スマホを内線化する方法|クラウドPBX・FMC・アプリの違いと費用

スマホを内線化する方法は、既存のPBXにつなぐ方式、クラウドPBX、FMCの3つで、社内の呼び出しだけなら電話番号を持たないアプリも選べます。   今の設備と番号を活かすなら既存のPBX、機器を置かずに始めるならクラウドPBXが候補です。

目次

    スマホの内線化とは|できることと仕組み

    スマホの内線化は、社員のスマホを会社の電話の1台として登録し、内線や代表番号の電話をスマホで扱えるようにする仕組みです。内線番号での通話、会社の番号での発着信、保留・転送・取次ぎを、外出先や在宅でも使えるようになります。使える範囲は、方式とサービスによって変わります。

    内線化したスマホでできることは、主に次の4つです。

    • 内線番号での社員どうしの通話
    • 会社の番号での発信と着信
    • 保留・転送・取次ぎ
    • 外出先や在宅での内線通話

    会社の電話では、PBX(構内交換機)が内線どうしをつなぎ、外からかかってきた電話を各電話機に振り分けています。スマホの内線化では、スマホに専用アプリを入れるか、通信事業者のサービスに加入して、スマホをこのPBXの端末として登録します。声を運ぶ経路は、インターネット回線と携帯電話の回線の2種類です。経路によって、通話の安定性や費用、使えるスマホの条件が変わります。

    スマホを内線化する方法|3つの方式を比較

    電話の内線化は、既存のPBXにつなぐ方式・クラウドPBX・FMCの3つです。社内の呼び出しだけならアプリも使えます。電話の3方式のうち、私物のスマホも使えるのは既存のPBXにつなぐ方式とクラウドPBXで、FMCは会社が1つの通信事業者で契約したスマホが前提です。

    方式ごとの主な違いは、次の表のとおりです。

    方式 声を運ぶ経路 社内に置く設備 使えるスマホ 費用の出方
    既存のPBX・ビジネスフォンにつなぐ 社内のPBXを経由し、Wi-Fiやインターネット回線で通話 今のPBXを使う。アダプタやライセンスの追加が必要な場合がある 会社支給・私物のどちらも可 機器・ライセンスの購入費と設定工事費が中心
    クラウドPBX インターネット回線 不要 会社支給・私物のどちらも可 初期費用+利用人数分の月額+通話料
    FMC 携帯電話の回線 不要。通信事業者のサービスを使う 会社が1つの通信事業者で契約したスマホ 回線数に応じた月額+携帯電話の料金+通話料
    社内連絡アプリ(電話番号なし) インターネット回線 不要 会社支給・私物のどちらも可 利用人数分の月額が中心。無料プランがあるものもある

    既存のPBX・ビジネスフォンにスマホをつなぐ

    オフィスにPBXやビジネスフォンがあるなら、その機器に内線用のアダプタやライセンスを追加し、専用アプリを入れたスマホを内線として登録できます。PBXがインターネットの通信方式に対応したIP-PBXであれば、スマホにアプリを入れて内線端末にする方法もあります。

    今の代表番号や、グループ着信・転送といった使い慣れた機能を残せるのがこの方式の利点です。ただし、対応する機種やアプリは限られます。購入した販売店やメーカーに、使っている機種で対応できるかを問い合わせてください。PBXの保守期限が近いなら、追加の投資をするか、クラウドPBXへ移るかをあわせて考えると判断しやすくなります。

    クラウドPBXを使う

    クラウドPBXは、PBXの機能をインターネット上のサービスとして使う方式です。オフィスに機器を置かずに、社員のスマホにアプリを入れて設定すれば、内線と会社の番号での発着信ができます。人数や拠点の増減に合わせやすいのも特徴です。

    使える電話番号には、050から始まる番号と、03や06のような市外局番から始まる番号(0ABJ番号)があり、どちらを使えるかはサービスによって違います。0ABJ番号のIP電話には、アナログ電話と同等の品質を確保することが求められています(総務省「0AB-J IP電話の品質要件の在り方について 報告書概要」)。取引先に知られている代表番号を使い続けたいなら、0ABJ番号に対応したサービスを選んでください。

    インターネット回線とサービスを使う方式のため、回線が不安定な場所では声が途切れやすくなります。サービス側で障害が起きると電話を受けられなくなるので、そのときに電話をどこへ転送するかも決めておくと安心です。

    FMCを使う

    FMC(Fixed Mobile Convergence)は、固定電話と携帯電話を一体で使えるようにする、通信事業者の法人向けサービスです。会社の携帯電話を内線網に組み込み、スマホの電話機能のまま内線番号で通話できます。専用アプリを入れずに使えるサービスもあります。

    携帯電話の音声回線を使うため、Wi-Fiのない外回りや移動中でも通話が安定しやすい方式です。一方で、契約する通信事業者を1社にそろえ、会社が契約したスマホを社員に配る形が基本です。私物のスマホを内線にしたい場合には合いません。外線を会社の番号で発信できるかどうかもサービスによって違うため、契約前に確かめてください。

    社内の呼び出しだけなら、電話番号を持たないアプリも選択肢

    既存のPBX・クラウドPBX・FMCの3方式は、外線や代表番号まで含めて会社の電話をスマホに移す方法です。困っているのが「3番レジお願いします」「2階に応援を1人お願いします」のような社内の呼び出しだけなら、電話番号を持たない業務用のアプリで足りる場合があります。

    このタイプのアプリは、チャットと通話を組み合わせたものと、ボタンを押して話すとグループ全員に声が届くトランシーバーアプリが中心です。電話は相手を1人ずつ呼び出しますが、トランシーバーアプリなら一度話すだけで複数の人に声が届きます。外線は受けられないため、代表電話は今の仕組みを残すか、クラウドPBXなどと組み合わせてください。社内の呼び出しをアプリに移す場合は、業務用のトランシーバーアプリを選ぶときの確認点と料金の相場を見て候補を絞ります。

    スマホを内線化するメリットとデメリット

    スマホを内線化する一番の利点は、場所を選ばずに内線や代表電話を扱えることで、注意したいのは通信環境と端末の管理です。内線用の端末と外線用のスマホの2台持ちを解消できる一方、Wi-Fiやモバイル回線が弱い場所では声が途切れたり遅れたりします。

    メリット 内容
    外出先や在宅でも会社の電話に出られる 在宅や外出中の社員にも内線で電話を取り次げる。会社の番号で発信できる方式なら、外出先からの折り返しも会社の番号でできる
    社員どうしの通話料を抑えやすい 携帯電話どうしでかけていた通話を内線として扱える。内線の通話料が無料になるサービスもあるが、データ通信料は別にかかる場合がある
    内線の子機と携帯電話をまとめられる 内線用の端末と外線用のスマホの2台持ちを解消できる
    社内に電話の機器を置かずに済む クラウドPBXなら、オフィスへのPBXの設置や配線の工事が要らない
    災害時の連絡手段を増やせる 出社できないときも、スマホで代表番号の電話に対応できる。停電や通信障害のときは使えない場合もある
    デメリット 起きやすいこと 主な備え
    通信環境で音質が変わる Wi-Fiやモバイル回線が弱い場所や地下で、声が途切れたり遅れたりする 使う場所で事前に通話を試す。屋外や移動中が中心ならFMCも比べる
    データ通信量がかかる Wi-Fiのない場所では、アプリでの通話にモバイルデータ通信を使う 私物のスマホなら、通信費をどこまで会社が負担するかを決める
    今の電話機能が使えないことがある グループでの一斉呼び出しや、ドアホン・ナースコールとの連携など、ビジネスフォンの機能の一部が使えない場合がある 今使っている機能を書き出し、移行先で使えるかを確かめる
    仕事と私生活の境目があいまいになる 勤務時間外や休日にも会社の電話が鳴る 着信を受ける時間帯や当番、時間外の転送先を決める
    紛失や退職のときの情報管理 端末に通話履歴や電話帳が残る 画面ロックや遠隔ロック、アカウント停止の手順を決めておく

    スマホ内線化の費用|方式ごとの内訳と無料で使える範囲

    スマホ内線化の費用の中心は、既存のPBXにつなぐなら機器とライセンスの購入費、クラウドPBXとFMCなら毎月の利用料です。金額は利用人数や電話番号の数、必要な機能で大きく変わるため、同じ条件で複数の会社から見積りをとって比べます。

    方式ごとの主な費用は、次のとおりです。

    方式 初期費用 毎月の費用
    既存のPBX・ビジネスフォンにつなぐ アダプタやライセンスの購入、PBXやルーターの設定工事 保守費。構成によってはアプリやライセンスの月額、通信サービスの料金
    クラウドPBX 初期設定、電話番号の準備、端末とネットワークの準備 利用人数や番号の数に応じた利用料+通話料+オプション料金
    FMC 契約と回線の登録、設定 回線数に応じた利用料+携帯電話の料金+通話料

    表の費用とは別に、端末と通信費の負担も見積りに入れてください。スマホを会社で配るなら端末代と通信費が、私物を使うなら通信費を会社がどこまで持つかの取り決めが加わります。代表番号のために今の固定電話回線を残すかどうかも、毎月の費用に関わる点です。クラウドPBXは人数分の月額が続くため、既存のPBXの保守費や将来の入れ替え費用と並べ、数年分の総額で比べると判断しやすくなります。

    無料アプリでスマホを内線化できるか

    会社の番号で外線を受けたりかけたりする内線化を、無料だけで続けるのは難しいのが実情です。050番号や0ABJ番号を使うには、電話番号を扱う事業者のサービス契約が必要になるためです。

    無料で使える方法は、主に次の2つに限られます。1つ目は、クラウドPBXの一部のサービスにある無料のお試し期間です。サービスごとの条件の範囲で、音質や機能を試せます。2つ目は社内連絡アプリの無料プランで、少人数で短い時間なら続けて使えるものもあります。無料の範囲で使い勝手を確かめ、業務で使う段階で管理機能やサポートのある有償プランに切り替えると安心です。

    自社に合う方式の選び方と導入の進め方

    外線を受ける必要があるか、今のPBXをあと何年使うか、スマホは会社支給か私物かの3点で、候補の方式を絞り込めます。今の番号と機能を使い続けたいなら既存のPBXにつなぐ方式、PBXの入れ替え時期が近いならクラウドPBX、社内の呼び出しだけが課題なら電話番号を持たない社内連絡アプリが候補です。

    自社の状況 候補になる方式
    PBXの保守期間が残っていて、今の番号と機能を使い続けたい 既存のPBX・ビジネスフォンにつなぐ
    PBXの入れ替え時期が近い、在宅勤務や拠点が多い クラウドPBX
    外回りや移動が多く、同じ通信事業者で契約したスマホを配れる FMC
    私物のスマホを使いたい 既存のPBXにつなぐ方式、またはクラウドPBX
    困っているのは社内の呼び出しだけで、代表電話は今のままでよい 電話番号を持たない社内連絡アプリ

    部署によって答えが分かれることもあります。外線を受ける営業や総務はクラウドPBX、現場のスタッフは社内連絡アプリのように、方式を組み合わせても問題ありません。社外で電話に出る人がほとんどいない会社では、電話をスマホに移しても得られる効果は限られます。

    社内の呼び出しは電話と切り分ける

    店舗や施設では、スタッフどうしの短い呼び出しに内線電話を使っていることがあります。こうした連絡を社内連絡アプリに移せば、電話を外線の対応に使えます。

    スマホをトランシーバーのように使うアプリの一つが、LINE WORKSラジャーです。ボタンを押して話すと同じトークルームのメンバーに声が届き、インターネット回線を使うため、フロアや拠点が離れていても会話できます。

    城北信用金庫の梶原支店では、以前は店舗の業務連絡を主に口頭や内線電話で行っていました。書類を取りに行くときやヘルプを頼むときは、職員がロビーを離れてバックオフィスへ移動していました。2025年8月の取材時点では、ロビー担当者やコンシェルジュ、役職者の5名全員がこのアプリを使い、その場を離れずに声で依頼や伝達をしています(城北信用金庫の導入事例)。

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    導入前に確かめておきたいこと

    方式を決めたら、次の4点を確かめてから1つの部署や拠点で試し、ほかの部署へ広げると進めやすくなります。

    確かめること 内容
    電話番号 今の代表番号を使い続けるか。固定電話の番号は、2025年1月末から、原則としてすべての事業者の間で番号を変えずに移せるようになった。ただし例外があり、移す先が0ABJ番号のサービスであることが前提。050番号のサービスに移ると番号は変わる
    発信時に通知される番号 外線をかけたとき、相手に会社の番号と携帯電話の番号のどちらが表示されるか
    通話品質 実際に使うフロアや外出先で通話を試し、声の途切れや遅れがないか
    緊急通報 サービスによっては、アプリから110番や119番にかけられないものがある。緊急時に使える携帯電話や固定電話を別に確保しておく

    固定電話の番号を引き継ぐ手続きは、これから契約する事業者に申し込むだけで完了します。ただし、今の契約は解約になるため、解約に伴う費用や残債の精算が発生する場合があります(総務省「固定電話の番号ポータビリティ」)。代表電話を内線にした複数のスマホで同時に鳴らすか、順番に鳴らすかといった着信の鳴らし方も、試す前に決めておくと運用を始めやすくなります。

    よくある質問

    私物のスマホでも内線化できますか?

    できます。クラウドPBXや既存のPBXにつなぐ方式なら、専用アプリを入れることで私物のスマホも内線にできます。FMCは、会社が契約したスマホで使うのが基本です。私物を使う場合は、通信費の負担、勤務時間外の着信、紛失時や退職時のアカウント停止を先に決めておくと安心です。決めた内容は、私物を業務に使うときの社内ルールに入れる項目と照らして、抜けがないかを確かめます。

    スマホから会社の番号で発信できますか?

    方式とサービスによってはできます。クラウドPBXや既存のPBXにつなぐ方式では、アプリから会社の番号で発信できるサービスや機種があります。FMCは、サービスによっては相手に携帯電話の番号が表示される点に注意が必要です。私物のスマホの番号を取引先に知らせたくない場合は、発信時にどの番号が通知されるかを契約前に確かめてください。

    パソコンでも内線を使えますか?

    サービスによっては使えます。クラウドPBXやPBXの中には、パソコンに入れて電話機のように使うソフト(ソフトフォン)を用意しているものがあります。在宅勤務の社員や電話の少ない社員には、スマホを配らずにパソコンで内線に出てもらう方法も一つの選択肢です。

    院内や施設内のPHSの代わりにスマホ内線を使えますか?

    移行先の候補の一つです。構内PHSで内線を使ってきた病院や施設でも、この記事で紹介した方式でスマホを内線にできます。スマホなら通話に加えて、チャットや業務アプリも同じ端末で使えます。ナースコールとの連携を使っている場合は、移行先でも連携できるかを確かめてください。電波の届く範囲も含め、PBXの販売店やメーカーと相談しながら進めると安心です。構内PHSから移る場合は、スマホ内線のほかの方式も含めてPHSの代わりになる方式と病院・施設での選び方を比べてから決めます。

    まとめ

    スマホを内線化する方法を選ぶときに押さえておきたい点は、次のとおりです。

    • 電話の内線化は、既存のPBXにつなぐ方式・クラウドPBX・FMCの3つ
    • 今の設備と番号を活かすなら既存のPBX、機器を置かずに始めるならクラウドPBX、外回りが多く会社契約のスマホを配れるならFMC
    • 費用は購入費か月額かで出方が違うため、端末代と通話料も含めた数年分で比べる
    • 番号の引き継ぎ、発信時に通知される番号、緊急通報の可否は契約前に確認
    • 社内の呼び出しだけが課題なら、電話番号を持たないアプリで足りる場合もある

    最初に確かめたいのは、外線を受ける必要がある人と、社内の連絡だけで足りる人が、それぞれ何人いるかです。その人数が分かれば、電話をスマホに移す範囲と、選ぶ方式の見通しが立ちます。

    社内の呼び出しをアプリに移すときの候補には、LINE WORKSラジャーがあります。スマホをトランシーバーのように使えるアプリで、インターネットにつながる場所なら距離を気にせず会話できるのが特徴です。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。

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