業務用インカムイヤホンの選び方|種類・現場別のおすすめとアプリでの使い方

インカムイヤホンは、無線機やスマホにつなぎ、耳元で相手の声を聞きながら話すための業務用のイヤホンです。   騒音の大きい現場はカナル型、接客や見守りの多い現場は片耳や耳をふさがない型が合います。

目次

    インカムイヤホンとは|無線機やスマホにつなぐ耳元の機器

    インカムイヤホンは、無線機やスマホに有線かBluetoothでつなぎ、耳元で相手の声を聞くためのイヤホンです。調理や品出し、介助などで手がふさがる現場で、本体を手に持たずに連絡するときに使います。マイクと送信ボタンが付いたイヤホンマイクなら、本体をポケットや腰に付けたまま話せるためです。

    イヤホンマイクは、耳に付けるイヤホン、声を拾うマイク、送信ボタン、本体とつなぐケーブルの4つの部分でできています。製品を比べるときは、部分ごとに確かめると違いが分かりやすくなります。

    部分 役割 選ぶときに見る点
    イヤホン 相手の声を耳元で聞く 耳への付け方(形状)と、片耳か両耳か
    マイク 自分の声を拾う 口元からの距離と、周りの騒音を抑える機能
    送信ボタン 押している間だけ自分の声を送る 付いている位置と、手袋をしたままでも押せるか
    ケーブルとプラグ 本体とつなぐ。ワイヤレスの製品はBluetoothでつなぐ 本体の端子に合うか、断線しにくい作りか

    ボタンを押している間だけ声を送る操作は、PTT(プッシュ・トゥ・トーク)と呼ばれます。

    イヤホンを替えても、声が届く距離は変わりません。届く範囲を決めるのは、特定小電力トランシーバーやデジタル簡易無線、携帯電話の回線を使うアプリといった本体の方式です。声が届かないことに困ってイヤホンを替えようとしている場合は、先に方式ごとの通信距離と届く範囲を広げる方法を確かめてください。

    インカムイヤホンの種類|形状ごとの特徴と合う現場

    インカムイヤホンの主な形状は、耳掛け型、カナル型、インナーイヤー型、イヤーチューブ型、耳の穴をふさがないオープンイヤー型です。騒音の大きい現場では耳をふさぐ形、周りの声も聞きたい現場では耳を開けておく形が合います。外の音をどれだけ遮るかが、形状によって大きく変わるためです。

    形状 付け方と特徴 周りの音 合う現場
    耳掛け型 耳にフックを掛けて固定する。動いても外れにくい 片耳なら、もう片方の耳で聞ける 売場、倉庫、イベントなど動きの多い現場
    カナル型 耳栓のように耳の穴に差し込む。外の音を遮り、騒音の中でも声を聞き取りやすい 聞こえにくい 工場、建設現場など騒音の大きい場所
    インナーイヤー型 耳の入り口に軽く引っ掛ける。圧迫感は少ないが、外れやすい 聞こえやすい 受付や事務所など騒音の少ない場所
    イヤーチューブ型 襟元に付けたスピーカーから、透明なチューブで耳へ音を送る。耳元が目立ちにくい 片耳なら、もう片方の耳で聞ける ホテル、警備、接客の多い売場
    オープンイヤー型 骨の振動や耳の近くのスピーカーで音を伝え、耳の穴をふさがない。骨伝導と空気伝導がある 聞こえる。騒音が大きいと相手の声は聞き取りにくい 介護施設、病院、見回りなど周りの声も聞きたい現場
    ヘッドセット 頭や耳に固定し、口元にマイクを置く 耳を覆う型は聞こえにくい 騒音の大きい場所で話すことが多い現場

    1つの店舗や施設でも、持ち場によって合う形は変わります。全員を同じ型にそろえず、騒音の大きい持ち場だけ遮音性の高い型にする方法もあります。

    片耳と両耳の違い

    片耳タイプは、もう片方の耳で周りの音やお客様の声を聞けるため、接客や安全確認の多い現場で使いやすい形です。両耳タイプは外の音を遮りやすく、騒音の大きい場所でも相手の声を聞き取りやすくなります。車両や機械が近くで動く場所では、周りの音が聞こえにくくなることも考えて選ぶと安心です。

    マイクの位置|イヤホン一体型・クリップ型・ブームマイク

    マイクの位置は、ケーブルの途中に付いた一体型、胸元に留めるクリップ型、口元まで伸ばすブームマイクの3つに分かれます。一体型は部品が少なく扱いやすい形です。送信ボタン付きのクリップ型なら、胸元に手をやるだけで送信できます。

    騒音の大きい場所では、口元にマイクを固定できるブームマイクが声を届けやすい形です。マイクと口が離れるほど、声と一緒に周りの音も拾いやすくなります。

    有線とワイヤレスの違い|充電と断線で選ぶ

    有線のインカムイヤホンは充電が要らず接続も安定し、ワイヤレスはケーブルの引っかかりや断線がなくなります。体をよく動かす作業の多い現場はワイヤレス、充電の手間を増やしたくない現場は有線と相性が良い方式です。ワイヤレスにすると、本体に加えてイヤホンの電池も管理することになるためです。

    項目 有線 ワイヤレス(Bluetooth)
    充電 要らない イヤホンにも必要
    つなぎ方 本体の端子に差し込む 本体とペアリングする
    動きやすさ ケーブルが棚や台車に引っかかることがある ケーブルがなく動きやすい
    気をつけたい点 ケーブルの付け根やプラグ部分の断線 電池切れと、Wi-FiやBluetooth機器の多い場所での音の途切れ

    有線で断線を減らしたい場合は、根元でケーブルが折れ曲がりにくいL字型のプラグや、電話の受話器のように巻かれたカールコードの製品を選ぶ方法があります。

    無線機でワイヤレスのイヤホンを使うには、Bluetooth対応の無線機に替えるか、今の無線機にBluetoothアダプターを付けます。使えるヘッドセットは無線機ごとに決まっているため、メーカーの対応表で確かめてください。Bluetoothのイヤホンはスマホや無線機とつながるときに必ず電波を出すので、技適マークが必要です(総務省 電波利用ポータル「技適マークのQ&A」)。ワイヤレスに切り替えると決めたら、今の無線機やスマホをワイヤレスにする3つの方法を比べてから、アダプターやヘッドセットを選んでください。

    買う前に確かめたい端子と互換性

    インカムイヤホンを買う前に、使う無線機やスマホの端子に合うかを型番で確かめます。無線機用のイヤホンマイクは、メーカーや機種ごとにプラグの形が違います。差し込めても、組み合わせによってはマイクや送信ボタンが働かないことがあるため、メーカーの対応表で確かめるのが確実です。

    無線機につなぐ場合

    無線機のプラグには、ピンが1本の1ピン、2本の2ピン、外れにくいねじ込み式などがあり、同じメーカーでも機種によって形が違います。純正品のほかに、複数のメーカーの機種に対応する互換品もあります。互換品を選ぶときは、対応機種の一覧に自社の無線機の型番があるかを確かめてください。

    無線機本体が防水でも、つないだイヤホンマイクまで防水とは限りません。雨や水しぶきのかかる場所で使う場合は、イヤホンマイク側の防水の等級も確かめます。

    スマホにつなぐ場合

    スマホにつなぐ場合は、スマホの端子に合う有線イヤホンか、Bluetoothイヤホンを選びます。スマホには、3.5mmのイヤホン端子があるものと、USB Type-Cなどの充電用の端子しかないものがあります。イヤホン端子のないスマホで有線イヤホンを使うときは、端子に合うイヤホンか変換アダプターが必要です。

    無線機用として売られているBluetoothヘッドセットには、無線機との組み合わせを前提にした製品もあり、スマホのアプリで使えるとは限りません。無線機からアプリに切り替える場合は、今のイヤホンがアプリで使えるかを先に確かめておくと安心です。

    インカムイヤホンを選ぶときの5つのポイント

    インカムイヤホンは、形状と端子を決めたら、騒音の中での聞き取りやすさ、防水・防じん性能、送信ボタンの押しやすさ、電池の持ち、衛生面の5点で比べます。同じ形状でも、マイクの性能や防水の等級、ボタンの大きさは製品ごとに違うためです。

    騒音の中で聞き取れるか

    騒音の大きい現場では、外の音を遮るイヤホンと、口元で声を拾うマイクを組み合わせると、音量を上げなくても会話しやすくなります。周りの騒音を抑える機能のあるマイクなら、相手に届く声も聞き取りやすくなります。周りの音が聞こえないと危ない作業では、遮音しすぎない型を選ぶことも大切です。いま使っているインカムが聞き取りにくくて買い替えを考えている場合は、音量や混信など聞き取れない原因の切り分け方を先に確かめると、原因がイヤホンにあるかを判断できます。

    防水・防じん性能はIPコードで確かめる

    防水・防じん性能は、日本産業規格のJIS C 0920で決められたIPコードで確かめます。IPのあとの1桁目が粉じんなどの固形物、2桁目が水に対する保護の等級で、等級を示さない桁はXと書きます。インカムイヤホンでよく見る等級の意味は、次のとおりです。

    表記 JIS C 0920の定義の要約
    IP5X 粉じんの侵入を完全には防げないが、機器の動作や安全を妨げる量は入らない
    IP6X 粉じんが入らない
    IPX4 あらゆる方向から水しぶきがかかっても、有害な影響がない
    IPX5 あらゆる方向からノズルで噴流水をかけても、有害な影響がない
    IPX7 決められた条件で一時的に水中に沈めても、有害な量の水が入らない

    2桁目の7と8は水に沈めたときの等級で、5や6の噴流水への保護を含むとは限りません。両方を満たす製品は、IPX5/IPX7のように並べて表示されます。定義に当てはめると、汗や水しぶきがかかる程度ならIPX4以上、ホースの水のように勢いのある水がかかる場所ではIPX5以上が目安になります。

    送信ボタンは手袋のままでも押せるか

    送信ボタンは、ケーブルの途中、胸元のクリップマイク、無線機本体のどこに付いているかで使い勝手が変わります。手袋をして作業する現場で操作しやすいのは、ボタンが大きく、押した手応えのあるものです。

    手を離せない作業が多いなら、声を感知して送信を始めるVOX機能や、手元に置けるワイヤレスの送信スイッチを使う方法もあります。VOX機能は周りの音を拾って送信が始まることもあるため、騒音の大きい場所では試してから使ってください。

    電池が勤務の長さに足りるか

    ワイヤレスのイヤホンは、通話できる時間が1回の勤務の長さに足りるかを確かめます。製品の案内には音楽の再生時間と通話時間が別に書かれていることがあり、インカムで使うときに見るのは通話時間です。長いシフトでは、休憩のたびに充電するか、予備と交換して使うかを先に決めておくと運用しやすくなります。

    共用するなら耳に触れる部分を替えられるか

    イヤホンを複数の人で使う場合は、耳ゴムやイヤーピースを人ごとに替えられるか、取り外して洗えるか、拭いて清掃しやすい素材かを確かめます。本体を共用する現場でも、イヤホンだけは1人ずつ持つようにすると、衛生面の心配を減らせます。

    現場別のおすすめのインカムイヤホン

    接客の多い小売店や飲食店は片耳の耳掛け型やイヤーチューブ型、騒音の大きい工場や建設現場はカナル型とブームマイクの組み合わせがおすすめです。医療・介護施設では、周りの声を聞ける軽い型が使いやすくなります。周りの音を聞く必要の大きさや、騒音・水・ほこりの多さが、現場ごとに違うためです。

    小売店・飲食店|接客中も周りの声を聞ける片耳タイプ

    売場や飲食店のホールでは、片耳に付ける耳掛け型やイヤーチューブ型が使いやすい形です。もう片方の耳でお客様の声を聞けて、イヤーチューブ型は透明なチューブなので耳元が目立ちにくくなります。水しぶきのかかる厨房や洗い場で使うなら、防水の等級も確かめてください。飲食店では、厨房の水しぶきや油への強さとイヤホン共用の決まりも導入前に確かめておくと安心です。

    工場・建設現場|騒音に強いカナル型とブームマイク

    機械の音が大きい工場や建設現場では、外の音を遮るカナル型か耳を覆うヘッドセットに、口元のブームマイクを組み合わせると聞き取りやすくなります。重機や車両が近くを通る場所では、片耳だけに付けて周りの音を聞けるようにしておくと安心です。

    ヘルメットをかぶる現場では、ヘルメットの内側に付ける薄型のスピーカーと、ブームマイクを組み合わせた製品もあります。粉じんや雨にさらされる場所ではIPコードの等級を、手袋をする作業では送信ボタンの大きさを確かめてください。工場なら騒音の大きさに合わせたヘッドセットの選び方、建設現場ならヘルメットと一緒に着けるヘッドセットの選び方も確かめておくと、持ち場に合う型を絞れます。

    医療・介護施設|軽くて周りの声も聞ける型

    医療・介護施設で候補になるのは、軽い耳掛け型や、耳の穴をふさがないオープンイヤー型です。耳の穴をふさがない型なら、利用者や患者の呼びかけ、ナースコールの音も聞こえる状態で連絡できます。夜間に小さな声で話すことが多い職場では、口元に近い位置で声を拾えるマイクを選ぶと、声を張らずに済みます。耳に触れる部分を交換や清掃できるかも、あわせて確かめてください。介護施設なら防水と衛生管理の確かめ方、病院なら医療機器への電波の影響と院内のルールもあわせて確かめておくと、施設で使える型を選べます。

    イベント・警備|長時間付けても外れにくい型

    長い時間付けたまま動き回るイベント運営や警備では、外れにくい耳掛け型や、目立ちにくいイヤーチューブ型が使いやすい形です。屋外の会場では、雨に備えて防水の等級を確かめておきます。声が届く範囲は無線機やアプリの方式で決まるため、広い会場で使う場合は、イヤホンとは別に本体の方式を確かめてください。会場の広さと人数が決まっていれば、イベントの規模に合う連絡手段の選び方から本体の候補を絞れます。

    スマホのインカムアプリでイヤホンを使うときのポイント

    スマホのインカムアプリで使うイヤホンは、スマホの端子かBluetoothでつなぐため、無線機用のプラグの形を気にする必要はありません。業務用スマホでアプリ型のインカムを使う現場では、送信の操作をイヤホン側でできるかを確かめます。イヤホンのボタンで送信できるかどうかは、アプリとイヤホンの組み合わせで決まるためです。

    アプリでは、声は携帯電話の回線やWi-Fiを通じて相手に届き、イヤホンはスマホと耳元の間をつなぐだけです。回線の届く場所なら、別のフロアや離れた拠点の相手とも話せます。

    送信の操作は画面のボタンが基本で、イヤホンのボタンで送信できるアプリや、PTTボタン付きのBluetoothマイクを使えるアプリもあります。アプリを長い時間使うとスマホの電池の減りが早くなることがあるため、勤務中の充電方法も決めておくと安心です。これからアプリを選ぶ場合は、対応デバイスを含むアプリの選び方で使いたいイヤホンに対応するかも比べておくと、イヤホンとアプリを一緒に決められます。

    スマートフォンをインカムのように使えるアプリの一つが、LINE WORKSラジャーです。普段使いの有線イヤホンやBluetoothイヤホンで話せ、マイクと再生停止ボタンの付いた有線イヤホンなら、そのボタンを押して発話の開始と終了を切り替えられます。PTTボタン付きのBluetoothマイクや耳をふさがないヘッドセットなど、動作確認済みのデバイスも公開されています。

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    よくある質問

    普段使いのイヤホンはインカムに使えますか?

    使う機器によって異なります。スマホのインカムアプリなら、普段使いの有線イヤホンやBluetoothイヤホンで話せるサービスがあります。無線機で話すには、その機種に対応したイヤホンマイクが必要です。音楽用のイヤホンはプラグの形や配線が合わず、差し込めても声を送れないことがあります。無線機でBluetoothのイヤホンを使う場合は、Bluetooth対応の無線機かアダプターが要ります。

    イヤホンを替えると通話できる距離は伸びますか?

    伸びません。声が届く距離は、無線機やアプリといった本体の方式で決まります。Bluetoothでつながるのはイヤホンと本体の間だけで、無線機の電波やスマホの回線が届く範囲は変わりません。届く範囲を広げたい場合は、中継器を置くか、方式そのものを見直します。

    ヘルメットをかぶったまま使えるインカムイヤホンはありますか?

    あります。ヘルメットの内側に取り付ける薄型のスピーカーと、口元に置くブームマイクを組み合わせた製品などがあります。耳掛け型やカナル型を使う場合は、ヘルメットをかぶった状態で耳に当たって痛まないか、着脱のときに外れないかを試着で確かめてください。

    インカムイヤホンで耳が痛くなるときはどうすればよいですか?

    まず耳ゴムのサイズを替えてみてください。耳に合わない耳ゴムや、奥まで押し込む付け方が、痛みの主な原因です。それでも痛む場合は、耳の穴に入れない耳掛け型や、耳をふさがないオープンイヤー型に替える方法があります。痛みやかゆみが続くときは、使い続けずに耳鼻咽喉科に相談してください。

    まとめ

    インカムイヤホンを選ぶときに押さえておきたい点は、次のとおりです。

    • 形状は、騒音の大きさと周りの音を聞く必要があるかで選ぶ。騒音の大きい現場はカナル型、接客や見守りの多い現場は片耳や耳をふさがない型
    • 無線機用はメーカーや機種ごとにプラグの形が違うため、対応表で型番を確かめてから買う
    • 防水・防じんはIPコードで確かめる。2桁目の7や8は、噴流水への保護を含むとは限らない
    • イヤホンを替えても、声が届く距離は変わらない。距離は本体の方式で決まる

    迷ったときは、まず1人分を用意して、実際の持ち場で忙しい時間帯を含めて付けたまま試してみてください。耳の痛みや聞き取りにくさ、ボタンの押しにくさは、カタログよりも試用で分かります。

    スマートフォンで使うインカムも比べたい場合は、LINE WORKSラジャーも選択肢の一つです。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。

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