactive Voice Response」の略で、コールセンターやカスタマーサポートの一次受付を担う仕組みとして、幅広い業種で使われています。
IVRの基本的な仕組みと役割
IVRは、かかってきた電話に自動で音声ガイダンスを流し、発信者の操作や発話に応じて適切な窓口へ案内する仕組みです。
IVRの役割は、単なる振り分けにとどまりません。営業時間外や夜間でも一次受付を止めずに済むため、機会損失を防ぐことにも役立ちます。
また、よくある質問に対する回答を音声ガイダンスで流せば、オペレーターにつながる前に用件が解決するケースも増えます。
入電を整理して現場の負荷を減らすことで、応答率の改善にもつながります。
近年の市場拡大と進化のスピード
IVRをめぐる市場は急速に伸びています。
デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によると、チャットボットとボイスボットを合わせた自動対話システム市場は2023年度に182億円まで拡大し、2029年度には600億円規模へ成長すると予測されています。
この背景にあるのが、プッシュ操作が中心の従来型IVRから、AIが発話を理解して自然に会話する新しいIVRへの移行です。
費用や機能の選択肢が増えている今、自社の目的に合った形態を選ぶことがますます大切になっています。
IVRの種類と費用相場

IVRは提供形態によって費用の相場が大きく異なります。ここでは、クラウド型・オンプレミス型・AI型の3つに分けて、初期費用と月額費用の目安を整理します。
自社に合う形態を見極める前提として、それぞれの費用感を押さえておきましょう。
クラウド型IVR
クラウド型は、ベンダーが用意したシステムをインターネット経由で利用する形態です。
自社に機器を設置する必要がないため初期費用は無料〜数万円程度に抑えられ、月額数千円から利用できるサービスもあります。
席数やチャネル数に応じて料金が上下する従量制が一般的です。短期間で導入でき初期投資を抑えやすいため、新規導入やスモールスタートに向いています。
近年は、初期費用を抑えられるクラウド型を選ぶ企業が増えています。
オンプレミス型IVR
オンプレミス型は、自社の設備としてIVRシステムを構築する形態です。
初期費用だけで数百万円を要するケースも珍しくなく、これに加えて保守点検の費用や運用人件費がかかります。
自社の要件に合わせた細かなカスタマイズがしやすい一方、初期投資と運用の負担は重くなります。
すでにオンプレミス型を使っている企業では、設備の老朽化を機にクラウド型へ移行する動きも増えています。
AI型IVR
AI型IVRは、番号のプッシュ操作ではなく発話の内容から用件を理解する新しい形態です。
人間が「予約を確認したい」などと話すだけで用件を判別し、回答や振り分けまで自動で進められます。
料金体系はサービスによって固定制と従量制に分かれます。
AI型IVRは従来型より高機能な分、料金は高めに見えることもありますが、オペレーターの対応件数を減らせるため入電量が多い企業ほど費用対効果を感じやすいです。
IVR導入にかかる費用の内訳

IVRの費用は主に「初期費用」「月額費用」「通話料・転送料」の3つに分けられます。
項目ごとに何にいくらかかるのかを把握しておけば、稟議資料の作成や複数社の比較もスムーズに進みます。
初期費用
初期費用は、導入時に一度だけ発生する費用です。
アカウント発行の手数料やシステムの基本設定費のほか、電話回線の工事費、音声ガイダンスのシナリオ設計費、ナレーションの収録費などが含まれます。
クラウド型では初期費用が無料のサービスも多く、初期投資を大きく抑えられます。
一方、オンプレミス型はシステム構築費や機器設置費がかさむため、数百万円規模になるケースも珍しくありません。
月額費用
月額費用は、システムを使い続けるためにかかる毎月の費用です。
多くのサービスでは基本利用料に加え、電話回線の数やオペレーターのアカウント数に応じて料金が積み上がる仕組みになっています。
従って、規模が大きいほど月額費用も上がります。
自社の入電規模に見合ったプランを選ぶことが、無駄なコストを避けるポイントです。
通話料・転送料
見落とされやすいのが、実際に電話を受けたり転送したりするたびに発生する通話料・転送料です。
多くのIVRは、利用した時間に応じて課金される従量制を採用しています。
料金の水準はサービスによって異なりますが、着信は1分あたり3円程度、固定電話への転送は1分あたり13円程度がひとつの目安です。
入電量が多いコールセンターでは、この通話料・転送料が費用全体の中心を占めることも少なくありません。
主要IVRサービス10社の料金比較表
ここからは、主要なIVRサービス10社の料金を比較します。
実際の費用はチャネル数や利用規模、オプションによって変動するため、詳細は各社への見積もり依頼で確認してください。
LINE WORKS AiCall

LINE WORKS AiCallは、AI(ボイスボット)で電話対応を自動化するサービスです。
番号のプッシュ操作ではなく、会話によって顧客の用件を理解し、既存のPBXをそのまま活用しながら電話の入口をAI化できる点が特徴です。
年間3000万件の電話対応実績にもとづいて会話を設計しているため、複雑になりやすいIVRの階層を整理し、スムーズな案内を実現します。
料金は安心の定額制で、コール数が増えても変動しません。金融・通信・物流・保険など大量の入電を扱う業界での導入が進んでいます。
IVRy

IVRy(アイブリー)は、AIとプッシュ操作を組み合わせた自動応答サービスです。
月額0円から使える無料プランがあり、有料のスタータープランは月額3,980円から用意されています。
基本料金のほかに電話番号の維持費や従量の利用料が別途かかるため、入電量に応じて総額を試算しておきましょう。
fondesk IVR

fondesk IVRは、株式会社うるるが提供する電話自動応答サービス(IVR)です。
月額2,980円の基本プランに電話番号のレンタルが含まれ、初期費用は要問い合わせです。
着信は1分3円、固定電話への転送は1分13円(いずれも税抜)の従量課金が月額基本料金に加わる料金体系です。手軽に始めやすい価格帯が魅力です。
トビラフォン Cloud 
トビラフォン Cloudは、トビラシステムズが提供するクラウドPBXで、IVR機能もあわせて利用できます。
初期費用は基本セットが30,000円、月額は3,000円からで、これに通話料が加算されます。迷惑電話対策で培った技術を持つ点も特徴です。
電話環境全体をクラウドで整えたい企業に適しています。
MediaVoice

MediaVoiceは、メディアリンク株式会社が提供するクラウド型IVRです。
自動受付IVRは初期費用50,000円、月額はエントリープランが1窓口あたり10,000円からで、あふれ呼への対応やアンケートなど、用途別のメニューがそろっています。
用途が明確なほど、必要なメニューだけを選んで導入できます。
BIZTEL コールセンター

BIZTEL コールセンターは、株式会社リンクが提供するクラウド型のコールセンターシステムです。
座席課金プランは1席あたり初期費用50,000円・月額15,000円(税抜)で、IVR(音声ナビ)は標準機能として利用できます。
CRMとの連携など運営に必要な機能が一通りそろっており、本格的なセンター運用を目指す企業に選ばれています。
VoiceMall

VoiceMallは、NTTテクノクロスが提供するクラウドIVRサービスです。
着信型は初期費用300,000円から、月額はタイプにより140,000円〜260,000円程度が目安で、大量の入電をさばく大規模な用途を想定した価格帯です。
ボイスボットのメニューも用意されており、機器の購入や保守が不要な点も導入のしやすさにつながります。
AmiVoice ISR Studio

AmiVoice ISR Studioは、株式会社アドバンスト・メディアが提供するボイスボットのクラウドサービスです。
料金は、トライアルプランが初期費用0円から・基本料金が月額30,000円(10,000円分の利用料金を含む)で、標準プランは要問い合わせです。
応対フロー(シナリオ)をノーコードで自社で作成・編集できるため、導入後の改修も進めやすい点が特徴です。
INNOVERA IVR

INNOVERA(イノベラ)は、株式会社プロディライトが提供するクラウドPBXで、IVR機能を含みます。
クラウドPBX本体の料金は公式サイトで公開されておらず、見積もりでの確認が必要です。
あわせて利用できる自社回線「IP-Line」では、固定電話宛の通話料に90秒課金を採用し、市内・市外を問わず全国一律としている点が特徴です。
ソクコム

ソクコムは、Foonz株式会社が提供する電話・IVR・CTIを統合したクラウドサービスです。
月額はユーザー料金が1ユーザーあたり1,480円、チャネル料金が1チャネルあたり2,000円などの組み合わせで構成されます。
AIエージェントの機能も選べ、必要な機能だけを積み上げて使える柔軟さがあります。
IVR導入で失敗しないための4つのポイント

料金だけでサービスを選ぶと、導入後に想定外のコストや運用負荷に悩まされることがあります。
ここでは、費用対効果を最大化するために確認しておきたい4つのポイントを紹介します。
自社の入電パターンと業務要件を整理する
まず取り組みたいのが、自社にどのような電話がどれくらいかかってくるのかの把握です。
時間帯ごとの入電数、よくある問い合わせの種類、ピークの偏りなどを整理すると、必要なチャネル数や機能が見えてきます。
要件が曖昧なまま契約すると、チャネル数の過不足や不要なオプションで費用に無駄が生じます。
現状の課題と目的を先に固めておくことが、適切なプラン選びの基本になります。
費用形態を見極める
IVRの料金は、固定制・従量制・その両方を組み合わせたハイブリッド型に分かれます。
入電量が少なく安定しているなら固定制、変動が大きいなら従量制、その中間ならハイブリッド型というように、自社の入電傾向に合った形態を選ぶことが費用の最適化につながります。
特に従量制は、入電が急増すると通話料がふくらむ点に注意が必要です。月額の基本料金だけでなく、通話料・転送料を含めた総額で比較しましょう。
外部システム連携の柔軟性を確認する
CRMや顧客管理システム、SMS送信など、社内で使っている他のツールと連携できるかどうかも重要な観点です。
連携ができれば対応履歴の自動記録や案内の自動化が進み、運用の効率が高まります。
連携に別途費用や個別開発が必要なケースもあるため、見積もり段階で対応範囲と追加費用を確認しておくと安心です。
シナリオ改修のしやすさと運用負荷を確認する
IVRは導入して終わりではありません。問い合わせの傾向が変われば、音声ガイダンスの分岐(シナリオ)も見直す必要があります。
改修のたびにベンダーへ依頼して費用が発生する仕組みだと、運用コストが積み重なります。
管理画面から自社でシナリオを編集できるサービスなら、改修の手間と費用を抑えられます。
運用フェーズでの負荷まで見据えて選ぶことが、長期的なコスト削減につながります。
従来型IVRからAI型IVRへ進化させるべき理由
従来型のIVRは、番号のプッシュ操作で用件を選ぶ方式が中心でした。
この方式はわかりやすい反面、選択肢や階層が多いと目的の窓口までたどり着けないことがあります。
用件が済む前に発信者が電話を切ってしまうケースも少なくありません。
AI型IVRは、この課題を根本から解消します。発信者が自分の言葉で用件を話すだけでAIが内容を理解し、回答やオペレーターへの転送など必要な対応を行います。
階層をたどる手間がなくなるため対応の完了率が上がり、有人対応そのものを減らせます。
LINE WORKS AiCallを導入した株式会社クレディセゾンも、以前はプッシュ式IVRのシナリオが6階層におよび、回答にたどり着く前に顧客が電話を切ってしまう「離脱」に悩まされていました。
そこでAI型IVRを取り入れ、AIが用件を振り分けてからの後続処理を「Webによる手続きの仕方をご案内するSMS送信」「IVRによるご案内」「オペレーターにつないでの対応」に大別する体制に変えたところ、IVR完了率が40%増加しました。
IVRの費用は自社の規模と目的をふまえて検討しよう
IVRの費用は、提供形態や規模によって初期費用も月額費用も大きく変わります。
クラウド型なら初期投資を抑えて手軽に始められ、オンプレミス型はカスタマイズ性が高い分だけコストも大きくなります。
自社の入電パターンと目的を整理し、初期費用・月額費用・通話料を含めた総額で比較することが、失敗しない選び方の基本です。
そのうえで、入電量が多く応答率や人件費に課題を抱えているなら、AI型IVRへの移行が有力な選択肢になります。
既存のPBXを活かして無理なく段階的に導入できるサービスを選べば、コールセンターの体制を無理なく強化できます。
