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第1回、AI TECH INSIDE開催レポート:LINE WORKSのAI研究最前線を“現場から”発信!
2025年10月3日、LINE WORKSとしては初の単独AIイベント「AI TECH INSIDE」を開催しました。 第1回のメインテーマは「LINE WORKS R&D × 高精度音声AIの最前線」。 自社開発による音声認識の技術を支えるエンジニアが登壇し、LINE WORKSのAIを、研究・開発・実装の観点から解説しました。 ■オープニング 冒頭では、代表取締役社長の島岡 岳史が登壇。LINE WORKSがビジネスチャットツールとして広く知られる一方で、実は8年以上にわたりAI研究を続けてきた企業であることを紹介しました。 また、LINE WORKSのR&Dは日本・韓国・ドイツの多国籍のエンジニアが連携するチームで、NAVERのAI研究チームとも密接に協力し、国境を越えて知識と技術を共有しながら研究開発を進めています。 島岡は「“人に優しいテクノロジー”は、高い技術力に支えられており、これからも、誰でも使いやすく、わかりやすいAIを現場へ届けていきたい。」と伝えました。 ■メインセッション:LINE WORKS R&D × 高精度音声AIの最前線 続くメインセッションでは、R&Dチームの市村(AI Worksリーダー)とミヒャエル(テックリード)が登壇。音声認識研究の裏側と、世界と戦う技術戦略について説明しました。 学習には当社でラベル付与した1000時間分の音声データを含め、さらに数万時間規模の未ラベル音声を活かすために自己教師あり学習(SSL)を活用。「LINE CLOVA」時代から蓄積された技術資産を継承し、自然な会話体験に特化した音声認識モデルを展開しています。 市村は、研究成果をそのまま製品に反映できる開発文化について説明しました。研究・開発・品質保証が一体化したチーム体制により、成果を迅速にプロダクトに反映できることが強みであるとしています。 ドイツ出身で、日本で10年以上音声研究に携わるミヒャエルは、、「データの質と汎用性」が性能を左右すると強調しました。LINE WORKSでは、音響的特徴を含む多様なデータを収集。年齢・性別・発話スタイル・専門分野のバランスを考慮し、言語学者による定性評価・正規化チェック体制を備えています。また、業界特有の専門用語や社内固有語に対応するため、音声合成を用いたデータ拡張や文脈補正の手法も取り入れており、これにより、日常会話から専門領域まで高精度な認識を実現しています。 市村は、「最先端技術を入れればいいわけではない。AI議事録自動作成ツール「LINE WORKS AiNote」では単に音声認識精度を追うのではなく、話者分離・句読点補正・読みやすさ改善といったUX設計にも力を入れています。ユーザーが“AIを使っている感覚”ではなく、“便利だな”と思える体験をどう作るか。それが僕たちのR&Dの役割です。」と語りました。 さらに、エンジニアとPMが密に連携し、ユーザーの声を直接聞きながら改善を重ねている点も特徴です。“AIを作る”ではなく、“AIを現場に届ける”文化が根づいています。 メインセッションの様子 ■ライトニングトーク:大阪万博出展事例 ライトニングトークでは、大阪万博に出展した音声対話システム「Naver Carecall」を紹介。これは高齢者の健康状態を、電話を通じてモニタリングする仕組みで、介護人材不足という社会課題への対応を目指しています。自然な会話を通して高齢者の心身の状態を分析し、自治体や福祉機関がケア対象者を把握できる、AIが人に寄り添うアプローチとして注目されました。 ■ライトニングトーク:LINE WORKSのOCR技術を用いた歴史地図認識 OCR技術では、国際学会ICDAR2025で1位を獲得したCREPEモデルを紹介。地図や古文書など複雑な文字を正確に読み取る独自モデルで、文字の位置情報や曲線を理解できる構造、複数行の地名や傾いた文字も高精度に認識することが可能です。 今回のイベントでは、参加者から多くの質問が寄せられ、LINE WORKSの技術力に対する関心の高さがうかがえました。交流会では、登壇者への質問や参加者同士の会話を通じて、ネットワークや情報交換の場としても活用されました。 ■次回開催に向けて AI TECH INSIDEは今後も定期的に開催を予定しています。ぜひ第2回もお楽しみにしてください。 ▼LINE WORKSでは、音声認識エンジニア、NLP・LLMエンジニア、OCRエンジニアを積極採用中です。興味を持っていただけた方は、以下ご覧ください。 音声認識エンジニア:https://hrmos.co/pages/line-works/jobs/20250116 NLP・LLMエンジニア:https://hrmos.co/pages/line-works/jobs/20240829 OCRエンジニア:https://hrmos.co/pages/line-works/jobs/20250404 -
文書解析と認識に関する国際会議 「ICDAR2025」の歴史地図認識コンペティションにて1位獲得
2025年9月16日~21日に中国・武漢で開催された、文書解析と認識に関する国際会議 「ICDAR2025(International Conference on Document Analysis and Recognition)」の歴史地図認識コンペティションにおいて、当社が1位を獲得しました。本成果は単一モデル(End-to-End)で、効率的かつ高精度に画像ドキュメントから情報を抽出する新技術「CREPE」を用いた研究によるものです。 ■「ICDAR2025」とは 文書解析と認識の分野で最も権威ある国際会議の一つであり、世界トップレベルの研究者や開発者が最新技術や研究成果を発表・交流する場です。1991年より開催されており、今年は中国・武漢にて開催されました。 ■ 歴史地図認識コンペティションの概要 本コンペティションでは、図1のように歴史的な地図画像から地名・地形名・水域名などを自動的に認識することが求められます。従来のOCR(Optical Character Recognition)の手法では、 曲線の文字、 オーバーラップ(文字の重なり)、回転・スケールの変化などの対応が難しく、精度向上が課題でした。さらに、単なる文字認識にとどまらず、離れた位置にある文字群をひとつの地名として正しくグルーピングする必要がある点でも、非常に高度なタスクです。 図1:歴史地図認識コンペティションの画像 の一例 ■End-to-Endモデルの適用 本タスクの特性から、画像のグローバル特徴を認識することが重要であると分かりました。従来は、「検出→認識→情報抽出」のパイプライン方式のOCR手法が広く利用されてきましたが、この手法では各ステージで誤差が蓄積されやすいという課題があります。 そこで、今回の研究では、End-to-Endのモデルである「CREPE」を適用しました。「CREPE」はImageEncoderとTextDecoderで構成され、TextDecoderは情報抽出を担当し、SequenceHeadが座標認識を行います。CoordinateHeadは</ocr>という特殊トークンで実行されます。 図2:「CREPE」の概要図 ■既存の「CREPE」からの改良点 既存のドキュメント認識用の「CREPE」では、①曲線状のテキストを表現できない、②テキストのグルーピングが困難、という課題がありました。 これに対し、本研究では以下の改良を加えています。 ・ベジェ曲線によるBoundingBox表現:従来の四角形表現を拡張し、8個の制御点を用いて曲線テキストを柔軟に表現 ・地名グループ化用の特殊トークン<s_toponym>の導入:離れた文字列をひとつの地名としてまとめることを可能にし、図3の「YOSEMITE NATIONAL PARK」などの正確なグルーピングを実現 図3:「CREPE」の歴史地図認識のための改良点 ■認識結果とコンペティションの成果 図4は改良版の「CREPE」をベースにした歴史地図認識の結果を示しています。テキストの模様にしたがって認識が可能であり、同一グループの地名は同色で表しています。 図4:「CREPE」をベースにした歴史地図認識の結果 これら成果により、今回のコンペティションで1位を獲得できました。 特に、唯一のEnd-to-Endモデルで上位入賞を果たした点は、大きな意義を持つ成果であると考えています。 図5:コンペティションの結果 ■LINE WORKS株式会社が提供するAIサービス、研究開発について LINE WORKS株式会社では、ビジネス現場のコミュニケーションツール「LINE WORKS」に加え、 AI技術を活用したサービスを提供しています。 また、AI技術そのものの研究開発にも注力しており、今後は、今回の論文で提案した手法をさらに発展させると共に、プロダクトへの適用や新たな機能・サービスの創出に努めてまいります。 ■LINE WORKS OCR https://line-works.com/ai-product/ocr/ ■LINE WORKS PaperOn https://lp.line-works.com/paperon/ ▼論文の詳細については下記をご参照ください。 Okamoto, Y. Baek, G. Kim, R. Nakao, D. Kim, M. Yim, S. Park, -
<イベントレポート> LINE WORKSの未来を語るビジネスカンファレンス「LINE WORKS DAY 24」を開催
「&UPLIFT〜人とデジタルの[つながり]でビジネスをさらなる高みへ〜」 導入事例から紐解く、LINE WORKSが実現する[つながる]新しい現場の在り方 ~リブランディングと共に事業戦略と新アイコン、初披露となるAIを活用した新製品を公開~ 2024年5月28日(火)、東京・原宿にてビジネスカンファレンス「LINE WORKS DAY 24」を開催しました。 今回のカンファレンスは、『「&UPLIFT」〜人とデジタルの[つながり]で ビジネスをさらなる高みへ〜』をコンセプトとし、「つながり」をテーマに、LINE WORKS株式会が実現するコミュニケーションの改善や社内外連携の人と人のつながりの強化に留まらず、業務効率化に寄与するサービスとの連携など、今そして未来のLINE WORKS株式会社の目指す姿を示しました。カンファレンス当日にローンチされたバージョン4.0から刷新されるブランドアイデンティティ、今後の事業戦略についてご説明したほか、「LINE WORKS」を活用いただいているユーザー企業のご担当者に登壇いただき、導入による業務効率改善事例や企業DXについて語りました。 また、新たな企業価値創造のため、LINEヤフー社のAI事業を2023年4月に組織統合してから初披露となるLINE WORKS AI製品の体験ブースや、カフェエリアもご用意。会場全体で「LINE WORKS」の今、そして未来を感じていただけるカンファレンスとなりました。 ■ KEYNOTE:&UPLIFT 人とデジタルの[つながり]でさらなる高みへ LINE WORKS株式会社 代表取締役社長 増田 隆一/事業企画本部 本部長 大竹 哲史 代表の増田が軽やかな足取りで登壇し、カンファレンスが開幕。今年は「&UP LIFT」をテーマに掲げ、「今日みなさんが発見する「なにか」とあわせて、みなさんのビジネスをより高く成長させるきっかけにしてほしい。」と意気込みを語りました。 はじめに「LINE WORKS」の利用状況として、導入社数46万社・利用者数500 万人という最新数値を発表(2024年1月時点)。ユーザー数の拡大を受け、従来の社内チャットツールとしてだけではなく、取引先ほか社外のコミュニケーションにも活用されるなど、使用シーンの多様化についても言及しました。会場ではさまざまなシーン・業種における「LINE WORKS」を活用した新しい働き方を伝える新CM3本を初公開。ここでの「つながり」は人と人だけでなく、さまざまな情報システムとつながることで実現する、より快適な働き方を伝え、「みなさんの使っている業務システムとLINE WORKSを繋いで便利な世界をお試しください」とその利便性をアピールしました。 ◇バージョンアップデートとリブランディング 続いて、カンファレンス当日にローンチしたバージョン4.0のアップデート内容と新しいプロダクトアイコンを発表。従来の緑だけのロゴから、緑・青・紫の3色のロゴに変更になったアイコンデザイン、ブランドアイデンティティの再定義の説明とともに、これからの事業戦略とリブランディングについて改めて説明しました。増田は「緑が表すCONNECTは従来のLINE WORKSにあるようなコミュニケーションを司る部分。紫のBOOSTはAIを活用した新機能や新製品、そして青のTRUSTは我々のサービスを安心・安全に提供していくという宣言です。こうしたブランドアイデンティティへと変化します。」とそれぞれの色に込めた想いを語りました。 はじめに今回のテーマにも通ずる「つながり」を意味するCONNECTについて説明。機能強化に伴いアプリケーションが複数に分かれていく可能性を示唆しつつ、統合ログイン環境を用意することで、ひとつの「LINE WORKS」 IDでさまざまなサービスにアクセスできるシームレスな体験を強調し、「私たちの強みは、何と言っても使いやすさです。」とアピールしました。 ◇LINE WORKS株式会社が研究開発を進めるAI技術を用いた新製品 続いて事業企画本部の大竹が登壇し、AIに限らず、将来にわたり新たな価値提供を表現する「LINE WORKS」のアイデンティティのひとつ、BOOSTを説明。AIについては「長年の研究開発、さまざまなサービスへの実装を通して培った、AI技術を保有しています」と技術力の高さをアピール。現場の目や耳となり、日々の業務を支援する3つのプロダクト、世界最高水準の認識精度の技術が実装された「LINE WORKS OCR」、クラウド型映像録画サービスの「LINE WORKS Vision」、音声認識機能の「LINE WORKS AiCall」を紹介しました。 続いて初公開となる新製品の紹介を前に、デジタル化が進む社会でも尚、電話がコミュニケーションツールとして選択されている理由として、声で伝えることには「即時性」「情報伝達量」「双方向性」「同時進行性」の4つの優位性 があると説明。手がふさがっていることの多い建設・店舗・介護などのさまざまな現場で生じるコミュニケーション上の課題解決に寄与する新製品を発表しました。開発中のスマホ版トランシーバーアプリは、「LINE WORKS」とつながり、現場において「音声」や「文字」など多岐に渡るコミュニケーションを横断的に一つの空間で管理できます。従来の文字、画像や動画に加えて、声での入出力に対応し、現場スタッフの「声」は「文字」に変換され、本部からの「文字」は「声」として聞けます。大竹はその場でデモを行いながら新しい体験を実演し、「音声認識・音声合成のAI技術をつなげた新たなサービス、ぜひご期待ください」と力強く締めくくりました。 ◇ユーザーとともにつくりあげる、LINE WORKSが唱えるセキュリティ強化 再び増田にマイクが渡ると、セキュリティ観点のパート「TRUST」について、4月に公開した「LINE WORKSセキュリティホワイトペーパー」を中心に説明しました。「これは我々のセキュリティに対する取り組みやデータ保護について正しく理解していただく目的もありますが、サービスへの透明性を高める狙いもあります。」と、増田は公開に込めた想いを語りました。最近のセキュリティに関する取り組みとしては、サービス事業者として「LINE WORKS」が担保する部分と、利用者が管理者設定等で担保する部分との責任範囲を明確にし、両者が共同体としてセキュリティ管理に取り組む「責任共有モデル」を紹介。さらには外部のセキュリティ専門家やホワイトハットハッカーの協力を得て脆弱性を早期発見し素早く修正を行うことでサービスの安全性を高めていく「バグバウンティ」の取り組みも公表し、今後も改善を続けることで「ユーザーの皆様が、『機能強化をするのはいいが、セキュリティは大丈夫なのか』といった心配がないように提供したいという想いを「TRUST」に込めている」とよりセキュリティを高めていくことを宣言しました。 最後に「さまざまなテクノロジーを活かして、みなさんのお手元に「使いやすい機能」「使いやすいサービス」を提供していきます。引き続きLINE WORKSの取り組みにご期待ください。」と締めくくりました。 ■ セッション① 20分でわかる最新のLINE WORKS事情 LINE WORKS株式会社 プロダクトマネジメント本部 -
2023年もっとも注目された記事・資料ランキング!
2023年にもっとも注目された記事・資料ランキングTOP3をご紹介します!スタッフのおすすめコンテンツもご覧ください。 1. コンテンツランキング(ブログ記事編) 2. コンテンツランキング(ダウンロード資料編) 3. 【番外編】スタッフが選ぶおすすめコンテンツ コンテンツランキング(ブログ記事編) さまざまなジャンルの記事がランクイン!ユーザーの皆様のお仕事の多様さがうかがえます。 シフトの共有に悩んでいます(お悩み相談室#3) シフトの共有方法に関するお悩みについて、LINE WORKSで解決するために、松・竹・梅の3つのアイディアでご紹介しています! →ブログを見る この機能って、使ってますか? 返信を打つ時間がない時やスマホの文字入力が苦手な方でも、簡単にトークを送信できるボイスメッセージ機能の活用ポイントをご説明! 現場の音や声を聞かせたい場合や、自分用のボイスメモとしても使われています。 →ブログを見る もしもの時に備えよう!LINE WORKSで災害対策 緊急時の安否確認や全体周知など、災害対策の活用方法をご紹介しています。 予期せぬ事態が起きてしまった時に備え、準備や検討される際の参考として定期的に読まれている記事です。 →ブログを見る コンテンツランキング(ダウンロード資料編) LINE WORKS利用にあたって押さえておきたい資料が上位に。皆様もぜひご活用ください。 かんたんマニュアル 利用開始編【スマホ版】 LINE WORKSをスマホで使う際の各機能の操作方法を紹介します。 管理者の方もメンバーの方も利用可能な内容なため、2023年は多くの方にご利用いただきました。 →資料を見る LINEとLINE WORKSの違いを正しく理解しよう これから使う方に知ってほしい、仕事でLINE WORKSを使うメリットをまとめています。 →資料を見る 社内の予定や設備の予約を見える化し、調整のムダを減らそう LINE WORKSのカレンダーを使って、社内の予定調整や設備の予約管理ができることをご存じですか? この資料を参考に、ぜひ業務の効率化にチャレンジしてみてください。 →資料を見る 【番外編】スタッフが選ぶおすすめコンテンツ ① グループトーク機能を利用するメリットはなんですか? (ヘルプセンター) 「LINE WORKSはトークしか利用できていないというお客様に読んでいただきたいです!」(スタッフT) ②3分でわかるLINE WORKS(機能編)(動画) 「LINE WORKSでできることを3分の動画にしています。 活用するイメージがわかない管理者の方はご覧ください」(スタッフS) ③LINE WORKSの機能や、有償プラン検討も。相談窓口のご案内(ブログ記事) 「お困りごとや疑問にお答えする電話窓口!どなたでもご利用できます」(スタッフM) -
【盲点】これだけSaaSが増えても、なぜDX施策は行き詰まるのか
主なユーザーに“デスクレスワーカー”を据え、創業からわずか7年で“ARR100億円”を突破するなど「爆速」成長を続けるビジネスコミュニケーションツール「LINE WORKS」。 450万ID(2023年時点)を獲得し、今後も堅調な伸びが期待されているが 「『LINE WORKS』は単なるビジネスチャットではない。建設・工事、介護、教育、物流、小売店といった、DX難易度の高いデスクレスワーカーの働き方を根本的に変えられるポテンシャルがある」 そう語るのは「LINE WORKS」を手掛ける、ワークスモバイルジャパン事業企画本部長の大竹哲史氏だ。 では、日本の労働人口のおよそ半数、約3100万人を占めるデスクレスワーカーの働き方には、どのような課題があり「LINE WORKS」はどう貢献可能なのかを聞いた。 DXはオフィスワーカーのための“バズワード”じゃない ──「LINE WORKS」はなぜデスクレスワーカーのDXにこだわるのですか? 大竹 規制強化などで労働時間の上限が決まることに加えて、生産人口は減少。労働力の低下は目に見えています。 この環境下で売上を維持、あるいは伸ばすためには、現在の従業員数の労働力を前提とし、より少ない工数で従来の業務を回したり、新しい価値を生んだりする必要があります。 そのため、デジタルツールをうまく使い、労働力を代替しなければ継続的な成長がない。これが“DX”が重要だと盛んに言われるようになった一因です。 一方で、日本の労働人口のおよそ半数、約3100万人を占めるデスクレスワーカーとデジタルツール活用の相性はあまりよくなく、圧倒的にDXが遅れています。 この状況が続くと日本経済全体が上向きません。 ──デスクレスワーカーのDXはなぜ遅れているのでしょうか。 これまで、デスクレスワーカーにとってデジタルツールは“使いたくても使えない”存在だったためです。 主な要因は二つ。一つは、オフィスと異なりインターネット環境の整備が不十分で、Wi-Fiなどが整っていないこと、また整えるのが困難なこと。 もう一つは、デジタルツールを開発するITベンダー側が、デスクレスワーカー向けのビジネスに注力してこなかったためです。 インターネット環境が整備されているオフィスワーカー向けのツールを開発すれば十分にビジネスを拡大する余地があり、開発が遅れました。 ──その状況が続いてしまっている? 2016年(※1)にパソコンとスマホの世帯保有状況がほぼ横並びになり、スマホが普及しました。デスクレスワーカーもインターネット環境にある程度アクセスしやすくなりました。 ※1 出典:平成29年版『情報通信白書』(総務省) これをきっかけにスマホで扱えるアプリケーションも増加しました。ただ多くはパソコンをUI/UXの中心に据えて作りこんだものを、スマホに置き換えています。 スマホにおいてはコンシューマー向けのサービス開発が先行し、今やスマホファーストが常識になっていますが、ビジネス向けのアプリやシステムはまだまだ“パソコンファースト”を前提にしている場合が多いんです。 ──たしかに、出先になるとスマホで仕事がしづらいと感じることがあります。 「LINE WORKS」は450万IDを獲得するなど、デスクレスワーカーへの普及が進んでいます。 これはコンシューマー向けのサービスである「LINE」を踏襲したUI/UXを徹底しているビジネスチャットだからこそだと考えています。 “誰一人取り残さない”デジタル化を目指せ ──デスクレスワーカーのDXの鍵はスマホファーストにあるんですね。 大前提として、スマホやタブレットを主軸とするモバイルファーストは必要です。ただそれだけを進めればデスクレスワーカー全体のDXが進むわけではないという難しさもあります。 ──どういうことですか? オフィスワーカーが多く働く会社では、あらかじめ業務に必要なアプリケーションが揃ったパソコンが支給されています。社員は、始業したらまずパソコンを起動してログインします。一方で、こうした状況をデスクレスワーカーは整えづらい。 まず、スマホは画面が小さく、情報の整理や同時表示も難しい。メールやアプリを開いたり、スケジューラーを確認したりと、複数のアプリを行き来しなければなりません。 デスクレスワーカーにとって、端末操作はあくまで隙間時間での業務であり、様々なアプリを使いこなしてもらうのは非常に大変です。 むしろ、増えれば増えるほど、仕事に必要な情報やアプリへのアクセスがしづらくなるとも言えます。 それから多くの業務用アプリはアカウント登録時にメールアドレスが必要ですが、そもそもデスクレスワーカーの多くは一人ひとりのメールアドレスを持たされていません。 ──たしかに、店舗のメールアドレスを共有で使っていたりしますね。 はい。その結果、デスクレスワーカーはデジタル化が可能な業務領域が多くありながら、事務所に戻ってから紙で報告書を書く、出退勤はタイムカード。こうしたことが当たり前に続いています。 スマホからもっと自然に業務にアクセスできる状態を整えないと、“デジタル化したくても、できない”“現状維持の方がむしろラク”という状況は一向に改善しないと私は考えています。 デスクレスワーカーにとっての“OS”になる ──その問題をどう解決しようと考えていますか。 -
7年でARR100億円。急成長SaaSの「独自戦略」
SaaS企業が自社の成長性を示すために用いる代表的な指標の一つが、ARR(年次経常収益)だ。 売上を「売り切り型」で積み上げるのではなく、月額課金制のビジネスモデルを取るSaaSにおいて、ARRは今後いくらの収益が生み出せそうか、継続的な成長性を測る指針となる。 このARRで見ると“爆速”といえるスピードで成長しているサービスがある。 2022年9月に “ARR100億円”を達成した「LINE WORKS」だ。 設立から約7年でのARR100億円達成。 これはグローバルのSaaS企業と比較しても「Shopify」や「Twilio」など、名だたるサービスとほぼ同等、驚異的な成長スピードといえる。 ではなぜ、彼らは短期間で爆速成長できたのか。どんな成長戦略を描いてきたのか。 「LINE WORKS」を提供する、ワークスモバイルジャパン株式会社の代表取締役社長兼マーケティング本部長を務める増田隆一氏に伺った。 GAFAMが席巻する市場で、見出した“勝機” 韓国のIT大手企業であり、検索エンジンやWebマンガなどコンシューマー向けサービスを手掛ける「NAVER」。 BtoCビジネスで伸長を続けて得た知見を基に、新たな収益の柱を立てるべく、2015年にBtoBビジネスへの参入を検討しはじめた。 そこで注目した市場が日本だ。 日本は、自国よりも人口規模が大きく、サービスの品質に厳しいとされる。ここでBtoBのビジネスモデルを確立できれば、他国も含めたグローバル市場参入の足掛かりになる。 この期待を背負い2015年6月「LINE WORKS」を手掛ける、ワークスモバイルジャパンが設立された。 「LINE WORKS」はビジネス版LINEだが、運営元はLINE社ではない。ワークスモバイルジャパンがサービス名称使用のライセンス契約を得て提供している。 数あるBtoBビジネスの中から、ワークスモバイルジャパンはビジネスコミュニケーションツール市場への参入を決め、開発に着手した。 当時、ビジネスコミュニケーションの主流はメール。そこではMicrosoftとGoogleが手掛けるサービスがシェアを押えており、需要がほぼ満たされていた。 新規参入企業が“ビッグテック”に打ち勝つのは容易ではない。しかし、彼らは市場の“ある変化”に目を付けていた。 「法人向けのモバイルが、ガラケーからスマホへ切り替わっていくタイミングでした。今後、スマホを中心としたビジネスコミュニケーションは必ず加速すると考えました」(増田氏) この変化を受け勝機を見出したのが、“デスクレスワーカー”向けのビジネスコミュニケーションツールだった。 「常にオフィスで仕事をしているデスクワーカーはメールを活用できます。しかし外回りの営業、建設現場などデスクレスワーカーのメール活用は少なく、電話やFAXがコミュニケーションの中心。かなり改善の余地がありました」(増田氏) 折しも2015年は、現在の働き方改革の大きな柱となる「労働基準法等改正案」が国会に提出された年。長時間労働の是正、労働生産性向上が取り沙汰されていた。 その中で、デスクレスワーカーのレガシーなコミュニケーションを、一からデジタル化し、労働生産性の向上を図る。デスクワーカー向けのツールを展開する“ビッグテック”にはできないという想いがあったという。 「日々の生活では電話やメールが、LINEをはじめとするチャットツールにリプレイスされかけていました。 日常のコミュニケーションがスマホファーストになる一方で、デスクレスワーカーに向けたビジネスコミュニケーションツールはほぼありません。 またデスクワーカー向けのツールをすぐ使いこなせるほどデスクレスワーカーのITリテラシーも高まっていなかった。 それであれば、もしスマホで簡単に操作できるUIのビジネスコミュニケーションツールがあれば重宝される。特に生活に定着しているLINEなら、教育コストをかけずにすぐ扱えます。 LINEに近しいUI/UXを用いることができるわれわれなら、デスクレスワーカーに向けた開発ができ、普及が進む。ここに勝機を見出し、一気に開発を進めていきました」(増田氏) 初期段階からパートナー企業と連携 現在、「LINE WORKS」は建設、介護・福祉、金融、行政、小売店など、多種多様な業態に受け入れられ450万IDを持つ。 法人のモバイルが、ガラケーからスマホへ切り替わるその潮目を見極め船出したが、当時の従業員は10人程度。直販だけでは普及に時間を要するのは目に見えていた。 そこで彼らが重視した戦略が、通信キャリアや通信機器の販売代理店など、パートナー企業と連携していくことだ。 ”いつも買っている馴染みのベンダーから買う”という日本特有の商習慣に乗せるため、意識的にパートナー販売をメインとする戦略を取り、商流開拓に注力。 パートナー経由で「LINE WORKS」を契約してもらうごとに、マージンを得られるような仕組みを作った。 「サービスを体感し、利便性を感じてもらえれば導入は進むはず。販路を拡大するために、パートナー連携を主軸とし、いかに密な連携を取れるか突き詰めていく方針を取りました。 法人向けスマホを販売したいパートナー企業からしても、『LINE WORKS』を契約の際のオプションプランとして提案できれば、アップセルになります」(増田氏)
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