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トラック無線・トランシーバーの種類|業務で使える4つの方式
運送会社が業務で使う無線は、デジタル簡易無線・IP無線機・トランシーバーアプリ・特定小電力の4つが中心です。
この4つは、総務省も仕事に使う無線として挙げているものです(出典: 総務省 電波利用ポータル「アマチュア無線は仕事に使えません!」)。声の届け方で分けると、無線機どうしが電波で直接やりとりする方式と、携帯電話の回線を通す方式があります。
| 方式 | 声の届け方 | 届く範囲の目安 | 免許・登録 | 主な費用 | トラックでの主な使い方 |
|---|---|---|---|---|---|
| デジタル簡易無線 | 無線機どうしが電波で直接やりとりする | 数km程度(地形・建物・アンテナで大きく変わる) | 登録局は登録、免許局は免許が必要 | 本体、毎年の電波利用料 | 営業所の周辺や地場配送、携帯電話が圏外になりやすい現場 |
| IP無線機 | 携帯電話の回線を通す | 携帯電話の回線がつながる範囲 | 不要(回線の契約が必要) | 本体、台数分の月々の通信料 | 長距離・広域の運行連絡、車両の位置の把握 |
| トランシーバーアプリ | 携帯電話の回線やWi-Fiを通す | 回線がつながる範囲 | 不要 | 1ユーザーあたりの月額(無料プランのあるサービスもある) | 配車担当・ドライバー・倉庫・営業所をまとめてつなぐ連絡 |
| 特定小電力トランシーバー | 無線機どうしが電波で直接やりとりする | 数十m〜数百m程度 | 不要 | 本体 | 倉庫や構内での近距離の連絡 |
届く範囲は販売各社の案内に見られる一般的な目安で、見通しのよい場所での値です。運送業で長く使われてきたMCA無線は、サービスの終了が決まっているため次の章で紹介します。
携帯電話の通話との違い
携帯電話は相手を1人ずつ呼び出して話しますが、無線やトランシーバーアプリは、ボタンを押して話すと同じグループの全員に一度に声が届きます。通行止めの情報や配送先の変更を、複数のドライバーにまとめて伝えたいときに便利です。
ボタンを押している間だけ話すこの方式はPTT(Push to Talk)と呼ばれ、基本的に1人ずつ順番に話します。込み入った相談は電話、短い指示や報告は無線と使い分けると、それぞれの良さを活かせます。
MCA無線のサービス終了と移行先の考え方
運送業で使われてきたMCA無線は、2027年と2029年に順次サービスを終えるため、利用中なら移行先の準備が必要です。
MCA無線は、事業者が設置した中継局を通して広い範囲で話せる業務用無線です。提供元の一般財団法人移動無線センターは、MCAアドバンスを2027年3月31日に、800MHz帯デジタルMCAを2029年5月31日に終了すると発表しています(出典: 総務省 電波利用ポータル「『MCA無線』サービス終了に伴う再免許等手続について」)。
移行先は、MCA無線でいま何をしているかから考えると決めやすくなります。全車両への一斉連絡、特定の車両の呼び出し、営業所の周辺での作業連絡など、用途によって合う方式が違うためです。
| MCA無線での使い方 | 移行先の候補 |
|---|---|
| 長距離・広域を走る車両との連絡 | IP無線機、トランシーバーアプリ |
| 営業所や構内、近くの現場との連絡 | デジタル簡易無線、トランシーバーアプリ |
| 携帯電話が圏外になりやすい山間部での連絡 | デジタル簡易無線 |
端末の調達や車両への取り付け、デジタル簡易無線を選ぶ場合の登録には時間がかかります。終了日から逆算して試験導入の期間を取り、MCA無線と並行して使いながら切り替えると、連絡を止めずに移れます。移行先の比べ方はMCA無線のサービス終了と代替策の解説で詳しく紹介しています。
運転中の無線・スマホの使用と道路交通法
走行中に携帯電話を手に持って話すことや画面の注視は禁止です。連絡は停車中に確かめる運用にしておくと安心です。
道路交通法第71条第5号の5は、車が停止しているときを除き、手で持たなければ送受信できない携帯電話などを通話に使うことを禁止しています。スマートフォンなどの画面を注視することも同じく禁止です。違反すると6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金の対象です。交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金になります(出典: 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」)。
車に固定する無線機やハンズフリー機器は、手で持たずに使えるため、この条文とは扱いが異なります。ただ、運転中の会話が注意をそらすことに変わりはありません。都道府県の公安委員会規則には、イヤホンなどで周りの音や声が聞こえない状態での運転を禁止しているものもあります(例: 東京都道路交通規則第8条)。
運送会社として決めておきたいのは、ドライバーが走行中にやり取りしなくて済む運用です。たとえば次のようなルールがあります。
- 走行中のドライバーには返事を求めない
- ドライバーからの連絡は、安全な場所に停車してから行う
- 急がない指示は、停車中に聞き返せる音声の履歴や文字で送る
- 急ぎの連絡を受けたときに、停車して折り返すまでの目安を決めておく
トラック無線の選び方|運送会社が確かめたい5つのポイント
走るエリアに電波や回線が届くかを最初に確かめ、車を離れる時間、費用、位置情報と記録の要否で絞り込みます。
運行の形態ごとの組み合わせの目安は次のとおりです。
| 運行の形態 | 向いている方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 倉庫・構内、営業所の周辺 | 特定小電力、デジタル簡易無線、トランシーバーアプリ | 近距離なら無線機で足りる。Wi-Fiがあればアプリも使える |
| 市内・近郊の地場配送 | デジタル簡易無線、IP無線機、トランシーバーアプリ | 営業所から電波が届く範囲なら無線機、届かない場所があれば回線を使う方式 |
| 長距離や、複数の営業所をまたぐ運行 | IP無線機、トランシーバーアプリ | 携帯電話の回線がつながれば距離の制限がない |
| 山間部の現場や、圏外になりやすい道路 | デジタル簡易無線(回線を使う方式と併用) | 回線がなくても、電波の届く範囲で話せる |
走るエリアに電波や回線が届くか
電波を直接届ける無線機は、営業所から離れるほど、また山やビルに遮られるほど届きにくくなります。回線を使うIP無線機やアプリは距離の制限がない代わりに、トンネルや山間部など携帯電話の圏外では使えません。
カタログの距離や携帯電話会社のエリアマップだけで決めず、実際の配送ルートや納品先で試しておくと安心です。方式ごとの距離の目安はトランシーバーの通信距離で比べられます。
ドライバーが車を離れても連絡を受けるか
デジタル簡易無線とIP無線機には、車に取り付ける車載型と、手に持つハンディ型があります。車載型は車の電源で動くため電池の残りを気にせずに済みますが、ドライバーが車を離れると連絡を受けられません。
荷降ろしや納品で車を離れる時間が長いなら、ハンディ型か、ドライバーが持ち歩くスマートフォンのアプリが向いています。車載型を積んだうえで、構内ではハンディ型を持つ組み合わせもあります。
手続きと費用を数年分で比べる
デジタル簡易無線は、使う前に総合通信局への登録が必要で、毎年の電波利用料もかかります。登録局の電波利用料は、1台あたり個別登録で年200円、包括登録で年290円です(出典: 関東総合通信局「デジタル簡易無線局(CR)登録局のページ」、令和7年10月1日改定)。手続きの流れはデジタル簡易無線の解説で紹介しています。
IP無線機とトランシーバーアプリは登録も免許も要りませんが、台数分の通信料や利用料が毎月かかります。業務用のスマートフォンをすでに配っていれば、アプリは端末を買い足さずに始められます。専用機は購入のほか、繁忙期だけレンタルする方法もあります。端末代・毎月の費用・買い替えを合わせた数年分で比べると、方式の違いが見えやすくなります。
車両の位置も把握したいか
GPSに対応したIP無線機やサービスなら、配車担当が地図で車両の位置を確かめながら指示を出せます。急な集荷依頼に近くの車両を回したり、荷主からの到着時刻の問い合わせに答えたりする場面で役立ちます。
位置の把握や運行の記録まで本格的に行うなら、動態管理のシステムと組み合わせる方法もあります。動態管理の仕組みは物流DXの解説で紹介しています。
やり取りを記録に残すか
従来の無線の声はその場で流れて消えるため、走行中に届いた指示を聞き逃すと、後から確かめる方法がありません。トランシーバーアプリには、音声の履歴を再生できるものや、発話を文字にして残せるものがあります。ドライバーは停車してから内容を聞き返せ、配車担当も伝えた内容を確かめられます。使える機能はサービスとプランによって違います。
スマートフォンをトランシーバーのように使えるアプリには、LINE WORKS ラジャーのようなサービスもあります。ボタンを押して話すとグループに音声が届いて履歴に残り、インターネットにつながっていれば離れた営業所とも会話できます。アドバンストプランでは、発話を自動でテキストに変換できます。
よくある質問
アマチュア無線を仕事の連絡に使ってもよいですか?
使えません。アマチュア無線は個人的な趣味のための無線で、仕事に使うと、無線従事者免許や無線局免許を持っていても電波法違反になります。罰則は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、会社やその代表者も罰則の対象です(出典: 総務省 電波利用ポータル)。業務の連絡には、この記事で紹介した4つの方式を使います。
デジタル簡易無線とIP無線機は、互いに話せますか?
そのままでは話せません。デジタル簡易無線は無線機どうしの電波、IP無線機は携帯電話の回線で声を送るため、方式が違います。構内はデジタル簡易無線、車両との連絡はIP無線機と使い分ける場合は、営業所に両方の端末を置いて配車担当が中継する方法があります。製品によっては、方式をまたいで話せる機能を備えたものもあります。
無線の会話を他人に聞かれることはありますか?
電波で直接やりとりする無線機は、同じ周波数に合わせた受信機で聞かれる可能性があります。デジタル簡易無線は、秘話機能を使うと内容を聞き取られにくくなります。IP無線やアプリは、声がデータとして回線とサーバーを通り、決められたグループの端末にだけ届きます。通信の暗号化は製品ごとに違うため、仕様を確かめておくと安心です。詳しくはトランシーバーの盗聴・セキュリティで紹介しています。
まとめ
トラック無線を選ぶうえで押さえておきたい点は次のとおりです。
- 業務で使う無線はデジタル簡易無線・IP無線機・トランシーバーアプリ・特定小電力が中心。アマチュア無線は仕事に使えない
- MCA無線は、MCAアドバンスが2027年3月31日、800MHz帯デジタルMCAが2029年5月31日に終了
- 走行中の保持通話と画面の注視は禁止。連絡は停車中に確かめる運用にする
- 走るエリアに届くかを実際に試し、車を離れる時間・費用・位置情報・記録の要否で絞り込む
最初に取り組みたいのは、いまの配送ルートと納品先のうち、電波や回線が届きにくい場所を洗い出すことです。そこが分かれば、無線機とアプリのどちらを中心にするか、両方を組み合わせるかの見通しが立ちます。
配車担当・ドライバー・倉庫の音声連絡をスマートフォンで始めたい場合は、LINE WORKS ラジャーも選択肢の一つです。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。